前に書いた作品は実は、間違えて投稿してしまいました。((?
感想とアドバイスを良ければください。…てか、ください(笑)
>>2 登場人物
>>3 ストーリー
登場人物
木原 星乃(きはら ほしの)
天の川小学校に転校する、小学6年生。いじめが原因で転校してくる。趣味は絵を描くこと。
翔也に恋をする。
杉野 翔也(すぎの しょうや)
星乃と同じクラス。明るくてクラスのリーダー的存在。
鈴木 麻里(すずき まり)
星乃と仲良くなる。恋バナを聞くのが好き。
片桐 柚佳(かたぎり ゆか)
学年の中で可愛らしく、星乃と仲良くなる。実は、翔也が好き。
青山 悠樹(あおやま ゆうき)
翔也と似ている性格で仲がいい。実は、星乃が好き。
ストーリー
学校でいじめを受け、その原因で天の川小学校に転校することになった星乃は、たくさんの人から支えてもらってなんとか明るくなることができた。でも、同じクラスの男子、翔也に恋をしてしまい…!?
プロローグ
「はぁ…」
私はしーんとしている廊下で小さくため息をつく。
今日から新しい学校…また、いじめられそうで怖い…
廊下は少し寒く、黄色くて少し古いドア、上には『6-2』と書いてある板がぶら下がっていた。窓を見ると、桜がもうすぐで咲きそうになっている。
「では、入ってもらいましょう!」
先生の元気の良い声にハッとして私は廊下の隅に置いていたランドセルを背負う。
「木原さん、入ってください!」
先生は小声でにっこり微笑んで言った。私は緊張を抱えて教室へと入る。
私が教室に入ると、ざわつき始めた。
「では、自己紹介をしてください」
私はすぅっと息を吸った。
「はじめまして!木原星乃です…!よ、宜しくお願い…します…」
私は自己紹介の最初、自分でもびっくりしてしまうくらいの声の大きさだった。みんなから変な風に言われそうで怖かったとき___
パラパラと拍手が鳴った。
「ははは!木原さんおもしれぇ!」
「宜しくね〜♪」
みんな笑顔になってくれた。私は緊張が解れた。なんだか、このクラスで良かった感じがした。
「ふふふ。では、木原さんはあそこの杉野君って言う男の子の隣ね」
先生が指指している席を見ると、杉野君?って言う男の子が大きく手を振る。
私は先生から言われた席へと向かった。
「俺、杉野翔也。宜しくな!」
「う、うん…宜しくね…」
__これが、私の恋のスタートだった__
第1章 隣
始業式が終わって、休み時間になると、クラスのみんなが私を囲んで話してくる。
「ねぇ、星乃ちゃんって何処から来たの?」
「木原さんって兄弟いるの?」
や、ヤバい…一斉に質問されると、何が何だかわからなくなるよ〜!!
「おいおい、同時に質問されたら困るだろ…」
杉野君は少し呆れた顔でみんなに言う。
すると、みんなうなずいて何処かへ行ってしまった。
「あ、ありがと…」
「いや、大丈夫。このクラスの奴、良い奴だから悪く思わないでね」
「う、うん…」
杉野君はニカッと笑う。
杉野君ってとても優しい人だな…
帰りの会が終わり、家に帰ろうとした時__
「木原さん、一緒に帰ろ!」
すると、1人のクラスの女の子が息切れをして誘ってくれた。
「ぜ、是非…!えっと…」
「あ、私の名前言ってなかったよね!私、鈴木麻里って言うんだ!宜しくね!」
麻里ちゃんは白い歯を出して、ニコッと笑った。
どうしよう…早速の友達で嬉しさが飛び出る…!!
「んじゃ、友達になったってことでほしのんって呼んでいい?」
「う、うん!」
ニックネームをつけてくれるとか嬉しい。
生まれて初めての友達…凄く嬉しい。
「私のこっちだから、ほしのんじゃあね!」
「うん、麻里ちゃん明日ね。」
元気よく手を振る麻里ちゃんに私は小さく手を振った。
私はスキップで家に帰った。
「ただいま〜!」
「あら、星乃お帰り」
リビングでお母さんがコーヒーを飲みながら出迎えてくれる。
「今日ね、友達出来たんだ!鈴木麻里ちゃんって言ってね。その子ね___」
私は今日仲良くなった麻里ちゃんのことをたくさん話した。
「そう、良かったわね。お菓子ここにあるから宿題しながら食べなさい」
「はーい!」
私はテーブルにあったクッキーを取って、階段を上り部屋へ向かった。
自分の部屋のドアを開けると、段ボールだらけの部屋。段ボールと勉強机、白くて丸いテーブル、ベッドしか置いていない。
私は、ベッドの上に置いてある、白のモコモコしたウサギのぬいぐるみを抱いて小説を読む。
小説には私のような大人しい感じの女の子の恋愛ストーリー。
「はぁ…いいな、私もこんな風に可愛くなりたかった…」
私は小さくため息をつき、小説を読み続ける。
___次の日。
学校へ向かう途中、肩をトントンと叩かれた。後ろを振り向くとそこには…
「おはよ!」
眩しい笑顔を見せる、杉野君だった。
「お、おはよう」
私は弱々しい声で挨拶をする。
なんか変な空気になっちゃったかな…
「あのさ、これ…」
杉野君はランドセルから右上にホチキスで止めてある小さな紙を渡してきた。受け取り、見てみると…
「これって…」
「うん。クラスの人のプロフィール。木原さんにこのクラスが凄く良いって思えるようにしたんだけど…」
「嬉しい!凄く嬉しい!」
私はにっこり笑って喜ぶ。こんなに喜んだのは初めてかもしれない…
「さ、学校遅れちゃうから急ご!」
「うん!」
私は杉野君の後ろで走り出した。
_________
ちょっと今度から書き方変えようと思います。
2.謎のマドンナ!?
学校に着いて、教室に来たのは確か。でも…友達、全っ然作ってない!
私、卒業するまでずっと友達いないのかな〜…
「ギリッギリセーフ!あ、ほしのんだ〜おっはよ!」
廊下から走って教室に入ってきた麻里ちゃんは眩しい笑顔を作って挨拶をしてくる。私はこくりと首を縦に動かす。
「ねーね!今日入学式だね〜!ほしのんの妹とか弟入学して来ないの〜?」
「ううん、下には兄弟いないんだ…お兄ちゃんなら要るけどね」
「へぇ〜、お兄ちゃん要るんだ!」
麻里ちゃんは興味津々でお兄ちゃんのことで話してくる。
「おはよう」
ざわざわしていた教室で、可愛らしい声が響く。
昨日居なかったよね?誰だろ…キラキラしてて可愛らしい女の子だった。
3.友達
「あ、ゆかりんおっはー!」
「あ、麻里おはよ…ってこの子は?」
女の子は麻里に挨拶をすると、私を見て首をかしげる。
「あのね、昨日転校してきた木原星乃ちゃん!」
麻里ちゃんが私の代わりに自己紹介をすると、私はぺこりとお辞儀をする。
すると、女の子はにっこりと微笑んだ。
「星乃ちゃんって言うんだ。可愛い名前だね!私は片桐柚佳って言うの。私のことは柚佳って呼んでね。宜しくね」
や、ヤバい…ゲームで言うとHPがすぐに無くなるほどの眩しい笑顔だった。
周囲を見渡すと、ほとんどの人が柚佳ちゃんを見ている。そんなに人気なんだ…スゴいな〜、住む世界が違う…!
「んじゃ、これからはこの3人がグループね!」
「え!?」
麻里ちゃんが急に言い出したから、思わず私は声が出てしまった。
「え?なんか悪かった?」
「う、ううん…ただ、友達のグループ作れるから嬉しくて…」
「そっか…じゃあ、これで仲良しグループ決定ね」
「うん!!」
柚佳ちゃん、麻里ちゃん…こんなに可愛くて優しい友達…生まれて初めて!ありがとう…!
4.悲しい過去
「ねぇ、ほしのんってなんで転校したの?」
下校中、突然麻里ちゃんから前の学校のことに聞かれてビクッとしてしまう。
「ちょっ!麻里!」
「あっ、ごめんごめん!別に、無理に話さなくて良いから!」
麻里ちゃんは両手を大きく振って焦った。
「ううん、二人ともには言える気がするの…」
私は拳を作り、小さな声で言う。
___私達は、近くにある小さな公園に寄り、ベンチに座る。
正直、言えるかどうかはわからない…怖くて言えないかもしれない。でも、二人は友達だから全てを言うんだ。
「あのね…私___!」
私が小学5年生の時だった。
「星乃、おはよ!」
笑顔で振る舞う私の友達。友達が少なかった私の唯一の友達だった。
お洒落でみんなから人気があって、凄く、私にとって憧れの存在だった。
「うん!おはよう!」
その友達のお陰で私は他の子とも仲良くなれた。
「星乃、一緒にご飯食べよっ!」
「星乃、一緒に帰ろ!」
「星乃、大丈夫だよ。私、星乃の気持ちわかるよ…」
いつでも、私のそばに居てくれて本当に嬉しかった。
__でも、人生ってそんな甘くはなかった。
ある日、私がトイレに行こうとした時、友達の声が聞こえて、驚かそうとゆっくりと歩いて向かった。すると…
「ねぇ、星乃ってウザくない?」
その言葉を聞いたとき、私の心は凍った。その声の主は……一番仲良くしてくれた友達だったんだ…
「だよね〜。いつも自分の力でなんとかしないしね〜!」
「だよね〜」
私は足音をたてないようにその場から去った。
教室に戻り、席につくとその友達が戻ってくる。
「授業ギリギリだったね」
「うん、ギリギリ〜!」
友達は何事もないように話していた。やっぱり、私の勘違い…だったのかな?
___休み時間になると、友達と一緒にトイレへ向かった。すると、足に蹴られたような痛みが走った。
「え…何……?」
「星乃、私達友達やめよ?」
「え……」
友達はにっこり笑いながら言う。
「嘘でしょ?」
「嘘じゃないってば」
友達の笑顔がすぅっと消え、真顔になり、私の足をさっきよりも強く蹴る。
「何でそんなことするの…?」
「嫌いだから。前から嫌いだから」
それって…初めて友達になれた小4の時からなの…?
それからいじめは始まった。
「おはよ〜!」
「……」
挨拶をすると何故か無視される。
机の中にゴミが入っている。
物を隠されたり、嫌なことを全て暴露された。私はもううんざりだった。
「___それで、転校したんだ」
「そうなんだ…」
私は長い話を終えると、大きくため息をつく。
「大変だったね」
後ろから声がして後ろを振り向くと、そこには杉野君がいた。
「ちょっ、杉野!?いつからいたの?」
「え、『あのね、私__!』ってとこから」
ぜ、全部聞かれてたってことじゃん!恥ずかしい……
「木原をいじめる奴とかマジ最低だな」
杉野君はポケットに手を突っ込み、真剣な顔になった。
「俺だったら、殴ってるけどな!」
杉野君は殴るポーズをして、にかっと笑う。
「とにかく、俺はいじめられてる奴を助けたいんだ!」
杉野君……
どうしよう…私、杉野君のこと好きになっちゃったかも…
5.初恋
___次の日、私は何度も何度もため息をつく。
昨日のことを思い出してしまう。
(私…本当に杉野君のことを好きになっちゃったんだ…)
普通、漫画や小説では友達とかに相談しているけど、私には無理。『趣味悪い』とか言われそうで怖いのだ。
私は重い気持ちを抱えて、学校へ向かった。
___学校に着くと、彼は私より早く来ている。
「おはよ〜、ほしのん!」
「おはよう、星乃」
麻里ちゃんと柚佳ちゃんがにっこり笑って挨拶をしてくる。私も二人の真似をして挨拶をする。
「ふぅ…」
私はランドセルを置いて、小さく息をした。すると、肩をトントンされ、された方を向くと、頬杖でにっこり笑っている杉野君だった。
「おはよ、木原」
「お、おはようございます…」
私は緊張のあまりに敬語になってしまった。杉野君は笑っているし恥ずかしい!
___算数の授業中。
私は黒板とにらめっこをしている。今日、5年生の復習のテストだったが、6年生の勉強もする。線対称と点対称の学習。
私が真剣に黒板を見ていると、横から人指し指で肩をつつかれる。
「あのさ、俺教科書忘れてきたんだ…見してくれる?」
「う、うん!」
杉野君の様子を見た私は離れている席をくっつけて、一緒に教科書を見る。
「ごめん。サンキュ」
杉野君はにかっと笑う。
まただ…
また、君の笑顔を見ると、心が痛む。やっぱりこれは恋なんだね。初恋だ。
___授業が終わり、席を離した。
「木原さん、本当にありがとね!」
杉野君は顔の前で両手を合わせて、私にお礼を言う。
「う、ううん!お役にたてたなら良いの!」
私は両手を横に振った。
ほんとにね、彼の役にたてただけで嬉しいから。
ごめんなさい!杉野の台詞で、
木原さんではなく、木原でした!さん付けじゃないです!
6.席替え
次の日。
「今日は、待ちに待った席替えだー!!!」
柚佳ちゃんと麻里ちゃんと一緒に登校をしていると、麻里ちゃんが元気よく叫ぶ。
「麻里、うるさい」
柚佳ちゃんは冷静に言う。
や、やっぱり、柚佳ちゃんって大人っぽくてしっかりしているな…
「えへへ…でも、席替えって一ヶ月に1回しかないのに、今回は一ヶ月も経ってないのに、席替えだよ?こんなのないよ〜!!」
麻里ちゃんは息継ぎをする暇もないような勢いで話す。
正直、何を言っているのかわからなかった。
でも、席替えか…杉野君と離れちゃうな…
__学校に到着すると、みんなざわついていた。やっぱり席替えのことかな…
「おはよう、木原」
「おはよう。今日席替えだね〜」
私は杉野君に挨拶を返すと、席替えの話題を出す。
「だね〜…」
あ、あれ?席替えなのに、反応が暗いような…
「なんでそんなに暗いの?嬉しくないの?」
私は首をかしげて聞く。
「だって、俺ずっとこの席が良かったんだよ」
杉野君は、頬をポリポリとかく。
そ、それって、もしかして…
「俺、後ろの席が一番好きだからさ〜」
で、ですよね…
でも、私も後ろの席とか結構好き。落ち着く感じだから…
神様、どうか杉野君とまた隣の席になりたいですっ!
「皆さん、おはようございます」
先生が挨拶をすると、教卓に箱を置く。
「今から席替えをします」
すると、周囲から嬉しそうな声が教室中に響く。
「では、くじを引いたら、黒板に書いてある場所へ移動してください」
みんなは、次々と教卓に並び、くじを引いていく。
私も引いて、そのくじを開く。
「11番…」
11番の席は窓側の三列目。私は机を持って移動する。
移動すると、そこには…
「宜しくね。木原さん」
「よ、よろしくね」
私が望んでいた彼ではなかった。
「木原さん、俺のことわかるかな?」
「ご、ごめんなさい…まだ、クラスの人の名前覚えてなくて…」
クラスの人の名前まだ覚えてないって可笑しいよね…めんどくさい人って思われてるかも…
「ううん、大丈夫だよ。俺は青山悠樹。宜しくね」
私はこくりとうなずく。
青山君か…なんか、杉野君と同じオーラが出てる感じがする…見た目は少しクールな感じだけど、性格は明るいんだね…
7.好きな人
学校が終わると、いつも通り麻里ちゃん、柚佳ちゃんと一緒に帰る。
「今日の席替え嫌だった!!」
「麻里、あいつと隣だもんね」
「あいつ?」
『あいつ』と言う言葉に思わず首をかしげる。
ヤバい、全っ然わからない!
「あ、えっとね筒島雄太って言う奴なんだけどね」
筒島君!確か、学級委員の人だっけ…その人がどうしたんだろ…
「あの筒島ね、結構厳しくて嫌になっちゃう!住む世界が違うって言うか〜…」
麻里ちゃんは息継ぎをする暇もないように言い続ける。
まぁ、麻里ちゃんは元気な感じだけど、筒島君は完璧少年って感じだからね…
「確か、ほしのんは青山だよね?」
「うん」
青山君…別に好きって訳じゃないけど、カッコいい感じの男の子。
「あいつさ、モテるからお勧めよ〜♪」
麻里ちゃんはニヒヒと笑う。
青山君ってモテるんだ…でも、私は好きになれないな…
「そ、そう言えば、柚佳ちゃんは杉野君と隣だったよね!」
「うん…」
あ、あれ?少し切ない感じの顔をしてる…私、悪いこと言っちゃった!?
「ご、ごめんね。私なんか悪いこと言っちゃった?」
「え!?ううん、そういうことじゃないよ!」
柚佳ちゃんはハッとして、両手を横に振る。
「……あのさ」
私は柚佳ちゃんの声に振り向く。
「みんなって好きな人いるの?」
「え!?」
柚佳ちゃんからの意外な質問に思わず、声を出してしまう。
す、好きな人か…友達だし言った方良いのかな…?
「私はいないよ〜!ほしのんは?」
「わ、私もいないよ!」
麻里ちゃんにつられて、つい『いない』って言ってしまった。
嘘、ついちゃった…
「そっか…私好きな人いるの…」
「え、誰!?」
柚佳ちゃんは恥ずかし気に言う。柚佳ちゃんの言葉を聞くと、麻里ちゃんは気になり、聞き出そうとする。
私も気になる!友達の恋を応援したいし!
「えっとね…誰にも言わないでね?」
私と麻里ちゃんは大きくうなずく。
「……杉野」
その時、私は心が痛んだ。
柚佳ちゃんの好きな人は杉野君、私と同じなんだって…
8.応援しなきゃ…
翌日、私はなかなか眠りにつけなかった。
私の頭が柚佳ちゃんのことをよぎってしまう。
『……杉野』
あぁ、もう!!なんで考えちゃうの…?私は関係無いもん…
「おはよ、星乃」
私はその声にビクッとする。顔を見なくてもわかる。柚佳ちゃんだ。
「お、おはよ。麻里ちゃんとは一緒じゃないの?」
「今日はね、寝坊したらしいよ」
麻里ちゃぁぁん!こういうとき限って寝坊しないでよぉぉ!!!
昨日のこと思い出すし、気まずいよ…
「あのさ…」
私は柚佳ちゃんの小さな声に相手の方を向く。
「本当に杉野のこと応援してくれるの?」
き、きた…この質問きたか…
い、言わなきゃ…!『私も杉野君のこと好きだから応援できない』って。
__それなのに…
「もちろん!だって友達だもん!」
「本当に?ありがとう!」
柚佳ちゃんはふんわりした笑顔で言う。
あーあ、言っちゃった…もう後戻しに出来ない。
私って本当に馬鹿だ。
気まずい空気になりながら教室へ入る。
教室はざわざわといつも通り。
す、杉野君は何処にいるんだろ…ってえ!?わ、私の席に座っているの!?
「どうしたの、星乃。中入ろ?」
柚佳ちゃんから声をかけられた瞬間私はハッとする。
杉野君に集中し過ぎて立ち止まってた…
私は教室の中へと入っていく。
「お、おはよ…」
私は小さな声で二人に挨拶をする。
すると、杉野君が振り向く。
「あ、木原さんおはよ!ごめんね、席に座ってたわ〜ごめん」
杉野君は椅子から立ち上がると、顔の前に両手を合わせて謝る。
「ううん、二人仲良いよね」
「だろ?俺達兄弟みたいだよな!」
「いや、兄弟じゃねぇよ」
杉野君は青山君の肩を掴み、ニカッと白い歯を出す。そこに、青山君のツッコミを出す。
まぁ、なんだかんだで良い人だなって思う。
「ふぅ〜…やっと座れた…」
私はポソッと呟く。
「ごめんね、俺達が話してたから…」
「いえ、全然!隣の席に座って仲が良い人と話したい気持ちは私にもわかりますので!」
って、なんで私敬語になってるの!?しかも、青山君にまで笑われてるし…穴があったら今すぐでも入りたいよ〜!
「な、なんで笑うの〜!!」
私は頬膨らませて相手に向かって怒る。
「だって、敬語だったし、顔が可愛かったから」
え?今、青山君なんて…
私のこと『カワイイ』?全然意味わかんない…
そう考えてるうちに高い音色のチャイムが響く。
私はランドセルがまだ机の上にあったのに気づき、ロッカーへしまいに行く。
すると、柚佳ちゃんと杉野君が仲良さそうに喋っている姿が写る。
まるで、漫画にある美男美女の絵のようだった。
柚佳ちゃん…杉野君とお似合いだね…
そう辛く思う私がいた。
9.大好きな人
「今日ね、杉野とたくさん喋れた!」
「良かったね!」
下校中、柚佳ちゃんは杉野の話題をたくさん話す。麻里ちゃんは嬉しそうに言うけど、私は沈黙。
「星乃?」
「え、何?」
「大丈夫?最近ボーッとしてるし、さっきもずっと黙ってるし…」
い、言えない…!柚佳ちゃんと杉野君とのことでいっぱいって言えるわけがない!
「いや〜、最近寝不足で〜」
私は目を擦りながら嘘をつく。
「なんだ、そういうこと?ちゃんと寝ないと駄目だよ〜!」
「麻里もね…」
柚佳ちゃんは麻里ちゃんにツッコミを入れる。
あぁ、また嘘ついちゃった…
「でねでね、杉野が__」
嫌だよ…聞きたくない。
でも、聞かないと…
私は耳を塞ぎたい気持ちを抑えて、柚佳ちゃんの話を聞く。