まず、この作品は、『ritzy rush〜青春〜』の訂正版です。
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https://ha10.net/novel/1548495037.html
内容が前ところころ変わってたりします。というか、タイトルから違いますw
作者は、ど素人です。小説については右も左も分かりません。
そして、亀更新。ゴメンナサイ!
こんな私ですが、是非、読んでくれると嬉しいです(๑>◡<๑)
感想・アドバイスがありましたら、別スレッド『リオの独り言』でよろしくお願いします!
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https://ha10.net/test/read.cgi/aaaa/1546181076/l50
【あらすじ】
内気な主人公が、中学生の時、親友とともに芸能事務所にスカウトされ、アイドルとしてデビューする。
そして、高校は・・・。
「えっ?変装しろって!?」
コメディを目指したが、コメディになりきれてない物語!
【Character】
☆『Innocence』
現在、人気急上昇中の五人組アイドルグループ。TOGASHI芸能事務所に所属している。デビュー当時は全員中学生だった。歌、ダンス、トーク、どれも抜群に優れている。
〈メンバー〉
*水瀬 透羽(ミナセ トワ)
主人公。身長173センチ。
メンバーカラー『青藍』。
芸名『トワ』。
中学生の頃はかなり内気で人見知りで、奏佑しか友達がいなかった。現在ではステージに立つことが増えた影響か、周りの人間と打ち解けやすくなってきている。
*八神 心翔(ヤガミ マナト)
グループリーダー。身長177センチ。
メンバーカラー『浅緑』。
芸名『マナ』。
心優しい性格で、おっとり系。リーダーであることの不安を持ちつつも、メンバーからは慕われている。
*河ア 奏佑(カワサキ ソウスケ)
メンバーカラー『竜胆色』。
身長178センチ。芸名『ソウ』。
透羽の親友で、一緒に事務所に入った。お調子者だが、優也ほどではない。意外としっかり者。
*月島 李都(ツキシマ リト)
メンバーカラー『秋桜色』。
身長165センチ。芸名『リト』。
身長が低く、可愛らしい。おどおど系で、よく噛む。だが、そこがファンを集めている。
*瓜生 優也(ウリュウ ユウヤ)
メンバーカラー『菜の花色』。
身長176センチ。芸名『ユウ』。
グループ内でのムードメーカー的存在。よくメンバーに罵られるが、ウルツァイト窒化ホウ素(地球で一番硬い物質)の心の持ち主。
〈その他の登場人物〉
*松島 良輔(マツシマ リョウスケ)
身長172センチ。透羽の学校での友達。とにかくバカで鈍い。だが、鋭い一面もある(矛盾)。
*宮坂 香織(ミヤサカ カオリ)
身長164センチ。Innocenceのマネージャー。強引な性格だが、真面目で仕事は優秀。
*富樫 悠介(トガシ ユウスケ)
身長185センチ。TOGASHI芸能事務所の社長。宮坂とは従兄妹関係。カリスマ性があり、自信家。
*水瀬 透華(ミナセ トウカ)
身長166センチ。透羽の姉。高三で、ファッションモデルをしている。弟思いで、少し心配性。李都のファン。
*水瀬 慶透(ミナセ ケイト)
身長168センチ。透羽の弟。中二でバスケ部エース。透羽のことを「透羽兄」と呼ぶ。
*佐々木 潤成(ササキ ジュンセイ)
身長182センチ。透羽のクラスの担任で、数学担当。27歳独身。かなりの面倒くさがり屋。だが、授業は分かりやすいらしい。
俺は、クラスメイトに嫌われている。とは言っても、いじめられているわけではないので安心してほしい。無視をされるだけ。……あれ?それがいじめ?あれ、いじめってなんだっけ。
……まあそれは置いといて!
問題は俺の容姿だ。野暮ったい前髪を鼻の下まで伸ばして、顔を見せず、いつも下を向いている俺。クラスで孤立するのは当たり前だ。そんな容姿の俺と関わりたがる奴は、今のところ一人しか居ない。一人居ただけでも良いほうか。
髪の毛は今のところ切る予定はない。面倒だし、切ったところでクラスメイトの反応が良くなるなんて保証はないよね?それに、前髪で視界が狭いっていうのは結構、気楽なんだよ。
ちなみに、唯一俺に話しかけてきた奴の名前は、河ア 奏佑と言う。奏佑は、小学生のときに転校してきた俺に、たった一人、話しかけてきた。普通は転校生にはもっと話しかけたがるはずなんだけどなぁ。転校した時点でもう上記の容姿だったので、誰も近づこうとしなかったのだ。
だけど、既に煙たがられている俺に、何も取り繕うことなく話しかけて来たのが奏佑だった。
「よっ!俺、河ア 奏佑っていうんだ。よろしくな!」
それからよく話すようになって、今では親友に昇格している。……少なくとも俺はそう思ってるよ?ただ、アイツは超イケメンだし、他の友人も多い。正直、俺の親友にはもったいないくらいだ。
……だが、奏佑がいても、クラスメイトたちの反応は変わらない。……いや、奏佑がいるからこそ、無視されるだけで済んでいるのかもしれないな。
俺も、変わりたいとは思ってるんだ。視界が狭くて落ち着くって考えも、所詮は現実から目を逸らしているだけでしょ?
……決心がつかないだけ。
え?弱虫だって?……喧しいわ!知ってる!
そんな俺、水瀬 透羽に転機が訪れたのは、中学三年の三学期のことだった______。
ニ月中旬。早い所では桜の花も開花している時期だ。
今日は休日なので、親友の奏佑と近所にあるゲームセンターに遊びに来ていた。
「あっ、ちょっ、ああー!また負けた……」
「よし!」
……こうしていると、ごく普通の男子中学生だな。見るからにリア充の奏佑と、あきらかに底辺である俺が一緒に格ゲーをして騒いでいても、周りの人たちも自分のゲームに夢中になっていて、俺のことを変な目で見る者はいない。
あ、ちなみに分かってると思うけど、今勝ったのは俺だ。奏佑は、格ゲーが抜群に下手なのだ。まだ俺に勝てたことは一度もない。
「くっ……。もう一回だ!」
「いや、もう今日だけで何回やったと思ってるんだよ……」
「お前に勝つまで俺はお前に勝負を申し込む!」
「はぁ(うざい)」
奏佑は負けず嫌いな性格だ。そして、一回負けるごとに強さが増してくる。なんでだよ。
あーあ、この調子じゃいつか負けるかも。
というか喉乾いてきた。もうかれこれ三時間は水分をとってない。
「俺、飲み物買ってくる」
「えー、じゃあ帰ってきたらまた勝負な!あと、俺コーラ!」
え、お前ってコーラだったの?初耳なんですけど……。
速報。今まで親友だと思ってた奴は実はコーラでした。俺、人間の親友いませんでした。
「コーラくん、煩い」
「俺 は 、 コ ー ラ が 欲 し い で す !」
「分かったよ、コーラくん。行ってくる」
「だから違うから!」
自動販売機はゲーセンの中にある。いいなあ、自動販売機欲しいな。ちっちゃい頃、自動販売機のおもちゃで遊んだ記憶ある。
……ええっと。取り敢えず俺もコーラでいいか。自動販売機にお金を投入。もちろん奏佑の分のお金は後でもらうつもりだよ!
「ちょっとそこの貴方!」
……ん?もしかして俺に言ってる?
「そう、そこの自動販売機の前でコーラを二本持って、今にも歩き出そうとしている貴方です!」
……詳しい俺の今の状況説明、どうもありがとうございます。じゃなくて!
俺が振り返ったそこには、茶色のサングラスをかけた二十代くらいの綺麗な女性がいた。……すいません、モデルさんですか?
「貴方、トップアイドルを目指してみない?」
うん?え?
「……はい?嫌ですよ。目、大丈夫ですか?」
アイドル?それって、歌って踊るアレだよね?
この人は俺のどこを見てそれを言っているのだろうか。もしかして、目が悪いのか?それとも狂ってる?
「目は別に悪くないし、狂ってもないわ。これでも、数々のアイドルをスカウトしてきたのよ?」
へー、それはすごい。でも、スカウトなら俺なんかじゃなくても、他に沢山いるのに……。例えば、奏佑とか、奏佑とか、奏佑とか、俺の弟とか。姉さん駄目だ。モデル業命な人だから。
というか、貴女がやれば良いんじゃないですかね?
「連れも待たせてるんで、もう行きますね」
そう言って、俺は踵を返して歩き出……せなかった。
「ちょっと待ったー!」
女性が俺の肩をがっちりと掴んできたからだ。なんなんだよ!
「……分かったわ。確かに貴女の実力を私は知らない。でも、感じるのよ。断言させてもらうわ。貴方なら絶対に輝ける」
だから、とその女性は続けた。
「一回だけでも、うちの事務所に来てみない?お連れの方も一緒に」
そう言って、俺の目を真っ直ぐに見つめるその女性の瞳は真剣で、とても冗談を言っているようには見えなかった。
……まあ、一回行ってみるだけなら良いか?そもそも、奏佑がなんて言うか分からないけど。
とりあえず、奏佑のところに女性を案内し、奏佑と女性を対面させる。
「え?えっと……透羽?この人は……?」
奏佑が遠慮がちに女性をチラッと見て、こっそりと俺に問いかけてくる。
「この人は、俺をアイドルにしたいって言ってる、えーっと……」
「自己紹介が遅れたわね。私は、TOGASHI芸能事務所に勤めている、宮坂香織といいます」
……!
TOGASHI芸能事務所だって!?すごく有名な事務所じゃないか。過去に何回か、アイドルグループがアジア進出を果たしている、超大手芸能事務所だ。最近では、そういう話は聞かないけど……。
「TOGASHI ……」
奏佑はポカンとした顔をして、口を開いてしまっている。……うん、こういう顔でも充分イケメンだ。
それに対して宮坂さんは、奏佑を真剣な表情でじっと見つめる。
「……貴方もアイドルの見た限りでは、素質を持っているわね。今日だけで、二人もアイドルの卵を見つけるとは思ってなかったわ。やっぱり貴方たちはアイドルになるべきよ!」
うんうん。やっぱり奏佑はスカウトされるよな〜。今までなんでされてなかったんだろ?
でも、俺は……。
「だから、勝手に決めつけないでください!」
「まあまあ、アイドルの仕事は、貴方たちにも良い経験になるはずよ。それに、この私が言ってるんだから、間違いないわ」
「なんでそんなに自信持って言えるんですか……」
「あら?さっき、言わなかったかしら。私はこれまでに、たくさんのアイドルをスカウトしてきたのよ。中にはアジア進出を決めたCrescentもいるの」
え、宮坂さんって、一体何歳なんだろう。Crescentをスカウトしたって……。少なくとも四十路は、いってるってことだよな。俺、今の今までずっと二十代くらいだと思ってた。
Crescentっていうのは、今から約二十年前にデビューした、三人組アイドルグループのことだ。過去にアジア進出を成し遂げたグループで、今は解散している。他にも、様々な伝説を残しているらしい。
そんなすごいグループをスカウトしていたなんて……。
あ、奏佑が何か決心したような真剣な顔をしている。
「はい!俺たち、アイドルやります」
……?今、こいつなんて言った?俺にはアイドルをやるって聞こえたんだけど……。俺“たち”?聞き間違いかな?
「ちょっと奏佑!?」
「そう、良かったわ!じゃあ、さっそく事務所に案内するわね」
「はい、よろしくお願いします。俺は、河ア奏佑と申します。こっちは水瀬透羽です」
俺を置いて勝手に話が進んでいく……。あれ、なんで俺も行くことになってるんだろう。了承してないんですけど!
「じゃあ、私は車を用意してくるから、このゲームセンターの前で待っててね」
そう言って、宮坂さんはゲーセンを飛び出していった。
……。
「なあ、本当にアイドルになるつもり?本気なの?」
「んー、ちょっと興味が湧いてきたぐらいだな。そもそも、スカウトされただけで、本当になれるかどうかなんて分からないし。こんな機会、そうそう無いと思うし?」」
「それもそうだけど……」
「それに、やってみれば透羽も何か変わるかもしれないぞ?新しいことを始めてみるのも良いじゃん!自分を変えたいって、思ってるんだろ?」
「……。」
もしかして、奏佑は俺の為に言ったのか?普段は馬鹿ばっかりやってる癖に、たまにこうやってまともなことを言うときがある。
男前なんだよね、奏佑って。こういうところが学校での人気の秘訣なのかもな。
「全く……。俺が女だったらコロっと落ちてたかもなー」
「え、何それ。透羽の女性版、ちょろすぎんだろ!あはは!」
……はは、やっぱり俺、お前イヤダナァ。
「……言っておくけど。俺、歌のダンスも顔も人並みだから。コミュ力も無いし」
特に、コミュニケーション能力というスキルは、俺の辞書に存在しない。
うぅ、なんだか虚しくなってきた……。
「大丈夫だって!お前、運動神経意外と良いし。顔はすごく整ってるし。歌は聞いたことはないけど、声は綺麗だし!」
いや、それは完全に買い被りすぎ!何一つ優 れているところなんて無い。別に普通だよ。 普通未満ではない事は祈りたいけどね。
どうも、奏佑は俺のことを高く評価している節がある。あっ、コミュ力については何も触れられなかったな。そこは流石にフォロー出来ないって事か。
その後、俺と奏佑は宮坂さんの車に乗って、TOGASHI芸能事務所に向かったのだった。
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車に揺られること約30分。ようやく事務所の前の駐車場に止まった。
TOGASHI芸能事務所の外観は、まぁ……とにかく、立派だった。語彙力が少ないので伝わりづらいかもしれないけど……でも、奏佑と二人揃って口をあんぐりと開けて固まるぐらいには立派だと思う。
そして、綺麗だ。汚れ一つ付いていない、透き通ったガラス張りの壁。太陽の光が絶妙な位置で反射され、建物の所々が光って見える。
正直、この建物が凄すぎて、周りにある建物が色褪せて見えてしまう。周りの建物も結構立派に作られているのに。
「でけぇ……」
「なにこれ、綺麗だ……」
「さぁ、入るわよ」
⠀ なんとか硬直していた体を元に戻し、宮坂さんの後に続いて、建物の中に入る。
⠀ 中は……うん、省略。凄く立派って事で納得して欲しいかな。
「さてと……透羽くんは、カットしましょうか。その後奏佑くんも少し弄るって事で良いかしら?」
「は、はい」
⠀ 俺が頷くと、宮坂さんはそれじゃあ着いてきてね、と歩いていった。返事が少しどもってしまったのは内緒だ。髪の毛を切るのは一体何年振りだろう?
⠀ 俺と奏佑は顔を見合わせて、慌てて宮坂さんの後を追った。
⠀ 宮坂さんが入った部屋に入ると、宮坂さんがハサミや鏡などを用意して待っていた。
⠀ あれ?宮坂さんが切るのか?
「宮坂さんが切ってくれるんですかー?」
⠀ 奏佑が同じことを聞いてくれた。
「ええ。私は美容師の資格を持ってるから、大丈夫なのよ。心配しないでね」
⠀ へえ、美容師か……。すごいな。
⠀ 宮坂さんに誘導され、鏡の前の椅子に腰掛ける。
⠀ ……なぜか、急に不安になってきた。今までは髪で顔を隠すことが自己防衛みたいなものだったからな。
⠀ ……と思っても、今更遅くて。
⠀ 耳元で髪を切られる感触。床に落ちる自分の髪の毛に、少しだけ名残惜しさを感じ、ぼーっと見つめていた。
⠀ それから軽くセットをしてもらい、宮坂さんの満足気な「よし!」という声に合わせて顔を上げる。