Blaoody Nightmare

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1:依夢◆1s:2019/08/21(水) 15:20

「逃げなきゃいけない。私は帰りたい」
ー覚めない悪夢に朝は来ない

2:依夢◆1s:2019/08/21(水) 15:29

小さい頃、私は母親を頃した。
ただ、この現実から逃げたい、そう思っただけだった。
当時母親は私に暴力を振るうことでストレスを解消していた。
もちろん、その事実は誰も知らない母親がビルの屋上から飛び降りた。
そう警察は言った。8歳の娘が母親を頃したなど、誰も思いもしなかったからだ。
ただ、14歳になった今でもその事実は心にこびりついて、拭い切れないドス黒い何かが私を苛み続けている。

3:依夢◆1s:2019/08/21(水) 18:56

春川 亜澄 (はるかわあずみ)14歳。
施設を出た私は家からさほど遠くない公立の中学に進学し、中2になった。
8歳から約6年間施設にいたけれど、その施設にはとてもではないが余裕があるわけではなく、小学校を卒業すると私は母方の祖母に引き取られた。
祖母は私に会うなり、
「ごめんね、気づいてあげられなくてごめんね。辛かったね」
そう声をかけてくれた。でも、母は私を祖母に合わせたくなさそうだったし、気づかなくても無理はないと、12歳ながらにそう思った。
私が生まれた時から祖母は既に祖父を亡くしていて、私が3歳になる頃、父と母は離婚し、私の親権は母に託された。今はもう父の行方はわからないし、連絡先も知らない。知っていても連絡しようとは思わないだろうけど。
朝から憂鬱なことを考えつつ、制服に着替え、用意された朝食を食べる。母は18歳の時に私を産んだ。普通なら「堕ろせ」そう言うところだと思うけれど、祖母も母を20歳で産んでいたこともあり、強くは言えなかったと、母からも祖母からも聞かされた。
どうせなら産まなくてよかったのに。
とさえ思うことがある。私には自分の生まれた意味がわからない。ただ、生きる意味を見つけられずに無意味に生きている。私は、それが自分だと思っている。

【夢、関係ないかも…焦!!】

4:依夢◆1s:2019/08/21(水) 19:53

祖母に「いってらっしゃい」と言われ、無愛想に「うん」と返した。祖母のことは嫌いじゃないし、仲良くしていきたいとも思っている。
ただ、無愛想なのは今に始まった事ではないし、それが素なのだからもう仕方がない。
授業中、なんとなくだが、よく考えることがある。
大したことではない。ただ、今私が授業を受けているこの瞬間に、泣いている人がいる。
生まれてくる人がいる。疲れてる人がいる。
死にそうな人もいる。笑っている人がいる。死のうとしている人もいる。寝ている人もいる…
なぜか、ぽんと頭に浮かんでくる。

5:依夢◆1s:2019/08/21(水) 22:37

ぼんやりと黒板の文字を写して、先生の話を聞く。これが私の日常。
何が起こるでもなく、ただ、ただぼんやりして終わる。
「死んでもいい人生」
つくづくそう思う。私よりも生きる価値のある人、私よりも誰かに生きていてほしいと思われている人がいるはずなのに、なんで私がここにいるんだろう。
暇な時、屋上に出ることがよくある。
今ではかなり珍しいかもしれないけど、私が通う中学は、屋上がよく解放されている。
そして、屋上に張られた緑のようなフェンスに指をかけ、目を閉じる。
すると、あの時の感覚が芯からふつふつと、
甦るのをしっかりと感じる。母を落とした時の、ぐっと力が入って、何か激しいことをしたわけじゃないのに、汗が出て、止まらなくなって、息が乱れる、嫌な感覚…
きっと、この感覚こそが、母が私にかけた、呪い…怨み。
突発的にこの感覚に襲われることよくある。
ただ、屋上などの高いところで感じるのは、尋常ではない。
もちろん、私が人1人を頃したという事実は変わることもなければ、誰かが知るわけもない。
ただ、なんとなくこの感覚はいつか消えるものとも思っていない。
この罪を胸に抱いて生きていくつもりだし、
自殺をしたいわけじゃない。説得力のかけらもないことばかり言っているのはわかっているけれど。
ただ、死ぬならばそれでいい。そう思うだけ。

6:依夢◆1s:2019/08/21(水) 22:57

「…。もう下校時間か。帰ろう」
教室に置いてきた鞄を持ち、校舎を出た。
平穏な、何も変わらない日々はここまでだった。
「あ、筆箱置いてきちゃった…」
今なら学校を出たばかりだし、取りに行ってもいいかな…
そう思って振り向いた時、目の前が真っ白にになった。
何か、重く硬い、鈍器のようなもので頭を殴られ、私は倒れた。記憶はここまでだった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「あ、う…あ…」ここ…どこ?
そこは冷たくて、固い、石の上だった。
とても狭く、2畳半程の天井の低い部屋。
中には何もなく、古く、ヒビの入った鏡と、
あたりにまばらな大きさのかけらが落ちているだけだった。
殴られたであろう、頭の部分が経験したことのない痛みを帯びていた。
頭が痛い。割れるように…幸い、血は出ていないようだが、古びた鏡を覗くと、かなり青くなっていた。氷で冷やしたいところだが、当然そんなものはない。この痛みを抑えるため、とにかく床にうずくまり、歯を食いしばった。

7:依夢◆1s:2019/08/22(木) 12:32

何分、何時間…どれだけうずくまっていたかはわからない。思ったよりも時間が経っていないのかもしれない。ただ、体感的にはかなりの時間が経っていた。この閉鎖的な空間には時計はなく、目の前は鉄の扉で、何度かノブを回したけれど、鍵がかかっているのか、開くことはなかった。
頭が痛くてそれどころではなかったからか、
今までカバンがないことも気がつかなかった。
よく推理小説を読むけれど、読んでる時は
そこであぁすればいいのに、なんでそうなるの?
なんて思うが自分がそんな状況になるとは思いもしなかったし、いざそうなると全く思考が働かない。
そういえば、ここにいる人は私だけなのだろうか?そのとき、
ドンドンと何かを叩く音が聞こえた。
「くそっ、なんで開かないんだよ!」
左隣からだ。男性の声で、聞いたこともない。同い年では絶対ない。おじさんてほどでもなさそう?
すると、
「うるさいんだけど!」
女性の声だ。こちらも同い年ではない。
顔が見えないから、しっかりと分析はできない。かなり苛立った声だった。

8:依夢◆1s:2019/08/25(日) 10:49

第1位印象って、大事だと思う。まぁ、私も無愛想だから一言を言う気はないけれど、こんなキレた人たちとは話したくない。ていうか、本当にここどこ?夢?ぽっぺ…いたっ…夢じゃないの?本当にここどこなんだろ。
さっきから隣の女の人の甲高い黄色い声がうるさい…かと言って右隣の男の人も怖そうだし…なんか、だるい…。隣はずっと喧嘩してるし、挟まれてる私のみにもなってよ。
その時、「ゴホッ、ゴホッ」咳が確かに聞こえた。小さな女の子の声だった。そういえば、隣の喧嘩で気づかなかったけど、さっきからずっと咳してる気が…風邪かな…?


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