「月のバイオリン」

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1:Luna:2019/10/25(金) 16:30

初めまして、Lunaです。この小説はちょっぴり切ない、感動的なお話です。
この小説に関してのコメントや感想の返信を送って下さい。皆さんからの
コメント、お待ちしてます。


..僕は..一体誰の為に..そして何の為に..このバイオリンを弾いてるのだろう..。

..僕は、いつの間にか夢に夢中になって、ぐっすり眠っていた。どんな夢かは
はっきり分からないけど、楽しくて、ちょっぴり切なく感じるというのは
分かる。そして、夢に夢中になっているうちに、すっかり夜明けが来て、朝に
なった。窓の外の日差しが眩しい。それとついでに、じいやの
「坊ちゃま、そろそろ学校の時間ですぞ。」という声も聞こえた。
朝 学校に行く為に早く起きなきゃいけないのは分かってるのだが...
正直に言うと僕は、学校に行きたくない。
何故かと言うと..学校には、僕の事をいじめる生徒がいるからだ。
なんでわざわざ僕の事をいじめるんだろう..僕はあいつらに特にこれと言った
悪さもしていないのに。..でもまぁいっか。あいつらが僕の事をいじめている
うちに、そのうち先生から叱りの罰が下されるはずだから。そう思い
僕はベットから起きた。そして起きてから、じいやに朝の挨拶をした。
「おはようございます。お坊ちゃま。」
「おはよう、じいや。今日の朝ごはんは..もしかして、レモンと鶏肉の
ソテー?」
僕は大抵、屋敷の廊下から香る匂いで、どんな朝ごはんなのかがすぐ分かる。
「流石はお坊ちゃま、よくお分りになりましたな。」
じいやは笑顔で答えてくれた。そして、一階の広いリビングに向かった。
僕の住んでいる屋敷の一階のリビングはとても広く、大きくて座り心地の良い
豪華なソファが置いてあるし、その前には、ガラスでできたテーブルに
壁には大きなテレビもある。窓のステンドグラスを出ると、バラであしらわれた
豪華なお庭がある。更にはその隣に、大きなプールもある。今は召使い達が
掃除をしていて使えないが、毎年夏にこのプールに入ってバカンス気分を
味わうのが、僕の楽しみでもある。僕は朝ごはんを食べに、赤いテーブル
クロスが敷かれた長机に向かった。..幼い頃は、お父さんとお母さんとよく
楽しく会話をしながら、夕飯を食べたりしたっけな。時々、従兄弟達を
パーティに誘った時は、このテーブルにたくさんの美味しいご馳走が
並べられてたよな。あの時食べた大きいケーキは、本当に甘くて美味しかった。
..でも今は、一緒に夕飯を食べてくれるお父さんやお母さんがいない。
僕の両親は、僕が6〜7歳だった頃に、どちらとも重い病で亡くなった。
あの時僕はまだ6歳ぐらいだったから、自分の両親がどんな病気にかかったのか
分からないけど..あの瞬間は、できれば思い出したくはないし、両親が
どんな病気にかかったのかも、気になるけど聞きたくない。
だって、そんな事を聞いたら..僕が悲しくなって、涙が溢れてくるから。
その事を思い出しているうちに、いつの間にか僕の前には
今日の朝ごはんが置かれていた。今日の朝ごはんは..やっぱり、僕の予想通り
レモンと鶏肉のソテーだった。食べてみると..レモンの酸っぱさが
口に広がったが..

2:Luna:2019/10/25(金) 17:10

※この小説の続きです。上の小説と共にこの続きも一緒に読んで下さい。

レモンの爽やかさが、丁寧にローストされた鶏肉とよく合って美味しかった。
..僕の名前は、ヒルクライム・アンサンブルズ。学校の先生や生徒のみんなからはよく「ヒルク」と呼ばれる。
僕の将来の夢は、観客のみんなが聞き惚れるようなバイオリニストになる事。何故かと言うと、僕の
ひいお爺さんがかつて、有名なバイオリニストだったからだ。今は寿命で亡くなっていないが、お母さん達と
初めてひいお爺さんのコンサートで聴いた時は、バイオリンの音色が僕の心に響いて、すごく感動した。
その事がきっかけで、僕はバイオリニストを目指すようになった。僕はピアノは上手く弾ける方だが
バイオリンは上手く弾けない。その事に悩んでいた時、ひいお爺さんは僕にこう言ってくれた。
「今は上手く弾けなくとも、何度も練習を重ねれば、お前さんもそのうち上手くなる。いいか? わしの様な
プロは、決して練習を外したりなどしていない。むしろプロにとって、練習は外せない物で、プロにとって
一番必要な物と言っても過言ではない。練習している途中には、ちょっとした困難がある。でもそれを
諦めないからこそ、プロは誰にでもなれる物だ。だからお前さんも、わしみたいなバイオリニストに
なりたければ、練習を繰り返し重ねる事だ。」
ひいお爺さんのその言葉を信じて、僕はバイオリンの練習をするようになった。ひいお爺さんは
亡くなる前に、僕にバイオリンを譲ってくれた。少しホコリがかかっていたが、それはひいお爺さんが
色々な場所で観客に聴かせていた、使い古したバイオリンだった。僕は今でもそのバイオリンを大事にして
弾いている。ある時、僕がバイオリンを弾くようになってから、お爺さんが僕に、贈り物をしてくれた。
贈り物を開けてみると..そこには、濃い紫色のバイオリンがあった。バイオリンの端には、月の形をした
金の飾りが付いていた。その贈り物には、お爺さんからの手紙も入っていた。

愛しの孫 ヒルクへ

元気にしておるか? 最近お前さんがひいお爺さんに憧れて
バイオリンを弾いていると聞いたから、わしがお前さんの為に
新しいバイオリンを買ったぞ。そのバイオリン、よく見ると
端に月の形をした金の飾りがあるじゃろう?
実はそのバイオリンは特別でな..満月の綺麗な夜にその
バイオリンを弾くと、その金の月の飾りが光って
お前さんが会いたいと思っている人物に会えるらしい。
もしお前さんが会いたいと思っている人がいるなら
ひいお爺さんがくれたバイオリンを一生懸命練習して
そのバイオリンを弾きなさい。今度上手く
弾けるようになったら、わしと婆さんにも
聴かせてくれ。それじゃ..元気でな。

僕は考えた。..僕は一体誰に会いたいんだろう..今まで僕に愛を注いで育ててくれた、お父さんとお母さん..?
それとも..僕に素敵なバイオリンを譲ってこの世を去った、バイオリニストの、ひいお爺さん..?
でも僕は、まだバイオリンを完璧に弾けるという訳ではない。だから、練習をして、だんだん弾くのが
上手くなってきたら..お爺さんのくれた、このバイオリンを弾こう。..満月の綺麗な夜に。

その事を考えながらも、僕は服を着替えて、カバンを背負って、そして..ひいお爺さんがくれたバイオリンを
持って、学校に向かった。
「それじゃ..行ってきます。」
「いってらっしゃいませ、お坊ちゃま。」

3:愛梨◆YE:2019/10/25(金) 21:07

とても面白いです!
頑張ってください!


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