_この海の底の国、『青い海の国』。
ある日その国のお城の王女様が、国を抜け出して人間の暮らす地へ足を踏み込んでしまいました。
そこでは、人間たちが仲良く暮らす『碧島』(あおいしま)でした。
ここで王女は、1人の運命の人間の男の子と出会う____
人物紹介
飛鳥 海斗(アスカ カイト)
碧島の島民。14歳。身長164p。身長は普通。やせ型。
不登校。 暗いけど、面白い新しいことが大好き。
アクア (アクア)
青い海の国のお城の王女。14歳。身長143p。背がものすごく小さい。やせ型。
子供っぽく、あざといところがある。
海斗「…今日もこれ?」
母「いいじゃない!これ美味しいでしょ?
海斗も美味しいって言ってたじゃない」
海斗「…言ってねーし」
今日も、昨日と同じ何度も見た朝御飯だった。
母親は料理が得意だが、一度ハマったものはずっとご飯で出し続けると言う癖がある。
海斗「そろそろ飽きたんだけど」
母「まあまあ!今日はこれ作っちゃったんだから、食べましょ!」
海斗「はぁ…」
ここ1週間、ずっと朝御飯には甘い卵焼き。
そろそろ飽きてもおかしくない頃なのに、ずっとこれ。
俺の気持ちも考えろっつーの。
俺も、これ好きなわけじゃないし。
そんなことを心の中でつぶやきながら、白米をぱくつく。
母「…今日も学校、行かないの?」
海斗「行かねーよ。もうあんなことになるのは本当に無理」
母「そう…もうこれで学校に行ってないの、2週間よ。そろそろ行ってみたらどう?
本当にダメだったら早退していいんだから」
海斗「だから無理っつってんだろ!!」
俺の一言でその場が凍りつく。
母親は俺の言動に反対して、
母「…何よ!私は海斗のことを思って言っているの!」
海斗「は?俺のことなんて考えてないから『学校行け』とか言うんだろ!?」
母「あなたには将来幸せになって欲しいから!」
海斗「将来幸せになるには、必ず学校に行かなきゃ行けない?」
母「ええ、勉強しないと何も始まらないわよ!
しかも、海斗は今は義務教育の期間なんだから、ちゃんと学校に行かないと私も困るの!」
バン!と、母親が机を叩いて叫ぶ。
味噌汁が振動でユラユラ揺れる。
なんだ、結局自分のためじゃん。
俺のこと考えてるなんて言った癖して、結局自分を守るため。
俺はそう言う人間が一番大嫌いだ。
俺は気持ちが抑えきれなくなった。
海斗「ふざけんな!全部自分のためなんじゃんかよ!!」
母は俺の怒りに驚いたのか、ピクとも動かない。
ずっと俺の顔を見ている。
海斗「___俺、もう耐えきれねぇ」
俺は三分の二ほど食べた朝御飯を残し、家を飛び出した。
なんだよ。
俺が『学校行きたくない』って言って理解してくれた、たった1人の理解者だと思っていた。
人って、簡単に裏切る生き物。
もうそんな人間と、一緒に居たくない。
そんな一心で、俺はどこかへ走り出した。
目的地も、ないはずなのに、走り続ける。
そうだ、碧海岸に行こう。
碧海岸は、碧島の有名な海岸で、観光スポットとしても有名だ。
普段は沢山の観光客で賑わっていて、俺も小さい頃行ったことがある。
しかし今日は平日の7月15日、月曜日。祝日だから人がいっぱいいるかと思ったが、今は早朝の6時。
まだ観光客は来ていないだろう。
俺は碧海岸に向かって走り出した。
ザザー____
波の音が響く。
ここは、心の癒される場所だ。
この波の音に、朝焼けの空。それに、何よりも海の美しさ。
来るだけで癒されて、何もかも忘れられる。
海斗「これから、どうしよう」
来たはいいものの、これからどうすればいいかわからない。
考えているうちに、ブルルルルルル。
海斗「ん?」
スマホの着信音が俺のズボンのポケットの中で振動して鳴る。
みてみると、母親からの電話だった。
もちろん、出るわけがない。
俺はその着信を無視して、ただただ突っ立って海を眺めているだけだった。
いつの間にか着信は切れて、海の家の時計を見ると、6時半。
30分も、ここで突っ立っていたのか。
そんなことを思っていると、海の奥の方に、何かがある。
海斗「__?」
小さく、白い影だった。
俺は気になって仕方ないので近づいてみた。
徐々に影の正体が明らかになってくる。
海斗「人…子供?」
その正体は、小さな11歳くらいの女の子が海の向こうを見て立っていた。
よく見ると、髪は金髪で、ドレスのようなものを着ている。
海斗「…あの、君?」
俺がそっと話しかけてみると、女の子はこちらを振り返って、
???「わっ…も、申し訳ございません!」
その女の子は、まるで幼稚園児のような童顔だった。
まつ毛は長く、パチリとした目。
黒猫のような、金色の瞳。
整ったピンク色の唇。
整っている、可愛い顔立ちだった。
小さくて細い身には、深い青色のドレスを着て、頭には水色のベールを身にまとっていた。
海斗「あ、謝らなくてもいいんだよ。お、お父さんとお母さんは…?」
???「お父様とお母様のことなんて知りません!もう絶対帰りません!」
女の子は首をブンブンと振る。
海斗「お父様…お母様…?君は、どこから来たの_?」
女の子は少しうつむいてから俺の方を見て、話し出した。
???「私は、深い海の底の『青い海の国』からやって参りました。私はその国の王女です」
青い海の国?王女?
頭は混乱するばかりだった。
海斗「そ、そっか、君、お名前は?」
すると、女の子は少し考える動作をしてからこう言った。
アクア「私は、アクアと申します」
海斗「アクア____」
結月さんは小説書くのお好きですね、楽しいです。「腐女子」の小説も完結楽しみにしています。
7:結月帆乃◆YE:2019/12/08(日) 20:14 >>6
ありがとうございます!!!
小説の更新の励みになります…!
これからもこの小説と、腐女子が恋なんてのほうも
よろしくお願いしますヽ(*´∀`)
俺がアクアという名前を聞いた瞬間、不確かだが何かの記憶のカケラが頭の中をよぎった___
『海斗くん、この海で出会うことができる王女様って知ってる?』
『なにそれ?』
『その王女様って、海の底から来たんだって。王女様の名前は_____ 』
アクア「…どうかなさいましたか?」
海斗「あ、なんでもないよ。これからよろしくなアクア」
アクア「…はい」
俺はなにを思い出したのだろう。
その『王女様の名前は___』の先が、思い出すことができないのだ。
ずっとモヤモヤしている俺の様子をちらりと真横で見ているアクア。
そういえば、この子をどうすればいいのだろう。
アクア「そういえば、あなたのお名前をお聞きしていませんでした」
海斗「俺は、飛鳥海斗だよ」
アクア「あすかかいと…」
ふと何かを考える仕草をするアクア。
もしかして、アクアもさっきの記憶を__?
アクア「お名前が長いので、海斗くんとお呼びしても大丈夫でしょうか?」
海斗「いいよ。あと、アクアはいくつなの?」
アクア「王国でお勉強したことなので確かではないかもしれませんが、
人間界のお年でいうと14歳でということになります」
じゅ、14歳!?この顔、この身長が!?
と、思わず口からこぼれそうになったが、ギリギリで堪えた。
まあ、人間界と歳が少し違うのなら、なんとなくはわかるが。
海斗「お、同い年!」
アクア「本当ですか!?良かった…でも、これから…どうしましょう」
海斗「そうだな…」
そう言って考え始めた途端、アクアが隣で「ふぁぁぁ…」とあくびをした。
こんな早朝だから、眠いよな。
海斗「眠いのか?」
アクア「はい…海を泳いできたものですので、すこし疲れてしまって…」
海斗「…ちょっと休憩しようか」
アクア「…よろしいのですか?」
なんだ、普通の子なら休憩しようと言ったらすぐするのに、「よろしいのですか?」と言うなんて、思っていた返事と違った。
海斗「もちろん。ほら、あそこにベンチがある」
アクア「本当だ!ありがとうございます!」
海斗「アクアは、なんで王国を飛び出してきたんだ?」
アクア「…私は、王国の王女なので、将来国を治める女王とならなければならないとお母様たちから昔から叩き込まれてきました。
ですが、私が国を治める女王なんて…無理に決まってるんです。
そのことをお父様とお母様に言ったら、『嫌でもならなくてはならないのです!』と言われました。
もう、私…大人になるのが怖くて…_」
アクアの金色の瞳から涙がポロポロこぼれ出る。
俺は焦ったが、たまたまポケットに入っていたハンカチを出してアクアの涙を拭いた。
海斗「…そうか。大変だったな」
アクア「うぅぅぅぅぅっ…」
アクアは一向に泣き止まない。
むしろ感情が高ぶって大きな声で泣きわめくばかりだ。
海斗「ほら、泣かないで。…そうだ!俺が、楽しくなる魔法を教えようか」
俺が小さい頃に泣いているとかけられていた『魔法』。
アクア「ま、魔法!?」
アクアの目は涙と光でキラキラと光っている。
海斗「せーーーのっ、ぎゅーっ」
アクア「!?」
アクアは動揺した様子だった。
俺は、アクアを強く抱きしめた。これがいわゆる『魔法』だ。
アクア「あ、こういう子供っぽいことなんですね」
はっ。
俺はつい、3歳児に対しての態度で接してしまったが、この子は14歳。
海斗「あ…ごめん…」
俺が少し照れると、
アクア「ふふふふ、海斗くんってそういうこと、する性格なんですね」
アクアが悪戯っぽく笑う。
そんなところにもあざとさが感じられる。
するとアクアは俺に飛びついてきて、俺より強く抱きしめる。
海斗「!?くっ、苦しいって」
アクア「私のこと、慰めてくださってありがとうございます」
俺の耳元に囁くと、俺の頬にそっとキスをして俺の体から降りた。
海斗「あっ、アクア!…恥ずかしいからやめろって…」
アクア「ふふふ!海斗くん!私と一緒に暮らしましょう!」
海斗「…へ?」
アクア「海斗くんといると楽しいんです。王国では楽しいことなんてほとんどなかったけど、
すごく楽しいし、面白いんです!私、海斗くんと出会えてよかった!」
海斗「アクア…」
アクアは俺の顔をつぶらな瞳でじっと見つめている。
どこか子供っぽくて、可愛らしい。
海斗「い、一緒に住むといっても…どこに?」
アクア「そう聞くと思っていました。私も魔法が使えるんです。それ!」
アクアは白くて細い手を2、3回ほど回した。
アクアの手から水色の星がキラキラと溢れ出てきた。
そしてあっという間に、小さな家が完成した。
屋根は水色の瓦でできていて、ドアは真っ青のドアだった。
俺は気づいたら口をあぼんと開けていた。
海斗「アクア、魔法使えるのか!」
アクア「はい!私の家系は代々魔法を使える能力を持っているので…」
海斗「すごいよアクア!」
俺は感動してアクアの方をブンブン揺らしてしまった。
アクア「そ、そんなにすごいことですか…?王国では家一軒を立てることなんてちっぽけなことなのですが…
嬉しいです!ありがとうございます!」