思いついたー

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1:バルー◆zo:2020/03/04(水) 23:55

ーら書く。

2:バルー◆zo:2020/03/04(水) 23:59

「何で僕は人間なのに走るのが早いの?」

「何で僕は犬なのに二つの足で走れるの?」

「何で僕は人間なのに耳が上にあるの?」

「何で僕は犬なのに鼻が利かないの?」

「何で俺は人間なのに…他の人間に嫌われるの?」



蔑みと冷やかしの目に、いつしか人の前に出る事は無くなった。
出て行く時も、パーカーで耳を隠す。これでずいぶん
生きやすくなった。家は川の流れる森の中。人は殆ど来ず、来ても
対岸で釣りをする程度。葉の影に隠れる俺には気付きもしない。

−−筈だった。−−

暑い真夏の昼、青々と茂った草木と蝉の声の中で、太陽の光で
キラキラと光る水面を眺め、ズボンの裾を折り水に浸かる。
岩魚や鯒が足元をすり抜けて泳ぐ姿が堪らなく愉快だった。

3:バルー◆zo:2020/03/05(木) 00:17

ガサガサッ

突如対岸の草が揺れ、小高い場所から落ちるように人が出てきた。
綺麗な服。きっとお偉いさんなのだろう。そう呑気に見つめていた
次の瞬間だった。そいつは顔をあげ川に浸かる俺の事を黙視した。
何か呆気に取られているようだった。そりゃあ森の中にポツリと人が
居たら驚くだろう。幸い今はフードをかぶっている。

(帰るだろうか。それともまじまじとこちらをただ観察するか。
石を投げて来ても可笑しくない。)見られてしまった以上、変に
動く事ができずその場で身構えていた。そいつは…

嬉しそうにニコッと笑い、裾を捲り、靴を脱いでこちら側へ来た。
俺だって急に来られたら焦る。

4:バルー◆zo:2020/03/05(木) 00:26

「なっ…何しに来たんだ?お前。」

睨みつけながら聞きだす。何の考えも無く来たらしく、急に
焦って「敵意は無いんだ」と手を振る。
 
『えーと…私はアレン=イクリプサ。よろしく』

アレン=イクリプサ。小さい頃から幾度か聞いた事のある名前。その存在が
今、目の前に居る事が恐怖でしか無かった。
(バレたら他の人間のように俺の容姿を笑うかもしれない。)

しかし、俺は毅然とした態度を取ろうと必死だった。

「俺は…シャーロットだ。」

強がりにしかならない強めの口調。意味も無いのに威嚇のように
鋭い視線を送る。

5:バルー◆zo:2020/03/05(木) 00:33


『シャーロットさんか。私ね〜、仕事が終わって出かけたんだけどあっつくて。
   川の音が聞こえたから来ちゃったんだ。』

「…そうか。」

どうやらあんまり俺について詮索する気は無いようだった。

「まあ、危ないからな。気をつけろよ。」

背を見せたその瞬間だった。

『こんな暑いのにフード何か被ってたら余計暑いでしょ!ホリャッ!』

喜々として思いっきりフードを脱がされた。あまりに急ですぐに抵抗
できなかった。バッチリ見られた。太陽に照らされキラキラ光る毛と、
内が綺麗にピンクの犬の耳。さすがの一国の皇子でも
怖いであろう。そう思い彼の顔を見た。

『おお〜、犬だ。』

怖がりはしなかった。それどころか、何故か関心がいったようだった。
それが余計に不愉快だった。

6:バルー◆zo:2020/03/05(木) 00:40


「やっ…やめろ!見るな!」

俺は身を引き、彼の頬をバチンと叩いた。しかし、
貴族に手を上げたという事実を瞬時にして背負った。
彼は頬をさすったまま下を向き…黙った。急に怖くなった。

「あっ、…すまない…手を…出すつもりは……」

彼は目を瞑っていた。目を合わせたく無いのか。
(どうする。このまま帰らせれば、後に何が起こるか分からない。いっそ…いや、いけない)

様々な思いがぐるぐる巡っている時、彼が急に口を開いた

7:バルー◆zo:2020/03/05(木) 00:44


『ごめん。見たりして…そりゃわざわざ隠してたんだもん。嫌だよね。』

「…」

『じゃあさ、見ないようにこのまま目を閉じてるからさ、』

「?」

『お話しよう』

「…は?」

違うだろ。自分が皇子である事を忘れたのか?何故こんな
化け物に殴られ怒らないんだ?

『アレ…もしかして声も聞いちゃダメ?』

子供のように頬を膨れさせいじける。どうあっても俺と
居たいらしい。アレ…じゃないよまったく。

「俺が嫌じゃ無いのか。気持ち悪く無いのか。」

『うん。』

何故か少しうつむき加減になった。気を使って物を言ったのか?
目を瞑ったせいで眠いのか。自分から喋らなくなった。
えらく不気味だ。しかし、すぐにその意味が分かった。


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