咲き誇れっ!☆フローラルガールズ

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1:ふたば◆r.:2020/04/10(金) 07:50

遠い遠い、どこかの場所。亜空間。
その中に、黒い球体が浮かんでいた。

球体の中はさらなる闇が広がっていて、闇の中に男が二人。
一人が何かを思いついたように、高笑いする。

「ははは!次なるターゲットが決まったぞ」

「……まだ、飽き足ら無いのですか?」

もう一人の男は、高笑いした男に少し呆れ気味だ。

「ははははははは!!まだ満足できぬわ!次なる場所は……」

呆れ気味の男は、高笑いが止まらない男にもはや止めようともせず、
彼のさらなる目的を聞き届けた。


「……なるほど。そういう事でしたら、早速向かうとしましょう」


球体は異常な加速を始め、異空間を抜けていく。


「次なるターゲットは、人間界。地球」

2:ふたば◆r.:2020/04/10(金) 07:51

ーーーその頃。


『はーい!今日は、ヒーローショーに来てくれて、どうもありがとう!
もうすぐショーが始まるから、後ちょっとだけ待っててねー!』

マイクを持つ女性が明るく挨拶をするのは、
とある地域の、大きな遊園地。
今日ここでは、子供に人気のヒーローショーが開催されようとしていた。

「まだかな!まだかな!」
「マー君!大人しくするのよー」


ショーの開始まで5分を切っている。
観客席の子供達のテンションは、もう振り切れそうなほど上がっている。

その中に、少し背の高い、一人の少女が座っていた。


「うわあぁ……もうすぐ、ヒーローショーが始まるんだ!」

目をキラキラと輝かせるその少女は、手を握り合わせながら開始の時を待っているようだ。

「千春、来たかったのよね。これ」

「うん!……でも、本当は女の子のアニメのショーがよかったなぁ」

隣に座る母親からは、千春(ちはる)と呼ばれる少女。
喜んではいるが、それは80%くらいのようである。

「10歳にもなってそんなこと言いなさんな……
始まるみたいよ」

『……では、ヒーローショーの始まりー!』

マイクを持つ女性が一旦引いた、その瞬間だった。


どおおおおおおん!

大きな爆発が、ステージを襲う。


「何だ!何が起きたんだ!」

「見て、ステージの上に誰かいるわ!」


煙が晴れるステージを、観客が凝視すると、
そこには大柄な男が立っていた。

「おー?ここが地球って所か!なんとも壊し甲斐のある星だなぁ!
じゃあ早速、出てこい!クラッシャー!」


ステージの演出……誰もがそう思っている中で、
大柄な男は何も無い場所へ、謎の生物を呼び出した。


「ぎゅううううううん!」

二本足で立ってはいるが、メカのような金属調のボディ。
両腕に高速回転するドリルを身につけており、
歪んだ顔まで見るとそれは、最早人間ではなかった。


クラッシャーと呼ばれた怪物は、ドリルを突き立ててステージを破片へと変えていく。

「な、あれ、本物か!?逃げろおおおおおお!」

一瞬でステージの形を変化させてしまった怪物を見て、
恐怖に駆られた人々は一斉に逃げ出した。

3:ふたば◆r.:2020/04/10(金) 07:52

「えっ、な、なに?なにが起きてるの!?」

混乱に飲み込まれる千春。
人混みに流され始めた時、母親の手からも外れてしまった。

「うわああああ……」

波に流されるように、飲まれていく。
どうにか、出ないと。
そう思った千春は、なんとか人混み波を潜り抜け、外へ出た。

「ふう、出て来れた……え、あれ……」

誰もいなくなったヒーローショーの会場。
そこに自分よりも小さな子供が蹲み込んでいた。


「ママ……どこ?」
「あの子!そんな!」
千春は察した。逃げ遅れたと。
そして、さらなる問題が発生した。


「おーう!ガキ一人が残ってるじゃねえか」

「あ……」

見つかった。ステージを破壊した二人組に、
子供が見つかった。

「行くぞクラッシャー!あのガキも壊せば、
人々はもっと不幸になるに違いない!」

「ぎゅううううううん!」

二人組が、小さな命に迫る。


「壊す?壊すって、あの子を……?だ、ダメ!」

千春は思わず、駆け出していた。
なぜ?子供を助けるため?

自分になにができるかも、わからないのに……?


「お、おねえちゃん……?」

「大丈夫、心配しないで。お母さん、すぐ会えるからね!」

子供を抱きかかえた、その時だった。

「あー!まだガキがいたのか!クラッシャー、二人まとめて壊しちまえ!」

「どぎゅうううう!」

同じタイミングで、二人組が距離を詰めてきた。
千春のことも認識して、ドリルの怪物が襲ってくる。

「っ……この子だけはッ……!」

子供を抱き抱えた千春は、ドリルアームに背中を向けて、
腕の中の小さな命だけでも守ろうとした。

しかし、このままでは自分がドリルに刺されてしまうだろう。

血が出る?痛い?きっともっと辛い。
一瞬の間に、いろいろなことを考えていたが……それももう、終わった。


……終わったと、千春は思っていた。


「うわっ!……なんだ?今の光!」

「えっ……?」

後ろがざわめき始めたので、恐る恐る振り向く千春。
すると目の前には、桜の羽を生やしたさらなる謎の生物が怪物に立ち塞がっている。


「……この場を切り抜けるには、あなたのその勇気が必要なの!
レイズブレスレットをあげるから、変身して!」

「わ、私?というか、えっ?」

いつの間にか、千春の右腕には大きめのブレスレットがつけられていた。
謎の桜生物は自分の姿をメダルに変えると、
ブレスレットの穴に入り込む。

「わ、わああああああ!」

ブレスレットから放たれる眩い光に、
千春は包まれていった。

4:ふたば◆r.:2020/04/10(金) 07:52

……光が止んだその瞬間、
破壊され尽くした会場の中に、桜の花びらが吹雪く。

「あ……?……あ!?」

花びらの発生源に、大柄な男は驚きを隠せない。
なぜなら、そこに立っていたのは。


「これ、私なの……?すごい、変身しちゃってる!」

先ほどまでターゲットにしていた、無謀でか弱い少女であったからだ。それがほんの少ししかわからないほど、見た目が変貌していた。

長く伸びた髪。ピンクと白のドレス。神々しい雰囲気。
先ほどとは、ほぼ別人であった。

「力がみなぎって、今ならなんでもできそうだよ!
えっと、どうしたらいいの?」

『何でもいいわ!とにかくあのドリル怪人を倒すのよ!』

「わかった!やってみる!」

頭の中に響く声と会話をしながら、子供を一旦そばに置いた千春は、
ドリルの怪物へ拳を向けて飛びかかった。


「ぎゅうううう……う!?」

怪物は、分厚く硬い装甲でパンチを受け流す筈だった。しかし、ダメだった。

「なっ!」

パンチが命中し、怪人が吹っ飛ばされると同時に、
大量の桜が渦巻く。

男は、それに目を奪われていたのではない。
ただの人間が、なぜここまで怪物にダメージを与えるのか。
今戦えば、自分も無事では済まない……そう思った。


「ふっ、はあっ!」

千春は、 人間離れした反射神経で……
打ち込まれるドリルアームを全て回避する。


「やああっ!」

隙ができたところに、無駄のないフォームと強い気合で
後ろ回し蹴りを浴びせた。

桜が舞い、怪物は地面に倒れ込んだ。

『さあ!ブレスレットのボタンを押して必殺技を決めて!』

「うん!」

千春は、頭の中から話しかけてくる謎の生物の指示を受け、

「ボタン……これかな!」

メダルの挿入口の逆に、一枚の花びらを模したボタンがついている。それをグッと押し込む。


「行くよ!……サクラ・ブルーミングストーム!」

ブレスレットから放たれる光が、怪物をロックオンして離さない。

「はあああああ!」

空いた左手から、とてつもない量の花吹雪が放たれた。

「どり、どり、ドリル……」

意外と静かな断末魔をあげて、花吹雪に包まれながらドリル怪人は消えた。


「厄介なガキだ。ナニモンだあいつは……」

生き残った大柄な男は、いつの間にか姿を消す。
消えるその瞬間に見せた表情は、疑問に打ちひしがれている目をしていた……。


「はー……あ。今の、私がやったの?」

変身を解いた千春は、謎の桜生物に疑問をぶつける。

「そう!あたしは妖精。名前はチェリーって言うの。
あなたには、とてつもないパワーを与えちゃったんだけど……
それで、地球を救って欲しいの!」

「ん、地球を、すくう……え?

……ええええええ!?」


チェリーと名乗る妖精から発せられた言葉は、
千春を驚かせるには十分すぎるものであった。

5:雪りんご◆:2020/04/14(火) 17:31

面白いですね!
魔法少女ものですか?


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