ノンフィクション小説を描きます。
私の経験などをもとにした小説です。
感想待ってます!
ー神様。もしも、生まれ変わりがあるのなら
優しいお母さんと優しいお父さんに恵まれた、幸せな人生を
歩めるようにしてください。
私は、今日もお母さんに「死,ね」と言われた。
何もしてないのに。……いや、厳密に言えば、お皿を割って
しまっただけなのに。勿論わざとじゃない。それなのに………
私は自分の部屋に駆け込んだ。声も上げずに、泣いた。
苦しくて、悲しくて、憎らしくて仕方がなかった。
実の娘に平気でそんなことを言える親が。
こんな親の元に生まれた、自分の運命が。
そして、こんな運命を産んだ、神様が。
どうして、子供は親を選べないのだろう。
もしも親を選べるならば、もっと趣味に理解があって、賢くて、
何より、優しい親を選んだのに。
もう少しだけ、私の趣味に理解を示してくれたなら。
もっと私の気持ちに、心に、寄り添ってくれたなら。
いじめられた時、「あんたより辛い人はいっぱいいる」なんて
言わずに、「辛かったね、大丈夫だよ」って頭を撫でて
くれたなら。約束を守ってくれたなら。母親は、いつも
私との約束を平気で破る。そんな経験から、私は
約束を破る人間を物凄く嫌いになった。
そこまで考えて、はぁと大きな溜め息をついた。
「無い物ねだり」という言葉が頭に浮かんだ。
私の癖だ。無い物ねだりをして、虚しくなって、また涙を
流してしまう。憂鬱だ。「親 嫌い」で検索をしたこともある。
親が嫌い。真実だ。でも。そんなことを考えてしまう自分が
一番大嫌い。
ーこんな人生、いつまで続くのだろう。
いつまでメソメソ泣いていなきゃいけないのだろう。
明日、朝起きたらパッと人生が変わっていたら良いのに。
毎日そんなことを考えて、眠りにつく。でも、そんなこと
起きっこない。現実って何にも良いことない。
鬱で、どうしようもなくやる気も起きなくて。
苦しくて、もどかしくて、嫌で。
そんな時に観た映画が『アラジン』だった。
アラジンに憧れた。盗みを働かないと生きていけないくらい
貧しい環境にありながら、世界を憎んだり、自分の人生を
悲観したりせず、「いつまでもこのままじゃない」
「いつかこんな暮らしを変えてみせる」という野望まで
抱いており、無邪気な笑顔が眩しい彼。
私もアラジンのようになりたいと思った。その瞬間から
私はアラジンを好きになった。私もアラジンのように
強い想いと野望を抱ける人間になりたいと思った。
ーそう思っていた矢先。またいじめられた。
理科で、同じ班になった女子二人。彼女達は実験の
道具を私一人だけに持ってこさせて、記録係として
ひたすらに記録をさせ、その癖、実験の様子を隠したり
する。アラジンの筆箱を持っていたら、
「アラジンとかダサww」「きもw」と言ってくる。
大好きなアラジンを否定されて、自分まで否定されたような
気分になった。泣きたくても学校だから泣けなかった。
死んでくれたら良いのに。キモい。いなくなれ。
学校来んな。ウザい。
たたみかけるような暴言の嵐。極み付けはー
『ちょっと頭良いからって調子のんな』
可愛くない。性格良い訳でもない。そんな私が学校で
上手くやっていく為には。勉強しかなかった。
それなのに。発表すればするほど、クラスからどんどん
浮いていった。友達なんて一人もいない。
どうして?どうして誰も、私の手を取ってくれないの?
調子になんか、乗っていない。謂れのないことを
言われて、叩かれて。孤立して。
苦しくて、悲しくて、人を恨み、憎むだけの人生。
神様なんて、いない。いつからか、そう思うように
なっていった。いじめられていくのと比例するようにして
私は、笑顔が苦手になった。笑う、という何でもない
行為が、ぎこちなくなっていった。ちょっと久しぶりに
笑ったりすると、表情筋が痛くなることさえある。
そう。アイツらが私から笑顔を奪ったのだ。
学校はおろか、家にすら居場所がない。
何十回、何百回、死にたい、消えたいと思ったことか。
死んだら楽になれるんじゃないか、なんて考えてしまう
自分が嫌いで、どうしようもなくて。
いつかこんな人生が変わる……そんな夢物語を心に
想い描いて。涙を流すのだ。
私は、寂しさを埋めるかの如く、小学三年生から
ネットを始めた。私と同じ思いを抱く人、趣味が似ている人。
たくさんいた。私はそれらの存在に勇気づけられた。
やっと、居場所を見つけた。そう感じた。
私がスマホを持っていなくて良かったこと。
それは。ネット依存にならないことだ。私がスマホを
持っていたら、ネット依存症になっていただろう。
**
そんな日々を送っていた、小学四年生の冬。
私に、生まれて初めての友達……親友が出来た。
まるで姉妹のように趣味も性格も似ていた。毎日のように
一緒に遊んだ。私が感じたことのない感情が沸いた。
名前は、仮に亜依としよう。亜依の他に、友達も出来た。
毎日が薔薇色で、世界が輝いてみえた。
亜依と出会ってから、世界の全てが違って見えた。
ー小学五年生までは。
小学五年生、私は亜依と同じ部活に入り、部活動に真剣に
取り組み、遊び、楽しい日々を過ごした。
もう涙を流したり、苦しい思いもしなくなった。
初めて、神様の存在を信じた。
だけど………
「私、転校するんだ。でも、転校してもずっと友達だよ!」
初めて出来た親友と呼べる存在から告げられた
ショッキングな言葉。私は目の前が真っ白になるのを
感じた。その日、私は久しぶりに泣いた。
本当に、亜依は引っ越してしまった。
お別れ会の日。私は泣けなかった。実感が沸かなくて。
亜依がいなくなっちゃうだなんて、信じたくもなかった。
そう思うと、泣けなかった。みんな泣いていたのに。
いつもは、どうしようもないことで、簡単にメソメソ
泣けちゃう癖に。号泣しているクラスメイト。その横で
私だけ、無表情のまま、突っ立っていた。
**
小学六年生。本当に、今日から亜依はいないのだろうか。
学校に着くまで、信じられなかった。
だけど、学校に着いて、それが真実だと分かった。
もう亜依がいない。いじめられた時、庇ってくれたのは
亜依だけだった。
「アルちゃんをいじめないで!どうしてそんなことするの?」
「私もアイツ、嫌いだよ。酷いよね」
「ずっと親友だよ!」
「アルちゃんに出会えて良かった‼️」
そう言ってくれたのは、この世界で亜依だけだった。
亜依になら、何でも話せた。
本音を言えた。必死で自分を取り繕うこともなかった。
その、亜依が、いない。もう簡単には会えない。
喪失感と虚しさに駈られつつ、私は亜依以外の友達と
遊ぶようになった。亜依の代わりが欲しかったのかもしれない。
寂しさを埋めたかったのかもしれない。
だけど。
その友達に、いじめられた。
「亜依のいないあんたに、何の価値もない」
そう言われた。それから、私は拒食症になった。
ご飯を食べることさえ、ままならない日々。
それでも、親には必死で隠した。迷惑をかけたくなかったから。
学校の帰り道、家で泣けない分、泣いた。
帰りたくなかった。学校にも行きたくないと思った。
悲しみに憎しみ、そのままの気持ちを全部表現出来ていて凄いと思います。
…全ての気持ちをそのままを表現するのは、なかなか難しい事だと思います。これからも、頑張って下さい!
返事遅れて、本当にすみません😣💦⤵️
>>14
そう言っていただき、光栄です!
わざわざ、本当にありがとうございます!励みになります!
ーいじめのリーダーは、亜依がいた頃、私と、亜依と
三人とで、遊んでいた『友達』だった。名前は、美亜。
美亜は、明るくてちょっとお馬鹿な所も憎めない、クラスの
中心にいるような子だった。最初の方は、美亜と私の
二人でよく遊んでいた。だけど、突然、何の前触れもなく
いじめてくるようになったのだ。……いや、前触れは無いとは
言いきれないかもしれない。遊ぶ約束をしていたのに、
美亜はその約束を破った。私は、以前言ったように
約束を破る人間が大嫌いだ。母親がそういう人間だからである。
そのため、私は美亜に約束を守らなかった訳を聞いた。
するとー
「は?約束なんか、してないし」
美亜は驚くべき言葉を、私に返してきた。は?と言いたいのは
こちらの方だ。それでも私は負けなかった。
「意味分かんない!遊ぼうって、言ったじゃん!?」
それでも、美亜は肩をすくめるだけだ。私はもうこれ以上
話すことは出来ないと思ったのと、怒りの感情に身を任せて
その場から逃げ出した。
その翌日から、私はいじめを受けた。
異変を感じたのは朝のことだった。
話しかけても返事がなかった。その代わりに
中指を立てられたのだった。私は目の前が真っ白に
なるのを覚えた。どうして………?何がどうなってるの?
友達って、言ったじゃん。それは嘘?
色々な感情が、私の胸を渦巻く。吐きたくなった。
そんな想いのまま、一時間目の授業が始まった。
私は授業に集中出来ずにいた。その時。美亜が消しゴムを
わざとらしく落とした。拾っている振りをしながら
私の方を振り返り、中指を立てた。唖然とする私の
顔を見ながら、邪悪な笑みを浮かべた。
ー美亜はもはや、私と友達だった頃の、いや、亜依が
いた頃の美亜ではなくなっていた。
邪悪な笑みを浮かべる美亜から、自身の机へと、私は
視線を戻した。それから、ほどなくし、休み時間に
突入した。私の席の近くの窓際に、美亜が立っている。
美亜と視線が合い、私はしまったと思った。
「アルって、ウザいよね〜」
私の悪口だ。意地の悪い、彼女の友達と、話していたのだ。
だが、言っているのはほぼ美亜だ。
「死んでくれれば良いのに。マジで」
私は泣きたくなった。どうして、どうして?
どうして、そんなことを言うの……?
トイレに駆け込み、私は声を上げることもせず、泣いた。
苦しい。息が、苦しい。私は、私って、何で………
何で生きているのだろう。
私が戻ると、まだ美亜は窓際にいた。
はぁ、と露骨に溜め息をついてしまうのだ。
そして、また口を開いた。
「地獄に落ちろ」
「誰かがころしてくれれば良いのに」
その瞬間、私の中の何かが壊れたような気がした。
私は二時間目の授業の準備をする。国語なら、私の
得意分野だ。
チャイムが鳴り、美亜はやっと戻る。
私は胸を撫で下ろした。
ー二時間目の授業は、私の得意な科目の国語だった。
よし、頑張ろう!見返してやる、という気持ちにも
なった。私は、手を上げて発表した。
「正解!いつもながら、凄いね」
感心したように先生が言った。私は、今日初めて
自分を誇りに思うことが出来たのだった。
美亜が、睨むようにこっちを見ているのに、気付いた。
私はあえて、気付いていない振りをした。
休み時間。またも美亜は、窓際に立っていた。
私は気を紛らわすために趣味であるイラストを描く。
大好きな漫画やアニメのヒロインを描いていると
心が落ち着いた。その時。また美亜が口を開いた。
「ちょっと頭が良いくらいで、調子のんな。ぶす」
……何言ってるの?ぶすだから勉強を頑張るんじゃん。
何もない、性格が良い訳でもない、そういう人間には
勉強しかない。可愛ければ、ちやほやされる。だけど
私は、違う。だから、勉強をするのだ。
ーー私の、血の滲むような努力を、知らない癖に。
私は苛立ちと悲しみを感じながら、自由帳を閉じて
トイレに向かった。
トイレから戻ると、そこには衝撃的な光景が
広がっていた。
私の自由帳がぐちゃぐちゃになっていた。
自由帳の表紙には、足跡がついており、踏まれた痕跡が
ある。中を開くと破られていたり、描いた絵の上から
マジックで落書きがされていた。「下手」の文字もある。
私は泣きたくなった。しんどくて、辛くて、悲しくて、
そこから消えたくなった。
自分の席に座る美亜はクスクス笑っていた。
私は苛立ちに任せて、美亜に問う。
「私の自由帳、こんなにしたの、美亜でしょ!!?
ねぇ、どうしてこんなことするの……?」
美亜は、私が話しかけると、凄みの効いた睨みを
かましてきた。ーやっぱり亜依がいた頃の美亜じゃない。
『あの頃』を思い出して、少しだけ悲しい感情が
沸いたが美亜の言葉に、その感情は消え去った。
「あんたの絵がキモかったからに、決まってんじゃん」
ー私は絵を描くことすら、許されない。
そう言いたいの?でも、どうして……?
だって、だってーーー
「友達だって、言ったじゃん……」
消え入りそうなか細い声で、気付いたら、私は
そんなことを口走ってしまっていた。
「は?そんなの、亜依がいたからに決まってるでしょ?」
それから、私が拒食症になるきっかけとなった言葉を
言い放った。
「亜依のいないあんたに、何の価値もない。そんなことも
分からないの?」
そっか。亜依のいない私には、何の価値もないんだ。
じゃあ、私は、何で生きてるの?
何の為に、この世に産まれてきたの?
その日、私は、泣きながら帰り道を歩いた。
お腹痛い。頭の中で、美亜の言葉が離れない。
「亜依のいないあんたに、何の価値もない」
美亜は私の隣に亜依がいたから、私と仲良くしていた。
そういうこと?友達って言ったのは、嘘?
友達。友達の定義って、何なのだろうか。
亜依のいない私に価値はない。ならば。私には何の価値があるの。
死にたいなぁ。誰もいない世界に行きたい。
ー神様。もしも生まれ変わりがあるのなら…私を、
この私を、美人で、明るくて、誰からも好かれて、
友達が多くて、幸せいっぱいな、そんな人にして下さい。
そう、いる筈もない神様に祈りを捧げ、また涙を流す。
私は慌てて、目を擦った。お母さんにはバレないように
しなきゃ。いじめられてるだなんて、口が裂けても
言える訳がない。
重い足取りで家に帰ると、小さく「ただいま」と呟く。
私はまっすぐ部屋に向かった。部屋の天上を眺めていると
ふと、首吊り自殺している自分の姿が浮かんできた。
もしも、本当に『そうして』しまったらどうなるんだろう。
葬式には誰も来ないのが良いな。そもそも、葬式すら
要らない。墓には「無」と書いてもらいたいな。
もしも、死んだとしたら。私の人生って、本当に
何もなかった。人に迷惑をかけて、他人を恨んで
憎んで、悲しくなって、明日になったら何か変わって
ほしい……そう思って、何一つ変わらなくて
虚しいだけの、人生だった。
私は、「お風呂沸いたよ」というお母さんの声で
現実に引き戻された。そんな風に考えたら駄目。
中学生になったら、亜依とデ/ィ/ズ/ニ/ー行くんでしょ。
耐えろ。耐えろ。耐えるんだ。
お風呂の中で、そう自分に言い聞かせた。
それでも、美亜の言葉がまたも頭を反芻する。
「亜依のいないあんたに、何の価値もない」
また私は泣いた。辛くて辛くて、堪らなかった。
お風呂からあがると、ご飯の時間だ。
私の好きなおかず、唐揚げが食卓に並んだ。
ご飯は、私の好きなワカメご飯になったいた。
「今日、凄いね。ご馳走だ、私の好きなのばっかり」
出来るだけ明るく、お母さんに話しかけた。
お母さんは、笑顔で私の肩に手を置き、言った。
「亜依ちゃんがいなくても、アルが、学校、頑張れる
ようにね。今日だけ、特別だからね?」
私は、母にお礼の言葉を告げながら、唐揚げを口に運んだ。
いつもと同じ、お母さんの味。美味しい。
それなのに……食べたくなかった。吐きたかった。
お腹痛い。チクチクとした痛みが私を襲う。
これ以上食べられない……そう思った。
どうしよう。すると、また美亜のあの言葉が
脳裏に浮かんだ。
「亜依のいないあんたに、何の価値もない」
私は、また吐きたくなった。ほぼ、食べられていない。
だけど。
「ごちそうさま」
そう言って、私は席を立つ。お母さんが訝しげに
私を見る。
「全部残してるじゃん!」
「お腹痛くて、食べられないの」
それだけ言って、私は自分の部屋に向かった。
部屋に着くと、私はすぐにベッドに突っ伏して
また泣いた。まるで亡霊のように、美亜の言葉が
私の頭にまとわりついてくる。苦しいのに、避けられない。
「亜依のいないあんたに、何の価値もない」
思えば美亜は、最初から私のことなど見ていなかった。
ー亜依が引っ越してきてすぐの頃、美亜は亜依に
積極的に話しかけ、亜依と仲良くなった。
毎日二人で遊んでいたのを、私は遠くから眺めて
いたので知っていた。それから、四年生の終わり頃に
私と亜依が仲良くなるまで、亜依の一番は美亜だった。
……そう。新参者は、私の方だった。
美亜が私を恨むのも、分からなくもないような気がする。
私の方が新参者だったのに、あの時……四年の終わり、
亜依と席が隣になった時、お互いの筆箱を褒めたのが
きっかけで、話すようになった。それで、趣味も
性格も、まるで姉妹のように似ていることが分かってからは
更に仲良くなり、休み時間の度に遊んでいた。
約束をしていたこともあり、席を立ち、グラウンドに
遊びに行こうとしていた私と亜依の前に、美亜が現れた。
「ねぇ、亜依!遊ぼう‼️」
強引に迫り、早口でそう、亜依に話しかけた美亜に
戸惑う表情を私に向ける亜依。慌てて、二人で
座り直す。私達、二人目を見合わせた。
美亜はいきなりどうしたのだろう。
今からグラウンドに向かおうとしていたのに。
「え、えっと……今から遊ぶつもりなんだけど…」
亜依が躊躇いがちに、美亜に言った。
断るのが苦手なだけあり、言葉をゆっくりと選びながら
遠慮がちな口調になっていた。そんな亜依を見守るように
見つめつつ、私は美亜を不思議に思っていた。
ーと。美亜が怒りを含んだ声で、こう言ったのだ。
「アルちゃんとばっか遊んでんじゃん。たまには、私とも
遊んでよ!」
亜依は美亜のその勢いに少し驚いているようだった。
意見が苦手な亜依に、これ以上何か言わせる訳には
いかない。そう思った私は、初めて口を開いた。
「ごめんね、美亜。でも、聞いてたでしょ?
私と亜依は今日、遊ぶって約束をしてるの」
私がそう言っても、美亜は引き下がらない。
「でも、たまにはー」
私は美亜の言葉を、最後まで言わせなかった。
「何度も言ってるでしょ!!?私と亜依は、約束してるの‼️
それとも、何?約束を破れとでも?!」
『約束』という言葉に、敏感になる。
私は、約束を破る人間が大嫌いだ。そして、
自分が『約束を破る』という行為をするなんて
もっての他だ。私は亜依の手を取り、もう一度
立ち上がる。
「亜依、行くよ!休み時間、終わっちゃう!」
亜依は美亜の方を気にして見ていたが、約束の方が
大切と思ったのだろう。私の手を握り返し、昨日読んだ
漫画の話しをしつつ、グラウンドに向かった。
**
ー美亜は、そんな私の行いを良く思っていなかったのかも
しれない。「亜依を取られた」とさえ考えていたのかも……
でも、もしそう思っていたとしても。
「こんなのって、酷すぎるでしょ…」
私は天上に向かって、ポツリと呟いた。
「転校したのが亜依じゃなくて、美亜だったら
良かったのに」
私はまた呟いた。もしも、転校したのが亜依じゃなくて
美亜だったら。私はこんな想いをしなくて済んだのに。
ー亜依と出会って、親友になって、やっと幸せだと
感じることが出来たのに。亜依の前でなら、本音も言えて、
心から笑えたのに。それなのに………
ーやっぱり、神様なんていない。幸せだと思っても
それは束の間の幸せ。結局、こうやって全てが
崩れさり、涙を流す毎日に戻るのだ。
人を羨んで、恨んで、運命を、神様を、全てを
憎んで、何も変わらなくて。それが私の人生。
『私は幸せになってはいけない』
そう言われているような、気持ちになった。
また私の頬を、涙が伝う。
「あい……亜依、寂しいよぉ…………」
か細い声で、私は呟いていた。瞳から溢れるその涙は
止まることを知らない。人肌に触れたい、寂しい、という
感情が湧いてきた。誰かに認められたかった。
愛されたかった。
ーどうして私を誰も愛してはくれないの?
勉強だって頑張ってる。美亜とだって、仲良くやれていると
思っていたのに。どうして?
ー私は気付いたら、眠ってしまっていた。
目が覚めると、朝だった。あの時、泣きながら
いつの間にか寝てしまったのだろう。
そういえば、歯磨きをしないで寝たの、初めてだ。
そんなどうでも良いことを思いながら私は下へ降りた。
親に挨拶をする前に、まず洗面所へ向かい、顔を洗い、
歯を磨く。それが済むと、ようやくリビングへ向かった。
「……おはよ」
小さな声で、母親に声をかける。母親は私に気付くと
近寄り、心配そうに言った。
「昨日大丈夫?一度も下に降りて来なかったけど……
あ、それと、お腹は?もう平気?ご飯、作っちゃったん
だけど……」
「ごめん、無理そう。まだ、痛い」
そう言って、私はまた上に上がる。母親は、何か
言いたげだった。私は先回りして何か母親が口を開く
前に、こちらから喋る。
「大丈夫。ちゃんと学校には、行く」
『この人』が気にしていることは、分かっている。
どうせ私が学校に行くかどうかが気になっているのだ。
ーそう。私の体調が心配な訳じゃない。
私が学校に行かないで、家にいるとなると、母親は
何か都合が悪いようだった。だから、私が具合を悪そうに
している時は、学校に行くかどうかを気にする。
別にもう、慣れた。誰も私の心配など、してくれない。
それが当たり前だから、私ももう、諦めてしまった。
だんだんと文章の書き方が上手くなっている様に感じます。
どんなに辛い現実でも、諦めないで頑張っている姿に感動しました。これからも頑張ってください。(←語彙力)
美亜ムカつくー!
どうか救われてくれるといいな
>>29
ゆかりさん、嬉しいお言葉ありがとうございます!!!
これからも頑張ります!
>>30
みぃちゃん、見てくれてありがとう😉👍🎶
これからどうなるか、見ててね!
私は大きな溜め息をつきながら、自室に戻った。
自室のクローゼットを開け、どの服を着ようかと、その中を
覗くと綺麗な淡い水色のワンピースが目についた。
ーこの服って………
私はまた、亜依との大切な思い出を思い出した。
**
親と遠出してデパートに買い物に出掛けて、洋服売り場で
綺麗な淡い水色のワンピースが目についた。凄く綺麗で
私はうっとりと見入ってしまった。
そんな私の視線に気がついて、親が買ってくれた
このワンピース。私は嬉しくて、そして亜依と、この
喜びを分かち合いたくて、その週末が終わるとすぐに
学校に新しく買ったワンピースを着てきた。
それを見た亜依が、
「アルちゃん、可愛いワンピース着てるね!綺麗な色……
アルちゃんに凄く似合ってるよ‼️」
と、褒めてくれたのだ。その思い出のワンピースを
再び学校に着ていけば気分が少し明るくなると思った。
私は久しぶりに明るい気持ちで、学校へ向かった。
ふわふわ、軽い足取りで歩くとすぐに校舎が見えた。
下駄箱で上履きに履き替えて、教室へと続く階段を上る。
どんどん教室に近付くにつれて心臓の鼓動が速くなる。
ドクドクと緊張と恐怖により、高鳴る心臓の音が煩い。
ー大丈夫。落ち着くんだ。深呼吸をすると、教室に
入る。美亜と目を合わせないよう、気を付けながら
自分の席についた。
ランドセルから荷物を取り出したり、準備をしていると
美亜が席から離れ、まるでルーティーンのように窓際に
立った。おまけにあの美亜の悪友も一緒だ。
ードクン。心臓が跳ねる。また何か言われる
のではないかという恐怖。金縛りにあっているかのように
私は動けなくなった。そして、また昨日の美亜の
あの言葉がフラッシュバックした。
「亜依のいないあんたに、何の価値もない」
今日は言われませんように。そう願いながら一度
目を閉じる。
ーすると。美亜が口を開いた。
「ねぇ、見て。あいつの髪、茶色くなーい?
もしかして、染めてんの?ヤバ〜っ」
ーそう。私は生まれつき、髪が少し茶色いのだ。
美亜もハーフで、生まれつき金髪なのだ。だから
染めている訳ではないことくらい、美亜なら分かる
はずなのに。私は少し、チクリと胸が痛んだ。
私が下を向いて、俯いていると、美亜がこちらに
近付いてきた。その手には何か持っている?
「ウソ、あれ、はさみ?」
私は心の中でそう呟いた。はさみで一体何をする
つもりなの?思わず恐怖で体が震えた。
ついに私の席の真後ろまできた。
怖くて振り向くことすら出来ない。怖い。ただ、その
感情だけが私の心を渦巻いた。
「ヤッホー、アル。ねぇ、今から良いことしてあげる」
良いこと……?仲が良かった頃ならまだしも、今の
美亜に『良いこと』だなんて言われても素直に
喜べない。
「あんたのその髪、切ってあげるの。ぶすの癖に
髪なんか染めて、調子乗ってるから」
「嫌!止めて……ずっと伸ばしてる大事な髪なの‼️」
私は勇気を振り絞り、美亜に訴えた。
だが、美亜は私の訴えを無視し、ついに私の髪に
手を触れた。そして。
ージョキッ。
綺麗に揃えていた毛先が、不恰好で不揃いで毛先へと
変わってしまった。綺麗に揃っていて、長く伸びた
この髪は、私の数少ない自慢だったのに。
思わず泣きそうになる。
「アハハハッ!ガッタガタ〜。だっさっ!でも、そっちのが
あんたにはお似合いだよ!」
ー普通に酷いな、そう思った。落ち込む私に、さらに
畳みかけるようにこんなことを言ってきたのだ。
「あーあ。可愛いワンピースが台無しだねー。
あんたの髪の毛で汚れちゃってさー?ぶすがお洒落なんか
するからいけないんだよ」
「……亜依が褒めてくれた思い出のワンピースだったのにっ……!」
私は思わずそう呟いた。折角、気分を上げようと、この
ワンピースを着てきたのに。
何もかも無駄だ。そう思った。
そのすぐ後、担任のすず先生が教室に入ってきた。
美亜は急いで自席に戻る。私の気分は最悪だった。
窓の外をぽけっと見つめながら、亜依のことを
考えていた。ー今、亜依はどうしてるだろう。
亜依も朝の学活の時間なんだろうか。もしかしたら
同じ空を見つめているかも…………そんな風に、亜依の
ことを考えていたら、少しは気分が落ち着いてくる。
でも。自慢の髪はボロボロ、思い出のワンピースは
美亜により、無惨にも切られてしまった私の髪が
こびりついている。私はまた溜め息をついた。
ーそうしている内、朝の学活は終わり、もうすぐ
一時間目が始まる。一時間目の授業は理科である。
理科の道具を準備して、理科室へ向かう。
うちの小学校は、まるで中学校のように理科担当の
先生がおり、その先生の授業を受ける。
私は理科室に着くと、席に座る。
美亜は私の前の班だ。ジロジロこちらを見ている。
チャイムが鳴り、理科の授業が始まった。
ボーッと授業を受けていると、消しゴムを床に
落としてしまった。拾おうと私は席を立った。
すると、美亜も一緒に席を立つ。
ーえ?何?また何かされるのかと、恐怖に駆られた。
美亜は真っ直ぐに私の方へ近付いたくる。
ードカッ。美亜は私を蹴り飛ばした。
痛い。蹴られた場所がじわじわと痛む。
でもまだ希望はあった。理科担当の先生は私も
信頼している伊東先生だ。伊東先生なら助けてくれるはず。
そう思い、私は伊東先生にアイコンタクトを送った。
ーだが。目を反らされた。見捨てられたのだ。
信頼を置いていた伊東先生も、私を助けては
くれなかった。私に味方はいない。
ドカッ。ドカッ。
無表情でまた私を蹴り飛ばした。
痛いよ………。誰か、お願い…
「た、助けて……誰、か……」
私は思わず呟いた。すると、美亜は誰にも聞こえないよう
小声で私にこう言った。
「はーい。残念でした、誰もあんたを助けないよ」
美亜はクスクス笑っている。私は美亜を見つめて
いたくなくて、周りに目をやった。
私を哀れむように見ている人、ひそひそ囁き合う人、
『もっとやれ』と言わんばかりに笑いながら見ている
男子達、色々な人が見えた。だけど。
誰も私を助けようとしてくれる人は一人として
いなかった。分かってた。私に味方はいないだなんてこと。
とっくに分かってたはずなのに。
やっぱり、悲しくて涙が流れてきた。
「おっ、お願い………や、止めてよ……………」
私はか細い声で美亜に訴えたが、美亜はクスクス
笑うだけだった。
髪切るのって一番やばくない…?🦰✂
訴えれるらしいけど(ぼそっ
ちなみに私は毎日嫌なことされたら、帰ってから訴えれるか調べてます😊📱✨
>>37
確かに。あの時は、本当に泣くかと思った😭
あー調べるのは分かるかも。ちょっと。
私は耐えきれなくて、その場にしゃがみこんで
しまった。美亜の顔と、私を助けてはくれなかった
伊東先生の顔を見ていたら涙が零れてきた。
高学年になって初めて、学校で、泣いた。
その時やっと、伊東先生が口を開いた。
「ー授業中だぞ。座りなさい!」
それだけ?私はそう思ってしまった。
私は蹴られたのに。そして今、泣いているのに。
どうして………?どうして誰も私を助けてくれないの?
どうして誰も私の手を取ってはくれないの?
また涙が出てきた。
「泣いちゃってさー。だっさ」
そう言って、美亜は席に座った。
私は痛みを堪えながら先生に近付いた。
「ーーせん、せい……」
「ん?」
伊東先生は表情すら変えなかった。
「………お腹、痛いので保健室行って来ても良いですか……?」
「…ああ」
私は痛みを感じながら、逃げるように理科室を出た。
保健室に向かいながらも、私の涙は引っ込むことは
なかった。胸が苦しい。とぼとぼと歩いている内に
いつの間にか保健室の前まで来ていた。
私は慌てて目をゴシゴシ擦り、涙を押し殺した。
保健室のドアを開けて、小さく保健室の先生に
挨拶をする。大きな声で挨拶出来る程の元気はなかった。
「……失礼します」
保健の中内先生がこちらをふりかえる。
私が小学2年生の時からいる、私をよく知る先生の
一人である。女性らしいふくよかな身体つきを
していて、大人の魅力をたたえている中内先生。
何となくお母さんって感じだな。そう思う。
「ーいらっしゃい」
ニコ、と優しく微笑む中内先生の顔を見ていると
少しだけ落ち着いてきた。
その場に棒立ちをしている私を眺めた後、中内先生は
また口を開いた。
「今日はどうしたの?どこが痛いの?」
ーそうだ。今、中内先生に真実を告げれば良いんだ。
そうすれば、私は、地獄から解放される。
もういじめられることもない。
「美亜に蹴られたお腹が痛いです」
一言、そういうだけで、私の日常は、平和に戻る。
言え。言うんだ。中内先生に。
今がとっておきのチャンス!もう、こんなチャンスは
二度と巡っては来ないだろう。
「あ……」
私の口から、音が漏れた。
言え。言え!
「どうしたの?」
中内先生が心配そうにこちらを見た。
早く、言うんだ。
「…………あ、おっ、お……なか、が、痛むんです」
ー私は本当のことを、中内先生に告げることが
出来なかった。友達だと信じていた美亜にいじめを
受け、信頼を寄せていた伊東先生にも、見捨てられた私は
中内先生にまでも裏切られたら……と考え、本音を言う
ことが出来なかったのだ。
「大丈夫?一時間ここで寝てる?」
中内先生が、そう持ちかけてくれた。私は黙って
頷いた。保健室のベッドにモゾモゾと潜り込みながら
さっきの出来事を思い出していた。
髪を切られて思い出のワンピースを台無しにした
だけじゃなく、ついに暴力までふるわれた。
痛くて、辛くて、でも、それだけじゃない……。
助けてくれると期待していた、伊東先生にまで
見捨てられたという、心の苦しみ。そして、悲しみ。
はぁ、と溜め息を漏らした。
ー私って、何の為に生きてるんだろう。
辛いことばかりで、悲しみしか感じたことがなくて、
人を羨んで、人を憎んで、朝起きたらパッと人生が
変わっていたら良いのにだなんて考えて、結局
何にも変わらなくて。私の人生って何だろう。
「亜依のいないあんたに、何の価値もない」
美亜はそう吐き捨てた。…あながち間違いじゃないのかも
しれない、そう思った。今までは、亜依がいたから
楽しくて友達だってたくさん出来て。だけど、いざ
亜依が転校して、新学年になったらいじめられて。
それでも誰も助けてなんてくれなくて。
そうだ。あの時は亜依がいたから、みんな優しくして
くれたんだ。亜依のいない私には何の価値もないんだね。
けれど、それなら………
「私の存在理由って、私がここにいる意味って、何?」
思わず呟いてしまって焦った。
どうか、中内先生に聞かれていませんように。
どうやら、聞かれてないみたい。ほっと胸を
撫で下ろす。私は目を閉じた。このまま、目が
開かなきゃ良いのに。もう生きていたくないよ。
いつも私ばかり、いじめられて。辛い。辛い。辛い。
死んだら、楽になれるのかな。そんなことを考えて
しまう自分が嫌いで、優しくない、この世界が嫌いで。
私は涙を流しながらいつの間にか眠りについていた。
乱入失礼致します、!
小説すごく良いです!!リアルな感じが伝わってきます…!(語彙力)
関係ないのですが、一年くらい前に紅葉っていう半値で活動してましたか?人違いだったらすいません…
>>44
返事遅くなり、すみません😣💦⤵️
大丈夫ですよ!コメントありがとうございます✨
めちゃくちゃ嬉しいです‼️ノンフィクションなので
リアルな感じを出せるよう、同時の感情を思い出したり
日記を読み返したりして頑張っているので、そう
おっしゃっていただけて、とても嬉しいです(^-^)
はい!元・紅葉ですよ!気付いて貰えて嬉しい!
>>45
やっぱり!!私は元いっちーとか一華とか一花とかの半値で活動を…
覚えてるかな、?小説頑張ってね!応援してる!!
>>46
いっちー?え、待って………嘘でしょ!?
懐かしい……✨忘れる訳ないよー!
また逢えて嬉しい!また仲良くしてね‼️
ありがとう!これからも、頑張って小説書くね!
起きると、一時間目が終わっていた。
先生がカーテンを開け、私の顔を優しげに
覗きこむ。
「具合、どう?」
ーここで「大丈夫です」と答えたら、教室に
戻らなくてはならなくなる。でも、もうそんなの
無理だ。もう、誰にも会いたくない。特に、美亜には。
教室にも戻りたくないと考えてしまった。
あんなことをされた後で、平気な顔して教室に
戻れる程私は人間が出来ていなかった。
暫しの沈黙の後、私は答えた。
「だ、大丈夫じゃ、ないです……まだ痛みます」
まだ蹴られたお腹の痛みは消えない。…心の痛みも。
ズキズキという痛みが、私の体を蝕んでいく。
苦しくて、耳鳴りまでしてきた。どうしよう……
そう思いながら、クラッとしためまいに襲われ
保健室のベッドに倒れこみ、軽く気を失った。
アル、小説書いてたんだね!
50:アル ◆6.:2020/06/21(日) 17:08せやで!