私が愚痴板で書いたように私が母に思ってる事やこれまでの家族関係を描いて行きたいと思います
2:匿名:2020/06/28(日) 07:35 強欲な私は、損をする事を良しとしなかった。
得られないと言うのなら、不満だと言うのなら、馬鹿馬鹿しくなってしまうのなら、それならば仕方ない。
少し受け入れ、少し抗い
望んだ結果ではなくとも、選んだ結果。
最も少ない労力で、出来るだけ得をするような、合理的でコスパの良い生き方を。
私は「凄いね」「可愛いね」って、小さい頃は良く褒められた方だと思う。
褒めて育てる方針だったのかもしれないけれど。
私は要領が良かったのか飲み込みが早く、勉強、運動、ピアノ、ダンス、何でもそれなりに出来ていた。
容姿もそこまで悪くないと思っている。
褒美される事が気持ちよくて、どれもやった分だけ結果が出るのが嬉しかった。
純粋に楽しくて満足してた。
だから頑張っていた。
けれど、いつからか気づき始める。
私は取り損ねてしまっている。
私は「凄いね」「可愛いね」とかよりも、そっちが欲しい。
妹の莉緒は私とは全く違うタイプで、何をやってもすぐ飽きる。
やんちゃだし適当だし大人の言う事を全然聞かない。
だから「良い子」なのは確実に私の方だ。
それなのに、買い物の時に親に手を取られるのは莉緒、私は荷物持ち。
親戚などの集まりとかでも、先に挨拶されるのは莉緒、私は配膳とかのお手伝い。
努力しないで、何の対価も払わずして、明らかに莉緒の方が可愛がられている。
「愛嬌」そのチート能力で、莉緒は勉強も習い事もお手伝いも免除され、意図せず良いものを引き寄せる。
もやる、不快、不公平。
だから変えようとした事もあるのだが
「莉奈?課題は?ずぅーっとダラダラしてるけど」
「自分のペースでやりまーす」
これは莉緒がよく言うセリフ
これに対して母さんは
「は?馬鹿な事言ってないでさっさとやりなさいよ!!そういうのは莉緒だけで充分!!莉奈はお姉ちゃんでしょ!お姉ちゃんがそんなんでどうするの!!」
と、怒鳴った。
莉緒は許されるが私は許されない。
莉緒のポジションを奪い取ろうとしたわけじゃない。
ただ、私も莉緒と同じにしてほしいだけだったのだけど、もうそう言う「常識」が出来ていた。
つまり、私は楽して愛される事が許されていない。
もやる、不快、不公平。
仕方ないよね、私と莉緒は違う人間なんだから、個性に合わせた接し方になるのは当たり前なんだよ。
私はできて、莉緒は出来ないからフォローに行くだけで、別にいじめられてる訳じゃない。
実際手がかかるのは莉緒の方だもの。
うん分かってる、分かってるんだよ、でも本当はね、なんか嫌だわ。
どうにもこうにも損してる気分。
何故私が中々割り切れないのか、自分が我儘であるという以外に、腑に落ちた理由がある。
みんながリビングでテレビなどを見ている時、母さんが急にこんな事を聞き出した。
「ねぇ、姉妹で差別されてるとか思った事ある?」
「あるー!お姉ちゃんばっか褒められる!後お父さんは絶対お姉ちゃんの方に甘い!」
私は
「なんなの急に……」
と聞いた。
母さんは
「今読んでた雑誌にちょっとあってね、長女はー、とか長男はー、とか言うやつ」
「あー……物とかは同じ量くれるって思ってるよ、服とか靴とか?」
「ふーん……でも不平等って感じてるんでしょ?難しいなぁ、2人とも同じくらい好きだから、出来るだけ平等にしないととは思ってるけどねぇ」
……は?
私が我慢していたのは、仕方なかったから。
だって怠け者の莉緒には管理する人が必要だもの。
だから、母さんが莉緒の方に時間と手間を掛けるのは、仕方ない事だと我慢して、納得したふりをしてるのに。
『平等にしているつもり』
母さんはこんなふざけた事をほざく、莉緒の方にかまけている自覚が無い。
看過しがたい感覚のズレだった。
だってそうでしょ?
私的には、莉緒は私より多くの物を与えられている、莉緒の方が得をしているという認識。
でも、母さん的にはこの状態で平等、私と莉緒の価値を同じと見なしていない事になる。
悪気無く、ナチュラルに差別しているのだ。
屁理屈を言えば、私の方が価値が高いと言う事だが、喜ぶ訳がない、怒りを覚える。
何が平等だよ。
あぁ、どちらの感覚でも平等は存在しないという事。
気づいているのは、理解しているのは、この場では私だけ。
不快感があるのは私だけだ。
楽観馬鹿の莉緒はハナから理解なんて無理。
母さんには理解させたい気持ちはあった。
しかし、普段から都合の悪い事を理解する姿勢が無く、「相談して」なんてのは口先だけで、結局は自分の理想に近づくよう強制しようとする。
反発したこちらが思い通りにならないと、ヒステリーを起こす事が多々あり、まるで会話にならなくなるのだ。
私はそんな母さんを打ち負かす言葉を考える能力も気力も無かった。
無駄な労力、時間の無駄、平等がどうとか言うのは置いておこう。
ただ言えるのは、何もしないで得が出来る才能は私には無いという事。
莉緒のように、人が勝手に助けて可愛がってくれるわけじゃない。
愛嬌や可愛げでは及ばない。
だったら勉強とか習い事とか、莉緒には出来ないところで頑張るよ、良い子である事を求めてるんでしょ?だったら努力するよ。
だからさ、少なくとも私基準で、莉緒と同じ扱いをしてよ。
ある日
近所の人と母さんと私で話していた。
「あらー!莉奈ちゃん、中学受験合格したのね〜」
「そうなのよー、どっかに引っかかって良かったわ〜〜」
母さんはよく私の事を近所の人などに自慢していた。
褒められるのは好きだし、こういうのは莉緒には無い事だし、思い通りに付加価値を積み重ねられていると言う事。
ほら、私価値あるでしょ?今何ポイント?
けれど、中学に入ってそれは崩れて行った。
中学に入って初めてのテストをした時の事。
「小テストだからって気を抜くなよー、7割くらいが平均かなー」
は……?
平均にも達して無いとか嘘でしょ?
どうして??
あぁ、そうか。
その時私は気付いてしまった。
私ってここでは大した事無いんだなって。
今までずっと勉強も運動も人より出来た。
でもそれは地元の周り、狭い世界での話。
世界が広まれば基準も規格も異なる。
そもそも中学受験で優秀な人間を選抜して集めたここでは私など平均程度のレベルだった。
沢山頑張ってきたはずなのにそんなものなのか。
私の力では限界が著明な世界に来てしまった。
努力の成果は所詮、本人の素養に基づく物だから、素養の差は大変なハンデになる。
ましてや、スタートも伸びる速さも違うような、天の才能には、どうやっても敵わない。
馬鹿馬鹿しい話だ、努力してきた今ですら私は普通扱いで、さして必死にならずとも、突出した人が居る。
「珍しいわね」
でも
「テストいまいちね」
そういう私の現実や、諦めや悔しさに思いが及ぶほど
「今までずっと良かったのにどうしたの?油断した?」
母さんは、私の中身を見ていない。
「自分なりに勉強したつもりだったの、けど、自分の力が足りなかった」
「莉奈が全く勉強してないとは思ってないけど、それにしたって今までずっと上位だったじゃないの」
「小学校の時とは状況が違うんだよ、みんな出来る子ばっかりなの、私がちょっと頑張ったくらいじゃ上に行けない」
「何なのよその言い方は!開き直るんじゃないの!!言い訳にしか聞こえない、あんたの今回の頑張りが、他の子に比べて足りなかった、そういう事よ」
前提として、私の愛情は増減して、許容量がある。
それを表すのなら、差し詰めグラスに注がれた真っ黒なジュースのよう。
嫌な事があるとトクトク注がれて、良い事があるとゴクゴク飲み干す。
繰り返して、グラスから溢れないように気を付けているのだ。
それなのに、霧とも知らぬこの女は。
「中学に上がる前の莉奈は輝いてたわ、受験期には毎日一生懸命机に向かってて尊敬したのよ」
「あれは特別!!あの状態をデフォにしたら私の人生何が楽しいわけ?」
「もう!!今や結果も出さず言い訳ばっかり嫌になっちゃう!これじゃあ他人に莉奈の事聞かれても笑って誤魔化すしか出来ないわ!」
神経質に気を付けていたのは
「ピアノだってダンスだって前程真剣にやってないでしょ!ちゃんとやれば出来るってお母さんは知ってるわ、今怠け癖が付いたらずっと苦労するわよ」
出来る事なら嫌いにはなりたくなかったから。
「良い?莉奈の為に言ってんのよ」
あーあ、溢れちゃった、染まっちゃった、二度と消えないこの意味は、ストン、という感覚だった。
この女と誠実に向き合おうとかコスパが悪い。
「莉奈のため」という言葉が耳を通ったその時から、急激に冷めた、いや、覚めた。
気づきたくなかったな。