タイトル通り最近目覚めた(かけてる?)百合の短編を気分で置いていこうかと。
*百合小説
*気分なので不定期&甘々、時には悲しい、死ネタもあるかも。
*表現力はない
*感想、アドバイスなど、荒らし以外は大歓迎!
それでもいいって人だけ楽しんでね
さっそく一話目投下。
【向かいのあの子】
毎日、同じ車両の向かいに座っている彼女は、華やかさの擬人化のような女の子。
ふわふわした綺麗な髪にいつも視線を奪われそうになるから、私はいつも、すっかり持っているだけになってしまった本に、視線を戻す。
内容はもう忘れてしまった。彼女に興味を持ったのは、私と同じ本を持っていたから。
ふと視線を上げた先に見つけた、長いまつ毛に縁取られたたれ目に、釘付けになった。
お人形さんみたいだと思った。
高校が違うし、話したことも、名前も知らないけれど。
ああ、あと一駅で、あの子が降りてしまう駅だ。
明日も会えるだろうに、名残惜しく思うのは、きっと、ただの憧れじゃないから。
カツカツ、心地よい音を鳴らして近づいてくるのは、誰でもない、あの子だった。
「ねぇ、私の事、ずっと見てたでしょ?」
小鳥がほほ笑んだような笑顔に釘付けになって、ごにょごにょと言葉が紡げなくなってしまった。
恥ずかしい、消えたい。
「ご、ごめんなさい、あまりにも綺麗だったから…」
「そうなの?ふふふ、うれしいな。…うん、やっぱりあなたって可愛い。」
「え?」
急に顔を覗き込んできたその子は、利口な探偵のような顔で頷くと、可愛いと発した。
…私が?
「でも、わたしがずっとあなたを見てたの、気づいてないでしょ?」
「わ、たしを?」
「そう、すごく好みだったから。」
「…何言って…」
「びっくりした?でも、冗談じゃないよ。…あぁ、もう行かないと。」
次の駅を確認すると、彼女は楽しみにしていたものの準備がもう少しかかるといわれた童女のような顔をして、残念、と呟いた。
美人は、こんな表情さえもきれいなんだ、と場違いに感心した。
くるり、とスカートを翻して去ろうとする彼女は、一度だけバレリーナのように優雅に振り返って。
「また明日。」
彼女の口パクがそう言ったように思った。
【終】
【こんな感じの長さで基本一話完結にしようかなと。】
【変わりたいなんて】
「由衣ちゃん…やだよ」
「ごめんね、もう、無理そう。今までありがとう夏樹ちゃん。」
夕日の差し込む病室…かな、今はもうよくわかんないや。
夏樹ちゃんの泣き声だけが鼓膜に響く。もう、顔も見えなくなりそう。
「ねえ、約束しよ?」
「…何を?」
「私が死んでも、元気でいてね。」
「…なんで、死ぬとか言うの…やだ、やだよ…、」
グスっと鼻をすする夏樹ちゃんの手を握って、最後の力で微笑む。
「ううん、もういいの。夏樹ちゃんにだけは幸せでいてほしいから…」
「由衣ちゃん…っやだ…」
「ねえ、もう一個約束してほしいの。」
「…何?」
「どれだけ、辛くて、私に生きてほしいって思っても…変わりたいなんて絶対思わないで、お願い。」
「…うん……っ、私、頑張って生きるから…っ、今まで、あり…がとう…」
よかった。これでもう大丈夫。これで、安心。
私たちなら、また会えるから。
だから。
絶対に、変わろうなんて思わないでね。
それじゃあ、私が変わった意味がなくなってしまうから。
【終】
少ない百合小説の中でとても、上質なものを読ませていただいた気持ちです。
5:依夢:2020/12/06(日) 10:14 >>4
ありがとうございます、またネタができたら書こうと思っています!
【夕暮れ花壇にて】
「葉月、倉庫からボール取ってきて」
「あ、はいっ」
部活の先輩に言われたまま、体育館の裏にある倉庫へ向かう。
どうせなら、体育館の中かすぐ横に置いてくれればよかったのに、わざわざ細い裏道を通っていかなければならないのがうちの学校のイヤなとこだとつくづく思う。
運動部にやさしくないなぁ、なんて呟いて、ふと倉庫の横の花壇に目が留まった。
誰かが、花壇の前に座って、まじまじと花を見ている。
いらない好奇心を抱いてしまった。
「…何、やってるの?」
「えっ…」
話しかけたはいいけど話したいこともないや…
って、あれ、この子…
「中村さん、だよね、同じクラスの…」
「あっ…」
そうだ、クラスですごく地味って言われてる子。
そう返事した後、中村さんはうれしそうに笑った。
「えっと…?」
「あ、ごめんなさい、私、ずっと葉月ちゃんと喋りたいって思ってたから。」
「え、そうなの?」
「ええ、だからすごくうれしい。」
…なんかこの子思ったより社交的だな。いや、話しやすいしいいけど。
「あ、そう言えば何してたの?」
「ああ、私、美術部だから、花の絵をかいてたの。」
「えっ、これ中村さんが描いたの?!」
「まだ途中だけどね。」
「すっごーい、他のも見せ…」
あれ?何しに来たんだけ?私。
「やばい!ボール取りに来たんだった!ごめん、行かないと!」
「うん…ばいばい」
「うん、明日も見せてね!約束!」
「…うん!」
あ、私もばいばいくらい言わないと…
「じゃあね!中村さ…秋穂ちゃん!」
まぁ、こっちだけ苗字なのは割に合わないもんね。
【可愛いよって。】
「はぁぁ…、聞いてよ六華ちゃん!」
太陽顔負け、と例えても決して誇張ではない笑顔で飛び込んできたのは教室で唯一声をかけてくれる親友…、
と言っても向こうがそう思っているだけの真希。
さて、話があると言っていたけれど、どうせ、また推しが可愛いって話だろうし。
「嫌よ。」
「うん、今日もさぁ、伊月くんが可愛すぎるって話をですね…」
「うん、だから嫌よ。」
「まぁそれでねぇ?今日も今日とて可愛いんだけどさ、もー今日も萌え死ぬかと思ったぁぁ」
「はいはい、それで?」
「うん、もうなんかさ、わたしよりかわいいからさ〜、なんか前の握手会もホント緊張しちゃって」
「ハイハイ、あなたもかわいいわよ」
しまった、口が滑った。
目の前の彼女は、きょとんとした顔の後、また太陽のような笑顔を振りまき、笑った。
「それはないってー!てゆーか
「ていうか伊月君の話は飽きたわよ、他にないの?」
「えー?えっとー、うーん、ない!!」
「はぁ…」
この溜息は、彼女に呆れたんじゃなっくて、言うなれば、そう、伊月君(私はたいして知らないけど)への羨望…、羨ましいと思うから。
「…六華ちゃん怒った?」
「え?怒ってないわよ。」
「よかったぁ〜。わたし六華ちゃんに嫌われたら生きていけないよっ!」
「…押しの話を聞いてくれる人がいなくなるから?」
「えぇ、違うってばぁ…、いじわるぅ。」
「調子いいんだから。」
「ええー?そんなことないよー?」
「はいはい。」
「ほんとだよっ?!」
「こっちだって本当よ。」
「え?」
そうやって推しの話をしているくらいが一番かわいいわ、なんて言ってあげないけどね。