目が覚める。空は灼け、褐色の雲を流す。地は荒れ果て全ての生命の存在を否定する。
起き上がる。少し体がふらつく、曖昧な記憶、ぼやける視界。それでも…。
目の前にはかつて栄えた文明の名残。砂の舞う褐色の世界。
口を開く。息を吸う。生命活動が終焉を告げ、どれだけ経ったのだろう、汚染されていたはずの空気はマスクが無くても取り入れることができた。
「ーーーーーここは…。」ひどく掠れた声だ。ここに水源はあるだろうか。
確か僕は、ああそうだ、爆発に巻き込まれたんだ。
世界終末戦争。それは増えすぎた人類がこの星の覇権を求め戦った。ただ生き残ればいい、それだけだ。国なんて関係ない、憎いやつを殺してもいい、ただ自分にとって都合のいい世界を求めた。僕もその一人だ。戦わなければただ死を待つのみ、自国の部隊に参加した。見知った顔があった。そのときは、希望に満ちていたのか、未来を悲観していたか、それは僕にもわからない。そして、彼等も地に沈み、土と化した。
僕はとある工場の戦線にいた。何があったかわからなかったけど急に眩しくなって、吹き飛ばされた。自国か、敵国かどちらがやったかなんてわからない。
僕は、誰かに聞かせるわけでもないのにこれまでのことを整理した。
「歩くしかないな…。」