真っ白な傘

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1:雅芽結衣:2021/04/26(月) 19:44

初めまして!
雅芽結衣(みやがゆい)です。
1回の更新が短めの話かもしれませんが、不定期で更新していこうと思います。
誹謗中傷、パクリ、アンチなど迷惑行為は御遠慮ください。

2:雅芽結衣:2021/04/26(月) 20:01

あの白い傘を見たのは、ジメッとしたある夏の日。それは、とてつもない暴雨に恵まれた日の事だった。

私は、葛西紅葉(かさいくれは)。 現在中学3年だ。受験勉強真っ只中で、学校と塾と家を往復してるだけのつまらない日々を送っている。私の家は、代々続く総合病院を営んでいる。そのため、私も病院を継ぐために、日々勉強に励んでいる。よく、「そんなに決まった人生でつまらなくないの? 」と聞かれるが、私はそんなのどうでもいい。両親に認められれば、それで良かったのだ。父や母は、幼い頃から仕事優先で誕生日もクリスマスも家族で過ごした思い出がない。テストで満点を取っても、「今忙しいの。後にして。」と、私の事は後回し。両親を何度か恨みそうになったこともあった。だけど、おじいちゃん、父方の父は、そんな私にたくさん愛を育んでくれて、私は両親を恨むことはなかった。そんなおじいちゃんも今年、持病の心臓病が悪化し、寝たきりだ。
おじいちゃんは、私の好きなようにすればいいと言ってくれる。だけど、夢のない私に何ができるのか、本当に病院を継がなくても良いのか、そう悩む日が続いている………。

3:雅芽結衣:2021/05/01(土) 17:12

「ねぇ………聞いてる?おーい!」
「え!あ、ごめん。何?」
私に話しかけていたのは、同じ学校で同じクラスの望月明日香(もちづき あすか)。今は、塾の帰り道。進路についていろいろと考えていたら、話をしっかり聞いていなかったようだ。
「さっきの話なんだけど、今度学校で三者面談あるでしょ?その三者面談で、進路を大方決めてくって言ってたけど、志望校決まってるかって聞いたの。」
「あー そういや、そうだったね。私、進路、まだ迷ってんだよね。」
「迷ってる?紅葉、頭良いし、何処でも行けそうなのに、何迷ってんの?」
「そういう迷ってるじゃなくて、自分が何やりたいのかなーってこと。高校は、やりたいことを追求したいなって思ってんだけど、やりたいことがなくてさー。まあ、志望校は、医学部進学率が高いスカイ学園かなって思ってる。」
「やっぱ、スカイ学園なんだ!紅葉と高校離れ離れになるの嫌だし、私もスカイ学園にしよっかな!先生には、一応安全圏って言われてるし。」
「何その軽いノリ!自分で行きたい学校ないの?」
「うーん。ないな。親の母校に行ってみたい気持ちはあるけど、もう合併しちゃってないし。私、勉強がしっかり出来る環境があって、紅葉がいたらどこでもいいや。」
「相変わらず、明日香は、可愛いこと言うなー!でも、そんなんじゃ、おじさん嫉妬しちゃうんじゃない?スカイ学園は、男女の比率が圧倒的に男子の方が多いし。言い寄られてるって知ったら、発狂しそう……」
と、何故私がいったのかと言うと、明日香は、少し天然で、それからモデル並にスタイル良いし、可愛いのでよく、男子から言い寄られている。そんな明日香のことがおじさん、明日香のお父さんは、大好きなため、よく「うちの可愛い明日香ちゃんに触るなー!!」って、言い寄っている男子共に叫んでる。ユニークで面白いから、私はおじさんのことを慕っている。
「お父さん?いいのいいの。あの人は、ちょっと異常だし。何処でも好きなとこ行けって言ってくれてるし。紅葉がいるなら安心って言ってくれるよ、きっと。」
「確かに、言ってくれそう。じゃあ、スカイ学園に2人で入ろうね!だから、勉強サボんないでね!」
「うん!勉強サボるわけないじゃん!よーし、今度のテスト紅葉に絶対勝つんだから!」
そう話しながら、家まで帰った。

4:雅芽結衣:2021/05/03(月) 22:14

 家に着くと、玄関に珍しく母の靴があった。帰ってきてるんだーと思いながら、リビングに移動すると、母は、深刻な表情をしていた。
 「あら、紅葉。お帰り。」
 「あ、うん。ただいま。」
 「ちょっと、話があるから座ってくれない?」
 「話?」
私はそう言い、椅子に座った。椅子に座ると、母が話し出した。母の話は、父と離婚するということだった。もともと、娘の私からみても夫婦仲は良好とは言えなかったし、私がいるから、離婚してなかったんだろうなと薄々思っていた。でも、そうなると困ったことになる。総合病院は、父方の家系が経営している……。つまり、父と離婚すると母は、今の仕事をすることができない。転職したとしても、私が私立であるスカイ学園にいくとして、家計はだいぶ圧迫される。母に対して、いい思い出はないが、ここまで育ててもらった恩はある。だから、困らせることはしたくない。というか、離婚するなら、病院を継ぐということがなくなる。医学部の進学率が高いからと選んでいたスカイ学園に行く必要もない。進路、どうすればいいんだ?

5:雅芽結衣:2021/05/04(火) 13:14

話の終わりに、母は、こんなことを言った。

6:雅芽結衣:2021/05/04(火) 15:44

(上のは、間違えて書き込んでしまいました。上の続きから書きます。)

「お母さん、今まで仕事優先で生きてきて、あなたに構ってやることができてなかったと思う。だからね、あなたには、自分の思うように進んで欲しい。私のためとか言って、進路を諦めようとしてるなら、諦めちゃダメよ。まだ、あなたは、若いんだし、何にでもなれると思うわよ。ね?お願い。これが、お母さんができるあなたに対しての唯一の親としての務めだから。まあ、これは高校の時の同級生から言われたことなんだけどね。こんな綺麗事しか言えない不器用でごめんね。」
お母さん……そんなふうに思っててくれたんだ。スカイ学園、諦めないで行ってみような? 入学したら、何か見つかるかもしれないし。よし!何がなんでも奨学金もらって、お母さんを楽にしてあげよっと!
翌日、学校で明日香に昨日のことを話した。明日香は、少し驚いた顔をしたかと思うと、真剣な顔で、
「あの後、そんなことがあったんだ。紅葉のお母さん、前々から結構疲れた顔してたからね。色々苦労してんだろうな。お父さんと離婚できて良かったんじゃない?夜中とか怒鳴り声聞こえてくること、たまにあったし。限界だったんだよ。って、ごめん。そんなこと言っちゃダメだよね。」
と言った。確かによく喧嘩していたし、限界だったんだろうと改めて思った。
翌週から、知り合いのつてで、母は、病院関係の事務員として働き始めた。周りの人がいい人ばかりで前より充実しているみたい。

7:雅芽結衣:2021/05/06(木) 17:17

母と父の離婚から1ヶ月ほどたち、三者面談の時期のなった。離婚を話された日から、何度か母とは、進路について話し合い、スカイ学園に行くことに決めていた。あとは、担任の先生と話し合うだけだ。
教室に母と一緒に入ると、
「こんにちは。今日は、わざわざお越しいただきありがとうございます。おすわりください。」
をと、お決まりの言葉を担任の先生は、母にかけ、私たちは座った。
「それでは、紅葉さんの進路についてお話していきたいと思います。紅葉さん、進路希望は?」
「はい。私は、スカイ学園を第1希望にしています。スカイ学園は、先生方がとても熱心で、生徒に本気で様々なことを教えてくれます。そんな姿を、見学に行った時に見て、行きたいなと思いました。」
「なるほど。スカイ学園なら、今の点数や内申で全然大丈夫ね。だけど、気を許して、ここから授業態度悪くしちゃダメよ。お母様は、どう思います?」
「何度か、紅葉と話し合ったので、同意しています。ひとつ、質問がありまして、私立の学校って、片親だとイメージ悪いって聞いたことがあるのですが、やっぱりイメージ悪いんですか?」
「いえ、そんなことありませんよ。片親の方もスカイ学園には、何人も入学していますし、所得についても特に関係はないので、安心してください。それじゃ、スカイ学園を受験するということで、話を進めていきますね。」

そこから、スカイ学園を受験するにあたって、色々と話をした。
私は、無事に志望校が通り、嬉しい気持ちでいっぱいだった。
明日香の方も、スカイ学園で問題がないと言われたと言っていた。2人で、合格できるように勉強頑張らないと!

8:雅芽結衣:2021/05/07(金) 20:40

三者面談が終わると、周りも受験モードになっていった。いつもは、騒いで怒られている男子たちも大人しくなった。これで、さらに勉強に集中できると思っていたが、しかし、今更になり、「勉強教えてください!」と、頼み込んできた。何度も、頭を下げられ、断ることをできず、私は、男子たちに休み時間を利用して勉強を教えてあげることになった。最初は、数人だったが、いつしか他クラスの喋ったことのない子も勉強会に参加するようになった。それに加え、その様子を見た担任の先生からは、「紅葉先生」とあだ名がつけられた。そのあだ名をクラスの子も言うようになり、一躍有名人となってしまった。

学校生活なんて、つまんないなって思っていたが、今回のことがきっかけで、意外と楽しいかもって思い始めた。

勉強会では、復習や受験対策、定期テスト対策など幅広くやっていたので、学年末テストでは、今までは考えたことのないほど、平均点が高くなったと先生が言っていた。少し、やりすぎたかな?

___________________________

3ヶ月後。
いよいよ入試の日になった。

9:雅芽結衣:2021/05/11(火) 16:08

絶対に受かると思ってはいるんだけど、妙に緊張してしまって、昨日はあまり寝付けなかった。暗記用の用語集は、読書の代わりに読むようにして、ほぼ暗記しているし、面接だって、たくさん練習した。忘れ物もない。よし!頑張ってくるぞ!そう、思い、荷物を持ち、家を出た。

明日香と駅で待ち合わせをして、スカイ学園に一緒に行く予定だ。明日香は、朝に弱いから寝坊してないといいけど……
そんな予感は的中し、明日香は、待ち合わせ時間を過ぎてもなかなか来ない。既に、10分くらい待っているだろうか。電話をしようかとスマホに手をかけると、明日香がちょうど、来た。予定していた電車は、乗り遅れてしまった。念の為に早めの電車を乗る予定にしていて良かったと安心する。安心したのも束の間で、次の電車の出発時刻まで3分を切ってしまっている。明日香に、
「電車乗り遅れちゃうから、とりあえず行くよ!」
そう、声をかけ、2人で猛ダッシュし、なんとか間に合った。幸い、通勤ラッシュより少し遅い時間帯なので、席にも座る事が出来、ようやく落ち着くことが出来た。

20分ほど電車に揺られて、スカイ学園の最寄り駅まで着いた。改札を出ると、多くの学生がスカイ学園に向かっていた。学校に着くと、受験番号ごとに指定されたクラスに移動しなくては行けないことが分かり、明日香とは、クラスが離れていたので、玄関で、お互いに健闘を祈り、明日香とは別れた。

指定された教室に行くと、既に、多くの生徒が座っており、勉強の確認をしていた。私も、素早く、必要な筆記用具をだし、勉強に取り組んだ。15分ほどして、高校の先生が教室に入ってきた。
「こんにちは。今回、このクラスを担当することになった、山崎と言います。よろしくお願いします。今回の入試のルールを確認しますね……何か質問があれば、周りの先生までどうぞ。それでは、5分後に国語の試験を開始します。準備をしてください。」

キンコンカンコーン

試験開始のチャイムがなった。過去問に似たような問題があったので、スラスラと解くことができた。古文だけが少し自信が無いけど……
その後も順調に進んでいき、面接も滞りなく終わった。
緊張から解放され、全てが終わった途端、ドっと疲れてしまった。

校内を出て、駅の方面に向かいながら歩いていると、スマホに着信がきた。名前を見ると、明日香からだった。電話に出ると、
「お疲れ様、紅葉。私も終わって、今駅前にいるんだけど、今どこ?一緒に帰ろ!」
私は、もうすぐで駅着くから待ってて、と、伝え、小走りで駅に向かい、明日香と一緒に家へ帰った。

10:雅芽結衣:2021/05/14(金) 20:07

翌日、学校に行くと、入試の話題でもちきりだった。「○○どうだった?」と、テストや面接に対しての反省会を行っていた子がメイン。なかには、私の勉強会でやった問題と似ている問題がテストに出て、普段なら解けないけど、確実に解くことが出来て、結果が期待できるということで、私にお礼をしてくる子までいた。そんな大したことしてないけど、お礼を言われるのは、素直に嬉しい。

1週間経ち、合格発表の日になった。
この1週間、結果が楽しみすぎて、ずっとソワソワしていた。そんな日々も今日で終わり!
私と明日香は、2人で入試の日のようにスカイ学園を訪れた。
スカイ学園は、ネットでの合格発表も行っているので、入試の日に比べ、人が少なかった。広場まで歩いていき、張り出されている掲示板から自分の受験番号を探す。受けている人が500数名いるため、なかなか見当たらない。5分ほど探し、やっと、受験番号を見つけた。明日香も見つかったようで、2人で人のいない場所で抱き合って喜びあった。

その後、学校に戻り、合格通知をもらった。
先生方から、「おめでとう!」と、言ってもらい、合格したことを実感する。
そこから、慌ただしく、入学手続きを行なった。
そんな日、休み時間に、担任の先生から
「紅葉さん、ちょっといいかしら?」
と呼び出された。なんか悪いことしたかな?と、考えてみたが、思い当たる節はない。先生の後について行き、職員室に入ると、先生が話し出した。
「ごめんなさいね、呼び出しちゃって。さっそく本題に入るわね。紅葉さん、入試の結果がほぼ満点近くで、首席だったみたいなの。それで、スカイ学園の方から、入学式の挨拶をお願いできないかと、依頼が来ているんだけど、やってくれる?」
突然のことで、固まっていると、先生は
「無理ならやらなくても大丈夫よ。そしたら、別の子に頼むみたいだし。紅葉さんなら、ちゃんとやってくれると思って頼んだんだけど、どうかしら?」
と言ってくれた。私は、真っ先にやってみたい!と、思ったので、
「先生、私、やります。」
と素直に答えた。
「ありがとう。紅葉さんならやってくれると思ってたわ。話はそれだけだから、もう戻っていいわよ。詳しいことは、後日伝えるわね。」
そう言われ、教室に戻った。

11:雅芽結衣◆KE:2021/05/16(日) 19:56

翌日、入学式の挨拶についての詳しい話が担任の先生からあり、とりあえず、ネットを参考にし、下書きを書いた。何度も先生に添削をお願いし、挨拶の内容が完成したのは、卒業式の1週間前。危うく、卒業しても学校に通わなくては行けなくなるところだった。

___________________________

翌月。4月。
「本日は、私たち新入生のためにこのような盛大な式を挙げて頂き、誠にありがとうございます。暖かい春の陽射しに包まれ、私たちは……(中略)……本日は、誠にありがとうございました。」

今、盛大の拍手の中、生徒代表として、挨拶を終えた。
私たちは、無事、卒業を迎えることが出来、高校生となった。着慣れない制服を着て、今、入学式が行われている。生徒代表の挨拶は、緊張していたが、何事もなく終わった。

12:雅芽結衣◆KE:2021/05/23(日) 20:59

入学式が終わり、高校生活が本格的に始まった。
明日香とクラスが離れてしまい、同じ中学の子で、仲の良かった子達とも離れてしまった。
幸い、入学式の挨拶をやったということで、「頭いいんだね!」なんて、話しかけてくれる子が多く、問題なく過ごしていた。その中でも剣持結愛ちゃんという子と席が近いことや性格などが似ているため、特に仲良くなった。
結愛ちゃんは、大人しいが、人を思いやれる人で、凄く周りから信頼されていた。あと、他クラスに一卵性の双子の妹ちゃんがいるらしい。話を聞くと、凄くそっくりで、見分けがつきにくいらしい。今度、明日香と私と結愛ちゃんと妹ちゃんで遊びに行く計画を立てている。
それから、入試の結果が私の次に良かったらしい。結愛ちゃんの両親が2人ともスカイ学園出身ということで、最初は、結愛ちゃんに入学式の挨拶の話があったみたいだが、結愛ちゃんが断ったことで、私に話が来たと後で聞いた。


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