とある大陸の端に位置する、アルス国。
小さい国ながらも発展しており、人口もそこそこ多い。
国内の王、王宮の人々(又は貴族)、兵士、庶民の差は大きいが、平和な国だった。
しかし、それは昔話。
918年以降、アルス国は二人の姉妹によって、国は徐々に崩壊していくのであった。
※ちょい残酷
出来る限り続けようと思います、頑張ります。
アルス国の北にある山々。
その一角には、小さな村があった。
いわゆる田舎で、村を歩いても顔見知りばかり。
この村には、3人の家族がいた。
父と、5歳の女の子に、妊婦である母。
…村唯一娘のいる、ルナール家である。
唯一というのは、この村のほとんどがお年寄りで、娘や息子は、成人するや否や都心部に行くからであった。
そんな村には、ある噂があった。
昔、王宮にいた貴族、アリスと庶民のルーイルが駆け落ちし、この村に逃げてきた。
それがルナール家の先祖、というものだった。
ルナール家の長女、エマは、その噂をとても信じていた。
しかしある日、両親はこう言うのであった。
規則違反である駆け落ちをしたのが私たちの先祖であるはずがない、と。
エマは疑うことを知らない。
両親がそういうなら、それが事実なのだ。
それに、今はそんなことよりも、もうすぐ産まれる妹の心配をしなくてはいけない。
ルナール家の次女の名は、カリアである。
エマが考えた名前だ。
だから余計に、エマは無事に産まれることを願うのだった。
それからしばらくして、妹のカリアが産まれた。
エマはカリアのことがとても好きで、いつも一緒に遊んでいた。
この家族は、すごく幸せだった。
それから2年後。
その日は、エマとカリアが留守番をしていた。
両親が街まで出掛けようとしたとき、7歳になったエマは、
「私もうお留守番できるよ。ちゃんとカリアと待ってるよ」
と言うので、留守番をすることになったのだ。
二人は家にあるおもちゃなどで遊んでいた。
しばらくして、隣の家にすんでいるアクアという女性が家にやって来た。
「おねえちゃん?どーしたの?」
エマがそう尋ねると、アクアは泣きそうな顔でこう告げた。
「貴方のご両親が、街の馬車で事故に遭ったって聞いたの……」