全部失くなったあの日に

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1:なな:2021/08/14(土) 20:26

オリジナル小説かいてみましたー!

……

1 全部失くなったらいいのに

全部、失くなったらいいのに。
最近はそんなことを思うようになった。
友達に裏切られ、彼氏に浮気され学校に行けなくなった。
学校なんて失くなったらいいのに。
昔から友達作りは苦手だった。
「こはるちゃん!一緒に遊ぼ?」
だからあの日、恵美梨に話しかけられたとき、びっくりした。
その恵美梨に裏切られることになった。

2:なな:2021/08/14(土) 21:08

2 みんな失くなったらいいのに。

「小春。今日カラオケ行かない?」
「えーどうしよ。勉強したいけどなぁ。」
「快斗も来るってよ。」
「まじ!?」
私と恵美梨はよく恋バナをする。
恵美梨は好きな人がいないらしいけど、相談にはよく乗ってもらってる。
そして私は。
「なにしてんの?」
島田快斗のことが好きだ。
「んー?カラオケ誘っただけだよー。」
「そうなの!?なぁ、来るよな。」
「…うん。」
やっぱ笑顔には弱い。
やろうと思ってた勉強もどうでもよくなって来る。
こんなんで受験大丈夫かなぁ。
カラオケにて。
「ねぇ、小春って好きな人いんの?」
急に快斗がかわいい顔で話しかけて来る。
「別にどうでもいいじゃん。」
駄目だ。気持ちとは裏腹に冷たくしてしまう。
「俺は、好きな人いるよ。」
「だから?」
駄目だってば。もっと優しくしないと。
「俺の好きな人って、誰だと思う?」
「…。」
そんなこと言われても…
仮に知ってても言いたくない。
「小春だよ。」
耳元で囁かれて、死にそうになる。
その日を境に私たちは付き合うことになった。
恵美梨は応援してくれた。
でもその応援は、ホンモノじゃなかった。

みんな失くなったらいいのに。

3:なな:2021/08/15(日) 17:07

「ねぇ、快斗。今日遊び行かない?」
「ごめん。今日無理。」
「最近いつもそうじゃん。」
「また今度な。」
いつも交わしてるこの会話。
何してるんだろ。いっつも。
付き合い始めた頃はよく遊びにいったけど、最近はめちゃめちゃ塩対応。
つまんない。そう思いながら帰っていた。

「えー?いいじゃん。」
「ちょっとだけだぞ。バレたらヤバイから。」
快斗の声が聞こえて来て、思わず横を見る。
すると、遠くにあった光景は見違えるほどだった。
キス、していた。快斗と、「恵美梨」が。
「何、してんの…」
思わずカバンを落とすとその音に気づいた快斗が振り返った。
「あ!小春!違うんだよ!」
「どういうこと…?」
快斗が駆け寄ってくる。
恵美梨と快斗が?

みんな失くなったらいいのに。

4:なな hoge:2021/08/16(月) 14:03

「小春、もう別れよう。」
「なんで…」
震えた声しか出なかった。
「俺、恵美梨の方が好きだし。」
恵美梨は応援してくれたハズなのに…
「小春。ちょっといい?」
「恵美梨…。なんで?」
「私だって!…私だって快斗のこと好きだった!あんたのこと応援してあげただけ良い子だよね!わたし。」

5:小春:2021/08/16(月) 17:15

まだ、別れたくなかった。
納得いかなかった。
みんな、消えちゃえばいいのに。

失くなればいいのに。

6:なな:2021/08/22(日) 22:42

私はあの日から、全て閉ざしてしまった。
何も見ず、聞かず、話さなかった。
傷つかないように、傷つけないように。
あれからも、快斗と恵美梨は仲良くしている。
帰り道、近くのコンビニに寄った。
「願い事」と書かれた箱があった。
そこにはみんなの願いが入ってるそうだ。
私も願いを書いた。

『全部、なくなったらいいのに。』

7:なな:2021/08/22(日) 22:48

次の日、目を覚ましたのはベッドではなく、地面だった。
「は…」
絶句していると、急に声が聞こえてきた。
『あなたの願いは、叶えられました。』
え……
もしかして、昨日の…!?
と言うことは。
全部、なくなってしまった…?
「ちょっと待ってよ!私が望んだのは、こんなことじゃない!」
ただ地面があるだけ。
木も、草も、建物も、人も『何もなかった』
「なんで、こうなっちゃったんだろ…」
思わず自虐の笑みがこぼれる。
全部なくなったあの日、私は願いを零した。

「全部、元に戻ればいいのに…」


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