今から語る物語の舞台は、この世界とはかなり違う世界だ。
環境も違う。生態系も違う。国の形もかなり違う。そして、貧弱だが魔法も存在する。
そんな世界を、ササキという男が駆けていく。
まだかなり若い彼は、何かに急かされている······いや、追われているように見える。
さて、物語の開幕だ。楽しんでいただきたい。
【注意】
・同性愛的描写
・やや残酷な描写
・僅かなご都合主義
・蝸牛のような執筆速度
【第1章 偉大なる人の国】
ここは『偉大なる人』が治めている国である。
強大な城壁に囲まれた、恐ろしいほど巨大な国である。しかし、前評判は確かにその通りだったのだがーー奇妙だった。
昨日俺は城門近くの宿屋で一泊した。・・・いや、したはずであった。
しかし起きてみれば、宿屋が見たことのない地区へと移動していたのだ。
さて、混乱しすぎて逆に冷静になっているところで、状況を整理してみようか。
『偉大なる人の国』へ到着したのは昨日の正午であった。生憎俺は懐中時計などという気の利いた物は持っていなかったのだが、太陽が一番上に昇っていたので多分正午だったのだと思う。
・・・追っ手に追われて、荷物もろくに持っていなかった。その中でここに辿り着けたのは僥倖だと自分でも思う。
そして僅かばかりの銀貨を持っていたお陰で無事飯とベッドにありつけた訳だがーーあぁ、駄目だ。
ここは何処なんだ、一体・・・?
(続き待ってます)