青春ラムネ

葉っぱ天国 > 小説キーワード▼下へ
1:AKI &:2023/11/02(木) 19:39

秋。
獅子原 秋。
お前の目は、海のように綺麗だった。
そんなお前の目の光が、突然消えてしまったのは、いつだったっけな。
幼馴染のお前が、突然消えてしまったのは、いつだったっけな。
お前が屋上から落ちてしまったのは、いつだったっけな。
思い出したくない。
でも、毎日、もう見えない、お前の笑顔を思い出す。
あの、素敵な笑顔を。
秋。お前は、笑顔と目が特徴的な子だった。
特に、あの目。
こんなに目が綺麗な人は、この世に居ないんじゃあないか。
そう思ってしまうくらい、お前の目は綺麗だった。
でも、
あの目は、もう見れない。
あの、鏡のような目は。
お前は、いつもクラスの中心で、とても綺麗だった。
だから、お前は、告白されてしまったんだ。
赤城先輩に。
赤城先輩は、スポーツと勉強、どちらも完璧で、すごくモテていた。
お前が自殺してしまった原因は、あのことから始まってしまったんだろうな。
でも、お前は、
『私、好きな人が居るの。』
そう、断ったらしい。
でも、赤城先輩のことが好きな子たちからの、反撃を受けたんだ。
お前の事だから、ずっと我慢してたんだろう。
辛いのを、知られたくなかったんだろう。
そんなん、とっくに知ってたんだよ。
優しいお前だから。
お前は俺の前では、いつも笑顔を絶やさなかったから。
でも、その目には、あの光はなかった。
騙すのが上手いお前でも、全てを騙すことはできない。
その笑顔を見るたび、苦しくなって、悔しくなる。
でも、諦めたくなかった。
お前を幸せにさせてやりたかったんだ。
だから、俺は、お前を連れて行ったんだ。
思い出の、昔お前とよく通っていた、駄菓子屋に。
あれは、8月の終わり頃。
夏が終わる頃だっけ。
お前が大好きな、澄んだ色の、ラムネを買った。
あの時かな。
お前の、あの光が入ったとても綺麗な、海のような目を、最後に見たのは。
その目は、サファイアのように輝いていた。
でも、耐えきれなかったんだよな。
辛かったんだよな。
お前は、俺を、屋上へ連れ出した。
『もう、無理だ。』
お前は、そう言って、寂しげに瞳を揺らした。
『私、もう、ここにはいられない。』
止めたかった。
でも、止められなかった。
お前の目が、決意に満ちた目だったから。
酷いよ。
なんで、お前の目は、こんな大事な時でさえ、人をその通りに、操ってしまうんだよ。
その目を見せられたら、もう止められないじゃないか。
本当に、酷いよ。
お前は。
『ずっと前から大好きだったよ。ごめん、もっと早く言ってたら良かったのにね・・・。じゃあね。』
俺は、ただ、お前を見る事しかできなかった。
あの時言えたらな。
言い返せたらな。
お前は、生きていたかも知れないのに。
俺のせいだ。
せめて、
俺も、
大好きだったよ。
そう言いたかったなぁ。
でも、もう会えないんだよ。
もう、お前と話はできない。
気がつくと、俺は駄菓子屋の前にいた。
数年前、お前の最後のあの目を見た、あの駄菓子屋に。
入道雲と空が、思い出の場所を、引き立たせてくれる。
でも、俺の目に入ったのは、あのラムネ。
お前と飲んだ時から、全く変わらない見た目の。
俺は、買ってしまった。
買うしかなかった。
手が動いてしまった。
お前と飲んだラムネを。
お前が大好きだったラムネを。
ラムネは、透き通っていて、海のように綺麗だった。
まるで、あの時のお前の、透き通った海のような、サファイアのように輝く、あの瞳のように。
とても、
とても、
綺麗だった。

2:ロンロ:2023/11/05(日) 01:03

2人称はセンスが必要だから最初は3人称で書いたほうがいいよ


書き込む スレ一覧 サイトマップ ▲上へ