私は一人呟いた。誰が聞くわけでも無くそれは真夏のそよ風に溶けていった。
2:ラランガ:2020/03/19(木) 23:34 無力。
天井を眺めているのさえ面倒くさい。
辺りはまだ朝の4時だというのに、烏は既に人間の耳に
不快感を残して飛び立つ。
咳込みで掻き消される遠い足音、音も無く開く襖障子。
貴方は青い蜜柑を枕元へ置いて逃げる。
ふと目を瞑る。
足音が遠ざかる。水が流れる音がする。
貴方の鼻歌が聴こえる。蜜柑の酸っぱい薫りがする
唇から貴方の好きな香がする。
何気なく買っていたリップクリームを
選ぶのが好きになっていたのは
いつからでしょう
いつの日か
花の香に寄る蝶々のように
血の匂に集る猛獣のように
私の口元に貴方が惹かれる日が
来ますようにと
目を瞑り口元を滑る果実の香に
そんな願いを込めるのです。
夕日に照らされて赤も蒼もオレンジになった。
5:ラランガ:2021/01/05(火) 23:52 ひとつ食べた。ひとつ閉じ込める。ふたつ食べた。ふたつ閉じ込める。
私の恋する世界が、もしもお菓子をひとつ食べただけで
目の前に現れたらどうする?
そんな願いを小さく小さくして与えてくれるのだ
私はそれを閉じ込める。プラスチックの中でも輝く私の好きな世界。
折れても削れてもそこにあるのだ。
いつからか、その世界を集める事に執着心を覚えたのだ。
人の魂をコレクションする悪魔のような気分だ。しかしそれが堪らなく愉しいのだ。
「ウエハース美味しい。」