自作の旋律に合わせて作った詩です。
2:スピカ:2024/02/20(火) 19:52 【十一点鐘】
・
・
水色の窓際であなたの右手に水差し
そのままで名曲が聞こえてくるように思う
愛していいなら
いつでも愛せる
愛していいなら
いつでも愛せる
髪を撫で 急ぎ足
外出の支度をしてる
敬虔(けいけん)な日曜の
あなたしか知らない時間
・
・
ほら光 そして恋
あなたの自由な持ち物
近すぎて怖くなる
あなたはいつだって自然
短針が滑る まもなくイレヴン
短針が統(す)べる まもなくイレヴン
時打ちが終わったら
ひとつ願いが叶うだろう
崇高な日曜の
あなたしか要らない時間
─────
─────
【ラプソディ】
・
かるくてをたたきそしておどろうよ
よるがあけるまでうたいつづけよう
そうさこんやこそきみをだきしめて
ぼくはうたう
よるにひかるほしひるにねむるほし
まわりのすべてをひかりでかざって
そうさこんやこそきみをだきしめて
ぼくはうたう
よ
きみなんかだいきらいだからもうはなさない
いきのねをとめるほどだきしめてよあけまで
・
つよくてをあわせそしていのろうよ
なみだかれるまでわらいつづけよう
そうさこんやこそきみをだきしめて
ぼくはうたう
よるにのろうほしひるにほろぶほし
まわりのすべてをひばなでかざって
そうさこんやこそきみをだきしめて
ぼくはうたう
よ
きみなんかたくさんだだからもうゆるせない
しんぞうをとめるまでだきしめてよあけまで
・
よるにもえるほしひるにさめるほし
まわりのすべてをほのおでかざって
そうさこんやこそきみをだきしめて
ぼくはうたう
よ
────
────
【チャルダッシュ1】
・
何があなたにとって幸せといえるの
涙ながらにそっと囁いて
夢を壊さないと何もできないから
勇気を奮いだして
愛してよ
抱いて私の肩を強く
私以外のことは考えず
きっと真実が強いはず
傷はいつか癒ると信じれば
・
・
やすらぎの怖さを忘れないでいてね
夢がぼろぼろになる
今だから
抱いて私の肌をきつく
私以上のことは考えず
きっと欲望が強いはず
目をそむけることさえしないなら
────
────
【チャルダッシュ4】・
・
朝霧が涙に混じる
君以外見えなくなる
もう一度髪をほどいて
僕の横で寝てほしい
よこしまなまなざしよりも
純愛始末に困る
それはその言葉自体が
偽善の手垢まみれだから
──記憶の画布のうえに
悲しみの裸婦を描こう──
Philosophical crisis
災いの恋
Philosophical crisis
いま
愛情は災害
・
・
嘘が多く混じるほど
キスは甘くなるという
そんな卑怯な君の肌を
抱いたことを悔やむから
──光も熱もない
差別の街へ行こう──
Philosophical crisis
致死量の恋
Philosophical crisis
いま
愛情は猛毒
────
────
【こんなに愛していた】
・
夕暮れになると道で足を止めて
祈りを捧げるように頭(こうべ)垂れた
やすらいのなかはすべて無色だった
謙虚な人の溜め息あつめていた
いつでも「かたち」が心を乱すらしい
語られぬ悲しみが影のように寄り添う
瞼が重いだろう
その重さに逆らうな
しゃがんでしまえばいい
この場所で膝を抱いて
さあ
◆
◆
薄明(はくめい)の町を一人ゆるく歩き
優しい人の残り香そっとなぞる
涙を流せるならば終わるだろう
こんなに愛していたと言えるだろう
いつでも「ながれ」が心を変えるらしい
減らせない苦しみに僕は慣れていくのか
目を閉じてもいいのなら
正直な子供になり
寝そべってしまいたい
この場所で泣きじゃって
そう
────
────
・
何があなたにとって幸せといえるの
涙ながらにそっと囁いて
夢を壊さないと何もできないから
勇気を奮いだして
愛してよ
抱いて私の肩を強く
私以外のことは考えず
きっと真実が強いはず
傷はいつか癒ると信じれば
・
・
やすらぎの怖さを忘れないでいてね
夢がぼろぼろになる
今だから
抱いて私の肌をきつく
私以上のことは考えず
きっと欲望が強いはず
目をそむけることさえしないなら
────
────
【チャルダッシュ】
・
もう夢をすべて見尽くしたと思うなら
そっと私の肩を抱いてほしい
それであなたが白痴のように喜ぶならば
もう私は土に還ってしまいたい
走れ 走れ
二度と光がささない道を
走れ 走れ
冷たい水に肌を切らせて
◆
◆
もう誰も信じてくれないと思うなら
深く激しく私を責め抜いてほしい
それであなたがもう一度立ち上がれるならば
もう私は泥にまみれて眠りたい
走れ 走れ
素足と夢が触れあえるまで
走れ 走れ
小石の雨に肌をさらして
───
───
【幸せのクロワッサン】
・
しあわせのクロワッサン
ふたりならカンペキ
君の悩み引き受けるよ
三日月が傾き
窓越しに微笑む
君はおちこんでちゃダメだよ
しあわせなんて どこにでもある
思い出して 今夜
あきらめないでね
夜空の女神は
いつでも君の味方
しあわせのクロワッサン
ふたりならジョウデキ
君の祈り引き受けるよ
三日月が輝き
照れながら微笑む
君も顔をあげてごらんよよ
涙がにあう なんてイヤだよ
背伸びしてよ 今夜
無理してでもいい
笑ってみせてよ
願いはただそれだけ
しあわせのクロワッサン
何度でも歌うよ
君の笑顔見てみたいから
君の笑顔守りたいから
――――――――――
――――――――――
【月が走る】
・
夜を走るなら
月に背を向けろ
けばだつ心に
月は優しすぎる
楔(くさび)を打ち込め
胸の真ん中に
呼び捨てにできる
名前はもうない
澄みし水よ
光を受けて
翳る心に灯る
歌に変われよ
みな幸ある人でいるか
流れにまかれる影でないか
そこは寒いのか
温もれないか
・
・
誰も顧みぬ
僕の歌だから
誰も顧みぬ
君のために唄う
鏡よ砕けろ
正義を示すなら
翼を得るとき
僕は駄目になる
澄みし水よ
光を受けて
かたち残すものの
挽歌になれよ
失うものはせめて少なく
見落とすものはせめて小さく
そこは遠いのか
触れあえないか
────
────
【十一点鐘】
・
・
水色の窓際であなたの右手に水差し
そのままで名曲が聞こえてくるように思う
愛していいなら
いつでも愛せる
愛していいなら
いつでも愛せる
髪を撫で 急ぎ足
外出の支度をしてる
敬虔(けいけん)な日曜の
あなたしか知らない時間
・
・
ほら光 そして恋
あなたの自由な持ち物
近すぎて怖くなる
あなたはいつだって自然
短針が滑る まもなくイレヴン
短針が統(す)べる まもなくイレヴン
時打ちが終わったら
ひとつ願いが叶うだろう
崇高な日曜の
あなたしか要らない時間
─────
─────
【天馬】
・
・
夜空の高みを走る天馬
わたしの窓まで降りてきたなら
ためらうことなくその背に乗り
子供の寝顔を見て回りたい
おやすみ ぼうや 強くなって
わたしの不安を救ってね
おやすみ ぼうや 賢くなって
誰かの予言を破ってね
あなたが生まれた悲しみより
わたしが生きてる意味は軽いね
ラムネの泡より短い夏
それでもひとりじゃもう歩けない
おやすみ ぼうや 厳しくなって
わたしの不正をあばいてね
おやすみ ぼうや 鋭くなって
呪文の矛盾を見抜いてね
───────
───────
【死に至る病】
・
夜が明ける 夜が明ける
さあ目覚めなさい
さあ目覚めなさい
話しなさい 話しなさい
今見てた夢をささやくように
涙の形の小さな雲が
夜明けの空に消え入るまえに
・
・
悔やみなさい 悔やみなさい
死んだ人たちを
思い煩って
信じなさい 信じなさい
疑うことより やさしいはずよ
泣いた日もあるし
泣く日もくるし
それでもあなたは
止まれないから
死に至る病
何度もかかる
それでもあなたは
止まれないから
────
────
【永劫のみどり】
・
みどり ほとばしれ
みどり もえあがれ
すべての遺伝子とまじわれ
みどり はねまわれ
みどり ふきあれろ
あやまちの螺旋をほふれ
愛に変われ
えいえんのじかんをつらぬけ
てんきゅうのくうかんをみたせ
さいぼうのはたらきをすべよ
みらいのえいちのたねとなれ
みどり とびはねろ
みどり ふきあれろ
歴史の暗黒を
愛で満たせ
───────
───────
・
見つけようと思えば
幸せはどこでもある
こころ開き思えば
恋人はそこにいる
こすもすに会いに
長袖のシャツと自転車で
行こう
君の瞳 乾くように
ポケットは今日は
空っぽでいいよ
コンナコト
ずっと続くはずない
■
■
昨日のこと思えば
今日のことがくもるから
冷たい風が告げる
季節を受け容れよう
あの人はきっと
お見通しだから心配は
ないよ
今日言わなきゃ 損しちゃうよ
小細工はナシで
不器用でいいよ
コンナコト
ずっと続くはずない
小細工はナシで
不器用がいいよ
カタオモイ
ずっと続くわけない
――――――――――――
・
・
ほんとの愛ならば
とこしえに変わらぬと
誓いの血を吐いて
てのひらに擦(なす)れ
そんな細い腕で
誰を抱きしめられると言うのか
吼える獅子のごとく
すべての軛(くびき)を壊し
走り出せ
・
・
偽善者を笑うな
真実を庇護するな
誓いの血を吐いて
沈黙に耐えろ
そんな弱い息で
誰を守れるとか言うつもりだ
愚者は愚者のままで
すべての知恵を求めて
動き出せ
──────
──────
・
伝令を走らせろ
すべての仲間を呼べ
人類が滅ぶのを
見届けてやる
ためにだ
祖先の祀(まつ)りを
忘れたせいだ
長生きをしたいなら
行儀よくすることだ
異教徒の入れ知恵に
耳を貸さない
覚悟で
・
・
墓碑銘を彫り直せ
死者に名誉を返せ
不可逆の存在を
忘れてしまう
ためにだ
梵語のspellを
忘れたせいだ
因縁が怖いなら
信念を持つことだ
泥仕合するまえに
死に化粧する
覚悟で
─────
─────
spell・・・呪文という意味もある。
─────
【コン・ソルディーノ】
・
・
弦(いと)に滑らす指を見ていた
風になろうと弦は泣いてた
光の庭で都会を忘れ
無邪気な心取り戻そうか
コン・ソルディーノ
君の声は小さすぎるよ
少し硬いし
コン・ソルディーノ
君は音楽
・
・
青いドレスを褒めてみようか
それとも細い脚にしようか
画家も詩人も出番がないよ
君は君だし 今は今だし
コン・ソルディーノ
君の声はかき消されるよ
少し痛いし
コン・ソルディーノ
君は音楽
──────
──────
コン・ソルディーノ・・・弱音器をつけて
【片淵】
・
経済学部のあたりは
風が真夏を連れてくる
学生通りを渡って
私の窓に吹き寄せる
不安な心のまま
この町に来ないでね
ためらう言葉なんて
定義不能だから
わかってくれるなら
帰去来(帰りなん、いざ)片淵へ
わかってくれるなら
◆
◆
済生会の門からは
悩みのない空が見える
杖がわりの乳母車で
年寄りたちが闊歩する
彼女を想いながら
この町に来ないでね
未知数の愛なんて
二律背反だから
わかってくれたなら
歸去來(かえりなん、いざ)片渕へ
わかってくれたなら
────
────
経済学部・・・長崎大学経済学部
済生会(さいせいかい)・・・総合病院の名前
────
────
【恒星の記録】
・
・
帰らない時なら
私はいらない
死んだ記憶なら
帰れ恋人なら
淋しい私に
声を分けてくれ
昔のように
選ばないで
私はかなり希薄
飾らないで
あなたはきっと微弱
東雲(しののめ)の時まで
起きて 観てるから
星たちの空を記録してほしい
・
・
慈悲深い心で
門を叩くなら
閂(かんぬき)をはずし
裸身を温める
恋人を迎え
差別(しゃべつ)に親しむ
悲しみの部屋
咎(とが)めないで
私はかなり希薄
阿(おも)ねないで
あなたはきっと微弱
暁のときまで
正気でいるから
星たちの空を記録してほしい
──────
──────
差別(仏教用語)・・・あらゆるものがあるがままに存在し、その価値を認めあっている状態。
──────
【笑顔のままで】
・
夜明けから日暮れまで
鳥が空にいるように
僕は君のことだけ
考えることにしてる
10時から6時まで
夢を見続けるように
僕は君のことだけ
考えることにしてる
実りのときが近づいたのは
君の笑顔でわかるよ
空と話すこともできるよ
信じていなくても
ここで
みどりを育ててくれますか
笑顔のままで
みどりを護ってくれますか
みどりのままで
・
・
珍しい蝶よりも
季節の草でありたい
僕は無理をしないで
君のために歌いたい
背伸びするぐらいなら
誰も愛さずにいたい
僕は無理をしないで
君のために歌いたい
もっと深いよ もっと強いよ
君の笑顔の約束
人が人に立ち返れるよ
意識してなくても
ずっと
みどりを助けてくれますか
笑顔のままで
緑を愛してくれますか
みどりのままで
──────
──────
【帽振れ】
・
不可解な色彩の渦で
あなたが見えない
甘やかな迷宮
人知れず 胸を焦がす恋
「蜜」と呼べる「罪」は
あなたの髪に触れたこと
花吹雪を肩に浴びて
笑い声をあげよう
祝う声にかき消される
僕の言葉
僕の指令──帽振れ!
・
・
不合理な満足の日々の
それなりの魅力
ときめく帰り道
君知るや 色褪せない愛
翼のある心
一途に走るこの思い
月の雫 両手に受け
君の町を目指そう
響きわたれ 響き交わせ
僕の言葉
君の合図──帽振れ!
────────
────────
第一連では、あなた。第二連では、君。
つまり、距離感ですね。
────────
【死に至る病】
・
夜が明ける 夜が明ける
さあ目覚めなさい
さあ目覚めなさい
話しなさい 話しなさい
今見てた夢をささやくように
涙の形の小さな雲が
夜明けの空に消え入るまえに
・
・
悔やみなさい 悔やみなさい
死んだ人たちを
思い煩って
信じなさい 信じなさい
疑うことより やさしいはずよ
泣いた日もあるし
泣く日もくるし
それでもあなたは
止まれないから
死に至る病
何度もかかる
それでもあなたは
止まれないから
────
────
【醍醐】
・
ああ わたしの好みの光
そして 響き
ああ 小さな窓にも届く
朝の希望
そこまで来た夏は
愛のように甘い
そこまで来た夏は
愛のように甘い
さあ 踊ろう 夢のなか
さあ 笑おう 今すぐに
ああ 君はスジャータですか
もうここは天上ですか
・
・
指を弾くだけで
世界中に響く
呼吸を聴くだけで
こころ全てわかる
菩提樹の枝には
迦陵頻伽(かりょうびんが)遊ぶ
菩提樹の枝には
迦陵頻伽遊ぶ
さあ 脱けよう サンサーラ(輪廻)
さあ 目指そう ニルヴァーナ(涅槃)
ああ これはサルピスですか
もうここは天上ですか
──────
──────
サルピス・・・仏教でいう熟酥味(じゅくそみ、ヨーグルト味でいいかな?)。カルシウムを強化したら、カルピス。
──────
【銀の鈴】
・
銀の鈴を拾いました
名も知らぬ花の陰で
それは二度と帰ってこぬ
夏の恋の夢でした
好きと言えないままに
散り急ぐ野の花よ
恋が終わったならば
次の恋待ちわびよ
銀の鈴を拾いました
捨てられた口紅(べに)のそばで
それが美しいなら
私でも涙する
蛍 身を焦がすほど
文殻をもてあます夜
銀の鈴を拾いました
捨てられた櫛のそばで
──────
──────
【小夜曲2】
・
夏の夜は水も冴え
叶わぬ恋を慰める
浅い眠り誘う楽(がく)の声
偽りの言葉 すでに無く
この胸の痛み 懐かしく
我もまた ひとつ あかり点す
・
・
心騒ぐことは熄(や)み
億万の目が閉ざされる
寄せて返し 時は滞る
渇仰(かつごう)のくびき すでに無く
素足の天使が舞い降りて
浄められた窓 そっと叩く
────────
────────
・
──だれかが口笛ふいた
──夏草の小道で
──だれかが口笛ふいた
──さわやかな朝に
待ちかねた青空に
君の笑顔映えれば
僕はもう躊躇わず
君の味方になれる
輝くほど 燦めくほど
悲しみだけ 薄れるように
・
・
懐かしい風が吹く
こんな淡い午後には
君に宛てた手紙に
ほんとのことが書ける
誠実さが ただ一つの
君を選ぶ 理由(わけ)であると
──────
──────
小学生高学年の教科書に載っていたフランス民謡「誰かが口笛吹いた」。
自分の作詞作曲の原点となった曲である。
爽やかな歌詞と新鮮な転調。新しい扉が開いた。
▽
冒頭16小節は原曲のままで、それ以降は私の作曲である。
「君」は中学校の制服を着て、柔らかい光に溶けそうになりながら、そこに立っている。
─────────
・
雲の動きを目で追うように
あなたの背に届くように
祈りをこめる
痛みにくらみ 目を細め
君の空を見上げている
自由を賭けた跳躍を
やめないように
今日の思いを忘れないから
僕はずっと幸せです
とんな冬でも
・
・
氷のような余韻を残し
すれ違った刹那の恋を
悔やまないけど
はじけた胸と 閉じた目で
君の空を見上げている
まぶたを刺して慰める
光の中で
今日の契りを刻みつけたら
善も悪もまじめに暮らす
ここに帰ろう
────────
────────
ひとつだけ間違いないこと。
あの人が、この空の下にいるということ。
あの頃もそうだったのに。
もっと近かったのに。
─────
【昼の月】
・
気をつけて 逃げ水の恋です
夏がまぶしいから
見えるはずのものが見えないのに
気づかない
目を開けて 私だけを見てて
昼の月のように
光なくしてから 見えてくるものも
あるわ
もう傷つくこと 悲しむこと
何もない 悔やまないで
昼と夜が呼び交わすとき
今の恋が本物になる
・
・
よく聞いて 少し不安だから
夏が褪せるまえに
つかみかけた夢を
五線に残しておいて
そばだてて その耳を鋭く
若い恋はpiano
虫の羽音に似て 頼りない和音
だから
もう気遣うこと ためらうこと
何もない 悔やまないで
空へ人が呼びかけるとき
今の恋が真実になる
─────
─────
・
君の素肌の温もりを
感じていた頃は
幸せという言葉さえ
素直に言えたのに
恵美の舗道に
また春がめぐるとき
僕は図書館の
白い座席に帰ろう
そこから街を見下ろして
小説を読み返そう
・
・
八月は悲しみの月
繰り返される過失
君とよく似た女性を
愛してしまう気候
去年と同じみたいでも
花も人も違う ※
丘へと風が集まって
僕を牽制する
恵美の舗道が
秋の気配運ぶころ
僕は文学の翼を
試してみよう
羽の裏の白さを見せ ※※
小説を書き直そう
─────
─────
※年年歳歳、花相似たり
歳歳年年、人同じからず
※※【習】という漢字は、鳥が羽の裏の白を見せて、飛び立つ練習をすることを表す。余談だが、鳥も飛行機も向かい風に飛び立つ。
─────
第2連、つまり2番のほうが長いという珍しい歌詞になりました。
─────
【桔梗のうた】
・
夜を忍んで逢いたい
恨みを越え逢いたい
死者と生者の定めは
交われない悲しみ
我の名は忘れてしまえ
ひとり咲け そして枯れゆけ
桔梗よ
魂は癒されることなし
逢いたくても逢えないなら
独り寝のこの夜
明けるな
・
・
弓を絞れど虚しい
命はもう戻らず
嘆く鴉(からす)は吾が友
もうよい とく帰れよ
ひとの心移るときを
見抜くなら 吾に教えよ
桔梗よ
魂は満たされることなし
時と時が重なるなら
吾が身に罪あるも
責めるな
─────
─────
桔梗・・・高橋留美子原作「犬夜叉」に登場する悲劇のヒロイン。退魔の弓使いの巫女。
つまり、これはキャラソンである。
──────
【Namaste】
・
手探りだけの闇のなかで
あなたのてのひら
出会えました
行き先のない船でもいい
あなたのぬくもり
すがりつきます
Namaste Namaste
あなたを信じる
明けない夜はないと
あなたは言った
・
・
自分のために祈るならば
なにも得られぬと
あなたは笑う
許し許され 心を交わし
すべてのしあわせ
求めなさいと
Namaste Namaste
あなたに従う
やまない雨はないと
みんな知ってる
───────────
───────────
【若い樹】
・
思い出はいつも
優しい陽だまり
色褪せた夢さえも輝くわ
綺麗じゃないよね
仕方がないよね
ぎこちないけど諦められない
あなたが望むならば
この樹は茂り
きららきらら 光りだす
梢まで
・
・
いつかは見つける
私のしあわせ
意外なほどに近くにあるはず
あなたが笑えば
世界がうなずく
あっけないほどピースが埋まる
あなたが祈るならば
この樹は稔(みの)り
さららさらら 歌いだす
不思議だね
───────────
───────────
【星の降る里】
・
星の降る里で君に伝えたい
遠く遠い声をついばむ鳥になり
君が好きですとそっと囁こう
細く細く誰も聞き取れないように
帰りたい 帰りたい 星の降る里へ
帰りたい 帰りたい 星のふるさとへ
・
・
寒い星空は思い出させます
むかし死んだ人を優しきあの人を
君の優しさと愛のせつなさと
辛く辛いときも星を忘れるなと
帰りたい 帰りたい 星の降る里へ
帰りたい 帰りたい 星のふるさとへ
─────
─────
【とも子さんが歌ってくれた子守唄】
・
疲れはてた溜め息でもいいから
伝えられるものはすべて
わたしの背中に預けて
そしりも 涙も わたしに返して
あなたの大事な彼女(ひと)が泣くまえに
あなたはきっと優しすぎるから
──おやすみ おやすみ
わたしは
──おやすみ おやすみ
さびしさも
愛してゆける
──────
──────
【古い映画のように】
・
古い映画のように色が戻る
時間がたつとともに胸が痛む
もっと遠くにいたい
──おねがい
遠くの光が怖い
舞いたつ破片(きらら)のように
何度も瞬くせいで
見返す勇気を減らす
・
・
今も心に残る辛い昨日
私みたいな人を抱いたあなた
夏の終わりに決めた
──さよなら
学生通りをゆるく
行き交う人々たちは
みんなが笑顔をつくり
孤独を追い越していく
──────
──────
【若葉の頃には】
・
雨もよいの日に
待っていてほしい
大きな画集を持ち
黄色い服で会いにいく
若葉の頃には
思い出せるでしょう
幸せに囲まれて
どうして人が泣くのかを
嘘を操るの
すでにやめました
わたしのことが気になるなら
手紙をください
──────
──────
【無明】むみょう
・
時には
安楽椅子で
過ぎた昔を思い起こす
別れた
あの人たちの顔はみんな
微笑み浮かべてる
私はどこまで行くの?
終着駅にはいつ着くの?
つまづき 忘れられても
黙って歩けば近づくの?
輝きを失って
心年ふりて
素直な言葉さえも
疑ってしまう
無明のときがもう
私を閉じ込める
────────
────────
・
踊るように光る川は
学生通りを過ぎて
笑い声に照れるように
ときどき波をたてるよ
もうすぐ日差しあふれるだろう
少女が夢見たように
この手のなかで生まれた歌を
晴れた日のために歌う
・
・
星と星の間にある
闇はもう怖くないね
風と土と涙からは
逃げ切ることは無理でも
もうすぐ浄化は終わるだろう
少女が許されるとき
君だけのため作った歌を
晴れた日のために歌う
──────
──────
【海に生きる少女】
・
記憶なんて頼りなさすぎ
どうして僕は懐かしむのだろう
だって僕は初めて来たんだ
そして君を初めて知ったんだ
日差し浴び 君は目を細める
僕はもう 君しか見たくない
海に生まれ 海に恋して
すべてを学び すべてを超える
まぶしすぎて ためらうせいで
真実なんて 言葉にできるはずがないんだ
きっと
──────
──────