黒子のバスケのオリジナル小説を書きたいと思います。
※注意※
・キャラ崩壊
・文章が変
・意味不明
になる可能性大です。
こんなんですが、よろしくお願いします。
〜登場人物〜
雪音菜穂
16歳女子。青峰、桃井と幼なじみ。病気で入院中。赤司の元カノ。少し癖のある長い髪をしている。優しい性格。
琴原桜葉
菜穂の主治医。菜穂のよき理解者。明るい性格。
守葉雪乃、岸萌香、大野花恵、園芽衣美、花咲莉穂、藤野舞穂
菜穂の中学時代のバスケ仲間。雪乃はキャプテン、萌香は副キャプテン。莉穂と舞穂は菜穂と同級生。その他は一つ上。
黒子のバスケメンバーは一応原作通り。
その他人物は、出た時に、紹介します。
菜穂side
コンコンッ
病室のドアの叩く音がする。
誰かな?
ガラガラッ
「菜穂さん。」
そこには、黒子君がいた。
「黒子君。」
私は、微笑んだ。
「調子はどうですか?」
黒子君は、椅子に座ると、そう聞いてきた。
「今日は、良いかな。黒子君は、もう高校生だね。入学式は明後日だっけ?」
「はい。誠凛高校です。」
誠凛かぁ〜
確か、新しい学校だったな。
「そっか。バスケ部入るの?」
「はい。もちろんです。」
「そっか。頑張ってね。」
「はい。頑張ります。」
ガラガラッ
「菜穂ちゃーん、来たよーって、テ、テツ君!?」
勢いよく、病室に入ってきたのは、親友のさつき。
黒子君がいたことに、びっくりしているみたい。
「桃井さん。」
「テ、テツ君。来てたの。」
さつきは、頬を赤くした。
かわいいな、さつきは。
「はい。でも、そろそろ僕は。それじゃあ、また来ますね。」
「うん。ありがとう。」
私は、軽く手を振った。
「そういえば、テツ君には、言ってたんだったね。」
「うん。黒子君には、あたたかさが残ってたから。」
そう、黒子君には、あたたかさが残ってた。
忘れもしない、あの試合。
〜回想〜
「桜葉先生。お願いします。」
私は、何度も何度も、桜葉先生に頼んだ。
「はぁ…わかったわよ。途中からよ。本当に少しよ。」
桜葉先生は、しぶしぶOKを出してくれた。
全中の試合を見に行く事に。
111ー11
優勝 帝光中学校
何……これ…?
涙が出た。
胸が痛い、苦しい、辛い、悲しい。
これが、勝利?
こんなもの、勝利じゃない。
あぁ、本当に私はいらない存在だったんだね。
彼らの異変には、気づいていた。
そのときから、分かっていたこと、だけど。
だけど……
心の奥底では、私はいらない存在じゃないって、思ってくれてる。
そう信じてた自分がいた。
でも今日、身にしみて分かった。
彼らに、仲間は必要ない。
私は、いらない存在。
……じゃない?
私の目にははっきり見えた。
私と同じように苦しんでいる黒子君が。
黒子君だけは、彼らとは違う。
行かなきゃ。
「ちょ、菜穂?どこ行くの?もう帰るわよ。」
「すみません。少し待っててください。」
私は、桜葉先生を後にして黒子君を探した。
「黒子君。」
「菜穂…さん?どうしてここに…」
黒子君は、絶望の淵にいるような顔をしていた。
私は、何も言わず黒子君を抱き寄せた。
「菜穂さん……僕は、なぜ菜穂さんが消えたかわかりました。菜穂さんは、すべて分かってたんですね。」
「うん。でも、まさかここまでとは、思わなかったよ。今日、よく身にしみて分かった。」
そう、分かっていた。
彼らの異変に気づいた時に、私の嫌いなチームになると。
それが、嫌で消えたのも一つの理由だ。
自分がいらない存在だと気づいたことも。
「僕は、もうバスケをやめます。」
「そう。でも、私は、やめないでほしい。黒子君には、あたたかさが残ってる。今は休んだらいい。そして、ゆっくり考えて。」
「はい。…菜穂さん。最後に聞きたい事があります。」
「何?」
私は、黒子君を抱き寄せた手を離した。
「菜穂さんは、今どこでどうしているんですか?」
黒子君になら、話してもいいかな。
「○○病院に入院してる。詳しくは、来てくれたら、話すわ。みんなには、絶対に言わないで。今日会ったこともよ。じゃあ。」
私は、その場をさった。
次の日、黒子君は病室に来てくれた。
「黒子君。来てくれて、ありがとう。」
私は、黒子君に笑顔を向けた。
「いえ。それで、聞かせてもらえますか?」
黒子君は真剣な眼差しで私を見た。
「うん。見ての通り入院してる。脳に腫瘍があって、その腫瘍のせいで、心臓に負担がかかってるみたい。症状は、頭痛とか、息切れ、嘔吐、吐き気、心不全、体力低下とか、いろいろ。」
「いつから、なんですか?」
「うーん。よくわからないの。頭痛は昔からあったし、運動できないから、息切れはよくしてたし。でも、中1の頃はひどかったかもしれないね。」
黒子君は、真剣に話を聞いてくれている。
「でもある冬の日突然、倒れたの。そのとき、初めて、この病気を知った。今度から一緒の学校になるバスケ部の人達と、合同練習の日だった。」
私が通ってた中学は、統合されることが決まっていた。
「その出来事がきっかけで、帝光中に転校してきたんでしたよね。」
「そう。病気の事もあるからバスケ続けられないかったしね。運動は絶対ダメって言われてたから。でも、あの日、思いっきり走っちゃったんだよね。」
「あの日って、菜穂さんが消える前日ですか?」
私は、軽く頷いた。
「そう。その上、倒れる直前に思いっきり手首切った。その結果がこれ。歩くのもなるべく控えろっていわれてるし、そもそも、動くなって。」
黒子君が少し悲しそうな顔をした。
「そんな、顔しないで。自分が悪いんだから。それに、入院しないといけないって言われてたからから、消えたのも一つの理由。もともと入院する予定だったの。まぁ、動くのもダメって言われるとは思ってなかったけど…」
私は、笑ってみせた。
「菜穂さんの悪いところです。そうやって誰にも、言わず独りで抱え込むところ。」
「そう…だね。あの日私、死にたかったんだ。病気のこと誰にも言えないし、言ったらみんなに心配かけるだろうし、言ったところでみんな私のことなんとも思ってないし、もう何も考えたくない、病気の無いところに行きたい、死にたいって。」
「じゃあ、どうして…僕には教えてくれたんですか?僕も彼らと同罪です。」
「黒子君は、違った。もう一生あんな風にはならないなって思った。あたたかさが残ってた。それに、黒子君は、気づいていたんじゃない?私が病気だって。」
黒子君には、一度見られたことがあった。
突然、吐いて倒れるのを。
「いえ、気づいていなかったです。もしかして、とは思いましたが、あの時菜穂さんは体調が悪かったからって正直に言ってましたし、ただの体調不良かと。大丈夫、本当になんともないからって言ってたら、疑ってたと思います。」
「そっか。まぁそんな感じね。あと、これだけは絶対に守って欲しい。あの子たち、キセキの世代には絶対にいま言ったことを、言わないで。入院してることも、私が生きてることも。」
「青峰君にも言ってないんですか?」
「うん。大輝が幼なじみだろうと、彼らと同罪。さつきには、言ってるんだけどね。っていうか、倒れたのを見つけたのが、さつきだったから、言わざるを得なかった。」
「そうですか。でもきっと、みんな菜穂さんのこと、心配してると思います。あんな風になってしまっても、菜穂さんが大切な人に変わりはないと思います。独りで抱え込まず、言った方がいいと思います。」
黒子君は真っ直ぐ私を見て言った。
「そうかな…?でも、今更だし…じゃあ、みんなが前みたいに戻ったら、私の大嫌いなプレーをやめたら、言ってもいいかな。まぁ絶対にないと思うけど…」
「そうですか…」
〜回想終了〜
「菜穂ちゃん、菜穂ちゃん。」
さつきが何度も私を呼んでいた。
「あ、ごめん。ちょっとボーっとしてた。そういえば、さつきは高校、大輝と同じとこ行くんだったよね。」
「うん…本当は、テツ君と同じトコ行きたかったけど、アイツほっとくと何しでかすか分かんないからさ。」
少し悲しそうな表情をするさつき。
「そうだね。こんなこと言うのもなんだけど、大輝のことよろしくね。なんかあったら、いつでも相談のるから。」
「うん!分かってる。ありがとう。」
さつきはいつもの笑顔に戻った。
「本当は、私が支えてあげれたらいいんだけどさ。いや、大輝には、私は必要ないんだった。さつきだからできるんだったね。」
「そんなことないよ。」
さつきは、私を優しく抱きしめてくれた。
「ありがとう。こんなんで、ごめんね。」
私は、いつもそうだ。
ネガティブ。
ほかにも、考えすぎで、独りで抱えすぎで、勘違いしすぎで、ほかにもいろいろ。
いいんだか、悪いんだか。
でも、みんなを傷つけずに、悲しませずに、すむのはいいことだと思う。
「謝る必要なんてないよ。あ、そういえば、手首見せてもらってないね。みせてください。」
さつきは、救急箱を取り出した。
「はい…」
私はしぶしぶ、左手首を見せた。
左手首には、たくさんの切り傷と切った痕がある。
「ちゃんと、消毒してるの?」
「もちろん、してますとも。それが条件で切ってもいいって言われてるんだから。」
私には、自傷癖がある。
前からあるし、性格の問題もあるけど、病気を知ってからは、よく取り乱し、切ってしまう。
本当は、いけないけど、私の性格をよく知っている桜葉先生が、切ったら消毒するを条件、にしてもいいことになった。
そして、さつきも、来たら絶対に消毒をしてくれる。
切ったときに、消毒してるからいいって言うんだけど、念のためって言ってしてくれる。
「本当にガーゼとか、包帯とかいいの?」
「うん。テープとかかぶれるし、包帯とか蒸れるし、毎日もったいないし、深く切った時だけでいいよ。」
「そっか。じゃあ、今日はもう帰るね。少ししか、居れなくてごめんね。」
「ううん。いいよ。ありがとう。じゃあね。」
さつきは、帰ってしまった。
窓から、桜の木が見える。
きれいだなぁ。
私は、窓の外をボーっと見ているのが、意外と好き。
桜葉先生が、私のために景色のいい部屋にしてくれたから。
この病室には、いろんな物がある。
個室だし、桜葉先生やさつき、黒子君達がいろんな物を持ってきてくれるから。
家にいるみたいでいいでしょって。
本当に嬉しい。
4月2日、私の誕生日には、みんなが来てくれて、いろんな物をくれた。
かわいいワンピースとかカーディガンとか(入院中は、ワンピースにカーディガンでいることが多いから。)くまのぬいぐるみとか、いろいろ。
誕生日には、莉穂ちゃんたちみんなが来てくれた。
小伊吹先生も。
私の大好きな人たち。
あの頃は、楽しかったな。
〜回想〜
「菜穂ちゃん。今のシュートよかったよ。」
雪乃さんがほめてくれる。
「本当ですか?」
「うん!きれいなフォームだった。菜穂ちゃんめっちゃ上手になったよね。」
「本当にね。すごいよ。」
萌香さんも、ほめてくれた。
「そうですか?ありがとうございます。」
私は、中1からバスケを始めた。
登場人物追加
小伊吹優葉
菜穂たちの元バスケ部顧問。怒るとめっちゃ怖い。厳しい先生だけど、とても優しい。桜葉とは、中、高と一緒だったらしい。
備前百合
バスケ部元キャプテン。6月の大会で初戦敗退で引退した。
運動部には入らないつもりだった。
でも、みんなが行くって言うし、先輩方に誘われて、バスケ部の見学と体験をしにいった。
私は、身長が高いし、(162センチ※中1の時)三年生抜けたら少なくなるから、どうしても入って欲しかったらしい。
最初は、少し嫌だった。
運動できないし、顧問先生が怖いって噂の先生だったから。
でも、先輩達は、スッゴく優しくて、他の部の誰よりも、良い人だった。
私は、莉穂ちゃんと舞穂とバスケ部に入ることになった。
私は、ずっと、さつきと大輝と一緒の学校だったけど、親の転勤で、小5の時に転校した。
小学校は、舞穂と一緒で、莉穂ちゃんとは、中学から一緒だった。
でも、小学生の時に社会科見学とか一緒に行っていたから、仲は良かった。
バスケ部は、全員で20人だった。
でも、6月の大会で3年は引退した。
残ったのは、7人だった。
私は、下手だったけど、一生懸命頑張ったら、ユニフォームは8番をもらえた。
本当に嬉しかった。
先輩や先生のおかげだ。
小伊吹先生は、怒るとめっちゃ怖くて、厳しい先生でとても優しい先生だった。
生徒一人一人、きちんとみている先生。
一、二年の部活になって、4日後、突然、私は小伊吹先生に呼び出された。
なんだろう?
怒られるのかな?イヤだなぁ。
そんな、思いで小伊吹先生のところへ行った。
学校の決まりで、1年は基本的に、6月の大会が終わらないと、練習には参加させてもらえなかったため、小伊吹先生とはまだ少ししか関わったことがなかった。
「なぁ、菜穂。私に隠してることない?」
「え?」
意味が分からなかった。
隠してること?
なんの話?
私の頭の中は、?だらけだった。
「菜穂の首の痕と手首の傷についてよ。」
ドクンッドクンッ
なんで、なんで気づいたの?
長袖だって着てるし、そんな手首なんていちいち見る訳ない。
学校のジャージは、首は隠れる作りになってるし。
「私が、生徒をきちんと見てないわけがないでしょ?正直に、話してね。菜穂、暴力受けてない?」
受けてないって言う?
でも、嘘ついたら絶対怒られるよね。
「受けて…ま…す。」
私は小さな声で下を向いてそう言った。
小伊吹先生は、優しく微笑んだ。
「菜穂。正直に話してくれて、ありがとう。いつから、暴力は受けてるの?」
「小3くらいですかね。お母さんは少し前から受けてたみたいです。前は、ひどくなかったんですけど、最近は毎日じゃない変わり、ひどくなりました。」
「そう、お父さんから受けてるの?」
「はい。」
「知ってる人は、いるの?」
「幼なじみ2人は、知ってます。」
「自分から言ったの?」
「いいえ。お父さんに暴力受けてる時にたまたま2人が家に来たので話しました。」
「そう。菜穂は他の人には言ってほしくないよね?私は、他の誰も言わないって約束する。その代わり、お母さんと少し話をさせてくれない?菜穂の嫌な風にはしないから。」
あぁ、この先生は、いい先生だな。
私の気持ちよくわかってる。
「はい。」
「ありがとう。じゃあ、手首見せてくれない?ちらっと見たけど。」
やっぱり、バスケしている間に、見てたんだな。
私は、何も言わず、手首だけを見せた。
「保健室行こうか。」
小伊吹先生は、相談室?のドアを開けた。
「うわっ!」
そこには、バスケ部のみんながいた。
「あ、あんた達なにしてんの?盗み聞き?」
「すみません…」
みんなが同時に、謝る。
「部活はどうしたのよ。」
「先生が、フットワーク終わったら、来てって言ったから、職員室行ったら、相談室だって言われて。相談室来たら、菜穂ちゃんと話してるし、少し聞いてみたら、夢中になっちゃって。」
と、雪乃さんが言う。
「なんで、みんながいるのよ。」
「萌香さんが、雪乃さん遅いから、見てくるって言って、萌香さんも行ったきり帰ってこないから、花恵さんが行って、芽衣美さんが行って、莉穂ちゃんが行って私が行って。」
「どんなんだよ。ごめんな、菜穂。誰にも言わないって約束したのに、こいつら聞いてたわ。」
「まぁ、聞かれてしまったものは仕方ないので、誰にも言わないでもらえるなら、いいです。」
「菜穂、おまえなんて良い人なんだ。おまえら感謝しろよ。」
「はーい。」
「もう。早く部活するよ。」
そんなで、小伊吹先生にも、バスケ部のみんなにも、バレたけど、良い人だったし良かったんだと思う。
みんな優しくしてくれて、下手な私も多少上手になった。
そして、8月上旬。
公式戦じゃないけど、公式戦みたいな大会があった。
私にとっては、公式戦と同じだ。
負けても、他の負けたところと試合をするっていう試合だ。
2日間あって、全部で4試合する。
1日目は、2試合。
2試合とも、負けた。
私は出ていないけど、一生懸命応援した。
こんなこといいたくないけど、この学校は弱い。
毎年、初戦敗退。
負けるのは、悔しい。
でも、本気で真剣に戦って、仲間と協力して、力を合わせて、諦めさえしなければ、それでいい。
負けたら、悔しい。
だから、練習して上手になる。
それも、大切なことだと思う。
2日目、1試合目は私は出ていないけど、勝った。
すっごく嬉しかった。
勝った時に、みんなで喜び会えるのもいいところだと思う。
2試合目。
第3Q
「菜穂。」
突然、小伊吹先生が私を呼んだ。
「はい。」
私はビクッとした。
なになに?
こわいんですけど。
「3分切ったら、莉穂と交代。」
「え?」
今、交代って言った?
確かに、まぁまぁ点差ついてるけど、私を普通出す?
「え?じゃなくてはいでしょ。」
「はい。」
3分切り、私は初めて試合に出た。
ヤバい。
めっちゃ緊張する。
「菜穂ちゃん、9番ね。落ち着いて、頑張って。」
莉穂ちゃんはそう言ってくれたけど、落ち着けない。
だって、人生初だよ。
普通の練習試合ならでたことあるけど、シュートを決めたこともないし、普通の練習試合と違うし。
「菜穂ちゃんは、いつも通り下ね。大丈夫。落ち着いて。」
雪乃さんも、優しく指示を出してくれた。
「はい。」
とは、言うものの、落ち着けない私。
でもこの後、試合に夢中で、落ち着けていた。
「菜穂ちゃん、動いて!」
でも、ディフェンスはなんとかなっているけど、オフェンスがダメ。
ちゃんと、動かなきゃ。
リバウンドしなきゃ。
とにかく、必死だった。
ビーッ
第3Qは終わった。
「菜穂、なんでシュートしようとしないの?」
「え?」
図星だった。
私はシュートをしようとしなかった。
とにかく動いていただけ。
「シュートしようとしなさい。」
私は小伊吹先生に少し厳しく言われて、シュンとしてしまった。
せっかく、試合に出してもらったの……
ちゃんとしなかきゃ。
第4Qは始めからは出してもらえなかった。
もしも、人生初試合がこんな形で終わったら、どうしよう?
「菜穂。雪乃と交代。」
「え?あっ、はい!」
試合に出してもらえることになった。
嬉しい。
でも……
雪乃さんとはダメでしょ。
私が、雪乃さんの代わりができる訳ないでしょ。
でも、やるしかない。
第4Q、私は、雪乃さんと交代した。
試合終了まで、あと5分切った。
「菜穂ちゃん、頑張って。5番ね。」
頑張ろう。
この試合、みんなで勝つんだ。
私は、ディフェンスもオフェンスも頑張った。
シュートも、もらえそうな場所に移動したりした。
シュート打たなきゃ。
交代してから2、3分経った時だった。
私はゴール下で、パスをもらった。
この位置なら、打てる。
敵が、シュートを止めようとしている。
そして、私はゴールめがけてシュートをした。
ピーッ
ガコンッ
笛の音がして、ボールがゴールに当たる音がした。
あ、外れた…
って私、ファウルした?
はぁ…どうしよう。
私は、少し落ち込んだ。
「菜穂ちゃん、フリースローだよ。」
萌香さんがそう言った。
「え?フリースロー?え!?」
私は、フリースローラインに立った。
私はすごく緊張していた。
鼓動が周りの人に聞こえそうなくらいうるさかった。
「落ち着いて!」
「頑張って!」
みんなの応援がすごく励みになる。
落ち着いて、ラインを踏まないように、少し下がって。
私は、少し下がってボールをもらった。
私は、ボールをしっかり持ち、ゴールめがけて、シュートした。
ガコンッ
ボールがリングに当たる音が、さらに緊張させた。
外しちゃった…
一本打ったら、みんなが、肩を叩いて、言った。
「頑張って。」
「大丈夫。落ち着いて。」
「リバウンドしてあげてね!」
小伊吹先生が言った。
あと一本、もぅはずれてもいい、リングには当てよう。
そうすれば、みんながリバウンドしてくれる。
私は、ボールをもらい、大きく息を吸い込んだ。
ボールをしっかり持ち、もう一度シュートした。
ザッ
シュートが決まった音がした。
その瞬間、ものすごい歓声が聞こえた。
え?入った?
シュートが決まった。
私は、飛び跳ねて喜んだ。
その後、私がシュートをする機会はなかったが、試合には勝った。
その後ミーティングがあった。
「お疲れ様。まぁまずは…」
小伊吹先生がそう言うと、みんなが私を見た。
「え?」
私は少し戸惑った。
「人生初試合初シュート。」
小伊吹先生が言うと、みんなが。
「おめでとう!」
と言った。
私は自然と笑顔になった。
「ありがとうございます。」
「いや〜びっくりしたわ。あの緊張の中でよく入れたと思うわ。」
そう言って、ほめてくれた。
その後、いろいろ話を聞いて、他の学校の試合を見ることになった。
「菜穂ちゃーん。」
懐かしい声がした。
「うわっ!」
私は誰かに抱きつかれて、バランスを崩した。
「おい!さつき。菜穂が困ってんだろ。」
あ、2人とも、来てたんだ。
「さつき、大輝。来てたの?」
「うん!帝光中の友達と一緒にね。」
さつきの後ろに、3人の男の子がいた。
「はじめまして。俺は赤司征十郎。よろしく。」
「俺は緑間真太郎なのだよ。よろしくなのだよ。」
「俺は〜紫原敦〜よろしくね〜」
赤い髪をした少し背の低い人が、赤司君。
メガネをした、なぜかうさぎのぬいぐるみを持っている人が緑間君。
背の高い、お菓子をたくさん持っている人が紫原君らしい。
「はじめまして。私は、雪音菜穂。よろしくお願いします。」
私も、自己紹介をした。
「菜穂ちゃん。さっきのシュート見たよ。すごかったね。」
さつきが、ほめてくれた。
「ありがとう。自分でも、びっくりした。」
「さっきのシュートはきれいだったのだよ。入らないわけがないのだよ。」
「あぁ。とてもきれいだった。1回目のシュートは入らなかったが、きれいなフォームだったよ。」
「うん〜俺もそう思う〜」
「あ、ありがとう。」
私は少し照れた。
「よかったな。菜穂。」
大輝がそう言った。
「うん。今まで、練習を1日も休まず、頑張ったかいがあったよ。」
私たちは少しの間いろんな話をした。
「じゃあね。また、連絡するね。」
「うん!バイバーイ。」
私は、さつき達と別れた。
私は、この日初めて赤司君たちに会った。
黒子君と黄瀬君とは帝光中になってから、会った。
私にとってこの日は、とても大切で幸せな日になった。
10月上旬。
私にとって、最初で最後の公式戦だった。
私たちは、40点以上も点差をつけられて負けた。
みんなが、試合に出してもらえた。
私も、もちろん少しだったけど出してもらえた。
少しの時間だったけど、一生懸命頑張った。
ディフェンスもオフェンス下手でも、なんとかしようとした。
とにかく早く、下に戻ろうとしたし、動き回ったし、パスも、もらえるよう考えた。
最後まであきらめなかった。
試合が終わった後、みんなが泣いた。
いろんな思いがこみ上げてきて、もうこの仲間で、この学校で試合には出られないんだなって思うと、涙が止まらなかった。
私にとって、忘れられない思い出。
でも、楽しい日々は長くは続かなかった。
中1の冬、私たちは今度から一緒の学校になるバスケ部の人達と、合同練習があった。
その人達はあまりいい人ではなかった。
「下手くそだし、バスケ部なんて止めろよ。」
「いても邪魔なだけだし、消えろよ。」
彼女達は、私たちに、ほかにも、悪口をたくさん言った。
私は特に、言われた。
私が一番下手くそだったし、自覚はあるけど、やっぱりつらかった。
練習中、涙をこらえるので必死だった。
そして、私は練習中倒れた。
病院に運ばれて、いろんな検査をした。
私は、病室のベッドの上で目を覚ました。
そこで、桜葉先生と初めて出会った。
そして、いろいろ話をした。
そして、本題に入った。
「菜穂ちゃん。落ち着いて聞いて。菜穂ちゃんの脳には腫瘍があって、それのせいで、心臓に負担がかかってる。よく頭痛とか、息切れとかなかった?」
「言われてみれば、あったかもしれないです。」
「それでね。菜穂ちゃんは……」
桜葉先生はとても言いにくそうにしていた。
「菜穂ちゃんの、命は…奇跡が起きない限り、二十歳まで…もたない……」
私は、その日病気のことを初めて知り、私の命は二十歳までもたないことを知った。
私は、独り泣いていた。
病気のこと、学校のこと、友達のこと、いろんなこと。
もうどうしたらいいか分からなかった。
その時、病室のドアがあき、小伊吹先生を含め、バスケ部のみんながいた。
「な…んで…?みんなが…?」
すると、小伊吹先生が私を抱きしめた。
「菜穂。独りで抱え込むな。私たちを頼って。独りで泣くな。」
「ごめんね。私たち、全部聞いてたの。盗み聞きしてごめんね。」
小伊吹先生の後ろで、花恵さんが、そう言った。
「菜穂ちゃん。私たちには、弱みを見せていいんだよ。」
芽衣美さんが、泣きそうな顔で、そう言った。
病気のことと余命のことは、みんなにバレてしまった。
正直、少しつらかったけど、半分良かったって思えた自分がいた。
私は、その日から学校を休んだ。
病気のこともあるし、学校のことで辛くて仕方なかった。
これからどうしよう?
ずっと、そう思っていた。
誰とも、話さず部屋にこもった。
そして、連絡もしてこないし、返事が返ってこない私を不思議に思ったさつきと大輝が家に来てくれた。
「菜穂ちゃん。帝光中に来ない?おばさん話したら良いって言ってくれてる。菜穂ちゃんは、新しい学校がいやなんでしょ?」
「バスケ部の奴らと離れるのは辛いと思う。けど、バスケ部の奴らはお前が苦しんでる方が辛いと思うぜ。」
「菜穂ちゃん。話をしよう。部屋から出てきて。」
その後、さつきと大輝は必死に私を説得し、私は帝光中に行くことにした。
中1は一番楽しくて、つらかったと思う。
〜回想終了〜
私は泣いた。
昔の思い出は、私を、幸せにさせるし、辛くさせる。
私、みんなに迷惑しかかけてない気がする。
どうせ死ぬんだし、今死のうかな?
私は、カミソリを手首に当てて、思いっきり切った。
白い肉が見えて血が溢れてきた。
さよ…なら……
私は、意識を手放した。
桜葉side
私は、菜穂の検査結果やカルテをみていた。
最近は、安定してるけど、きっと悪化するわね。
やっぱり二十歳までは、いいや来年までさえも無理ね。
長くて二十歳だもの。
覚悟はしてたけど、私自身も辛いわね。
菜穂はもっとか…
〜回想〜
「菜穂。言いにくいんだけどさ…詳しい検査してみないと、わからないけど、二十歳どころか、来年までも生きれないかもしれない。」
「そう…ですか……」
「まだ、わからないけど…覚悟はしといて。」
「大丈夫です。薄々気づいてましたから。最近、頭痛がひどいんです。それに、ご飯も食べれません。覚悟はしてましたから。」
菜穂は微笑んだ。
見え見えのやせ我慢なんてして…
「我慢するなよ。」
私は菜穂を抱きしめた。
「ありがとうございます。でも、耐えられる範囲ですから。」
〜回想終了〜
「よしっ。菜穂のとこいくかな〜」
私は、ナースステーションを出ると、菜穂の病室へ向かった。
「菜穂っ!」
目の前には、血まみれになった菜穂がいた。
私は、急いで脈をみた。
かすかにある…わね。
私は、急いで看護婦さんを呼んだ。
黒子side
僕は、火神君と、キセキの世代を倒し、日本一になると約束した。
今は、菜穂さんの病室に向かっている。
コンコンッ
僕は、ノックし、部屋へ入った。
「黒子君。」
菜穂さんは、僕を見て微笑んだ。
僕は椅子に座ると菜穂さんの手に目がいった。
菜穂さんの細い手には包帯が巻かれていた。
「……切ったんですか?」
「うん。」
菜穂さんは少しうつむいてそう言った。
「辛い時は、いつでも頼ってください。」
「ありがとう。」
菜穂さんは微笑んだ。
「菜穂さん。僕は決めました。僕はキセキの世代を倒し、日本一なってみせます。そして、必ずあの頃のみんなに変えてみせます。だから、それまでは死なないでください。」
「黒子君……うん。わかった。頑張って。応援してる。」
「ありがとうございます。みんなが、変わってくれたら、菜穂さんのこと言っても良いですよね。」
「うん。あの頃のみんなだったら。」
「それで、明日誠凛のみんなに会ってもらいんですが。」
「いいけど、皆さんは良いって言ってるの?」
「なんとかしてみせます。」
「そう。ならいいよ。楽しみだなぁ。」
菜穂さんは嬉しそうにしていた。
菜穂side
「じゃあ、今日はもう遅いので帰りますね。」
そう言って、黒子君は帰った。
黒子君はすごいね。
黒子君ならきっと大丈夫だね。
私、嬉しかった。
黒子君が、みんなを変えてくれるって言ってくれて。
1人が勝利じゃなくて、チームの勝利を見ることができる。
黒子君も頑張るんだから、私も頑張らなきゃね。
私は少し生きる希望がもてた気がした。
でも…みんなが変わるまで、私生きていられるかな?
今日も言えなかった。
さつきには、言えたっていうか、バレたけど…
黒子君には言えないな。
変わろうって思うだけで、全然変われないな。
みんなに全部吐き出して、頼ってしまいたい。
そう思うけど、やっぱり今までそうやって生きてこなかったから、できないな……
私は、散り始めた桜と夜空をボーっと見つめていた。
リコside
私たちは今、黒子君の友達に会いに行こうとしている。
〜回想〜
「あの。すみません。」
「うわーっ!びっくりした。何?」
「今日、どうしても、皆さんに会ってもらいたい人がいるんです。」
会ってもらいたい人?
少し気になるわね。
「どんな人なの?」
「僕が中2の時の帝光中のマネージャーだった人です。」
「中2の時?どういう事だ?」
と、日向君も気になっているよう。
どういう事かしら?
「彼女は中1の時は、帝東中と言う学校にいました。」
彼女ってことは女の子かしら。
「帝東中…確か、廃校になったんじゃ?」
と伊月君も気になっている様子。
「はい。帝東中は、他の3つの学校と一緒になり、今はありません。彼女は、あることがきっかけで廃校になると同時に帝光中に転校して来たんです。」
「で、中3の時は?」
小金井君と水戸部君たちも、興味しんしんのよう。
「中3の時、というが中2の途中から、突然姿を消しました。」
「ど、どういう事?」
「彼女は病気だったんです。僕たちに心配をかけまいと、入院が決まった時に何も言わず、姿を消しました。」
「そう…だったの……」
「それに、彼女が消える前日にあることがあったんです。それも消えた理由です。」
「何があったんだよ。」
「それは……後日話します。」
「そして、彼女は、何も言いませんが、多分彼女の命はあとわずかです。」
「え!」
命はあとわずか…?
それほど、重い病気なの?
「彼女は、誠凛のようなチームがとても好きなんです。彼女は帝東中でバスケをしていて、そのチームはあまり強くないチームでしたが、とてもいいチームだったそうです。そのチームも誠凛のようにチームプレイを大切にしていたチームだったそうです。」
「へぇ〜そうなのか。」
「彼女に、僕がこれから一緒に戦っていくチームメイトを紹介したいんです。彼女はとても喜ぶと思います。」
「分かったわ。じゃあ今日練習を早めに切り上げて行きましょう。」
〜回想終了〜
「ここです。」
黒子君に連れられて、彼女の病室の前に来た。
どんな子なのかしら?
気になるわね。
私は、彼女に会えることが楽しみで仕方なかった。
コンコンッ
私たちは病室の中に入った。
病室には、栗色の腰まである少し癖のある髪をした、びっくりするくらい細い女の子がいた。
点滴をされて、モニター管理までされて、酸素までしていた。
なんてかわいい子なのかしら。
それに、細い…
一目で病気なんだと、分かった。
「菜穂さん。」
「黒子君。そちらの方々が誠凛バスケ部の方?」
「はい。」
「はじめまして。雪音菜穂です。」
菜穂ちゃんかぁ〜
「はじめまして。私は相田リコ。」
みんなが、次々自己紹介をした。
「菜穂さん。もしかして、今日は体調悪いですか?」
黒子君は、心配そうに見つめる。
「うん。ちょっとね。でも、大丈夫。酸素ついてるし。」
菜穂ちゃんは、優しく笑った。
「病気、あまりよくないのか?もしかして、余命後少しとかじゃないよな?」
火神君は、単刀直入にそう言った。
「火神君!」
私は少し大きな声を出した。
「火神。やめろ。聞きにくいことペラペラ言うんじゃねぇーよ。」
「別に、大丈夫ですよ。火神君の言うとおりです。」
「え……」
火神君の言うとおり?
じゃあ……
「私は来年まで生きていられるか分かりません。」
黒子side
「え……」
頭の中が真っ白になった。
菜穂さんの命は後わずか。
薄々、感づいてはいたけど、まさかこんなに短い命だったとは……
「本当なのかよ!?」
火神君がそう言う。
「うん…先生が治療法を探してくれてるんだけど、無理みたい。それに、自分でもわかるの。思うように体は動かないし、酸素がないと生活できないし、心臓も突然止まるし。」
菜穂さんは、うつむきながら、そう言った。
僕は深呼吸をした。
「菜穂さん。これだけは、約束してください。」
「何?」
菜穂さんは、儚く、今にも消えてしまいそうなほど、弱々しく見えた。
「生きることを、諦めないでください。少なくとも、僕たちが、キセキの世代を倒すまでは。絶対にあの頃のみんなにしてみせますから。」
菜穂さんは、本当はあの頃のみんなに会いたいんだ。
菜穂さんがみんなに会えないまま、死んでいくなんて嫌だ。
本当はみんな、菜穂さんのことを、必要としているし、大切におもっているのだから。
赤司君だって、菜穂さんのことが大好きなはずだから。
「そうよ。今まで、つらかったかもしれない。これからも、つらいと思う。でも、生きて。必ず、キセキの世代を倒してみせるから。私たちを信じて。」
カントクは菜穂さんの手を握り締め、真剣に話している。
「リコさん……」
「確かに、病気で死ぬのはどうすることもできねぇよ。でも、生きることをやめようとするな。ぜってーにあいつら倒してやるから。みんな、菜穂に生きてほしいと思ってるよ。なぁ?」
みんなが、頷いた。
「日向さん……皆さん…」
「菜穂さん。菜穂さんは、愛されています。どんなにつらくて逃げ出したいときも、生きることを止めないでください。少なくとも、ここにいるみんな、菜穂さんが死んだら悲しみます。」
「黒子君……ありがとう。わかった。絶対に生きることを止めないから。」
菜穂さんは真っ直ぐ僕を見た。
「ところで、菜穂のチームは、どんなチームだったんだ?もしかして、その写真が前のチームの?」
キャプテンがそう言った。
「はい。そうです。」
菜穂さんは写真を手に取ると、話し始めた。
「前列の一番右の人が、キャプテンの森葉雪乃さん。身長はあまり高くないですが、Cでした。」
バスケ部の皆さんの話をしている時の菜穂さんは、いきいきしている。
「右の二番の人が、副キャプテンの岸萌花さん。3Pが得意でSGでした。」
「へぇー1度見てみたいな。」
と、キャプテンが言う。
「左から二番目の人が大野花恵さん。走るのが早くてPFでした。一番左が園芽衣美さん。クールな頭脳を持つPGでした。この四人が一つ上の先輩でした。みんな、優しくて、本当にいい先輩です。」
「とってもいいチームなんでしょうね。」
と、カントク。
「はい、とても。後列の左から二番目の人が花咲莉穂ちゃん。チームの中では一番小柄で負けず嫌いでSFでした。一番左が藤崎舞穂。マイペースで、明るいSFでした。」
菜穂さんは、笑っていた。
作り笑顔なんかじゃなくて、本当の笑顔だった。
菜穂さんが笑っていると、僕も嬉しかった。
「一番右が、顧問の小伊吹優葉先生。怒るとめっちゃ怖くて、でもとっても優しい先生でした。右から二番目が私です。一応Cでした。」
「ユニフォームは、8番だったんだね。」
と、伊月先輩が言う。
「はい。ありがたいことに、一年の中では一番いい番号をいただきました。」
「菜穂が下手なりに、一生懸命頑張ったからでしょ。」
声がした方を見ると、菜穂さんの主治医の琴原桜葉先生がいた。
「桜葉先生、いつの間に…」
「今来たところよ。」
「えっと、私の主治医の琴原桜葉先生です。」
「どうも〜」
「私たちは、誠凛高校バスケ部です。」
カントクが、琴原先生に挨拶をした。
「黒子君のとこね。」
「はい。」
「うわっ!!びっくりした。そんなとこにいたのね。」
「毎回毎回そんなに驚かないでください。」
「仕方ないでしょ。」
「俺たちはそろそろ帰るか。」
「そうね。じゃあね、菜穂ちゃん。また来るわね。」
「はい。ありがとうございます。」
僕たちは、病室を出た。
「なぁ黒子。」
病室から出ると、キャプテンに声をかけられた。
「菜穂って、してるんだな。」
「なんのことッスか。」
火神くんが問う。
「手のことですか?」
「ああ。」
「やっぱりか。」
火神君以外はみんな気づいた様子。
「なんのことだよ。」
「リスカよ。リストカット。」
「え!そうなのか?」
「はい。気づかなかったんですね。気づかないとは思ってましたけど。」
「全然気づかなかったわ。超細いな〜とは思ったけど。」
「ちょっと、っていうか、だいぶ細すぎたよね〜」
「……(コクコク)」
「中1の頃の写真見たけど、変わりすぎだな。」
「本当に重い病気なのね。」
菜穂さんは、日に日に痩せていく。
中2の頃も今ほどじゃないけど、日に日に痩せていくから、みんなが心配していた。
〜回想〜
「菜穂、また痩せたかい?」
赤司くんが心配そうにしている。
「ちょっとだけね。」
「ちょっとじゃない気がするが…」
「本当にちょっとだよ。」
菜穂さんは、微笑む。
「菜穂ちん。お菓子食べる?」
「いいよ。紫原君が食べなよ。」
「そーお?じゃあ食べる。」
そう言って、紫原君はまたお菓子を食べ始める。
「むっくんは本当によく食べるね。」
「本当によくそんなに食べれるッスよね。」
「その食欲を菜穂にも分けてやるのだよ。」
「全くだな。」
「ですね。」
「みんな心配しすぎだよ。そんなことは、倒れるかなんかしてからにしなよ。」
「倒れてからじゃ遅いと思うが…」
「まぁ…そうだけどさ。」
〜回想終了〜
「ま、とにかくキセキの世代をぶったおすぞ。」
火神君が拳を差し出す。
「そうですね。」
僕は火神君と拳を合わせた。