どうもこんばんはぜんざいです。
今回は『妖怪学校の先生はじめました』の夢小説です。
相変わらず夢主はイケメンになりますが、暖かく見守ってやってください。
でわ!
原作沿いで夢主は『雷神』。メガネが無い長身巨乳イケメンです。関西弁。
**
桜舞う四月の新学期、今日は新しく教師が来るらしい。そんなことを頭の片隅にも覚えていない『雷鳴(カミナリ) いおり』は親友の佐野、狸塚と共に屋根の上を緩やかに駆けながら登校していた。
彼女の肩には過剰にデフォルメされた狸塚が乗っており、がしりと頭を抱き込まれるようになっていたが、彼女は気にも止めていないようで、はっはっはと笑っている。
他愛ない会話をしながら屋根の上を走っていたのだが通りすぎるところで、揉め事を発見してしまった。
「これは折れたわ」
「オイ慰謝料寄越せよ」
「高!!! ぼったくりにも程があるよ!」
見ると同じクラスの奴等が教師らしき人物に絡んでいた。
折れたわ、と言っていた男子生徒、狢は「うるせえ! 粉砕骨折したんだよ!」と自称粉砕骨折した方の腕で教師(仮)の胸ぐらを掴む。一方の教師(仮)は「僕の心も粉砕骨折しそう」と怯えている。
『あ、狢と秋雨や』
「絡まれてんの誰だろ……」
「……どうせまたしょうもない因縁つけてカツアゲでもしてんだろ、行くぞ」
「あれま」
『助けへんの?』
「いいよ、メンドクサー……ん?」
なんかごちゃごちゃ言ってる狸塚から視線をもとに戻し、再び教師(仮)を見れば、あら不思議。教師(仮)が「もうやだぁぁぁ!!!」と情けない叫びをあげると同時に狢の全身が燃えた。
雷鳴の耳元で「わあっ! 突然発火した!」と声をあげる狸塚の頭を撫で、佐野といぶかしげな視線を教師(仮)に送る。
そのあと時間も時間だったので慌てて学校へと向かった。
.
【雷鳴side】
学校に着いてしばらく、一つ目小僧の入道にジャーマンスープレックスを掛ける猫又の秋雨、それを見物していると、扉が「お邪魔します!」という声と共に勢いよくがらりと開いた。
そこから現れたのは今朝の教師らしき人物。彼は入道や秋雨、ドクロになった歌川さんやろくろ首の子を見てぱたりと扉を閉めた。
そして再び扉が開いたと思えば先の教師が飛び込んできた。心なしか学園長に蹴り飛ばされていた気がする。
「は、はろー……」
言っておくが彼は国語教師らしい。
.
教師は極度のビビりらしく教卓のしたに身を隠して約40分。イライラしてきたのだが、佐野が助けるふりして手を伸ばし、教卓のしたから引っ張り出したところで教師の服が下着以外弾けた。キャアアアと女子より女子力のある悲鳴をあげて驚いている。
佐野 命はいわゆる、『疫病神』と言う物で、意思ひとつで相手を不幸にすることができるのだ。
豆と共に佐野に駆け寄り、説明する。
「せんせー、佐野君は疫病神なの!」
『疫病神は妖術で人に災いをもたらすんや、今のセンセみたいにな』
「でも珍しいね」
『おん』
「佐野くん、妖術は使わない主義なのに」
「なんかイラッとしたもんでつい……勢いで」
『勢いならしゃーないな』
教師の手を握った方の手をハンカチで丁寧に拭いているところから、まあ遊び相手見つけた的なものかな。
そのあとすぐに廊下で学園長に呼ばれた教師は着替えを貰っていた。ちなみに現在豆を頭に乗せて見物しています。豆がきゃわわ過ぎて死にそう。
そして見てしまったのだ。学園長から教師が茶色い紙袋を渡されていたところを。
「何これ」
「とりあえず先にズボン穿いてくださいよ」
「こ……これは! これは許されるんですか!?」
「グフフ、私は学園長ですよ、学園では私がルールです」
「学園長にそんな権限があるなんて!」
「君には期待しているのですから、頼みますよ!」
「が、がんばります!」
それを見て唖然とする俺と豆を見つけた佐野に声を掛けられる。
『た、大変やみこっちゃん』
「大人の汚いところを見てしまった」
.
「と、言うことで。今日からこのクラスの担任になる安部晴明、人間です。よ、よろしくね!」
先程の教師は安部晴明(あべ はるあき)と言うらしい。多分みんな晴明(せいめい)だのなんだの言うんだろうな。
狢からのブーイングに「ブーイングしないで泣いちゃう!」と言っていたので、まあ残念なビビりヘタレだろう。
「じゃ、じゃあ出席取るね。のっぺら坊の狢くん」
「あ?」
「がしゃどくろの歌川さん」
「はい」
「一つ目小僧の入道くん」
「ん」
「えーっと、疫病神の……佐野命くん」
「……」
佐野にシカトされたことで気持ちテンションが落ちたようなせいめい君だが、次に名前を呼んだのはアイツなので、豆と共に教卓に近づく。
「次、泥田坊の泥田耕太郎くん」
「泥田君今日お休みだよ!」
「わっ!」
『泥田の姉さんがハワイで結婚式挙げるから今ハワイにおんねん』
「妖怪もハワイのチャペルで挙式挙げる時代なんだ……」
もうこれ以上驚かないよと言うあきれた顔をするせいめい君に微笑み、肩車している豆も笑う。
「教えてくれてありがとう……えーっと」
「俺、豆狸の狸塚豆吉だよ!! で、この子が雷神の雷鳴いおりちゃん!」
「女の子なの!!? ……狸塚くんと雷鳴さんね、で、席に戻って欲し「ねえ……さっき学園長からなに貰ってたの? ワイロ?」
豆がそう言えばざわめきたつ教室内。まあ、そうなるよな。せいめい君は違うよ誤解だよと焦るも説得力は無し。そして豆が教卓からさし、すせ、そっ! と前の紙袋を盗み出し、素早く此方の肩に戻ってくる。
「か、返してよ!」
『あー、なら』
「俺達とおいかけっこして遊ぼうよ! 30分後の11時ジャストにチャイムが鳴るからそれまでに俺からこれ取り返してみせてよ!」
「そ、そんなぁ」
そんなこんなでおいかけっこ開始!
.
また性懲りもなく新しい話。ショートカットで眼鏡の関西弁。平凡主。弐年参組の良心。『大煙管』の女の子。佐野、豆にえらくなつかれてる。グループは佐野や豆、紅子ちゃんや泥たんのとこ。ハイパーめんどくさがり。名前は『最原 いおり』。きょにゅu((ぱーんち
ぜんざいの大煙管。捏造と自己満足もりもり。
狸の妖怪。キセルをくわえてる。普通に呼吸しているときは酸素を吸って二酸化炭素を吐くが、キセルの場合、煙を吸って酸素を吐くエコロジー妖怪。身体能力激烈アップ。大煙管の吸うキセルの煙は人畜無害、服硫煙になることも、自身の肺に影響を及ぼすこともないので未成年でも許可されている。捏造まみれ。
学校にて。今朝からいろいろ大変だった。教室に入ったら狢の髪はアフロになってるし、人間の底辺勝つ幸薄そうなヘタレ教師_安倍晴明(あべ はるあき)がやって来たり、賄賂疑惑の紙袋を豆_豆狸の狸塚豆吉(まいづか まめきち)が奪い先生と鬼ごっこを持ちかけやむ無く佐野_厄病神の佐野命(さの みこと)とこっちが出動し、先生が安倍晴明(あべのせいめい)の子孫で退魔の力を持っているのが判明して、賄賂疑惑の紙袋の中身が全国セーラーカタログでクラスの生徒に変態認定されてるし。
まあそんなこんなで翌日。姉の結婚式でハワイに行っていた泥田_泥田坊の泥田耕太郎(ひじた こうたろう)が朝休みの教室に入ってきた。
「豆、佐野、最原、おはよー」
「泥たーん! ハワイから帰ってきてたの!?」
「おかえり」
『おかえり泥田』
三人でたむろしているところへやって来た泥田は早速、豆が頼んでいたと言うどーんと置かれたお土産の巨大トーテムポールを渡していた。それにキャー! と飛び付く豆。佐野と可愛いな。せやな。と言うやり取りをしてから、お土産のマカダミアチョコを一粒いただく。うまい。泥田が狢のアフロにどうしたとか言ってたのは聞こえてない。ホンマにどないしたん狢、お前ストパーやったやん。
「で、泥たんお姉の結婚式どうだった?」
豆の言葉に泥田がぴしりと固まった。泥田曰く、姉は綺麗だったが新郎コロスと言うことらしい。義理の兄に殺意を抱いていた。シスコンや怖……。あ、こら、たまちゃんと狢、こっちの分のチョコ残しといて。
泥田の姉の相手が人間で、一族総出で泥田坊だと言うことを隠しているらしい。お疲れ様。
「もう人間って単語が地雷だわ、人間見つけたら片っ端からこのチョコぶつけてトーテムポールで殴ってやりてーよ_ってどうした豆」
「『あちゃー…』のポーズ」
見事にあちゃーを表している豆。とりあえず頭を撫でると頭によじ登ってきたのでそのままにしておく。振り落とされんといてや。
まあ確かに、あちゃーではある。やってあちゃーやで。うちの担任人間やねんだよ。
するとタイミングよく扉が開き、先生が入ってきた。相変わらずアホ毛がでかい。
「あ、もしかして君がハワイのチャペルで結婚式あげたって言う泥田くん?」
「その言い方だとそこの泥田が結婚式あげたみたいだぞ」
『言葉の綾とは恐ろしい』
豆が泥田に「担任の晴明(せいめい)くんだよ!」と紹介するも、先生は「はるあきだよぉ〜!」とあーんと泣き出す。ホンマにこの人紙メンタルやな。
「変態さんなんだよ!」
「やめてよ! やめてよ!!」
.
その後、泥田は晴明が人間だと分かると
「しねオラ!」
「何が君をそうさせた!」
「オラァ!」
「ぎゃふん!」
マカダミアチョコを顔面にぶつけ、トーテムポールでぶん殴った。チョコレートもったいな。
「あいつ有言実行型だな」
『それな』
「俺のトーテムポール…」
とりあえず先生に事情を説明すれば八つ当たりにも程があるよ! と嘆き出す。そのあと泥田に「とにかくテメェは今日から俺の敵だ!」と宣言された晴明は教卓の下にうずくまり、何てこった人生つらすぎるとしょげる。とりあえず出てきてもらっていいですか。
「晴明くん、これからの人生もっと辛いことがたくさんあるんだからこんなことでしょげてちゃ駄目だよ!」
「それは慰めの言葉としてどうだろうか」
『以下同文』
そして授業始まったのにずっとあの調子とは如何なものか。みんなきっとメンドクセェ教師とか絶対思ってるぞ良いのか晴明。流石に見かねたので、とりあえず佐野に声を掛けた。
『なぁ佐野、晴明のこと元気付けたって』
「そうだよ、これじゃ授業にならないよ〜」
「は? なんで俺が」
『頼む佐野』
「お願い佐野君〜!」
「…ったく…」
そういいながら立ち上がる佐野に、隣の席のたまちゃん_猫又の秋雨玉緒(あきさめ たまお)が『本当豆とイオに弱いな佐野』とか思ってたとか。立ち上がった佐野はそのまま晴明の所へ向かい、ネクタイを引き寄せこう言った。
「オイ晴明良いことを教えてやろう」
「何? っていうか君も晴明呼びなんだ…」
「きちんと授業やったら俺の実家の押し入れにしまってある家族が昔着てたセーラー服やるよ」
「!」
そして晴明はきりりとした面持ちで「それでは授業を始めます」と切り替えた。心なしかテロップに晴明は立ち直ったと出ていたような。その様にクラス全員で引く。
「…佐野君女兄弟いたっけ? 嘘はダメだよ…」
「嘘は言ってないよ、家族は家族でもペットの犬用のセーラーだけど」
『なるほどそういうことか』
始まった授業の内容は百人一首の現代語訳。壱年の時に習ったから復習も兼ねているらしい。ヘエ。呆けていると隣の泥田が泥団子を晴明に投げた。見事な放物線を描いて勢いよく飛んでいった泥団子は晴明に向かっていく。
「じゃあ一番から…秋の田のかり穂の庵の苫をあらみっ!」
べちゃと命中した泥団子より、みんなはあらみの意味を考え出す。多分荒味はちゃう思うねん。そうこうしていると、泥田が「よりにもよって人間の歌の授業かよ、やってらんねぇよ」と貶す。必死に泣き出すのを我慢している晴明は顔面泥まみれのまま、この歌の訳をがしゃどくろの歌川に頼んだ。
「秋の田んぼの近くの小屋は、屋根の作りが荒くて隙間だらけなので私の着物の裾は夜露に濡れ続けています」
「まるで僕の授業がおざなりすぎたもんだから泥田くんに泥団子を投げられグダグダになった授業に困惑するみんなを表しているようだね」
(なんだそれ…)
「それより誰かタオル持ってない?」
「持ってねーよ」
「女子貸してやれよ」
「やだよ」
哀れなり晴明。もう気にしないことにした晴明はたまちゃんに89番を読んでくれと指示する。
「玉の緒よ絶えねば絶えぬながらへば忍ぶることの弱りもぞする」
「これも今の僕を表しているようだね」
黒板の訳には訳:死にたいと書かれている。そこで豆が時計を見て晴明に声を掛けた。
「晴明くん頑張って! あと10分授業をやりきるんだ! 俺馬鹿だから授業の内容はさっぱりだけど…晴明くんの授業面白いよ!」
「狸塚くん…! じゃ、じゃあ狸塚くんに45番辺りを読んでもらおうかな!」
「え、何この恩を仇で返された感」
哀れなり豆。まあ、晴明の授業は面白いと思う。ほら、言動とか。ていうか豆に難しい漢字は難易度高くないだろうか。まあ佐野がサポートするだろう。
「…れとも…」
「哀れ」
「哀れとも、いふべき人は“田心”ほえて」
「思な」
「身のいたづらにあれはジョンですか?いいえ飛行機です」
「えっ、どこ読んでんのお前」
流石の佐野も無理だったか。