二次創作・パロディです
ネタ被りあったらすみません
「…受かってる」
パクトに表示された文を見て呟く。それと同時にため息も出てしまう。
第○回神アイドルグランプリ。とは言っても試験に限りなく近い。
毎年数千人ほどの受験生が居るが、合格するのはほんの一握りだけ。
「まぁ、予選は当然ですわね」
隣に居る受験生が話しかける。誰これ?少なくとも私の知り合いには居ない。
だが一次試験の内容はペアで行うらしい。話しかけておいて損は無いだろう。
「あの、誰ですか?」
ゆっくり、はっきり、聞き取りやすいように話す。
受験生は凛とした表情を崩さないまま口をゆっくりと開く。
「私は月川ちりですわ、よろしく」
持っていた扇子をぱたぱたと扇ぎながら微笑む月川さん。
「真中のんさんですよね?」
こくりと頷く。つられて私も微笑む。
少しの沈黙が過ぎる。休憩室をぐるり、と見回してみたが沢山の受験生...もとい、アイドルが居る。
まぁ当然だろう。参加条件はプリチケを持っていること、それだけだからだ。
ここだけの話、こんなに人が残るとは思って居なかった。筆記試験なんか特に難しかった。
それとも私が実力不足というだけだろうか。
「茶番はさておき」
「私とー次予選のチームを組んで頂けません?」
「そう言うと思ってたよ..」
アメリカ人の様にわざとらしく考え込むふりをする。
本当のことを言えば断る気はない。
なぜなら、ペアが見つからなかった時点で失格になるからだ。
「まぁ貴女が断っても私は何も言いませんわ」
「あくまでもどう?という話ですし」
くすくす、と作り笑いを浮かべるちり。その吸い込まれそうな瞳を見るとこっちまでくらくらする。
呼び方誤表記
結局、そのまま勢いでOKしてしまった。
隣にはニコニコ笑っている月川さん。何を考えているか分からない。
売店で買ったジュースをストローでずずず、とすする。炭酸が少し抜けてしまって甘ったるい。だけど舌でぱちぱちと弾ける感覚が少し心地良い。
ぼんやりと上を見上げると『休憩残り:00:08』というテロップが電光掲示板に写し出されている。ああそうか、まだ8分なのか。気づけば周りにアイドルは1人(月川さん)しか居ない。
あと8分という思考は頭に浮かばず、ただぼんやりとしている。
「8分...」
「8分ですって!?もうそんな時間ですの?もう時間が無いですわ!早く準備なさい!の...真中さん」
月川さんの大きい声で正気に戻る。急いでトランクにチケットを詰め
、忘れ物を確認する。パクト、プリパス... 不備は無い。
嬉しいことに試験会場まではそう遠く無かった。
嬉しいことに試験会場まではそこまで遠く無かった。
へなへなと地面に座り込んでしまう。月川さんに「汚いですわ」という目で見られてしまうが気にしない。
スカートについた汚れをぱんぱん、と払う。服はそんなに汚れていない。ちょっと安心した...
「もうすぐ始まりますわ、ほらお立ちなさいな」
月川さんに扇子...もとい手を差し伸べられる。気高い彼女にこんな一面があっただなんて。
「月川さん、私は大丈夫だよ。それより走らなきゃ」
「...それよりもあなた、その『月川さん』呼びなんとかなりませんの?ぶりっ子っぽくって気に入りませんわ」
「....ちり、よろしくね」
「まぁ私もこれからはのんとお呼びしますわ、よろしく」
胸元のプレートをわざとらしく見て笑う。つられて私も笑う。
和やかな空気が広がる。会場にもまだお喋り声が響き、始まる前のライブ会場みたい。
「はーいみなさーん ちゅうもーくー」
少し怠そうな、でもアイドルらしい...アニメ声が響く。昔はこんな声に憧れたっけ。
メガホンで出したような少しノイズが入った声に切り替わり、どんどんうるさくなっていく。
会場の皆がその声がする方へ向いたところで、大きなモニターにその声の主が写し出される。
ああ、この人見たことある....
そう思った。私が憧れていた人。今は違う。憧れとはまた違う感情が心の中で芽生えた。
黄緑色のふわふわの髪を2つに結っている。白のコーデが良く似合う。
まるで、外国のお姫様みたい...
「一次試験担当のファルルだよ、よろしくー!」
「ファルルからルール説明をするよ!」
「みんな知ってると思うけど、これは神アイドル試験だよ!
言いにくいけど...もしかしたら永遠にアイドルとして生きることになる子も居るかも知れないね!」
ざわざわと声が響く。えーマジ!?とかやめようかなーとか。ごちゃごちゃごちゃごちゃ。うるさ。
私はそんなこと思わない。脱出しようと思っても入り口が塞がれている。無理だ。
「ここを合格する子は...100人居て1人居るか居ないかかな!まぁここには1200人居るから、事実上12人合格できることになるよ!」
「まぁ当然ですわね 天下の神アイドル試験でそんな簡単に合格できるわけ有りませんし」
「そうだね...」
頷くことしかできない。無、という感じで皆話を聞いている。
私も皆に流されてしまう。海に走る波みたいに。
「一次試験のルールはかんたん、ここから脱出するだけ!
今から電気を切るから、その中からドリルを見つけて脱出してね!ちなみにけがしちゃった子はスタッフが見つけるから安心してね!
早く脱出すればするほどポイントUP!ちなみにこの試験にはファルルも参加するよ!
制限時間は1時間!それではよーいはじめ!」
...無理だ。神アイドル相手に勝てっこない。
そういう空気が流れていった。
すごくわかりやすくて、面白いから、続き頑張れ💪
11: いかたそ ◆HAGE:2017/03/02(木) 19:30 ID:.yw
>>10
そうですかね?
葉っぱは小説メインじゃないのでたんたん、と進めてます
占いツクールとかだと詳しく書くんですけどね...
感想ありがとうです〜
ぱちっ。
電気を切る音が聞こえる。すると一瞬で辺りが真っ暗になった。あれ?こんなに暗かったっけ?と思うほど。
そういえばプリパラは天気の操作ができた。お姉ちゃんから聞いただけだけど、昔そのせいで大変なことになったとか。
「のん、今プリパスのライトを付けますわ。いつまで持つか分からないですけど」
「休憩室に充電器置いてあったのに何で充電しなかったの?」
周りを確かめるようにちりはくるくるとプリパスを回している。だが突然ぴたっと止まり、顔の近くにライトを持ってきた。
「ただ単に忘れただけですわ〜」
「それ、本当にこわいよ。やめて...」
「まぁ良いですわ、行きましょう」
電気をつけたままたんたんと進んで行く。こういうときのおしゃべりはなんだかすごく緊張する。
ちりはそういうことを気にしないタイプなのか、延々と話しかけてくる。
「私、考察してみましたわ。もしかして合格者が少ないというのは、ただ単にドリルの数が少ないからでは無くて?」
「あぁ...」 「そうかもね」
ずっと探しているのに見つからないなんて、やっぱりちりの言う通りでは無いのか?と考えてしまう。
だがネガティブ思考で行っても埒(らち)が明かない。こういうときこそのポジティブ思考。
....なんてったって、一次試験だけで1/100に絞られるんだから...
とか言ってるけど、実は他の受験生も結構苦戦しているみたいだ。
「ドリルどこ?」とか「ぶつからないでよ」とか。仲間割れしているところもある。
そもそもドリルが必ずしも床に置いてあるなんて限らない。しかも制限時間は限られている。
例えばほら、散らかした部屋の中からなくし物を見つける。そんな感じだ。
(あー、なんでだろうな。こういう時に限って集中力が沸かない。
反対に、心の中で黒い衝動が沸き上がりそうになる。ぐつぐつと煮えたぎる感じだ。)
「思い付きましたわ!ドリルが無いなら作ればいいんですわ!」
「夢を持つことは否定しないけど、どうやってやるの?」
ちりはふふん、と得意げに指をパチンとならす。
「私の使用人に持ってこさせますの」
「は...」
ちりのお嬢様キャラって作ってるんじゃないの?ガチ?ガチなの...?
頭の中が混乱する。目がはてなマークになった自分を想像して1人笑いをしてしまう。
◆
「...ありがとう ですわ」
そう言ったのを確認すると、使用人(さん)はどこかへ消えてしまった。何せ暗闇の中。そう遠くまで見渡すことは出来ない。
「重たッ...なんで私に持たせるの!?」
「私、温室育ちですもの。しょうがないでしょう?まーぁ、庶民ののんには分からないでしょうけどねぇ」
「庶民で結構でーす」
そんな話をしている内に、ひゅぅ、と熱風の感覚がした。
「うー...」