【ダンまち】【fate】クロスオーバー

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1:匿名さん:2017/07/05(水) 16:42 ID:YiI

ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているのだろうか?
fate/stay night fate/grandorder
のクロスオーバー作品です。

2:芝生:2017/07/05(水) 16:43 ID:YiI



「ッ、団長!」

―――――その日は、異常なまでに運が無かった。




最高階層記録の更新を追えた所までは順調に歩めていた。
そこで現れた巨大な敵をベートの一撃で仕留めたその時に、音に寄せられて集まって来たのか、何故か大量に増殖したモンスター達がやってきてしまったのだ。
そこまではまだいい。私のファミリアには高レベルの者が何人もいる為、全員が出向けば支障は無い。
そう、その筈なのだ。その筈なのに、何故かその日に限ってレベル3から4の冒険者によって作られる罠解除班が罠の解除に失敗してしまい、五階層ほど下に落下してしまった。

まさに不運に不運が重なった大惨事。
全員が協力して敵を倒して行ってはいるが、私自身最早魔法の行使すら難しい状態。
アイズも肩で息をして、何とか剣を振るっているようなものだ。
まだまだ押し寄せてくるモンスターの大群を押さえられるほどの力は、全員残っていない。


どうしようもない。
ここで全滅するか、少人数を逃がして他のものたちを犠牲にするしか道は無かった。


………いや、待ってくれ。
あるじゃないか、ただ一つ、私だけが知っている『奇跡』を起こせるかもしれない方法が。


近くに落ちていたモンスターを拾い上げ、その体液で魔法陣を描く。
本来なら魔法の行使に使われるものだが、今回ばかりは違う用途で使わせて貰おう。

母から受け継いだ魔法。
もう病んでしまった母以外には私しかしらない、禁術。




「…素に銀と鉄。 礎に石と契約の大公。 祖には我が大師シュバインオーグ。
  降り立つ風には壁を。 四方の門は閉じ、王冠より出で、王国に至る三叉路は循環せよ」



  
 「閉じよ。閉じよ。閉じよ。閉じよ。閉じよ。
  繰り返すつどに五度。
  ただ、満たされる刻を破却する」




               
 「―――――Anfang」



 「――――――告げる」



 「――――告げる。
  汝の身は我が下に、我が命運は汝の剣に。
  聖杯の寄るべに従い、この意、この理に従うならば応えよ」



 「誓いを此処に。
  我は常世総ての善と成る者、
  我は常世総ての悪を敷く者。

  されど汝はその眼を混沌に曇らせ侍るべし。汝、狂乱の檻に囚われし者。我はその鎖を手繰る者――。

  汝三大の言霊を纏う七天、
  抑止の輪より来たれ、天秤の守り手よ!」



「誰だって良い、なんだって良いから、皆を助けて――――!」







激しい、目を焼くような光が満たされた。
モンスターの視線も、仲間の視線も、全ての目が此方に集う。

光が止み、そこから影が生まれ___そして。



そこには、青いタイツを着た青年の姿があった。



「サーヴァントランサー、召喚に応じ参上した。
……まあ、よろしく行ってる暇は無さそうだな」

3:芝生:2017/07/05(水) 17:09 ID:YiI


1章《青き槍王クーフーリン》



「…ったく、小娘が……」

ルーンによって作られた炎が、静かに俺を包んでいく。
あの少女のはもうここから脱出出来ただろうと思い、神父を跡形もなく燃やすために炎の出力をあげたからだろう。一面は赤く染まり俺の血だか炎だかもわからなくなっていた。

不思議と痛みはなく、俺の体が失われ座に戻っていく感触だけがわかった。
強者と戦うこともでき、飢えは満たされた。その聖杯の力に抵抗
する意味などどこにもないので抗わずに消えていく。

………?


何処かから、呼ばれた気がした。
強い思いと共に囁かれる英霊召喚の詠唱。
それは、昔俺と共に戦場を歩んだ女の力強い声に似たところがある。

「戻る途中だってのに、どんだけ俺を働かせたいんだか…」


また戦える。
まだ戦える。
その事実があまりに嬉しくて、気付いたら召喚者の元へ意識を集中していた。

完全に俺の意識が途絶えるときにはもう、
俺はその場所に立っていたのだ。


――――――助けを求めるのは少女の前に

4:芝生:2017/07/07(金) 18:41 ID:YiI


「あ、貴方は――――?」



その身に濃い魔力を宿らせながら、男は飄々とした態度のまま、その青い髪と服装に映える深紅の槍を構えていた。
どこか面倒くさげに、どこか嬉しそうに笑みを浮かべていた男。
静まり返った階層内に途端に充満する殺気。取り戻した緊張感に闘士を燃やし始めたモンスター等は私達のことなど目もくれていないかのように一斉にそれに駆け寄って行く。

「あっ…」

無理だ、幾らあれほどの魔力を持ち合わせたあの男でも、あれほどの数のモンスターを相手に戦うことはできない。
それなのにどうしてか、男は楽しそうに、何処か嬉しそうに、邪悪と言ってもいいほどに歪んだ笑みを浮かべる。




「うらぁ!」


一撃。
たったひとつの動作で、モンスターが吹き飛ばされた。


私はその時、みっともないことに呆けていた。
目についたモンスターを片っ端から斬り、突き、凪ぎ払い、叩き割っていく男がいるのだ。無理もない。


「……何さ、あれ」


化物。
彼には、ヒーローやら正義の味方だなんて言葉よりも単純に、普通に考えれば罵称にしかならないそんな言葉が適している。
状況からして私が呼び出した召喚獣。姿形からしても、先ほど意味のある言葉を発した事を見てもモンスターと言うわけではなさそうだが…ここオラリアにあれほどの身からを持つ冒険者は存在せず、最大の迷宮都市たるここオラリアにいない冒険者があれほどの力を持つこともまたあり得ない。


なら、彼はどこから召喚されたのだろうか―――


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