僕はネロ、(8)将来大魔法使いを目指している魔女族だ。僕の隣にいるのはエレナ、(おそらく8?)マリア、(500)エディス(ロボット)。そして僕たちの教室の教壇に立っているのは、レオナード先生。いつもパチンコや競馬ばかり行って、だらしないけど、僕たちが魔族に襲われたりした時、助けてくれるとってもカッコいい先生だ。いつも通り楽しい授業が始まると思って席に着いた。レオナード先生が来た。
「さあ、授業始めるぞー。」
と言われると思っていた。でも今日だけは違ったんだ。先生はとても悲しそうな顔をしていた。
「今日はお前らに残念なお知らせがある。」
「何よレオナード、どうせパチンコ失敗しただけでしょ?」
「ちげーよ……。ジャスティスに金全部持ってかれたわけでもない。」
本当に真面目な話なのかな、ちゃんと聞かないと。
「お前らに会えるのは今日が最後だって事だ…。」
「ええええええーーーーーっ!」
みんな驚いた。
「ドウシタノレオナード。クワシクオシエテ。」
「僕から説明するよレオちゃん、君の口からは言いづらいでしょ?」
ガラッとドアが開いて、もう一人の先生が入ってくる。
メフィスト先生だ。彼はネクロマンサーで霊を召喚できる。見かけによらず優しくて、みんなから好かれている。
「実はね、みんな…。レオちゃんはある人を助けに行かないといけないんだ。その人の名前はモニカさんっていってね、レオちゃんの仲良しだったんだ。」
モニカ…?どこかで聞いたことのある名前だなぁ…。
「あーーっ!あの子かー!」
急にエレナが立ち上がって何かを思い出したようだ。
「ネロ、あの子だよ!前にウチらがタイムスリップして昔に行ったでしょ?その時に名前はわからない男の子とモニカちゃんって女の子がいた!」
そうか、あの男の子がレオナード先生だったんだ!
※レオナード視点
「でもレオちゃん?モニカちゃんは既に…」
そうだよ、死んでる…。
「実はな…マリア。お前の魔王専門学校に紫に輝く鎧を着てるヨハネってやつがいるだろ?」
「ああいるわね。」
俺は今も信じられない真実を口にする。
「あいつ、男じゃなくて女らしい。そしてそいつが…」
「モニカサンッテコト?」
となりのメフィストがいう。
「そう、でも元のモニカちゃんではない。きっとあの時死んで、今は魔族に憑依されているんだろう。きっとモニカちゃんは戻らn…」
どごっ
俺はメフィストを殴った。そして静かに囁いた。
「てめえはなんでそんな事を軽々しく言える…?メフィスト…全てはお前のせいだ。次に会うときはてめえを頃す時…そういったな。」
そして俺は大号泣しながら黒魔法を連射し、メフィストを攻撃した。生徒に見られようが見られまいがどうでもよかった。
メフィストは全然抵抗をしなかった。
「お前が最初からいなけりゃ!モニカは!俺の大好きなモニカは生きてたんだ!お前のせいで!お前のせいで!うああああああああああああ!」
ネロたちが涙を流しながら、俺を取り押さえる。
「先生!やめてください、いつも優しくてカッコいい先生がこんなことするの嫌です!」
「先生!目を覚ましてよ!お願いだからやめて!メフィスト先生を攻撃するならウチをやって…」
「はなせ!ネロ!こいつのせいでっ、俺の…モニカがっ」
ドガアアアアアン!
「ふざけんじゃないわよ…、グスッ、あんた今何したか分かってるの?」
マリアが爆発魔法で俺を止め、メフィストを庇う。
「うるせえ!そいつのせいで人間と魔族の対立が…」
「そうだよ…レオちゃん。君のいう通りだ…よ、ゲボッ!」
奴は吐血した。フラフラになりながら、立ち上がる。
「僕がいなければどんなに平和か…、ごめんよ。僕のせいでモニカちゃんは…」
マリアに支えられ、メフィストは出て行った。そしてマリアは言った。
「あんたは大切な人を失って、すごく辛いと思うわ。でもだからってこんな事をするなんて、私たちも辛いわよ。ネロを見なさい、あんたがこんな事したから…。」
ネロを見ると俺に抱きついて、顔をグシャグシャにして泣いていた。
俺はやっと正気に戻った。そのあと何をしたかは忘れてしまった。
※メフィスト目線
「う…うう…、ここは?」
僕は白い部屋で目を覚ます。周りにネロくん、エレナちゃん、マリアちゃんがいる。
『先生!』
「大丈夫ですか⁉ぼくっ、先生のことがっ!とてもとても心配で…(泣)」
こんな僕を心配してくれるなんて…なんて純粋で優しい子たちなんだ。
マリアちゃんの城の病室で僕は全てを思い出した。やはり、僕はいない方が…。
僕は立ち上がり、出て行こうとする。
「先生、今は動いちゃダメだよ!ウチらが先生の面倒みるよ。ウチ、家が居酒屋だし、料理は任せて!」
「そんな、悪いよ。それに僕のせいで、レオちゃんを怒らせてしまったんだし…」
「あんたは悪くないわ、あいつは会えるのが今日で最後とか言ったけど、そんなことにはさせないわ。モニカさんとを助けると同時に、レオナードを教室に戻してやらないといけないんだから。あんたはまず休みなさい。」
病室のドアが勢いよく開いて、懐かしいのと巡り会えた。
「ウオンウオン!」
チャチャだった。魔力を自分で操れるようになったのか、前より力強いオーラを感じた。
「チャチャ、ヒサシブリダネ。アエテボクハウレシイヨ」
チャチャは背中に乗っている人…いやレオちゃんを降ろした。
「メ、メフィスト…。さっきは悪かったな。俺…俺、本当にごめん!」
「僕こそごめんね。」
窓の外はもう夜で星がキラキラと輝いていた。その時、また懐かしい赤い光と青い光に病室が包まれ、彼らが来た。
「久しぶりだな」
「また、会えたね…。」
「はーい、先生!できたよ!いっぱい食べてね!…ってええええええ!ポルックスにカストル⁉」
ここで偶然が起きすぎだ。チャチャは魔法の森から出ると魔力が弱まっていくはずじゃ?
それにポルックスたちは消滅したはず…。よし、試してみよう。
「カストルちゃん、君の力で怪我を治してもらえるかい?」
「いいよ、」
痛みが引いていく。やはり本物か?
「お前…俺らを偽と思ってるのか?」
だって会えるはずのないチャチャたちとここでなぜ会えているんだ?
「だってそうだろ、ポルックスたちは消滅したんじゃねーのか」
レオちゃんが口を挟む。
「またお爺ちゃんに楯突く魔族の仕業なの?ポルックスなら私たちより強いはずよ」
ドガアアアアアン!バアアアアアアアアアアアン!
「星の力が俺にはある、だから無駄だ。これで本物ってわかったか?」
ネロくんが感激している。
「また会えるなんて夢みたいだよ、カストル!ポルックス!」
「でも待って、あの悪い博士はまだ生きてるんじゃ?」
「そうしたらまたカストルたちを狙いに来るな」
「ていうか、感動してる場合じゃないわモニカさんを助けなきゃ!」
「でも助けてどうなるの?生き返る訳でも…」
レオナードが悲しそうに俯く
「あっ、ごめんね先生」
エレナが察して謝る。
「いや…、いい。お前らはモニカ助けに来なくていいからな。これは俺の問題だ。」
「ダメ!先生の問題はうちらの問題!借金は例外だけど…、とにかく先生が行くならウチらも行く!」
「ポルックス、カストル。力を貸してもらえる?」
「「もちろん!」」
「とりあえず、今日はやめておくか?」
「いや、大丈夫だ!俺らには星の力がある。俺らの星の光で学校に行こうぜ!」
みんなは納得したようで外に出ていく。
ー大魔王専門学校ー
「ヨハネ!いるんでしょ、出てきなさい!」
そうマリアが叫ぶと、紫色に輝く不気味なオーラを纏いヨハネが来る。
「これはこれは大勢で…、一体何の用だ。」
「てめえ、モニカの体から出て行け!俺のモニカの体で魔王専門学校の教師とは許せねえな。」
そういうと、ヨハネはカブトを脱ぎ捨てた。魔族に憑依された時とおんなじ顔だ。間違いない、モニカだ。
「お前…どこかで見たことがある顔だな…。200年ほど前か。」
レオナードは今までのモニカと明らかに違うオーラを感じ、そしてモニカの体を傷つけられるかと硬直していた。
「あれ、皆さまどうされました?」
ヨハネの後ろからセバスチャンが顔を出した。
「どけ、セバスチャン、今からヨハネを頃す。そして俺のモニカを取り戻す。」
「や、やめてください!ヨハネ先生はお嬢様が魔王になるために…」
「セバスチャン!もういいのよ…、知らなかったわ。まさかヨハネがレオナードの恋人の体を奪った魔族だったなんて知らなかったわよ。ヨハネ、モニカさんの体を返しなさい!」
マリアが強く言う、それに対しヨハネは素早く返す。
「それは無理だ、この体を気に入っている。」
にゃんこですにゃ。
応援してますのにゃ
がんばれなのにゃ
エレナ目線
「この人数では、私など一瞬だろう…。ましてや幻獣や星までもが私に挑みに来るとは…。」
「ぼっ、ボニガをがえぜっ!モニカを返せ!」
レオナード先生はショックと悲しさで涙を流して動けなくなっていた。だって、大切な人をコロされて奪われてしまったんだもん。うちだってネロやマリアがタヒんで、それを奪われてしまったら…。
「ヨハネ、あんたどうして…。」
マリアが先生の背中をさすってヨハネに問う。
「…それはお伝えできないな。」
チャチャが先生の様子に気がついて唸りだした。
それと同時にみんなの心に火がついた。
「先生!モニカさんの体は僕らが取り返してみせます!」
「……ケッ、生徒ばかりに守られてちゃ威厳がねーや。ヨハネ、返すなら今のうちだ。どうする!」
「言ったであろう、返す気はない。」
その言葉と同時にみんなが先生のためにヨハネと戦う。
マリア目線
「お前らはこれがどういうことか分かっていないのか?」
ヨハネは明らかに人を挑発するような顔で問う。
「私を倒せば、お前の大好きなモニカってやつの体が傷つく…」
その言葉と同時にレオナードの、ヨハネを殴ろうとしていた手が止まった。
「もうやめないか?こんな無意味な事など…。私は明日の授業の準備をしなければならないのでね…。」
そう言ってヨハネは冷たくレオナードを睨み返して、校舎に戻っていく。
ー次の日の学校ー
この日はレオナードは、ボーッとしていた。授業もブツブツと機械のように話していた。あんなことがあればこうなってしまう。
レオナードの様子を見てネロやエレナは泣いていた。レオナードが今どれだけ辛いか考えると私達まで辛い。
この日は全然授業にならなかった。
エディス目線
休み時間もみんなは明るく話すことはなく、先生の心配をしていた。先生はもうモニカさんは戻ってこないと落ち込んでいる。あの時はメフィスト先生に謝ったけど、また避けているような感じがする。
「授業を終わる…次までに復習しとけ。」
「「「ありがとうございました…」」」
ー屋上ー
「ハァ…、モニカ…。ぐすっ、モニカ…モニカァァァァァァァ!」
先生は屋上の自殺防止の柵に寄りかかって、叫んでいた。
僕たちは先生に見つからないようガラス付のドアから先生を眺めていた。今までに見たことないような先生の姿がそこにあった。
すると先生は信じられない行動をした。校舎の壁に強く頭を打ち付けているのだ。そしてモニカさんの名前を叫び続けている。血が額から吹き出している。
「俺がッ、俺が悪かった!ッグ!戻ってきてくれ、モニカああああああ!」
ネロ目線
僕らはすぐに飛び出して、先生をなだめたり抑えたりした。
「先生、落ち着いて下さい!」
先生は抵抗する。
「お、…お前ら!やめろ、離せ!」
「やめなさい、アンタのせいじゃないんだから!」
先生をいくら説得しても、やめない。このままじゃ先生が…。
その時、見覚えのある騎士が現れた。ヨハネだった。
「…ほお、そんなにこの身体が忘れられないか。」
「よ、ヨハネ!…て、てめえ!」
先生は血まみれの体を震わせながら立ち上がる。