ジャイアン「…は?いきなりなんだよ、スネ夫。」
スネ夫「お前は人気者でも、この世界の王様でもないっつってんだよ、単純なゴリラだよ!」
ジャイアン「な〜ん〜だ〜と〜!」
スネ夫「ほら、またそうやって感情で動く。単純な証拠だよ。」
ジャイアン「…っ!」(ビクッ)
スネ夫「なぜ今まで僕らが、君の言うことを何でも聞いてきたと思う?…君を調子に乗らせるためさ。僕らはいま中学2年だ、これがどういう意味を成すか分かるか?お前を訴えられるってことだよ。」
ジャイアン「はぁ!?何言ってんだ、お前…。」(拳を握りしめ)
スネ夫「おっと、僕を殴るのかい?何をしても許されてきたあの時のように。」
ジャイアン「……。」
スネ夫「僕はいじめたくはなかったさ、のび太をな。でもお前に従わなければ、無力な僕はすぐに殴られた。だからのび太を傷つけるしかなかった。みんなジャイアンを怖がってのび太を無視していたんだ、そうだろみんな!」
そうスネ夫が声を上げると、釘を刺したバットを持ったかつてのクラスメイトたちが現れた。その後ろには、のび太が立っていた。
ジャイアン「お、お前ら…!」
スネ夫「君に殴られてきた、と、も、だ、ち、さ。」
スネ夫「みーんなお前を好きなんかじゃない!タヒんで欲しいと心から思ってるんだよ、のび太は特にそうだ。」
のび太「君に何千回、何万回殴られたことだろう。理由はほとんどクズだ。ムシャクシャするから、なんとなく、顔がムカつく、母ちゃんに告げ口したから…とか色々作ってたよね?殴る理由。自分は神かなんかだと思ってたんだろ?でも今は違う…、みんなお前を憎んでる。今日はお前に復讐する時だ。この日をどれだけ待ち望んでいたか!なあみんな!」
みんな「おおっ!」
出来杉としずかを除いたクラスメイトたちが、ジャイアンを襲うっ!
スネ夫「訴訟されないだけ、ありがたいと思えクズ。」
はる夫「おいクズ、全裸で町内100周してこいよ。それで許すか考えてやるぜ?」
ジャイアン「……っ!もう許してくれ…、もう」
スネ夫「みんな、まだこいつ口聞いてるよ!」
ジャイアン「ど、どら…!」
のび太「ああ、青だぬきはもう僕らの配下さ。なんでも改造できるドライバーで、あいつの『えーあい』っての?を抜いたんだ。僕らが命令すれば、あいつは従順に従う。ほんとは無敵大砲で殺りたいとこだけど…。すぐゲームは終わっちゃつまんないでしょ?」
スネ夫「君の輝かしい、ガキ大将の時代は終わったのさ。」
のび太「もちろん訴えても無駄さ、こちらには山も超えるほどの証拠があるんだからな。」
ジャイアン「………。」
のび太「いやぁ、人ってたった3年で変わるものなんだな。君が威張っていて、僕らは殴られていた。だが今は君が殴られ、僕らが威張れるんだ。こんな最高なことがあるか!」
スネ夫「みんな同じ中学で良かったよ、これでゴリラさんとたーくさん遊べるぜ?」
出来杉 しずか「やめてー!」ダッ
みんな「出来杉、しずちゃん!」
出来杉「剛田くんをいじめるのは、もうやめてくれよ!」
しずか「そうよ、大勢で卑怯だわ。」
のび太「あれしずちゃん、前に言ってたことと違うな〜。」
しずか「え…?」
のび太「いつもいじめられて悔しくないの?怒るのがあたりまえよ、って言ってたよね?あの言葉はやり返せってことだよね?」
出来杉「でもそれじゃ君たちも、前の剛田くんと同じじゃないか。」
のび太「あれ?あの言葉については、何も言い返せないのか?」
スネ夫「これだから俺たちは、優等生が嫌いなんだよ!」
はる夫「おお、ルールが全てだと思って、やられてた俺達の感情は無視。それで優等生ぶるのウザいんだよ!」
みんな「そうだーそうだー!」
出来杉「みんながルールを守れば…」
スネ夫「完璧に守るやつなんて、この世にはいない。僕たちも同じさ。」
ヤス夫「コイツにやられてきたことを、こいつにやる。これでバランスが取れるだろう?平等じゃないと…。」
出来杉「いいよ、そこまでいうなら先生に言うよ!」
のび太「君たち二人と僕ら大勢で、どちらが勝つかな?楽しみだね。」
しずか「こっちが勝つわよ、のび太さん…、随分と変わったわね。」
先生「よーし、これで朝の会をおわりま…」
出来杉「待ってください!」
先生「ん、出来杉?どうした?」
しずか「昨日、空き地で武さんをみんなが虐めていました!」
先生「本当かお前ら!」
スネ夫「違います、昨日僕とはる夫くんは、クラス中を貶めてやろうって密告してた出来杉くんとしずかさんを見ました!」
はる夫「はい!本屋で二人でニヤニヤとしていました。」
のび太「僕も出来杉くんが、なにか紙に書いているのを見ました。『クラスをなんとか』って書いてなかった?」
出来杉「違うんだ、あれはクラスを良くするためにどうするか考えていたのさ!」
スネ夫「ふーん、どうかな?」
スネ夫「まあ僕らは何もしていません。むしろいじめられてたのは僕らです。」
先生「どういうことだ!」
のび太「僕なんて数え切れないほどいじめられました。ムシャクシャするからとか、顔がムカつくとか、そんな理由でいじめられました。」
ヤス夫「僕らもです!」
先生「ふーむ、とりあえず多数を信じる。出来杉、源、剛田。あとで職員室に来い。」
のび太「へへっ、みんな演技うまいじゃないか。」
スネ夫「ああ、君には小学校時代悪いことしたからな。そのお詫びとして、君の言うことには何でも従う。あいつを殴れと言えば、あいつを殴る。」
ヤス夫「なあのび太、あのゴリラを徹底的に追い詰める方法を思いついたんだ。」
のび太「なんだい、徹底的に追い詰める方法って?」
ヤス夫「それにはのび太に、怪我をしてもらう必要がある。」
スネ夫「…なるほどな、ヤス夫くん。君も結構やるな。」
のび太「…ごめん、僕バカだから分からないや。」
スネ夫「ホントにバカだなー、あのときのように君がいじめられている所を偽装するのさ。あらかじめ日記でね。」
のび太「なるほどなー、でもそれが他の奴らにバレたら?特にしずかちゃん、彼女にバレたら出来杉に報告するだろう。」
スネ夫「でも、それがどうにかなるのがあらかじめ日記。日記が燃やされたり破られない限り、計画は安泰だ。」
スネ夫「よし、書いたぞ。これで僕らの人生は大変わりだ!」
ヤス夫「いじめられっ子の復讐だ!」
ジャイアン「おはよう…、…!?」
スネ夫(始まったぞ、のび太!)
のび太「おっはよ〜!」
ジャイアン「あがっ、の、び太!オレハっ、今ムシャクシャシテんだ!殴らせろ!」
のび太「ええっ、やだよ!やめてぇええ!」
のび太「ぎゃぁぁあ!痛い痛い痛い痛い痛い!」
のび太「タヒぬって!タヒぬ!わぁあぁああぁあぁ!」
先生「…だ、……うだ!剛田!」
ジャイアン「…はっ!俺は何を…、」
先生「それはこっちのセリフだ、バカモン!」ゴッ
ジャイアン「いてっ!」
スネ夫「ジャイアン…、なんてことするんだ!お前のせいで…、のび太は大怪我したんだぞ!自分の服を見ろ!」
ジャイアン「服…? 血!!」
はる夫「のび太の血だよ、ジャイアンが野球部のバットで何度も…うっぷ!」
ヤス夫「思い出すのも恐ろしい…。君はのび太を引きずり回して、バットで頭を殴って、のび太の頭を掴んで窓に叩きつけたんだ!」
ジャイアン「し、知らねえよ。俺は何も知らん!」
先生「…監視カメラ、確認するか?」
ジャイアン「!?」
スネ夫「もう、僕たちには近づくな。」
ジャイアン「………。」
スネ夫たち(やったな、これでジャイアンは完全に悪者だ!)
出来杉「…、どういうことなんだ?剛田くんの様子がおかしい!」
しずか「どうだった?出来杉さん。」
出来杉「これはあくまで、僕の想像なんだけど…。剛田くんはここに来るとき、なにかに怯えてるような顔をしてたんだ。そして急に顔が恐くなって、野比くんを殴って…。だからきっと、野比くんは何かを企んでいる。骨川くんたちもだ。」
しずか「武さんへの復讐かしら?」
出来杉「多分ね、でも決定づける証拠がない…。」
しずか「今日の放課後、のび太さんの家に行ってみるわ。何かあるか調べてくるわ!」
出来杉「僕は骨川くんち!絶対に剛田くんを助けよう。」
しずか「ええ!」
出来杉「でも、野比くんや骨川くんに気づかれないようにしないと危険だよ。」
しずか「どういうこと?」
出来杉「無敵砲台…。」
しずか「!?」
出来杉「前に少し、ドラえもんくんに聞いたことがあるんだ。命令をすればいつでも爆弾を発射できるって!」
しずか「それが本当なら、隠してあるのはきっと裏庭ね。でもそれには、のび太さんたちじゃないと壊せないわね…。」
ジャイアン「おれは…何を?」
訂正
裏山
スネ夫「のび太くんのお見舞いに来ました。」
受付嬢「分かりました、そちらのソファで少々お待ちを。」
ヤス夫「はい。」
そしてのび太の部屋に呼ばれて
スネ夫「のび太ー、元気か!今日はゲーム持ってきてやったぞー!」
はる夫「俺たちはマンガだ!」
ヤス夫「たくさん読めよ!」
のび太「みんな、ありがとう!」
ナース「ではごゆっくり。」パタン(ナースのヒールの音が遠ざかっていく。)
スネ夫「ジャイアンは完全に悪者になった、にしてもヒデー顔になったなw」
のび太「まあ退院直後に、タイムふろしきで顔さえ戻せば楽勝さ!」
みんな「あはははははは!」
はる夫「おいのび太、お前早く家に帰らないとやばいことになるぜ。」
ヤス夫「出来杉としずちゃんが、俺達の陰謀を暴こうとしている。」
のび太「ほんとか?」
スネ夫「てっててー!タイムテレビー!」(スペアポケットからタイムテレビを取り出し)
のび太「なるほど…、」
スネ夫「一応、飛ばし穴とかを使って今のところ足止め出来てるけどね。」
のび太「でも出来杉の事だから、僕らの行動は見透されるような気がするんだ。」
スネ夫「それも、あらかじめ日記でなんとかする。出来杉としずちゃんに予定を作るんだ、絶対に外せないようなね。」
はる夫「抜け目ないなスネ夫!」
のび太「まあ、この計画は絶対に成功させよう!」
のび太以外「当たり前さ!」