FROZEN*二次創作*

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1:AL ◆6.:2021/01/24(日) 16:37 ID:jU.

FROZEN、日本ではアナと雪の女王、すなわち
アナ雪の略称で有名な映画の二次創作を書いていきます!

※一部、初期設定を利用しています。
又、原作と違う部分が御座いますが、ご了承下さい。
苦手な方は回れ右をして頂ければ………

・コメント待ってます!
・私は豆腐メンタルなので、本当にすみませんが
マイナスコメントはおやめください…

2:AL ◆6.:2021/01/24(日) 16:48 ID:jU.

「ーーアナ女王、アナ女王!!起きて、起きて下さい!」

メイドがそう言って、すやすやと気持ち良さそうに
眠るアナを起こす。しかし、一向に起きる気配を見せない
アナに、メイドは困り顔をしてみせる。

「アナ女王、起きて下さい!」

もう一度呼び掛けると、アナはむくりと起き上がり

「……んあ」

と、寝ぼけた声を出した。メイドが安堵の溜め息を
吐いたのも束の間、次の瞬間にはアナはもう一度毛布を
被り、すやすやと眠ってしまった。

「アナ女王!」

「あとちょっと寝かせて……」

アナは寝言のようにそう答えると、寝返りを打ち、
そっぽを向いた。

「アナ女王、今日は大事な戴冠式ですよ!!」

メイドが"戴冠式"という言葉を口にすると、アナは
がばりとベッドから飛び起きた。

「そうだった!どうしよう、遅れちゃう!」

慌てて飛び起きたアナの髪を綺麗に解かし、髪を
しっかりと結い上げる。
鏡に映る自分を見て、アナはこっそりと溜め息を吐いた。
戴冠式。そう、今日は自分の戴冠式なのである。
アレンデールの戴冠年齢は21歳。アナはまだ18歳だ。
そのアナが、弱冠18歳にして、アレンデールの
若き女王の座に君臨するのには、理由があった。

3:AL ◆6.:2021/01/24(日) 17:02 ID:jU.

ーーアナには、エルサという姉がいた。
行方が分からなくなってから、もう11年という年月が
流れ、国民も家来たちも、エルサは亡くなってしまったと
思っていた。両親が懸命に探しても、エルサが見つかる
ことはなかった。死体すら見つかることはなかったのだ。

それが、アナが18歳でアレンデールの女王になる
1つ目の理由であった。

ーーもう1つの理由は、両親が
先日、不慮の事故で亡くなったことにあった。

アナはまた溜め息を吐いた。
もしエルサがこの場にいたら、女王になったのは
自分ではなく、21歳になるエルサだったであろう。
そう思うと、アナは自分の胸がちくりと痛むのを感じた。

「アナ女王、出来ました」

メイドの声で、アナは現実に引き戻された。
髪が結い終わったようだ。
いつも自身の髪をゆるいみつあみに結っているアナは
このようなきつく結い上げた髪は落ち着かなった。

「さぁ、次はお着替えです」

アナは自分の身体にぴったりと合った
きつく締め上げられるようなドレスを着ていた。
長い長いマントが重たくずしりと乗っかるように感じた
アナは、こうお願いをしてみた。

「マントだけでも、何とかならないの?」

「代々受け継がれてきた、伝統あるマントですので」

アナは口を尖らせた。分かってはいるが、重々し過ぎる
気がしてならない。
姿見に映る自分は、知らない人に見える。

4:AL ◆6.:2021/01/25(月) 19:16 ID:jU.

ーー重々しいマントを引き摺りながら、アナは自室を
出て、戴冠式へと向かった。その道中、アナはある人物に
出会い、マントと同じくらいに重たくなった気持ちが
すっと晴れるのを感じた。

「クリストフ!」

アナは輝かしい笑顔を見せて、呼び掛けた。
彼女が呼び掛けた人物、もといクリストフは、3年前
行方不明の姉、エルサを探しに出た際に、旅の途中で
出会い、それ以来、親しくなった相手だった。
現在は恋人でもあり、悩みを気軽に相談に出来る
相手でもあった。

「アナ、その衣装………その、凄く……綺麗だ。
君に似合ってる」

ぶっきらぼうに、けれど顔を赤らめて、クリストフは
そう言った。そんな彼の様子に、アナの口元は思わず
綻んだ。

「ありがと!……来てくれたのね」

嬉しそうに、アナは言った。

「当たり前さ。この服、どうかな。おかしくないか?
華やかな場に合うようにって、用意したんだけど」

照れ臭そうにクリストフがそう言ったので、今度は
アナが褒める番だった。

「凄く似合ってる!格好良いわ」

まっすぐに、クリストフを見つめてアナは答えた。
クリストフはそんな彼女の視線に、照れたように
そっぽを向いた。2人の間に、甘い沈黙が流れる。
その沈黙を破ったのは、執事だった。

「アナ女王、お時間です」

「行かなきゃ。またね、クリストフ!」

クリストフに手を振って、部屋を出たばかりの時よりも
軽い気持ちでアナは戴冠式へと挑んだ。

5:AL ◆6.:2021/01/25(月) 19:23 ID:jU.

ーー音楽隊が長いアレンデールの国歌を演奏している。
そう、戴冠式が始まったのだ!
国歌が終わると、次はいよいよアナが冠を頂く時だ。
すっと頭を下げ、冠を頂く。

「アレンデールのアナ女王です!」

わぁっと、歓声が上がった。その中に、クリストフの
姿が見えて、アナはこっそり手を振った。


ーー暖かい雰囲気に会場が包まれる中、拍手もせず
にこりとも笑わない女性が、会場の奥の奥の、隅の方に
ひっそりと立っていた。顔を覆い隠すベールを纏い
引き摺るような、長いロングドレスを着ていた。
戴冠が終わるとその謎の女性がツカツカと高いヒールの
音を響かせて、前へと進み出た。会場がざわめき始める。

6:AL ◆6.:2021/01/25(月) 19:31 ID:jU.

「ーー久しぶりね、アナ。立派になったこと」

冷ややかな笑みを浮かべ、淡々と話す女性。
誰なの、この人………?アナが疑問を頭の中に抱えていると
その謎の女性が、まるで彼女の心の中を読んだかのように
こう言った。

「あら悲しい。覚えていないの?」

わざとらしい仕草で、そう言う女性。しかし、アナには
見覚えがなかった。

「ご、ごめんなさい。どなた………?」

おずおずと、アナが問う。

「本当に覚えていないのね」

その女性の言葉から、怒っているのかと、彼女の
顔を覗くが、表情はまるで読めなかった。

「怒っていますか?」

「いいえ。覚えていないのも無理もないわ。
前会った時と、服装もまるで違っているしね…」

淡々と、そう喋るとまた、言葉を繋げる。

「このベールを取れば、貴方も思い出すかもしれない」

ーー女性はそう言いながら自身の顔を覆い隠していた
ベールを外す。

アナはその女性の顔を見て、目を見開いた。

7:AL ◆6.:2021/01/26(火) 19:41 ID:jU.

黒い髪。美しいけれど、吊り上がった瞳。
紫色のアイシャドー。ブルーグリーンの美しい衣装。
その吊り上がった瞳は、アナには見覚えがあった。

「エルサ……?」

アナのその呟きに、またも会場がどよめく。
最前列でアナの戴冠を見守っていたクリストフも、驚いて
目を見開いた。

「正解。流石、私の妹ね」

そう言って、エルサはにこりと、口の片端だけを
持ち上げて微笑んだ。
やはり、この女性はエルサで間違いないようだ。
…けれど。

ーー11年前のエルサの髪は、黒髪ではなく
雪のような白髪だった。このような大胆とも言えるような
衣装ではなく、ぴったりとした衣装を着ていたし
何より、アナは11年前、姉の、このような冷ややかな
表情を見たことがなかったし、皮肉っぽい言い方も
聞いたことがなかった。
アナがお守りとしていつも身に付けているロケットの
中のエルサは、優しげな笑みを湛えた少女に見えた。
どうして?エルサは、どうして変わってしまったの?

8:AL ◆6.:2021/01/26(火) 19:55 ID:jU.

エルサの容姿がイマイチ分からない、という人向けに
画像を置いておきます。(エルサは画像の左です)
https://i.imgur.com/3fVjwgW.jpg

9:AL ◆6.:2021/01/26(火) 20:01 ID:jU.

結婚式のような、長いベールの上から、金色に
光輝くティアラを載せているのにも、アナは違和感を
感じた。

「エルサ、なのよね?」

アナは思わず確認するように言った。

「そうよ。分からない?」

その姉の表情からは、何の感情も読み取れない。

「驚いたわ。久しぶりに故郷に帰ってみたら
可愛い私の妹が、女王になっていたんですもの」

「今は、何処で暮らしているの?」

アナはどうしても、姉のことが少しでもたくさん
知りたくて、質問した。

「ノースマウンテンのてっぺんにある、氷の宮殿よ。
宮殿には、番人もいるの。役に立つのよ」

10:AL ◆6.:2021/01/26(火) 20:07 ID:jU.

>>8に補足
(本編には入らなそうなので…💦)

エルサ
衣装:引き摺るような、長いロングドレス
(所々に氷の紋様がある)
色→ブルーグリーン

髪装飾:結婚式のような、長いベールの上から、金色に
光輝くティアラを載せている
(顔まで覆っていたベールを移動させました)

髪色:黒髪(一房だけ昔の髪色である、白髪の髪が……)

ネイル:青と白

その他の装飾:雪の結晶の形の大ぶりのネックレス

11:AL ◆6.:2021/01/26(火) 20:21 ID:jU.

「氷の宮殿!素敵ね」

アナは笑顔でそう言った。

「そうね。でも、貴方に耐えられるかしら。
とても寒くて、冷たいのよ」

エルサはクリストフを見て、冷ややかにそう言った。
クリストフは刺すような視線を感じ、思わず目を逸らす。
その様子を見てアナは、慌てて言った。

「エルサ!彼は……クリストフは良い人よ!
勘違いしないで!」

「勘違い……?私は勘違いなんて、していないわよ。
ただ、男性が嫌いなだけ」

アナは、どう返して良いか分からず、黙ってしまう。
するとエルサは、おもむろにすっと両手を上げた。

「ねぇ?私はそろそろ、二人きりで話したいと
思っていたの!!」

語気を強め、両手から鋭い氷を出すと、戴冠式に
出席していた客たちを、氷の中に閉じ込めた。
クリストフは、寸手の所で氷を避け、かわすことに
成功した。

閉じ込められた客たちを見たアナは思わず、きゃあと
悲鳴を上げた。クリストフは、アナを庇うように
アナの前に立ちはだかった。

「あらあら、一番のお邪魔虫が、魔法を避けてしまう
だなんて、ついていないわね」

クス、とわざとらしく笑うと、エルサはそう言った。

「アナに危害を加えるつもりなら、たとえ姉だろうと
何だろうと、俺が許さない」

クリストフは、アナを庇うような体勢のまま、エルサに
向かってそう言った。

12:AL ◆6.:2021/01/29(金) 21:07 ID:Mk2

「あら、私はアナに危害を加えるつもりなんてないわ。
ただ姉妹二人きりで話したいと思ったから"こうした"
だけよ。やり方が乱暴だったかしら?ごめんなさいね、アナの
ナイトさん?」

じろっと、鋭い目付きでクリストフを見やると
エルサはわざとらしく謝った。そして、言葉を付け足す。

「少しだけ黙っていただける?さもなければ、どうなるか
お分かりね?」

脅すようにクリストフに言うと、エルサはくるりと
アナに向き直る。

「姉さん、お願いよ。クリストフに、乱暴な真似は
しないで頂戴。それと……この国民たちは、元に戻るのよね?
大丈夫よね?」

アナは上目遣いでエルサを見ながら、そう問う。

「良い表情。貴方のそういう顔、大好きだわ」

そう言うとエルサは、すっと、アナの頬に触れた。
まるで氷のようにーーいや、氷よりも冷たい手だった。
そして、そんなエルサの手に触れられると、ぞくっと
背筋が凍るような想いがした。ずっと、もう一度
姉に会いたいと思っていた。そして、エルサに
触れられたいとも。
ーーこれが、これがずっと待ち望んでいた姉の優しい
手だろうか?これがずっと、喉から手が出るほど見たかった
姉の姿であろうか?
アナは分からなくなりそうだった。

13:AL ◆6.:2021/01/29(金) 21:26 ID:Mk2

「何故?何故、そんな顔をするの?久しぶりの再会なのに」

姉が悲しげな顔を浮かべるのを見ても
アナは自分の気持ちが分からないままだった。

「ごめんなさい。ねぇ…本当に、本物の姉さんなんだよね?」

アナはエルサと目を合わせずにいた。目を逸らしたまま
そう聞いた。目を逸らしたアナからは見えないが
エルサは初めて表情を崩した。わざとらしい作り物の
表情でも、冷たい笑顔でもなかった。
ゆっくりと、口を開く。

「何を言うの。当たり前じゃない」

エルサは、にこりと優しげな笑顔を見せた。
おずおずと、目線を合わせたアナは、今日初めて
今、目の前にいる姉に昔の姉の面影を感じた。

「ーーエルサっ!!姉さん!……ずっと、ずっと
会いたかった!エルサに会えるなら、何でもするって、
何を代償にしても良いって、思ってた!!
エルサ!やっと会えたのね!」

そう言ってアナはエルサに抱きついた。
その瞳には涙が滲んではいたが、笑顔だった。
エルサは抱きつく妹を、まるでペットでも
撫でるような手つきで背中を撫でた。
その姉の手つきに、アナは再び違和感を感じ、またも
胸がずきりとした。

14:AL ◆6.:2021/01/31(日) 09:50 ID:Mk2

アナは、すっとさりけない仕草で、エルサから離れた。

「あら、もう良いの?」

相変わらず淡々とした口調で、エルサが話す。

「私も貴方に会いたかったのよ、アナ。だって、私の味方は
貴方だけですもの。たった一人私の家族。
たった一人私の味方………」

そう言いながら、悲しげに瞳を伏せたように見えたのは
自分の気のせいだろうか?そう思い、アナは自分の目を
ごしごしと擦る。

「エルサ……」

「ねぇ、私と一緒にノースマウンテンの氷の宮殿で
暮らさない?そうしたら、私たちはずっと一緒に
いられるのよ。心配はいらないわ。もう寂しい想いを
して過ごすこともない。ほら、おいで、アナ」

エルサはすっと、自分の腕を伸ばした。
アナは戸惑いがちにエルサとクリストフを交互に
見ると、考え考え、口にした。

「あ、あの……姉さんの気持ちは分かるわ。あたしも
エルサと一緒に暮らしたいって思ってたから。
だけどーーアレンデールのみんなや、クリストフを
見捨てることなんて出来ない!」

アナは、きっぱりと言った。その瞳には、強い意志が
宿っていた。エルサは、黙ったままだった。
なのでアナは、言葉を続けた。

「エルサ、一緒に
ここで暮らそう!エルサが嫌なら、女王にだって
ならなくて良い。あたしが、エルサを守る。何があっても
あたしは、エルサを見捨てない。だから、お願い」

そう言って、アナはエルサに向かって手を伸ばす。
この手を取って、お願い、という想いを込めて。
エルサはツカツカとヒールの音を響かせて、アナに
近付いた。

「ああ、アナ!それは出来ないわ。ここには、私の
居場所がないの。無理なのよ。アナ、おいで。
国民たちなんてどうとでもなるわよ。姉妹の絆の方が
大事。そうでしょう?」

懇願するような口調でエルサは言った。
その表情は、苦痛に歪んでいた。

15:AL ◆6.:2021/02/05(金) 19:10 ID:CjE

アナの決心が、ぐらりと揺れる。ここを離れ、エルサと
暮らすのは簡単だ。だけどーーーーー
目の前にいるエルサは、エルサであって、エルサじゃない。
アナは、揺らぎそうな決心を固く強く、確かなものに
変えた。

「ーー国民たちを、解放して」

アナは弱々しげにエルサに訴える。
エルサの片方の眉が吊り上げる。

「それは、妹としての可愛らしいお願い?それとも
女王としての命令かしら?」

クスクス笑いながら、エルサは言った。
アナは深く息を吸い込んで、勇気を体内に溜め込んだ。

「もう一度言うわ。国民たちを、解放しなさい。
ーーこれは、アレンデール王国の女王としての命令です!」

アナは、背筋を伸ばし、威厳溢れる口調でそう言った。
エルサをじっと見つめる。

16:AL ◆6.:2021/02/05(金) 19:20 ID:CjE

近くで見ていたクリストフは、アナの立派な決断に
驚きはしたものの、感心していた。

「アナ、今の決断は立派だったよ」

クリストフは率直な想いを口にした。
アナは照れて頬を赤く染める。

「ありがと。やっぱり、国民を放ってはおけないもの。
アレンデール王国の女王として。そして、この国と
この国のみんなが大好きな、いち国民として」

そう言うとアナは、悪戯っぽくウィンクした。

17:AL ◆6.:2021/02/07(日) 12:39 ID:CjE

「ーー仰せのままに。アナ女王」

エルサはそう言って、何処か悲しげに目を伏せた。
すっと両手を天に掲げて、国民たちを解放した。
それとほとんど同時に、来た時と同じように顔を長い
ベールで覆い隠す。まるで、何かに隠れているかのように。

「アナ。一つだけ忠告をしておくわ。その男と別れなさい。
どうせ裏切られるだけよ。これは、貴方の為に言っているの」

アナは固い決心を宿した、純真な瞳で応じた。

「クリストフは、あたしを絶対に裏切らないわ」

「……私にも、そう思っていた時期があった。
けれど、真実の愛などこの世に存在しないのよ、アナ」

エルサは消え入りそうな程に小さな声で、そう呟くと
音もなくその場から消えた。

「…待って!エルサっ!」

アナは呼び掛けたが、既にエルサはその場から
いなくなっていた。ぼんやりしていた国民たちが
意識を取り戻す。

「私たち、何をしていたのかしら?」

「そう言えば、記憶がないなぁ」

「それに、身体が凍えそうに寒いわ」

「夏なのになぁ」

国民たちがひそひそと、話す声がアナの耳にも届いた。
先程の出来事を、どう説明して良いか分からなかった。

18:AL ◆6.:2021/03/20(土) 20:07 ID:tU2

そこへクリストフが歩み出る。
驚くアナや国民を気にせず彼は咳払いを一つすると、
話し始めた。

「…えー、アナ女王は最初の女王としての務めを行った。
立派な判断で国を救ったのだ。アナ女王に、拍手を!」

クリストフの言葉に、拍手が沸き起こる。
歓声まで上がったのには、彼も驚いた。
アナは恥ずかしがりながら手を振り、
「どうも〜…」と小さく呟いた。
**
ーーこうして、ひと悶着あったものの何とか無事に
戴冠式を終えることが出来た。
いつものジャンパースカートと緩いみつあみ姿に戻り、
アナはクリストフと共に、自室でアイスココアを飲んでいた。

「ふぅ!疲れたわ……けど、無事に終わって良かった!」

アナは大きく伸びをした。

「お疲れ、アナ」

クリストフはアナの肩をポンと叩く。

「姉さん…エルサのことだけどね」

アナは切り出した。

「悪い人には見えなかった。でも善人でもないの。
掴みどころのない人よ。
ーー11年前はそうじゃなかったのに……」

アナの言葉に、クリストフはどう返して良いか分からず
口をつぐむ。何か言葉を発する代わりに、アイスココアを
飲み干した。

「それにね、何処か寂しそうだったの。
あたし、姉さんを救いたい。皆で城に住みたい。
姉さんは生きてた!まるで叶わない話って訳じゃない筈よ」

アナは強い意思を宿した瞳で、そう言った。


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