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「ローザ、この子の家に行って。そしたら“これ”を撒くんだ」
「りょーかいです!」
ネジ巻き人形のようにトテトテと館の外へ行くローザを見送り、コーヒーにかけた魔術を解いた。
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はっと目を覚ますと目の前には冷めたコーヒーがあった。
「ん…ぁあ…れ…?眠ってました…?」
残しちゃダメだ。苦く不味く冷たくなったコーヒーを一気に飲み干した。
「ノンカフェインのコーヒーだからね。もう君の世界では夕方ごろだ。帰りなさい。大丈夫だから」
「大丈夫って…」
虐待を受けているというのに帰りたくない。
そんな私の心情を察したのか、男性(?)は優しく微笑む。
「大丈夫だから。」
この一言が奇妙なほど安心した。
天使に囁かれているように甘い毒が私を蝕んでいく。そんな感覚。
安心はするが、ひどくゾッとする。
矛盾しているのはわかる。でも他に形容するものなんてない。
扉が開かれ帰るように促される。
私は寝起きのせいかフラフラと歩きながら外へ出た。
「そこに大きい木があるでしょう。その木に一礼二拍手二礼。そしたら目を瞑って木に触れてください。戻れますから」
「あの…えっと、ありがとうございます…ローザさんにも伝えておいてください」
ぺこりと頭を下げ、一際大きな木に一礼二拍手二礼。目を瞑り木に触れると_
あの喫茶店の路地裏にいた。