【東方】「夜想譚」

葉っぱ天国 > オリキャラなりきり > スレ一覧 101- 201-キーワード▼下へ
1:語り手◆3.:2020/12/12(土) 03:52

幾つの夜を乗り越えたとしても凄惨な過去から逃れることは出来ない。
背後の闇は未来を進む者さえ呑み込もうと迫るもの……
これは紅魔の館に仕えるメイド……"十六夜咲夜"の物語

>>1 世界観と注意
>>2 異変キャラ

67:死闘の序曲◆gI:2021/01/08(金) 06:20

ダダダダダッ・・・・・!

スッ・・・・・!スッ・・・・・!

遅いわね・・・・・殺意に囚われていない人間の方が、まだ早かった・・・・・

(咲夜は零夜の殺意に満ちた猛攻を、いとも簡単に、時を止めることすらなく避けていく・・・・・

霊夢が放っていた弾幕を思い出しながら、殺意に囚われていない人間の方が攻撃はちゃんとしていることがわかる・・・・・)

68:惨劇の復讐者◆3.:2021/01/08(金) 12:30

《「高等魔光魔法 レイン」》
《ギュオォォォォォォォォォォォッ》

迫り来る凶弾嵐の中でも霊夢達との戦いを経験した咲夜の前では
通路の奥にある扉に扉を覆うようにして浮かび上がった巨大な魔法陣が現れ、広い通路の半分を埋めるような規模の巨大な破壊光線が放たれる……

この光線に当たればまず間違いなく即死は免れないだろう。
だが、この光線も弾幕のルールにのっとりながらも、改良を重ねた魔理沙のマスタースパークに比べると威力だけに特化し過ぎたあまり、その速度は魔理沙の放つものよりも少し遅くなっている。

69:死闘の序曲◆gI:2021/01/08(金) 15:34

《やっぱりね・・・・・あの巫女や魔女の攻撃と比べると、威力に特化しているだけでスピードはさほど脅威じゃない・・・・・》

ダダダダッ・・・・・!

(零夜の更なる猛攻も、霊夢や魔理沙との一戦の中で経験したものと比べれば、やはり遅く感じる・・・・・

本来ならばスピードもかなりの脅威であるのはまず間違いないことではあるのだが、霊夢達の攻撃スピードを経験した今の咲夜からすれば、零夜の攻撃を避けられるほどに体が慣れ始めている・・・・・)

70:惨劇の復讐者◆3.:2021/01/08(金) 21:26

零夜
「(なんだ……なんなんだ……これは……!?
何故光弾や光線をこれだけ簡単に避けられるとは……
予想以上の力だ……)」

無数に飛び交う光弾や、それらを避けた先も考慮して仕込んでおいた光線さえも避ける咲夜を見て、事前に得ていた情報よりも更に強くなっている事に驚き、スクリーンを見上げながら硬直する。

光弾の嵐でさえ五体満足で通り抜けられるとは思わず、あくまでも保険としてあったためか、光線は一度発射し負えるとその込められていた魔力が尽き、咲夜の前には観音開きの扉がある。

だが、その扉の向こうからは荒々しく邪悪な魔力が感じられる。

71:死闘の序曲◆gI:2021/01/09(土) 06:18

《この言葉にし難いおぞましい力・・・・・この先に・・・・・》

(零夜がスクリーンを見ながら唖然としている中、猛攻を簡単に全て掻い潜り、咲夜は扉を見つける・・・・・

とてつもなくおぞましい力が感じられるが、今の咲夜は主達を救うことのみを考えているからか、何の迷いもなく扉へと向かい、勢いよく扉を開ける・・・・・)

72:立ちはだかる悪しき大樹◆3.:2021/01/09(土) 19:41

【紅魔館 広間】


《オォォォォォォォォ……》

扉を開けたその先に待ち受けていたのは広間を埋め尽くさんばかりに枝根を広げ、悪意に満ちた醜悪な笑みを浮かべた不気味な紫色の巨大な樹木……
"ダークトレント"と呼ばれる魔物であり、先程の異界の猟犬よりも更にぶ厚く強固な体を持ち、メイン武器であるナイフが通用せず、体術さえ通用しづらい圧倒的な巨体の化物であり、咲夜の姿を見つけた瞬間、その巨大な枝を振るい、弾き飛ばそうとする。

73:死闘の序曲◆gI:2021/01/11(月) 08:37

カチッ・・・・・

まさかさっきの犬っコロよりもやばい奴が待ち受けているとはね・・・・・

(咲夜は時を止めてダークトレントの背後へ周り、策を考え始める・・・・・

しかし、ナイフも通用しないほど強固な体、そして圧倒的な巨体・・・・・

ナイフも通用しないとなれば体術も通用しないのは明白・・・・・)

74:立ちはだかる悪しき大樹◆3.:2021/01/11(月) 15:17

ダークトレント
『ゲラゲラゲラゲラゲラ!!!』

ダークトレントの背後に回り込んだ咲夜であったものの、ダークトレントの背中から巨大な頭が現れ、更に背面の壁に張り巡らされ、この奥の扉を守る枝根からも無数の顔が現れ、悪意に満ちた笑い声をあげ、無数の枝根を伸ばして咲夜の体を貫こうとする。

75:死闘の序曲◆gI:2021/01/13(水) 04:05

カチッ・・・・・

こういう時こそ冷静に・・・・・慌てちゃダメ、冷静に・・・・・

(再び時を止めて、枝根による攻撃を回避し、更には無数にある顔の一つに、ナイフを投げつける・・・・・

もしかしたら、万が一に顔になら攻撃として効くかもしれない可能性もゼロではない為、試してみるしかない・・・・・というか、できる限りの攻撃を試さないと倒せないほどの敵と戦っているという証拠でもある・・・・・)

76:立ちはだかる悪しき大樹◆3.:2021/01/13(水) 16:00

零夜
「あの魔樹は先程の魔犬よりも更に硬い体を持ち、痛覚すら持たない。ナイフや体術だけではどうにもならないだろう。……今度は自爆には使わない、多少時間がかかろうと今度は確実に潰す……!!」

咲夜の様子を見ていた零夜はナイフや体術では物理的にダークトレントを倒すことが不可能である上に、得意の時間操作もある程度此方から解除する事が出来ると言うことは先程もわかった……ナイフと体術、時間操作しか戦闘に使えないのであれば此方の勝利が揺らぐことはない。

ダークトレントの無数にある顔の一つに咲夜が放ったナイフが突き刺さるものの、痛覚を持たぬダークトレントは異界の猟犬と異なり、痛みやダメージで激怒したり、怯む事はなく、ただただ不気味な笑みを浮かべながら無数の枝根を執拗に伸ばして咲夜を捕らえようとする。

77:死闘の序曲◆gI:2021/01/14(木) 06:14

とんでもなく厄介な奴ね・・・・・!!!!

ダッ・・・・・!

(咲夜は段々とダークレントの動きを見切れるようになってきたのか、スピードも追いついてゆく・・・・・

倒すには至らない以上、本当に攻撃が避けられそうにない時と策が浮かんだ時に時間停止能力を使った方がいいと判断したのか、咲夜はダークレントの攻撃を避ければ、頭をフル回転させ始める・・・・・)

78:立ちはだかる悪しき大樹◆3.:2021/01/14(木) 21:59

零夜
「必死になって足掻いているようだが、それも時間の問題だ。
お前も己の無力を知り、失うことへの絶望と恐怖に苛まれたまま逝けばいい……」

レミリアとフランの二人に背を向け、スクリーンに映るダークトレントの猛攻を避けている咲夜を見て、怨念とも憎悪とも悲しみとも取れない声で、姉も自分と同じ絶望と恐怖に苛まれればいいと呟く。

最早自分には復讐しか残っていない。
姉が新しい家族を得て幸せに暮らしている中、自分は外の世界で血と腐臭に満ちた闇の世界で暗殺と虐殺を繰り返して来た。自分達を見捨てて逃げた姉に復讐する。それだけを心の支えとしてきた零夜の狂気が言葉となって現れ始める。

79:死闘の序曲◆gI:2021/01/15(金) 06:20

事情は知らないけれど、哀れね・・・・・復讐心しか残っていない上に、実の姉の命を狙うなんて・・・・・

(どんな事情があれ、復讐心しか残っていなく、実の姉という親族の命を狙うという愚行は、レミリアからすればあまりにも哀れなことに思える・・・・・

事情をしらないレミリアは、咲夜側に何か問題があったのだろうかと思っても普段一番接しているからか、とても咲夜が実の弟をここまでにするようなことをしたとは思えない・・・・・)

80:立ちはだかる悪しき大樹◆3.:2021/01/15(金) 17:46

零夜
「……そう言えば、お前達も父が暴君であったのだろう?
なら……わかるだろ?見捨てられ、命を脅かされ、苦痛と恐怖の中を生きる絶望を……!そしてそれを引き起こした者達への復讐と憎悪が!!」

少し首を傾けて目線だけをレミリアに移動させると、自分と同じように支配され、絶望と恐怖の中を生きることや、それを強いる者への憎悪と復讐を理解できる筈だと投げ掛ける。

81:死闘の序曲◆gI:2021/01/16(土) 06:23

っ・・・・・!アンタ・・・・・どこでそれを知ったの・・・・・?お父様・・・・・いや、あの男はとっくの昔に地獄に落ちたはず・・・・・

(接した限りでは、咲夜に対する復讐心しか持ち合わせていないように思っていたからか、いきなりヴァルターについての話題が零夜の口から出たことに驚きを隠せない・・・・・

零夜がヴァルターのことを知っている何者かと繋がりがある、ということなのだろうか・・・・・)

82:立ちはだかる悪しき大樹◆3.:2021/01/17(日) 01:38

零夜
「ほう、この情報は正しかったようだな……
誰が教えたのかについて知る必要は無いだろう?
何せ……今日を持ってお前達も、アイツも……全員まとめて死に絶えるのだからな?」

零夜は咲夜との時間の相互干渉や、パチュリーの補助等、度重なるイレギュラーの中で懐疑的になっていたものの、レミリアの反応からしてこの情報は正しかったのだと判断すると、零夜は銀の懐中時計をスーツの内ポケットから取り出し、現在の時間帯を見せる。

零夜が開いた懐中時計は午後三時を指している。
それが示しているのは……日の出まで残り三時間しか無いと言うこと……
これはつまり、あと三時間経ってもレミリアとフランの二人が救出されなかった場合、二人とも日光に照らされて消滅してしまうことを意味している……

83:死闘の序曲◆gI:2021/01/17(日) 11:34

本当に卑怯ね、アンタ・・・・・どんな人生を送ってきたかは知らないけれど、どうせ一方的な逆恨みなんでしょ・・・・・?言うことやること全部がただの逆恨みの小物・・・・・

(零夜のあまりの冷酷さに、レミリアは零夜の今までの人生を知らないが故も含めて零夜が一番傷つくような一言を放つ・・・・・

新しい家族と居場所を見つけた咲夜とは対照的に、文字通り生き地獄を経験して今まで生きてきた零夜の過酷な人生を知らないこと、咲夜が零夜がここまでなるほどのようなことをする人物ではないということを信じているため容赦なく言える・・・・・)

84:立ちはだかる悪しき大樹◆3.:2021/01/17(日) 23:44

零夜
「なんとでも言え、これが俺達人間の強さなのだからな。」

(二人に見せていた懐中時計を閉じ、再びスーツの中に戻しながら、この狡猾さや卑劣さこそが人間の強さであり、人外の存在に対抗する方法なのだと応える……零夜にとって人間は悪意の強い者だけが勝ち残れる、他者を平気で蹴落とせる者こそが幸せに近付ける……そんな歪んだ価値観の下の発言だ)



零夜
「逆恨み?ふん、そうか……ならお前がお前の父に抱いていた感情も逆恨みだと言えるな?」

(零夜はレミリアの言葉を聞くと冷笑し、自分達を見捨てて一人幸せを掴んだ咲夜と、ヴァルターを同じく自分達に災いと苦痛をもたらした張本人であると言う考えの下で同一視し、姉を恨んでいる自分と父を恨んでいたレミリアとフランの二人に対して「逆恨み」と言う言葉をそのまま返す……

咲夜は刻一刻と根を張り広間を埋め尽くさんとばかりに広がる人面樹によるあらゆる方向からの刺突攻撃や薙ぎ払い攻撃を向けられ続けている。

零夜としても、このまま後は放っておくだけで咲夜は体力が尽きて攻撃が避けられなくなれば死亡し、三時間後には日光によってレミリアとフランも消滅する。出血によって意志が既に失われつつあるパチュリーもこのまま手当てをしなければそうは長く生きられない……まさに絶体絶命の状況に追い込まれてしまっている)

85:死闘の序曲◆gI:2021/01/18(月) 06:21

っ・・・・・!そ、それはっ・・・・・

(恨む側が零夜と自分達姉妹であるなら、同じ立ち位置にいるのは咲夜とヴァルター・・・・・

だが咲夜はヴァルターとは違う、ヴァルターのように誰がを故意に殺めたり、悲しませたりはしない・・・・・

だが、レミリアは上手く返答することも出来ずに、黙り込んでしまう・・・・・)

86:立ちはだかる悪しき大樹◆3.:2021/01/18(月) 22:47

零夜
「……口でならば何とでも言える。
俺もお前達とヴァルターの関係についてそこまで詳しくは知らない。
だが……俺にとってアイツはお前達にとってのヴァルターに等しい、許すことの出来ない悪……この身を擲ってでも滅ぼしたい存在だと知れ。」

零夜は視線をレミリア達から咲夜とダークトレントが戦うスクリーンへ戻し、自分にとってはレミリア達にとってのヴァルターに等しい敵なのだと断言する……

スクリーンの中では、徐々にその体積を増して咲夜の逃げ場を奪っていくダークトレントの姿と、それでも必死に回避を続ける咲夜の姿が移っている。

87:死闘の序曲◆gI:2021/01/19(火) 06:22

・・・・・咲夜がアンタに何をしたって言うのよ・・・・・咲夜が実の弟にここまで恨まれるようなことをする人間じゃないっていうのは、主人の私が一番知っているのよ・・・・・?

(レミリアは咲夜が実の弟にここまでされるほど恨まれるようなことをする人間ではないことを弟の零夜よりもよく知っている・・・・・

だからこそ、より一層零夜の気持ちが理解出来ない・・・・・)

88:惨劇と海藻◆3.:2021/01/19(火) 19:55

零夜
「……いいだろう、言ったところで何が変わるわけでも無い。冥土への土産として話そう。」

どの道、残り三時間で全員塵となって消える運命にある。
ならばそれまでに少しの雑談をする程度の事、何ら障害にはならないだろう。



零夜
「俺とアイツはのどかな街の中で生まれ育ち、貧しいながらも優しい両親の下で充実した毎日を暮らしていた……その頃の俺もこんなささやかだが平和な毎日が続くと信じていたんだ……だが……この幸せは長くは続かなかった。」

零夜
「覆面の集団によって俺達の家が襲われ、父さんと母さんが殺され……
俺自身も殺されかけた……アイツは……俺達が襲われている時、俺達を見捨てて一人で家から逃げた……姉さんは小さい頃から時間を操る事が出来ていたから助けようと思えば何時だって俺達を助けられた筈なんだ……なのに……アイツは俺達を見捨てて……逃げた。」

零夜はここまで話終えると、自分のスーツとシャツの胸元を開ける。
すると、無駄無く鍛えぬかれたその体には無数の傷跡が付けられており、特に鳩尾の辺りには一際大きい刺し傷の跡がくっきりと残っている……
体に付けられた無数の傷は様々な拷問や、能力が開花して人拐い達から逃れた先で生き延びるためにもがいた証であり、鳩尾の傷跡は家族を襲撃された時に付けられたものだ。



零夜
「辛うじて生かされた俺は人拐いに捕えられ、地獄としか言い様の無い世界を生きて来た……自分で命を絶とうとした事など十や二十じゃない。だが……俺はアイツへの憎しみだけを糧に生き延びて来た……」

89:死闘の序曲◆gI:2021/01/21(木) 21:13

・・・・・咲夜は、助けを呼ぼうとしたんじゃないの・・・・・?いくら時を止められるからって、子供が家族全員襲われた際に出来ることなんでたかが知れている・・・・・

(いくら時を止める能力を子供の頃から持っていたとしても、子供ならパニックになるのは当たり前・・・・・

咲夜は家族を置いて逃げようとしたのではなく、他の大人の助けを呼ぼうとしたのではないかと指摘をする・・・・・

この言葉が零夜に響くとは思えないが・・・・・)

90:立ちはだかる悪しき大樹◆3.:2021/01/21(木) 23:38

零夜
「……それが真実であったとしてももう遅い。
ここまで来た、来てしまった以上、俺はもう止まることは出来ない。
復讐の成功か……死か……そのどちらかの二つ以外に俺に道は無い。」


零夜はレミリアの言葉を聞くと、零夜自身もその考えがあったからなのか、少しの沈黙の後、先程までとは打って変わって冷静な口調でそう応える……

例え咲夜が助けを求めるために出たのだとしても、復讐のために此処までしてしまった以上後戻りなど出来ない。咲夜を仕留めて復讐を成すか……それとも敗れ去り消えるか……その二つしか自分にはもう道など存在しないのだと応える。

皮肉な事に、自分にとって大切な、肝心な場所では時間の操作が及ばない……最も変えたい場所、戻りたい場所には遡ることが出来ない……それが後天的に能力に目覚めた零夜の最大にして取り返しの付かない欠点……

復讐だけが自分の生き甲斐であり、これまでの自分を支えてきた……
それを否定すると言うことはこれまでの自分の全てを否定するようなもの。例え自分の考えや行いが過ちであったとしても、自分自身の手では終わらせられない。

終わりを迎えることが出来るとすればそれは咲夜によってこの命が絶えられたその時だけなのかもしれない……

91:死闘の序曲◆gI:2021/01/22(金) 06:18

・・・・・家族を失ったことでどんどん歪みに歪んで、挙句の果てには唯一血の繋がりがある姉を消して目標を達成しようだなんで、本当に哀れね・・・・・お互い生きている今の内に、話ぐらいしたらどう・・・・・?

(少しでも零夜の殺意と復讐心のレールをを咲夜との和解へと切り替えようとし始める・・・・・

ここまで歪んでしまった感情を元に戻すことは難しいが、少しでも咲夜に対する今の殺意が和らいで、和解する気持ちへと変わればとダメ元で言ってみる・・・・・)

92:紅龍推参◆5w:2021/01/23(土) 13:11

【紅魔館 階段前】


ダークトレント
『ゲヒャヒャヒャヒャ!!!』

レミリアが零夜に対する説得を進めている中、咲夜と交戦していたダークトレントは遂に広間の五分の四以上をその巨大な根を張り巡らせる事で覆っており、着実に咲夜の逃げ場を奪っていた……そして、移動可能なスペースの大半を奪ったダークトレントはほぼ全方向から同時に黒い根を伸ばし、咲夜の体を貫こうとした次の瞬間。



《ドゴオォォォォォォォォォォォォォォォッ》

美鈴
「遅れてしまいすみません!!」

辺り一帯に鳴り響く程の凄まじい爆音と共に、封鎖魔法によって脱出不可能となっていた広間の扉が勢いよく吹き飛び、ダークトレントの無数にある顔の一つに深々と突き刺さる……そして吹き飛ばされた扉の先には両手に赤い鱗が生えた美鈴が立っており、咲夜の姿を見付けると館の危機であったにも関わらず駆け付けるのが遅れてしまった事への謝罪をする。

93:死闘の序曲◆gI:2021/01/24(日) 08:42

・・・め、美鈴・・・・・

(攻撃も通用しない相手から何とか攻撃を受けないように避け続けるのが精一杯な中、もはや絶体絶命とも言える状況に追い詰められたその時、突然ダークレントの顔にいきなり吹き飛んできた扉が突き刺さるのを見て、驚きを隠せないでいる中、扉が飛んできた方向を見ると、美鈴が助けに来てくれたことにさらに驚く・・・・・)

・・・・・やられたんじゃないかと思って心配したわよ・・・・・

(レミリア達は零夜に拘束されているのはわかっているが、美鈴に関してはどうなったのかがわからなかった為、一安心する・・・・・)

94:紅龍推参◆5w:2021/01/24(日) 16:28

美鈴
「あはは、ご心配させてしまってすみません。ちょっと不意を突かれてしまいましたが、もう大丈夫です。」

右手を自分の頭の後ろに回しながら不意を突かれて戦闘不能になっていたものの、今はもう大丈夫だと言うと、蠢くダークトレントへ向き直り、両手の拳を強く握り締め、足を開いて腰を落とし、構えを取る。



美鈴
「さあ……一気にお嬢様のところまで行きましょう……!!」
《ドゴオォォォォォォォォォォォォォォォッ》
美鈴は此方にも向けて無数の枝根を伸ばし来るダークトレントを見ると、構えを取った状態で正拳突きを放ち、空気を殴り付けて衝撃波を巻き起こし、迫り来るダークトレントの枝根を薙ぎ倒し、更にはそのままダークトレントが守る扉もろともバラバラに消し飛ばし、階段への道が見えるようになる。

だが、その階段の向こうには幾つもの妖精メイド達の骸と、妖精メイド達を倒したと思われる無数の甲冑達が待ち構えており、巨大な盾や剣を持って警戒している。

95:死闘の序曲◆gI:2021/01/25(月) 06:17

・・・・・酷い・・・・・メイド達まで・・・・・

(咲夜はあれだけの強敵であったダークトレントをあっという間に美鈴が倒したことに驚きつつも、今は一刻も早くレミリア達が囚われている場所へ向かわなければと思うと、階段の方へと向かう・・・・・

すると、階段の向こうにメイド達の骸があるのを見て、咲夜は精神的にショックを受ける・・・・・

今回の騒動は自分の弟が引き起こしたこと、咲夜は責任を感じていた・・・・・)

96:紅龍進撃◆5w:2021/01/25(月) 23:07

美鈴
「……大丈夫です。妖精メイド達は少し時間がかかってしまうかもしれませんがまた復活できます。」

ショックを受けている咲夜を見て、メイド達は妖精であるため"一回休み"の状態にはなってしまっているものの、その根底にある自然現象そのものが消えた訳ではないため、また生き返る事が出来ると伝えて少しでも支えようとする。

だが、レミリア達は妖精では無く、一度滅ぼされてしまえば二度とは蘇ることは出来ない……だからこそ、今は足を止めている暇は無い……

97:死闘の序曲◆gI:2021/01/26(火) 06:21

・・・・・そうね・・・・・急ぎましょう・・・・・

(妖精達はまた生き返るとしても、何の罪もないのに死の経験までさせてしまったことは本当に申し訳なく思っており、弟と、零夜と戦わなければいけないという試練を前にもう精神的にもやられ始めている・・・・・

どうしてこんなことになってしまったのだろうかと、後悔の念に押し潰されそうになる・・・・・)

98:紅龍進撃◆5w:2021/01/26(火) 18:20

美鈴
「雑魚は私に任せて下さい。」
【虹符「烈虹真拳」】

美鈴は一刻も早い救出と、精神的な負い目を感じている相手を前に進ませる事で少しでもその感情を紛らわそうと考え、全身に紅色のオーラを纏い、連続して拳を放ち、迫り来る甲冑の軍隊に向かって色とりどりの無数の光弾を放ち、館の屋上の階段への道を作る。



美鈴
「さあ、今のうちに先へ進んで下さい!!」

だが、打ち倒した甲冑の中には誰も入っておらず、砕かれた甲冑がみるみる再生しており、悠長に戦っていれば日の出になるまでの時間を稼がれてしまうだろう。

99:死闘の序曲◆gI:2021/01/27(水) 05:52

わかったわ・・・・・

ダッ・・・・・!

(この階段の向こう・・・・・この向こうに、零夜がいる・・・・・

主達を救うのを最優先としているが、同時に咲夜の心に芽生えるのは、仲が良かった弟に恨まれてしまうのも仕方ないということと、できればこんな形で再会はしたくなかったという感情・・・・・

ガッ・・・・・!

咲夜は、屋上に出る扉を勢い良く開けた・・・・・)

100:忌まわしき過去との対決◆5w:2021/01/27(水) 12:25

【紅魔館 屋上】


零夜
「……来たか……どうやら余興はこれまでのようだな……」

美鈴は咲夜が階段を駆け上がると、屋上に辿り着き、両手を後ろで組み、展開していたスクリーンを消して佇んでいた零夜がゆっくりと咲夜の方へ振り返り、余興はこれで終わりのようだと呟く。

101:死闘の序曲◆gI:2021/01/28(木) 06:15

お嬢様達を開放しなさい・・・・・

(咲夜は零夜を睨みつけながら、レミリア達を開放するようにと忠告する・・・・・

しかし、零夜が咲夜に殺意を抱くのとは裏腹に、咲夜は零夜とは和解したい気持ちもある・・・・・

咲夜は戦いを目前に、どうすればいいのかわからなくなっていた・・・・・)

102:忌まわしき過去との対決◆5w:2021/01/28(木) 08:03

零夜
「いいだろう……ただし、この俺を倒せたら……の話だがな。」
【「静止する時()」】

先程のやり取りの中でレミリアに語ったように、零夜の中にはまだ迷いや躊躇いが残っていた。でなければわざわざ館の空間を操って咲夜を飛ばさずに最初の段階で彼女の首を斬っていればそれで終わっていただろう。

だが、その迷いや躊躇いがある反面、憎しみや復讐心だけを支えに零夜は生きてきた。もはや、どちらかが命を落とすまで止まることは出来ない。

零夜は手にした銀の懐中時計のスイッチを押し、周囲の時の流れを完全に静止させる灰色の波動を放ち、更に左手の掌に銀製の短剣を召喚してそれを咲夜に向けて投擲する事で仕留めようとする。

103:死闘の序曲◆gI:2021/01/29(金) 06:20

あら、気が合うじゃない・・・・・

ヒュッ・・・・・!

(咲夜は投げられた短剣を回避すると、ナイフを6本取り出し零夜へ向けて投げる・・・・・

零夜同様、咲夜にとってもこの戦いは後戻りできない戦いであり、同時に過去の過ちに対する回答と終止符を打つ戦いでもある・・・・・)

104:◆5w:2021/01/29(金) 12:51

零夜
「なるほど、時間停止はやはり効かない……か。」

停止した時の中でも此方の投擲した短剣を避け、咲夜がナイフを投げるのを見て、やはり同じ時間操作能力者同士だと互いに相殺し合うのだと言うことを理解すると、今度は右手に十字架を連想させる銀の長剣を召喚して投げられたナイフを全て弾き飛ばしながら、此方からも距離を詰めるべく駆け出す。

駆け出すとそのまま手にした長剣を勢いよく前へ突き出し、そのリーチを活かした高速の突きによって咲夜の体を刺し貫こうとする。

105:戻ることのない時間◆gI:2021/01/29(金) 14:03

・・・っぐ・・・・・!

ガッ・・・・・!

(零夜は咲夜への復讐心から来る純粋な殺意によって容赦のない一撃、対する咲夜は主達を救う為とはいえ、零夜のように敵対者に殺意があるわけではないからか、やはり少し動きに躊躇いがある・・・・・

咲夜は攻撃を瞬時に回避しようとするが、右腹部辺りの服の生地を裂かれ、皮膚をかする・・・・・

かすったところはわずかながらに切り傷になり、血が出る・・・・・

咲夜は片足を振り上げ零夜に反撃をする・・・・・)

106:時の復讐者◆5w:2021/01/29(金) 16:11

零夜
「……ふん、今回は逃げないんだな?」

零夜は突きを避けられ、反撃として繰り出された蹴りに対して自分の左手を盾のようにして相手の脚にぶつける事でその威力の軽減を行いながら、「今回は逃げ出さないんだな」と皮肉を呟く。

そして、更なる追撃として突き出した右腕を横へ払う事で手にした長剣による薙ぎ払いをする。先程の咲夜の蹴りを敢えて受けたのはこの斬撃を当てるためであり、これこそが本命の攻撃となっている。

107:戻ることのない時間◆gI:2021/01/30(土) 06:02

ザッ・・・・・!

ぅぐ・・・・・!

(零夜の斬撃を回避しようとするが、反応が遅れて腕に長剣が突き刺さる・・・・・

そして、今回は逃げないんだなという零夜の問いに対して「えぇ・・・・・そうね・・・・・今の私は逃げない人間になったの・・・・・」と返す・・・・・)

108:時の復讐者◆5w:2021/01/30(土) 12:33

零夜
「……そんなにあの妖怪共が大切なのか?」

零夜の振横薙ぎに振るった長剣が左腕に深々と斬り込み、骨にまで到達すると、ここまで身を挺してまで妖怪…つまりはレミリア達が大切なのかと問い、刺さった長剣を勢いよく引き抜く事で 咲夜の左腕を切断しようとする。

109:戻ることのない時間◆gI:2021/01/31(日) 10:57

グッ・・・・・!

当たり前でしょ・・・・・私の大切な家族よ・・・・・

(咲夜は長剣の刃の部分を握り、ググッと力を込めて切断は免れようとする・・・・・

そして、零夜のあの妖怪共が大切なのかという問いに対して、咲夜は大切な家族であると返す・・・・・

咲夜からすれば、レミリア達はかけがえのない存在であることがわかる・・・・・)

110:時の復讐者◆5w:2021/01/31(日) 13:55

零夜
「戯言を……ぬかすなッ!!!」
《シャッ》
零夜は長剣の刃を掴んで引き抜くのを阻止した事に対して驚くものの、直ぐにそれを遥かに上回る"憎悪"が零夜の心を支配していく……
自分よりも先に時間操作能力を開花させていたにも関わらず、自分や家族を見捨てて一人逃げ出した姉が……あろうことか妖怪を守るためにその身を挺しているのだと言う事が零夜の心を復讐へと駆り立てる。

咲夜の顔を蹴り飛ばして剣を引き抜こうと、床を蹴って少し飛び上がり、そのまま体を捻って遠心力を込めた回し蹴りを放ち、相手を蹴り飛ばそうとする。

111:戻ることのない時間◆gI:2021/01/31(日) 17:52

遅いっ・・・・・!!!!!

(咲夜は零夜の蹴りを避けると、そのまま自力で長剣の刃を引き抜いて零夜へと無数のナイフを投げつける・・・・・

今の家族を馬鹿にされている以上、咲夜も黙ってはいられない・・・・・

咲夜も徐々に攻撃することへの躊躇は消え始めている・・・・・)

112:時の復讐者◆5w:2021/01/31(日) 19:16

零夜
「俺はお前を消すために生きてきた……そのために俺は復讐以外の全てを捨てて来た……何も失っていないお前とは覚悟が違う!!」

意思の強さは戦う強さへと変わる……
零夜の場合は姉への復讐、その一念のために人間らしい心も、友も、仲間も、復讐を成すための力以外の全てを捨てて来た……それが零夜が自分では止めることが出来ない理由になっている。

自分とは対称的に新しい居場所や家族、仲間を得た咲夜に劣る理由がないと言い、ほぼ至近距離であった事からナイフを取り出そうとする咲夜に対して、回し蹴りが空振りしたものの、その勢いを利用して空中で更に一回転して咲夜の手を蹴り飛ばしてナイフを叩き落とそうとする。

113:戻ることのない時間◆gI:2021/02/01(月) 06:18

笑わせるんじゃないわよっ・・・・・!!!!!

(咲夜は零夜の蹴りを受けながらも、更に瞬時に別のナイフを取り出して至近距離で投げつける・・・・・

咲夜だって今の今までレミリア達とただただ幸せな毎日を送っていたわけではない・・・・・

それこそ、レミリアに拾われるまでは地獄のような日々も生きてきた、拾われる前も後も、時間停止能力を持ちながらも家族を救えなかったことをずっと心の闇として秘めながら生きてきた・・・・・

なんなら、救えたはずなのに救えなかった咲夜からすれば、零夜よりも心の闇は深いのかもしれない・・・・・)

114:時の復讐者◆5w:2021/02/01(月) 15:32

零夜
「それは俺の台詞……だ!!」

ナイフを投げられるものの、蹴りや欧打が当たる程の至近距離では投擲による優位性は殆ど無く、咲夜の手を蹴ってナイフを弾き飛ばすと、地面に着地した瞬間にそのまま地面近くにまで姿勢を落とす事でナイフを避けると同時に、彼女に対して足払いを仕掛けて転倒させようとする。

一度転倒してしまえば、再度起き上がるにせよ、床を転がって避けようとするにせよ、零夜の持つ長剣による斬撃を回避する事が困難になってしまうだろう。

115:戻ることのない時間◆gI:2021/02/01(月) 21:30

なっ・・・・・!?

(零夜の思惑通り、咲夜は足払いを仕掛けられて転倒する・・・・・

咲夜は家族を囚われているということから零夜に対する怒りの感情は抱いているものの、零夜が咲夜に対して抱く恨みの感情はそれをもはるかに凌駕するということの証明にもなっている・・・・・)

116:時の復讐者◆5w:2021/02/01(月) 22:24

零夜
「俺がどんな思いでこれまで生きてきたのか……どんな人生を歩まされて来たのか……お前には想像する事さえ出来ないだろうな!!」
《ヒュオッ》

足払いが成功し、転倒した咲夜に対して零夜はこれまでの生について口にする……
奴隷として生きてきた人生……能力を開花させて奴隷でなくなってからも安息の地など無く、闇の狩人として様々な苦痛や恐怖、絶望を味わって来たのか等、咲夜には想像する事すら出来ないだろうと言うと、右手に握った長剣を振り下ろし、倒れた咲夜の体を両断しようとする。

117:動かない大図書館◆5w:2021/02/02(火) 00:08

パチュリー
「…………ッ!これは………?」

咲夜と零夜が戦いを繰り広げている中、パチュリーは自分の体に刺さり、魔力を封じている魔封効果が込められた銀のナイフの柄を掴み、激痛に耐えながらもゆっくりと引き抜く。すると、そのナイフから違和感が感じられ、その違和感の正体が何なのかと勘繰り始める。

既にナイフは抜けたものの、まだ魔力は回復しておらず、完全に回復しきるまでには到底日の出には間に合わないため、フランを閉じ込めた時のように雨を降らせたり、空を雨雲で覆うことは出来ない。

二人の戦いに自分は介入することは出来ない……
時間操作が出来ない自分が零夜へ反撃しようとしてもかえって足手まといになってしまう事が目に見えているからだ。

118:戻ることのない時間◆gI:2021/02/03(水) 06:10

ガッ・・・・・!

ぐっ・・・・・!

(咲夜はナイフを取り出し、刃の部分で長剣の刃をなんとか食い止めるが、ナイフの刃と長剣の刃では圧倒的な差があるが、何が何でも負けられない咲夜は必死に抵抗する・・・・・

そして、
パチュリーがナイフを引き抜いたのを見ると「パチュリー様!ナイフをこっちへ・・・・・!」と叫ぶ・・・・・)

119:時の復讐者◆5w:2021/02/03(水) 08:03

零夜
「剣にナイフが勝てると思っているのか?」

零夜はナイフの柄
だが、幾ら振るいやすさを重視して軽量化されているとは言え、ナイフと長剣とではその単純な質量に差がありすぎる上に、床に倒れた状態で腕力しかまともに使えない状態の咲夜と長剣を振り下ろしている事で単純な腕力に加えて剣の質量や体重も攻撃に乗せることが出来る零夜とでは力を込められる姿勢や態勢にも大きく差を付けられてしまっている。

パチュリーも咲夜の呼び掛けに応えて魔封じのナイフを投げ渡そうとするが、この状況を打破し、零夜の注意を逸らす事が出来なければ容易く避けられてしまうだろう。

120:戻ることのない時間◆gI:2021/02/03(水) 14:23

・・・っ・・・・・私・・・・・は・・・・・負けられな・・・・・

ズブッ・・・・・

ぁ゛・・・・・

(咲夜の体に、長剣の刃が深々と突き刺さる・・・・・

どんなに負けるわけにはいかないという強い意志があったとしても、長年に渡って募った復讐心を前にしては、力が一歩及ばないということの証明なのかもしれない・・・・・)

121:時の復讐者◆5w:2021/02/03(水) 17:30

零夜
「………終わりだな。」

零夜は復讐を成し遂げられるという事への喜びも嬉しさも何も宿っていない、どこまでも冷たい無感情な顔をしたまま、咲夜のナイフの柄を貫いた長剣を更に押し込んで彼女の体を貫こうとしていく……
どれだけ時間を操れると言う規格外の能力を持っていようとも、人間である事に変わりはない……傷や怪我をすれば簡単には治らず、失った手足が戻る事もない……一つの傷や怪我が致命傷となりうる人間だ。



パチュリー
「………ッ!(防御魔法を……!いえ、それでは間に合わない……回復魔法をしようにも剣が刺さってしまっては意味を成さない……それ以前に今の私に魔力は残されていないし、このナイフを投げたところであの時使いに阻まれるのは確実……打つ手が……無い………)」

パチュリーは脳内に様々な打開策や救出方法を模索するものの、いずれにしても今の状況を打破しうるようなものは見付からない……

122:戻ることのない時間◆gI:2021/02/04(木) 06:16

・・・・・

(咲夜の手は力なく崩れ、長剣の刃が容赦なく体を貫く・・・・・

咲夜はもう抵抗もしない・・・・・いや、できない・・・・・

長剣が刺さった場所からは、血が流れ続けている・・・・・)

123:時の復讐者◆5w:2021/02/04(木) 12:34

零夜
「………残りは1時間20分か。
ここまでに相当の魔力を消耗したが……これでもう俺の時間操作に対抗できる奴もいない。このまま館内にいる奴らも殲滅しておくか……」

咲夜の体を貫いた長剣をそのまま床に刺して串刺しの状態にすると、懐から銀の懐中時計を取り出して日の出までに残された時間を確認し、咲夜の名を叫ぼうとしたものの、ナイフによって受けた傷によって大声が出せなくなっており、呻くような声をあげるパチュリーと、銀の鎖によって十字架に磔にされたレミリアとフランの三者の様子を見る。

そして、三者をまとめて始末しようと三人の頭上に召喚魔法を展開し、そこから銀の大剣を呼び寄せ、それを落とす事で三人をまとめて貫こうとする……

124:???◆5w:2021/02/04(木) 23:24

???
「………ッ!!
今の私だけでは……この結界を壊せない……」

零夜が幾重にも渡って張り巡らせた巨大にして強固な結界。
紅魔館の正面門の前では幾度も激突した後があるものの、結界が破壊できるまでには及ばず、己の無力さにうちひしがれている者が一人いた……
自分一人だけではこの壁を壊して助けに向かうことは出来ない……
だが、博麗の巫女ならばこの結界を解除して助けに向かうことが出来るようになるかもしれない。



???
「レミリア……フラン……待っていて………」

脳裏にはレミリアとフラン、そして館の住人達の事が次々と過り、歯を強く食い縛り、巫女の元へと向かって飛び去って行く……
かつてヴァルターの暴力や支配から二人を守ることが出来なかった……その過ちを再び繰り返す訳にはいかない。

125:戻ることのない時間◆gI:2021/02/05(金) 06:09

レミリア「・・・・・アンタは、必ず地獄に堕ちる・・・・・」

フランドール「・・・・・消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ」

(レミリアとフランドールの二人は咲夜を長剣で突き刺した零夜を睨みつけながら、抵抗も何もせずにただただ罵声を浴びせる・・・・・

今この時、自分達を救うべく動いている者がいるということも知らずに・・・・・)

126:時の復讐者◆5w:2021/02/05(金) 12:11

零夜
「地獄……か。ならば死した妖は何処へ行くのだろうな?」
《バチンッ》
レミリアとフランの二人の言葉を聞き、ならば完全に死亡した妖怪は何処へ行くのだろうと呟くと、零夜は指を鳴らす。
するとそろを合図として三人の頭上に召喚した大剣が三人の心臓目掛けて落ち始め、咲夜と同じように串刺しにしようとする。

127:戻ることのない時間◆gI:2021/02/06(土) 00:24

カチッ・・・・・

(突然、レミリア、フランドール、パチュリーの三人を亡き者にするために召喚した大剣が三人に直撃する寸前でその動きを止める・・・・・

零夜ならば・・・・・いや、零夜だからこそすぐにわかるような、この謎の現象の正体は・・・・・)

128:時の復讐者◆5w:2021/02/06(土) 07:57

零夜
「…………!!」

日の出を待つこと無くとも、決着は既についた。
体を貫かれ、絶命したであろう咲夜ではもう何も出来ず、咲夜以外で時間を操れる自分に対抗できる者はいない。

そう考えていた最中、突如として自分以外の者による時間停止が発動される……咲夜も人間だ。体を貫かれて尚、生きている事など出来ず、どれだけ強い能力を持っていようとも死してしまえば無力となる。

その筈であったにも関わらず、時間停止が成されている事に驚愕し、停止した時の中で左手に長剣を握ったまま何が起こったのかと咲夜の方へ振り返る。

129:時の守護者◆gI:2021/02/06(土) 20:54

ポタッ・・・・・ポタッ・・・・・

はぁっ・・・・・はぁっ・・・・・!

(零夜が振り返ると、咲夜は自分の体へ突き刺さっていた長剣を抜き取り、刺さっていた場所を左手で押さえながら右手で長剣を構える・・・・・

零夜の原動力が咲夜に対する復讐心ならば、咲夜の原動力はレミリア達に対する愛だろうか・・・・・)

130:時の復讐者◆5w:2021/02/06(土) 21:27

零夜
「馬鹿な……確かに体を貫いた筈だぞ?お前……まさか人間を辞めているのか?」

人間の生命力や再生力では体を貫かれた状態で立ち上がることなど、まして能力を使うことなど到底出来ない……だとしたら考えられる可能性は一つ。咲夜は既に人間を辞めて吸血鬼にでもなっているのだろうか?

……ならば此方も相応の戦法を取るまで。
零夜は軽く一回転し、その遠心力を乗せて右手に持った長剣を振るい、魔力を具現化させた横薙ぎの巨大な斬撃を放つ。

131:時の守護者◆gI:2021/02/07(日) 09:08

ガッ・・・・・!!!!!

(咲夜は手負いの状態でありながらも、素早い動きで零夜の斬撃を避け、そして背後に回り込みさっきまで自分の体に刺さっていた長剣を振るう・・・・・

そして「私は人間をやめちゃあいないわよ・・・・・昔も、そして今も、失うことが怖いただの人間よ・・・・・」と、今は今この時、レミリア達を失うかもしれないことだろうが、昔というのは家族を助けられなかった時のようにも聞こえる・・・・・)

132:時の復讐者◆5w:2021/02/07(日) 16:58

零夜
「なら……あの状態からどうやって助かったんだ?確実にお前の体を刺し貫いていた筈だ。」

背後に回り込んだ咲夜を見て右手に持っていた長剣を振り向き際に振るい、咲夜が振るった剣と激突させて相殺しつつ、右足を咲夜の左横腹目掛けて蹴り出して鍔迫り合いにもさせずに一気に斬り伏せようとする。

133:時の守護者◆gI:2021/02/07(日) 17:31

さぁ・・・・・ね・・・・・私にだって・・・・・わからないわ・・・・・

ヒュッ・・・・・!

(咲夜は零夜の攻撃を再び避けると、ナイフを零夜へ向けて投げつける・・・・・

零夜の頬をナイフがかすり、鮮血が一滴滴る・・・・・

自分でもここまで手負いの状態で何故戦えているのかがわからないが、まだ戦えるのであれば、何としてでもこの戦いに終止符を打ちたい・・・・・)

134:時の復讐者◆5w:2021/02/07(日) 19:10

零夜
「……そうか……お前は人間を捨てたか。」

零夜の繰り出した蹴りは咲夜を前に空振りに終わり、同時に距離を取って咲夜が投げたナイフを零夜は回避したは良いものの、自身の頬に掠り、傷口から血が垂れると、それを左手の袖で拭う。



零夜
「ならば………俺も人間である事を捨て去り、完全なる殺戮と破壊の化身と化そう!!」

姉の咲夜は人間である事を捨てたのだと判断すると、零夜は左手の掌の上に召喚魔法陣を展開し、そこから黒い血液が入った小さな注射器を取り出す。
その黒い血液から感じられるおぞましく、禍々しい闇の魔力から、レミリアとフランにとって最悪の象徴とも言えるあの"ヴァルター"の血液である事が即座にわかるだろう……

135:時の守護者◆gI:2021/02/08(月) 06:18

・・・っ・・・・・!?

(零夜が掌に召喚したものが予想外過ぎるものだったため、咲夜は言葉を失う・・・・・

もしあれを注射してしまえば、零夜を本当の意味で救い出すことはできなくなってしまう・・・・・

どんなに敵同士だとしても、やはり血の繋がった実の弟・・・・・死なせたくはない・・・・・)

136:時の復讐者◆5w:2021/02/08(月) 12:25

パチュリー
「させる訳がないでしょ……!」
【「ウィンターエレメント」】

零夜がヴァルターの血を取り込んでしまえば殆ど壊滅状態にある現在の紅魔館のメンバーでは対抗する手段がないと判断したパチュリーは自分の傷や怪我を回復する事よりも零夜の妨害を選び、床に右手を付けて水柱を立ち上げる事で零夜の左腕へ攻撃を加えて彼が持つヴァルターの血が入った注射器を吹き飛ばす。



零夜
「………ちッ!まだ生きていた……!!」
《シャッ》
零夜は吹き飛ばされた注射器の代わりに手元に短剣を生成してそのままパチュリーの眉間目掛けて正確に投げ、咲夜の代わりにパチュリーから先に仕留めようとする。

137:時の守護者◆gI:2021/02/08(月) 14:00

カチッ・・・・・

ヒュッ・・・・・!

(咲夜は時を止め、パチュリーに向けて投げられたナイフを停止させると、そのままそのナイフを握りしめ零夜の腕へめがけて思い切り投げる・・・・・

時が止まっていようとなかろうと、零夜と咲夜には関係ない、ここからは両者共に手加減なしの死闘である・・・・・)

138:時の復讐者◆5w:2021/02/08(月) 16:02

零夜
「どこまでも邪魔をするつもりか……!!」

咲夜が時を止めようとも零夜はその影響を受けず、咲夜もまた零夜による時間停止の効果を受けないようになっており、静止した時間の中で投げ返されたナイフを避けて柄を掴むとそのまま咲夜目掛けて投げ返す。

そしてパチュリーの展開した水柱によって吹き飛ばされた注射器の方を確認するとそれを目指して飛翔する。ただでさえ現時点でも苦戦が免れない零夜が吸血鬼となってしまった場合、その戦闘力がどれだけ跳ね上がるのかは想像に難しくは無い……

139:時の守護者◆gI:2021/02/08(月) 16:27

させないわよっ・・・・・!!!!!

グォッ・・・・・!

(咲夜は飛んできたナイフによる攻撃は受けずに掴むと、そのままナイフを忍ばせて走り始める・・・・・

そして、零夜に追いつくとそのまま腹部へと拳による強烈な一撃を入れる・・・・・

この注射器を打ってしまったが最後、もう取り返しのつかないことになるのは明白である以上、どんな手段を使ってでも阻止しなければならない・・・・・)

140:時の復讐者◆5w:2021/02/08(月) 17:15

零夜
「………ぐッ!」

注射器さえ手に入れてしまえば即座に殲滅する事が出来ると言う事や、先程までまともにダメージを受けていなかったと言うと例えば慢心から高速で追い付き、拳を繰り出した咲夜の一撃に対する反応が遅れて咲夜のボディーブローが直撃し、追撃のチャンスが生まれる。

141:時の守護者◆gI:2021/02/08(月) 17:29

アンタの好き勝手にさせないわよ・・・・・!!!!!

ズブッ!!!!!

(咲夜はボディブローに続いて、零夜の右肩へ向けて先ほど零夜が投げてきたものの、簡単に掴み取り忍ばせたナイフを深々と突き刺す・・・・・

追撃のチャンスが生まれた以上、なるべく深手を負わせることで動きを鈍らせた方がこちら側が少しでも有利になりうる・・・・・)

142:時の復讐者◆5w:2021/02/08(月) 18:24

零夜
「…………!!!」

咲夜が取り出したナイフが零夜の右肩に突き刺さり、右手に持っていた長剣を落とし、消失し、確固たるダメージを与える事に成功するものの、零夜は左腕で接近して来た咲夜に対して体内からダメージを与えようと掌底を打ち込もうとする。

143:時の守護者◆gI:2021/02/09(火) 06:18

ドゴッ・・・!!!!!

諦めなさい・・・・・アンタは絶対負けられないんでしょうけど、それ以上に私は絶対に負けられないのよ・・・・・

(咲夜は零夜の掌底打ちを避けると、再び零夜の腹部へとボディブローを入れる・・・・・

零夜へ初めてダメージと呼べるようなダメージを与えられた今、この戦いを終わらせるなら今しかない・・・・・

最初は弟に対して攻撃することを心のどこかで躊躇いがあったものの、今はもう容赦なんて必要ないと判断し、手加減無しで攻撃を仕掛ける・・・・・)

144:時の復讐者◆5w:2021/02/09(火) 07:49

零夜
「ぐッ……!!
図に……乗るな!!!」

掌底零夜は咲夜による追撃を受け、更にダメージを受けると反撃として魔術式を展開し、自分を中心とした周辺に青い爆炎を解き放ち、接近した咲夜をそのまま焼き尽くそうとする。

145:時の守護者◆gI:2021/02/09(火) 19:51

カチッ・・・・・

ズゥッ・・・・・!

ちょっとダメージを受けた程度で、随分と取り乱すのね・・・・・

(咲夜は先ほどのように時間操作で炎が放たれる前まで戻すと、零夜の左足へとナイフを投げ、深々と刺さる・・・・・

守るモノがある咲夜からすれば、ちょっとやそっとのダメージは跳ね除けてしまうぐらいに信念があるものの、守るモノもなければただただ復讐の鬼と化した零夜は、ダメージを受ければ受けるほど復讐計画に揺らぎが生じて今この時のように攻撃を受けやすくなっている・・・・・)

146:二つの秒針が交錯する時◆5w:2021/02/09(火) 20:57

零夜
「不意を突かれて動揺していただけだ。だが、奇跡はもう二度と起こらないぞ?」

零夜にはまだ自分の肉体の時間すら操るだけの力がまだ残っているのか、右肩に突き刺さったナイフを抜き取って投げ捨てると傷口に手を当てながら咲夜の投げたナイフを避け、自身の肉体の時間を遡ることで無傷の状態にまで自己回復していく。



零夜
「……どうやら俺はお前を些か過小評価していたようだ。もう油断も慢心もしない。お前に確実な死をもたらすまで手を緩めもしない。……本気で行こう。」
《ゴオォォォォォォォォォォォォォォォッ》

その宣言の通り、零夜の眼から優位性を確保していた事から来る油断や慢心が消え、純然たる殺意の炎だけが渦巻き始め、ヴァルターの血を取り込む事すら脳裏から排除し、眼前にいる咲夜を仕留める事だけに専念し始め、零夜の放つ魔力の質がより充実し、彼が青く揺らめく炎のようなオーラを纏う。

零夜は両手に長剣を召喚し、更に召喚した長剣に燃え盛る青炎を纏わせ、剣に切り裂かれた際のダメージを跳ね上げ、傷口や断面を焼くことで一撃ごとに致死のダメージを負わせやすくしている。

戦闘に専念するようになった零夜の戦闘力は先程までとは比較にすらならないだろう……ここからが二人にとっての正念場であり、互いの生死を決定づける事になる。咲夜も、零夜も、先に致命傷を負った方が敗北し、命すらも失う事を意味している……

夜明けまで残り一時間……
因縁と宿命、因果の果てに退治する二人にとっての本当の死闘が幕を開ける……

147:時の守護者◆gI:2021/02/10(水) 06:19

そう・・・・・わかったわ、お互い本気でやりましょう・・・・・

(そう言うと、咲夜も目が今までとは違い、零夜に対する殺意が混じり始める・・・・・

だが、咲夜は心のどこかではまだ、零夜と和解してまた一緒に過ごしたいという気持ちもあるのか、表情は少し複雑そうにも見える・・・・・)

148:二つの秒針が交錯する時◆5w:2021/02/10(水) 07:53

零夜
「………………。」

沈黙したまま零夜の赤い瞳のある左目に青白い魔法陣が現れ、先制攻撃として咲夜の足元から巨大な青い炎の柱を立てる事で防御や回避に回らせる事で先ずは咲夜の動きを制限して体勢を崩させようとする。

149:止まった時のカウントダウン◆gI:2021/02/10(水) 13:25

仮にも血の繋がった姉弟よ?ナメないでもらいたいわね・・・・・?

(咲夜は零夜の攻撃を先読みしたものの、それでも間一髪で炎の柱を避けるとそのままナイフを投げる・・・・・

零夜と咲夜、元は同じ時を刻んでいたはずの二つの秒針は、再び止まった時の中で動き出す・・・・・

それこそ、本当の意味で時が止まるまで、止まることは無い・・・・・)

150:二つの秒針が交錯する時◆5w:2021/02/10(水) 17:32

零夜
「……血の繋がった姉弟、か。
今となっては忌むべき宿命にしか聞こえないな!!」

零夜は立ち上げた炎の柱を回避した上でナイフを投げて反撃してきた咲夜を見て、姉弟と言う関係さえも今となっては憎悪を駆り立てるだけのものとなってしまっていると応え、向かってくるナイフを手にした青炎を纏った長剣で弾く。
すると、停止した時間の中でも燃焼する効力を持っているのか、弾かれたナイフが青炎に包まれ、溶けて消えていく……

更に零夜は双剣の利点を最大限に活用すべく、近接戦闘へと持ち込むべく距離を詰めようと飛翔し、両手に持った長剣を交差させるようにして振り下ろす。

151:止まった時のカウントダウン◆gI:2021/02/11(木) 06:51

ジッ・・・・・

ぐっ・・・・・っ・・・・・!

ズザッ・・・・・!

(零夜と比べれば、武器も攻撃手段も幾分か劣る上にかなりの痛手を負っているからか、咲夜は息を切らしながら零夜の攻撃への反応が遅れ、長剣が咲夜の服をかすり、わずかだが服を焼く・・・・・

炎が移った部分は破って何とかするものの、体力の面に関しては、これはどうにもできない・・・・・)

152:二つの秒針が交錯する時◆5w:2021/02/11(木) 14:02

零夜
「避けているだけでは何も変わらないぞ?」

零夜は今度は咲夜に向けて右手に持った長剣を横薙ぎに振るって一撃を放ち、続けて左手の長剣を振り下ろして二撃目を放ち、二つの斬撃を繰り出して猛攻を仕掛けようとする。
零夜が振るった剣は青炎を纏っているため、剣が振るわれた箇所には数秒間、青炎が残存し、ジワジワと逃げ場さえ奪っていく…

153:止まった時のカウントダウン◆gI:2021/02/11(木) 14:22

くっ・・・・・!次から次へとっ・・・・・!

(咲夜は息を切らしながら攻撃を避け続けるものの、確かに零夜の言う通り、避けているだけでは現状は何も変わることは無い・・・・・

だが、それは咲夜自身も一番わかっていることであり、零夜がヴァルターの血を取り込むことは何とか阻止できてはいるが、それ以外は追い詰められているという状況が続く・・・・・)

154:失われた過去と奪われた未来◆5w:2021/02/11(木) 15:14

零夜
「どうした、俺を倒すんじゃなかったのか?」

零夜は両手に持った長剣を振るい続け、息もつかせぬような苛烈な攻撃を繰り出し、双剣と言う手数と長剣のリーチ、数秒間は青炎が斬撃の軌道上に残ると言う圧倒的な戦力によって咲夜を追い詰める中、失われた過去が回想となって蘇る……



幼少期の零夜
「姉さんは強いですね!
僕も姉さんみたいに強くなって皆を守れるようになります!!」

咲夜の記憶の中にあった零夜は自分も姉のように強くなって皆を守りたい、全てを守れるぐらい強くなりたいと願っていた……いや、信じていた。
彼もあの襲撃さえ無ければ哀れな復讐者にならず、自分の信じるもの、大切なモノを守る守護者になれていたかもしれない。

零夜は全てを失い、レミリア達と出会うことが出来ずに絶望と苦痛の闇をさ迷い続けたもう"一人の咲夜"であるとも言えるだろう……



零夜
「お前が守ろうとしているモノも……お前の帰るべき場所も……全て奪い尽くしてやる……!!」

だが、あの襲撃を境に彼の身にどれだけの不幸が降りかかったのか……
その地獄のような日々は彼の思想や性格を冷酷な復讐者へねじ曲げてしまっているようで、今の彼の中には憎悪と復讐しか残ってはおらず、かつての彼の面影は最早残っていない……

零夜は決着を付けようと右手に持った青炎を纏い青い光を放つ長剣を勢い良く突き出して咲夜の心臓を貫こうとする。

155:止まった時のカウントダウン◆gI:2021/02/11(木) 16:22

幼少期の咲夜「私だってまだまだだよ!もっともっと強くならなくっちゃ!」

(過去の記憶も、血の繋がりも、今は全てが零夜の復讐心と憎悪の源となっている・・・・・

かつて強くなってみんなを守れるような人間になりたいという目標を持っていたあの頃・・・・・よりにもよって一番守りたい家族を襲撃されながら、恐怖のあまりに能力を有効活用することすらできずに逃げ出したあの日・・・・・

あの日から自分は、姉ではなく、零夜の性格を捻じ曲げることになった原因の一つでしかなくなったのだと、お互いの秒針は動かなくなったのだと、今更ながらに気づいた・・・・・)

ズブッ・・・・・

___・・・・・

(時が止まったかのように、その瞬間、音が消える・・・・・

いや、正確には、音が消えたかのような錯覚をするほどに、目の前の動きがスローに見える、と言った方が正しいだろうか・・・・・

咲夜の体を貫いた長剣は、青い光を放ちながら、今一度、咲夜の時を奪おうとする・・・・・)

156:二つの秒針が交錯する時◆5w:2021/02/11(木) 17:50

零夜
「俺にはもう守るモノも帰る場所もない……お前も……お前も同じ苦痛を味わえ!!!」

零夜の顔は激しい憎悪と殺意に満ちている……だが、その顔には何処か深い悲しみが潜んでおり、彼の放つ言葉には戻ることの無い過去、失われた過去への後悔と絶望が秘められており、咲夜の体を貫いた長剣に宿る青炎の火力を上げて内部から跡形もなく焼き尽くそうとする……

悪意と醜い欲望によって引き裂かれ、歪められた二つの運命が一つになる時……それは絶望に満ちた破滅となるのだろうか……

157:消えた過去と歪んだ未来(今)◆gI:2021/02/12(金) 01:30

スッ・・・・・

・・・・・ごめ・・・・・ん・・・・・

(咲夜がとった行動は、意外なものだった・・・・・

剣で貫かれた状態で、もがき苦しむわけでも、必死に抵抗して引き抜くわけでもなく、零夜を抱き締め、震えた声で途切れ途切れにごめんと、吐血しながらかすれた声で言うと、そのまま地面に倒れると同時に青い炎が所々、僅かな範囲で咲夜の服や皮膚を燃やし始める・・・・・)

158:復讐果てにあるモノ◆5w:2021/02/12(金) 01:49

零夜
「!!?」

例え咲夜から反撃が来ようとも左手にはまだ長剣を持っており、ナイフを投げる前にその腕を切断することも出来るし、そうで無くとも致命傷にならなければ時を遡らせることで回復も出来る。何処にも死角は無く、あらゆる状況や状態を想定していたものの、咲夜の取った自分を抱き締めると言う行動までは予想することが出来なかった。



零夜
「なんだ……今さら……何もかももう遅い……遅すぎる!!」

頭の中では憎悪と殺意の他にこれまでに感じた事の無い程強い困惑と驚愕が渦巻くようになり、それが戸惑いを生じさせており、咲夜の体から長剣を引き抜き、倒れた咲夜を見て、精神の乱れによって青炎が維持できなくなり消えている事にも気付かずに困惑したまま両手に持った長剣を大きく振り上げてトドメを刺そうとする……

159:消えた過去と歪んだ未来(今)◆gI:2021/02/12(金) 06:16

・・・・・

(倒れた咲夜の虚ろな目に映るのは、変わり果ててしまった弟の姿・・・・・

だが、零夜が今のような人格になってしまった原因は、一番は自分だとも言える・・・・・

咲夜は、自身の死を悟るも、最後の最後まで、また姉と弟として過ごすことが出来なかったことに、後悔の涙を流し始める・・・・・)

160:復讐果てにあるモノ◆5w:2021/02/12(金) 07:42

《ドオォォォォォォォォォォォッ》
零夜
「…………!?」

最早後には退けない、振り下ろした零夜の双刃が咲夜の体をバラバラに切り裂こうとした次の瞬間、術者である咲夜が倒れた影響で時間停止が解け、それに呼応するように紅魔館内から激しい轟音と衝撃が生じ、まるで地震が起こったかのような振動によって零夜は体勢を崩して床に片膝を付く。

161:消えた過去と歪んだ未来(今)◆gI:2021/02/12(金) 13:52

レミリア、フランドール「・・・っ・・・・・!?」

(時間停止が解けたことで、レミリアとフランドールも地震のように揺れる紅魔館に気づく・・・・・

停止した時間の中で咲夜と戦っていた零夜ですら、突然起きた出来事に驚くぐらいなのだから、突然と気が動き出すと同時に揺れているという状況を知ることになったレミリアとフランドールからすれば、もっと理解が追いつかないだろう・・・・・)

162:目覚めた龍◆5w:2021/02/12(金) 17:27

パチュリー
「この気は……眠れる龍が目覚めた……とでも言うのかしら?」

《バゴッ》
パチュリーは東洋の魔術を研究しており、そのため"気"についての理解や知識もあるため、紅魔館内から鳴り響くモノの正体をいち早く見抜くと、これまで苦痛や苦悶に満ちた表情をしていたパチュリーの顔に余裕と落ち着きが戻り始める。

パチュリーか轟音の主に気付いたのとほぼ同時に零夜の足元から天を貫くかのように巨大でありながら、夜明けの光明の如く美しい虹色の光の柱が立ち上がり、零夜を弾き飛ばす。更にその光柱の中には再生が不可能なまでのダメージと損傷を受けたリビングアーマーの残骸が含まれている。

零夜を弾き飛ばした光柱が徐々に薄れて消えるとそこには瀕死の咲夜を抱き抱えた美鈴が浮かんでいるものの、普段の彼女からは想像も出来ないほど強大な妖力と、本来ならば妖怪が使うことが出来ない筈の神力を身に纏っている。

普段彼女が被っていた緑の帽子は無く、その代わりに二本で一対の雄々しい龍の角が生え、背中から二枚の龍の翼、手や顔の左半分には赤き龍の鱗が生えたまさに人の形をした龍のような姿となっており、腰まで伸びた綺麗な赤い長髪が風に靡いて零夜と対峙する。

163:消えた過去と歪んだ未来(今)◆gI:2021/02/13(土) 06:22

レミリア「あ、あれは・・・・・」

(パチュリーは大体のことは把握出来ているようだが、レミリアは突然の出来事が連続で起きているからか、未だに理解が追いつかない・・・・・

ただ一つ言えるとすれば、希望の光が見えた、ということだろうか・・・・・)

164:目覚めた龍◆5w:2021/02/13(土) 12:33

美鈴
「遅くなってしまい申し訳ありません。」

美鈴は抱き抱えた咲夜に自身の気を操る能力を用いて彼女の生命力と再生力を上げて回復を施しつつ、地へ降り立つと、ゆっくりと咲夜を寝かせるようにして置く。



零夜
「まさか……あの忌まわしき竜族が居たとはな……それも、俺が倒した筈の奴が竜だったとは………」

弾き飛ばされた零夜だったものの、空中で一回転し、足から着地したため、直ぐに体勢を整えることが出来たため、美鈴の姿を見て憎悪の言葉を口にし、両手に持った長剣に再び青炎を纏わせ始める。

165:消えた過去と歪んだ未来(今)◆gI:2021/02/13(土) 17:05

レミリア「美鈴、気をつけなさい・・・・・そいつ、時を止める能力者よ・・・・・咲夜の弟というだけはあるわ・・・・・」

(再び戦闘を始めようと準備を整え始める零夜を見て、レミリアは美鈴に、零夜は咲夜同様に時を止めることが出来る能力者だから、気をつけるように忠告する・・・・・

零夜も人間であることに変わりはないが、その憎悪と復讐心、咲夜への執着心は異常とも言えるからだ・・・・・)

166:目覚めた龍◆5w:2021/02/13(土) 21:53

美鈴
「はい、身に染みています……」

一度零夜の時止めによって動きが封じられていた事もあり、全身を切り裂かれて倒された事があるため、レミリアの助言を聞いて、身に染みて知っていると応えると、パチュリーの気を操ることで咲夜と同じく回復させ始めると、床に寝かせた咲夜の方を見て優しく微笑む。


零夜
「……ふん、一度俺が倒した奴だ。
手負いの竜を一匹片付けることなど容易い事だ。
この竜を潰したら……次はそこの魔女、そしてその次が吸血鬼のお前らだ。」
《ダンッ》
零夜は一度倒した事のあると言うことから美鈴も容易く倒せると考えており、時間停止をすること無く、両手に青炎を纏わせた長剣を持ったまま、咲夜達を見ている美鈴の背後に回り込んでは飛び上がり、頭上から長剣を交差させるようにして振り下ろし、一撃で美鈴を倒そうとした次の瞬間。



《ドゴオォォォォォォォォォォォォォォッ》
零夜の振り下ろした凶刃が背を向けた美鈴の体に直撃するとなったその直後、振り下ろされた長剣が美鈴の体に当たるよりも先に美鈴の放った裏拳が零夜の手にし、交差する双剣を二本をまとめて打ち砕き、そのまま紅魔館の時計塔へ向けて零夜が軽々と吹き飛ばされ、爆発が起こる。



美鈴
「今の私は……"少し"怒っているので加減は出来なさそうですが……それで充分そうですね。」

今の美鈴の姿は、かつて、咲夜が来るまでメイド長を努めていた頃の強く、凛々しい美鈴の姿に戻っているが、それはつまり美鈴が心の底から激昂している事を意味している……
あまり美鈴と接した事の無かったフランの目からすれば、今の美鈴は普段隠していた"本性"をさらけ出したようにも映るだろう。


続きを読む 全部 <<前 次100> 最新30 ▲上へ
名前 メモ
画像お絵かき長文/一行モード自動更新