西暦20XX年、青波市。
日本近海に浮かぶ人工島に建設された巨大水上都市。
安寧と繁栄を謳歌するネオン煌めく洋上の不夜城に『黒き神仙(チェルノボーグ)』の魔の手が迫る。
けれど、この街には不屈のヒーロー達が居た。
ならば、やるべき事は唯一つ。
さぁ、英雄譚の開幕だ。
『Prologue』
「……ん、ここは……何処?」
鐡 冴月が眠りから覚めるとそこは知らない部屋だった。
背中に感じる柔らかな感触、どうやらベッドに寝かされているらしい、起き上がろうとするが身体が思うように動かない、見れば手首に縄が巻かれていた、その縄はベッドの下へと延びている、反対の手首と両足も同様だ。
「……私、縛られてる? そうか、捕まったのか」
自分の置かれている状況はすぐに理解できた、同時にこうなっても仕方ないとも思った。
とにかく、ここから抜け出さなくては、冴月は四肢に意識を集中させる。
「『メタライズ』」
発動する金属化の異能、細長く変形する四肢、もはや縄など存在しないに等しかった、束縛から解放された冴月は異能を解除し立ち上がる。
室内は簡素なベッドが二つとスチールラックが一つ置かれているだけ。この部屋には何も無さそうだ。
冴月はドアへと向かいドアに耳を当てる、話し声も足音も聞こえてこない誰もいないようだ。
冴月はゆっくりとドアを開け外の様子を伺う、やはり誰もいない。
「待っててジョー、私が助けるから」
そう決意し冴月は未知の建物を探索し始めた。
『Prologue =ENGAMI side』
____拳一刀流…
「『返し討ちィッ!』」
同じ建物の何処か __伸びた一団が辺りに広がる中
腰を深く落とした瞬打が決まり、戦闘員が宙を舞う…
…だがすぐに次の集団が、ヒーロー1人を取り囲み
軽く腕力で彼らを越す炎神も、流石に不利を理解した
「 っへへ …流石にこりゃ
先走っちまったかな…! 」
_____だが嬉しいぞっ…
「 暴れるんなら…へへ、こんだけ居なくっちゃな…!」
やることなす事拳一丁。___啖呵を切れば
我先にと向かって来る敵の群れ、…だから楽しい
戦いがいが体の中で奮ってくる …疲れは感じない
「 だりゃぁーッ 『群狼拳ーッ!』 」
何も考えずに …ただ拳を振るって暴れ混む。
「いったい何事なんだよ〜...」
コツコツと歩く音
負霊達は恐怖で怯え、怪物化した者達も静まり返る。
「おい、これは...どういう状況なんだぁ?」
ーそ、そのぉ...今から彼奴らを捕らえるとこで御座いますぅ...中将殿。
「ふ〜ん...なら、お前らはそのまま奴らを捕らえておけ。俺は観戦しておくからさ」
―は、はいぃ!!野郎共行くぞぉぉぉ!!
負霊達は怪物化した者達に負の波動を送り
怪物化した者達はより凶暴化し、ヒーロー達を襲う。
上にいる負霊達が呼ぶ“中将殿”は葉を吸いながら高見の見物だった。
「さぁ...どう感じで俺を楽しませてくれるかねぇ...」
負霊達の戦闘姿を見ながら吸った。
怪物化の者達は全員で5体
スーツで眼鏡を掛けたトカゲ男
音楽の音符を身にまとう巨大犬女
数字のメモリーを背中に伝う機械
ハートが割れた赤黒い液体を出す3mの人形
筆を両手持っている血を流した骸骨
同時に襲いかかる
部屋の外に出て十分ほど経っただろうか、四つほど部屋を調べたがジョーの姿は見付けられなかった。
「この建物、広さのわりに人が少ない……」
それに利用された痕跡があまりない、誰かの私物やゴミ箱の中にゴミが見当たらない、先程捕らえられていた部屋もそうだ、取引用に用意した一時的な拠点と言ったところだろうか。
冴月はなおも人気の無い通路を進む、そして通路の突き当たりの階段に差し掛かろうとした時、どこかで喧騒が聞こえた。
「ジョー……待ってて」
自分の居ないところでジョーが傷付いていると思うと居ても立っても居られなかった、冴月は階段を駆け上がり階上へと向かう。
ジジジ...
小さな携帯から発した音を聞いて男は手を取る。
「なんだぁ?」
――主からの指示で集合してこいとな
「マジィ?今、敵とバトッててさぁ〜...なかなか死んでくれねぇんだよなぁ」
――その場合は俺が説明しといてやる。さっさと片付けておけ
「了解〜」
電波は途絶え男はまた葉を吸う
少しイラついた様子で見ていた。
「あ゛〜〜!!!!つーまーらーねーえー!!!」
グワングワンと椅子に座っている体を大きく揺らしながら喚くそれは、轟轟とおのれのあたまである焔を燃やす
「フェイトはいねぇし俺待機だし!!何っっでこんなつまんねー配置なのおれー!!!ざっけんなよボス!!!」
ここにいないおのれの大将にむかって悪態を着くその様子は、駄々をこねる子供のようで、そのヴィランは妙に人間臭かった
周りに転がる、人間の山さえなければ、の話だが
「ったく、なーにがころすなだよ、めんどくせぇ」
味方もろとも。…薄々の予想では回避できない強襲__
[どしゃぁっ!]
吹き飛ばされ 岩の壁に彼は叩き付けられる
…途端に響く"リアル"から逸脱した激しい衝撃音。
____っ てぇ…っ!
何とか持ち直す …眼前に現れるは戦闘員達とは
まるで違う、…そう "怪人" それも5体。___
「 …手加減、出来ねぇってか! …(いや…) 」
( ___それとも俺以外は見えてねぇのかな )
詳細を探らなくとも戦況は不利 …いや、絶望的。
向こうは言わずもがな、"見えて" 5体、…探れば
戦闘員含めたって骨が二、三本折れても不思議じゃない
総力がある確率は …濃厚だ 後ろの方から感じる気配が
ひしひしと今、という困難を理解させに来ている。
…無論、此方は疲れたっきり。息も切れてるし…
何より、周りに転がってる奴等もまだ生きてる
___だが向こうは俺ごとやっちまう気だ
「(へへ…___ まぁ〜た冴月に叱られちまう… かもなっ)」
…だが"馬鹿"は、それでも微笑む。
久し振りに疼く筋肉、…心に燃料が放り込まれる…!
「 …来な、負けらんねえからよ! 」
グワァァァァァァ!!!!
巨大な叫びと共にヒーローを襲う
先制にトカゲ男と骸骨がペーパーナイフと真ん中に針がある筆で投げ飛ばし
それと同時に巨大犬女が疾走し横にある♪を投げ噛みつこうとする。
機械の男は何かをチャージしている...人形は大量の小型のトカゲの人形でヒーローのとこへ向かっている...
巨大犬女「シネシネシネ!!!!ガルゥゥゥゥゥ!!」
連続の噛み攻撃!
巨大犬女はイラついた様子だ...
[!] ___
(__攻撃は待たない、待つ訳だって考えても無駄
だから洞察する… どうする? どう出る?
___ この一瞬で …ただの一手で__ )
前に屈んで地面に手を添え…
___ちょっとだけ 待ってから…っ
[ボッ] __ちゃぶ"っ…
「 でぇ…ッ! 」
[ドンガラガラッ!!] 〖返"しィッっ!!〗
だったら此処は防ぐまで。…地に足付けた場所から
少し前ぐらいの地面をくり抜いてはひっくり返すッ!!
「(さぁてっ…!)」
(__くり抜き、…目の前でひとまず一斉攻撃を防いだ
地面の壁 …初手から少し危うい手だが仕方はない)
「(…うまく行くか … よし、来いっ!)」
巨大犬女「キャウンっ!!!!クゥ〜....ン」
地面をひっくり返しされ倒れる
トカゲ男は上からジャンプ攻撃し、下からは小型のぬいぐるみがヒーローの足をまとりつく
トカゲ男「シネヤァァァッァァ!!!!!」
二本のナイフで攻撃する
負のエネルギーが増え続けているようだ...
…[すぅっ]
( やはり息つく暇もないらしい …なら
____此方からドンドン上げて行くしかない!)
…幅跳びみたく両手を後ろに…
次に全身で腰から上を背面へ傾け __少し遅れ
__上段へ向け両足の蹴り上げ …両足サマーソルト!
「〖地背陽快脚〗だぁーっ!!」
[ヒュパァンッッ!!] …しかし脚そのものは空振り
___纏わりついたぬいぐるみをトカゲへぶっ飛ばす!!
「 …っとと… …さぁーて」
(若干よろめく …も、立て直す
…__さっきからイヤな気を感じる)
___…どーすっかなっ
[ダッ__!]
(…とりあえず駆け出す。__向かう先は"イヤな気"…!)
トカゲのぬいぐるみ達は動けなくなり
男はそのままヒーローを○しに掛かる
トカゲ男「浮かれ野郎はシネェェェェェ!!!!」
ナイフで連続攻撃
その攻撃は止む事をしらない
「 あ?…! 」
__怯むも反応するもなくリザードマンは突進してきた
(炎神は… 続くラッシュを必然的に生身で受ける事となる!)
いっ ……
[シュザザザザザ!!]「でででででででっッ!?」
咄嗟も咄嗟、…致命傷の回避を代価に
刃物が防御する腕を切り裂き 鮮血が舞う!!
「でっ …っ こんっ___
(連撃は鋭く、容易く肌を切り裂く …だが
動きは単調 その上刃物のみに集約された体幹も…)
[が"っ]____掴んでしまえばただの的。
… ん"の"野"郎"ォッ!!!! 」
(刃物を持った手を取り すかさず反撃用意!)
根性頭突き一発っ
ドメット
「〖"怒滅斗"〗ぉっ!!」
( 一気に脳天振りかぶって石頭を蜥蜴に叩き付けるッ!! )
トカゲ男「グエェェェェ!!!!????」
頭を突かれれよろよろと動き
バタンと倒れる
トカゲ男から負のエネルギーが大幅に漏れている。
半分は一般人の男性と成していた。
「...へぇ、なかなかやるじゃん。あいつ」
「おい、麻薬男。お前が必要とする者が現れた。変わって援護してやれ」
「あ、シチート様...了解っす」
上の動きは男は戦場から離脱
威厳の女性が代わりに戦場に立った。
負霊「お、お前達!!もっとエネルギーを出しやがれぇぇぇぇぇ!!!!」
おおおおおお!!!!
負霊達は直ぐに男にエネルギーを送り込むのに必死のようだ
巨大犬女「ガルゥゥゥゥゥ....シネェェェェェ!!!!」
攻撃の麻痺から解放され、ヒーローに突進する
一部だけ一般の女性のようだがまだエネルギーに満ちている。
彼女はそのままヒーローの首を噛み○そうとしている
何処からか聞こえる喧騒を頼りに建物を駆け回り、冴月はようやく“彼”を見つけた。
「見つ、けた……!」
ようやく出会えた探し求めていた人の背中、しかしその向こうには牙を剥く半獣半人!
唸り声を上げ今にも飛び掛かろうとしている。
動かなきゃ、迷っている時間は一秒もない! 冴月は床を蹴り疾走する、一歩毎に大きくなる背中目掛け冴月は腕を広げ抱きついた。
「メタライズ!」
異能を発動させ疾走の勢いのままジョーの身体を軸に自身の身体を時計回りに半回転、ジョーとヴィランの間に割って入る。
巨大犬女「っ!そのままシネェェェェェ!!」
好機だと思い二人同時に噛みつこうとする
巨大犬女
数字の男は後援からテクノロジー攻撃を発動する
次々と緑の不安定な数字がヒーロー達を襲う
負霊「一人増えた!?だ、だがこちらの方が戦略は上だ!!そのまま叩き潰してやる!!!」
二部隊に別れて、今動ける怪物化達をエネルギー補給をし
もう一つの部隊はトカゲ男のエネルギーが大幅に漏れて元の状態になりそうな所を修復する作業に入る。
「...もう一人増えたか」
彼女は最新の携帯、右手中指の指輪からメールを打つ
ーーー此方ザヴァエヴァーニエ01、もう一人の者が確認された。
現在は不明、だが戦略上此方が有利。
そのまま負のエネルギーを増援させる
ーーー此方、リームスキィ・パーパ本部通信部隊
了解しました。主に全てを、オーバー
ーーー了解、主に全てを
「....私の出る幕はないだろうな」
___…状況は整理する事が難しくなってきた
蜥蜴怪人は頭突きで下し …その反動に目眩を起こして
ふらつく途中、新手の怪人と俺を遮って現れたのは…
「 が…っ お、おいっ冴月ぃ! 」
(軽くぶん殴られたような衝撃。…そう、痛い方の衝撃
文字通り人型の鉄塊に勢いよく激突したような… そして
__目の前に怪人が居るというのに 言うのはただの文句 )
「いてーよ!!!! いや、…怪人に殴られるより
ずっと痛ぇんだっ お前ぇのそれ、よぉっ!?」
巨大犬女「ガルゥゥゥゥゥ....」
噛みついてる状態食いちぎりたいが出来ないようだ
「ごめんなさい……。でも、ジョーは私みたいに傷を直せないから」
言って冴月はヴィラン達へ向き直る、それと同時大口を開けた半獣半人のヴィランが眼前に迫る、冴月は咄嗟に左腕で攻撃を受け止める。
「――くっ、これに噛みつかれたらきっと怪我する、私ジョーに怪我して欲しくない」
冴月は自身の左腕に半獣を食らいつかせたままジョーを見る。
一方半獣の女はヴィランと言えど犬の顎では鋼鉄を噛み砕くほどの咬合力は出し得ないのか冴月の太いとは言いがたい腕を食い千切れずに何度も噛みついていた。
負霊「お、お前達!!さっさと動けぇぇぇぇぇぇぇ!!!」
その声で動いたのが機械と3mの人形
筆の骸骨。
骸骨は巨大犬女の援護で上から攻撃する
骸骨「シネェェェェェ!!!!」
両腕にある筆を剣に変え、ヒーロー達を襲う
剣からメモリーも追加された
機械による攻撃力が上げられた。
3mの人形は兎と猫の人形を出した。
兎はジョーという者に向かい、猫はもう一人のヒーローに牙を向けて攻撃しようとしている。
「───それいじょう、は、みのがせない」
2人の少年少女とヴィランの衝突が起こるその場所に、ふと、一つ、水面に落ちるひとつの雫のように響き渡る声が降る
「『─例えば、途切れた空が見えたなら、震える僕の声が聞こえるのなら─』」
どこからともなく聞こえる歌
美しく響くそれは、不思議と、この状況を鎮めるように、妙に落ち着くような感覚に陥る
「『─バラバラに砕けるほど舞い上がれ、引き裂かれた僕らの果てなき翼─』」
ふわりと、2人の少年少女の周りにゆるくかぜが巻き起こる、それは暖かく2人をつつみこみ、次の瞬間には、今までおっていた怪我や、うしなった体力がじわじわと回復してゆく……!
「 …っ お前ぇ…!?… ぁー 」
体になんのことはなく怪我は浅く、力もまだある
ただ、…平気そうな声で苦悶の表情を見せる彼女は
…見ていて妙に苛立ちが募った
(…だったら? そう、__殴る用意だ)
「 わるい ちょっと… てめぇらムカつく。」
[グッ___]
( 握り。冴月を苦しめる狼怪人の横面を__ )
[ (打撲音❗) ]
[タタッ]___ [(顎部打撲音❗)] [(打撲音❗)]
( 接近してくる… まず、兎の頭を掴んで膝蹴りで
顎辺りを蹴りあげ __ 骨へと向けて思い切り殴り飛ばすッ )
____ 「 …ん? 」
…ふと、気付けば妙に体が軽い
「……かんがえなしにうごくの、だめ」
カカッと、ヒールがなる音がする
「ここ、てきのあじとのひとつ、たたかい、しょうもうするの、こっち」
薄緑の髪を揺らしながら現れたのは、この場の誰より幼い少女であった
「……あと、おんなのこ、おいて、さきばしるの、なんせんす」
そういいながら、少女は「……かんがえなしにうごくの、だめ」
カカッと、ヒールがなる音がする
「ここ、てきのあじとのひとつ、たたかい、しょうもうするの、こっち」
薄緑の髪を揺らしながら現れたのは、この場の誰より幼い少女であった
「……あと、おんなのこ、おいて、さきばしるの、なんせんす」
そういいながら、少女は「……かんがえなしにうごくの、だめ」
カカッと、ヒールがなる音がする
「ここ、てきのあじとのひとつ、たたかい、しょうもうするの、こっち」
薄緑の髪を揺らしながら現れたのは、この場の誰より幼い少女であった
「……あと、おんなのこ、おいて、さきばしるの、なんせんす」
そういいながら、少女は鐡 冴月の方へ……
>>27
(めちゃくちゃだぶってる、無視してください)
↓(こっちが正しいやつです)
「……かんがえなしにうごくの、だめ」
カカッと、ヒールがなる音がする
「ここ、てきのあじとのひとつ、たたかい、しょうもうするの、こっち」
薄緑の髪を揺らしながら現れたのは、この場の誰より幼い少女であった
「……あと、おんなのこ、おいて、さきばしるの、なんせんす」
そういいながら、少女は鐡 冴月の方へ……
>>24
号令と共に動き出したヴィラン達の一斉攻撃、相応の負傷を覚悟して冴月は身構える、もしかしたらジョーを守り切れないかも知れない、そんな不安が頭をよぎった刹那。
>>25
「───それいじょう、は、みのがせない」と、その不安を掻き消すように凛と響く声、響き渡るそれは歌へと変わる。
「暖かい……それに身体が軽い?」
屋内なのに暖かな日射しを浴びているような感覚、なんだろうこれ? わからないけどこれなら!
冴月はヴィランの攻撃を紙一重で回避。
>>28
ヒールの音を響かせ現れたのは、どこかで見覚えのあるような容姿の少女。
「あなた、何者なの?」
そんな言葉が漏れるのも無理はない。
その少女は異形のヴィラン達に恐れる様子も見せず薄緑の長髪を揺らし、まっすぐ自分の元へ歩み寄る。
「─ふたりのみかた、ひーろー」
ふわりと、その少女は彼女の問に微笑んでそう答えた
『ヒーロー』、そう、彼女は───
「よくがんばった、えらい」
そう言って、少女は冴月へと手を伸ばし……ゆっくりと頭を撫でる
「……ここからは、わたしの、じかん」
喉を開く、奏でられる音は美しく、やさしく、その空間を包み込む
さぁ、ライブの始まりだ
「─────了解」
その歌を聴いて、また別の場所で、一人の男が呟いた
負霊「ま、また増えたぞ...!?ええい!お前達全員!あの餓鬼を捕らえよ!!」
トカゲ男も復活し、全怪物化の者達は叫び
エネルギーをパワーアップ
全怪物化の者達は疾走して一斉に子供を捕らえようとした。
「...嫌な予感がするねぇ」
彼女は一時この場所を撤退した。
変な心の胸騒ぎがしたからだ
そして彼女はメールにこう打った
ーーー此方ザヴァエヴァーニエ01、少女を一人発見
胸騒ぎのせいか歌であいつらと勝負するらしい
その“歌”が嫌な予感がするよ
ーーー此方、リームスキィ・パーパ本部通信部隊
了解した。終わり次第その三人を捕らえよ
主に全てを、オーバー
ーーー了解、主に全てを
「この歌、セラフ・パライバトルマリン……」
冴月はぼそりと呟く、セラフ・パライバトルマリン、この世にその名を知らぬ者は居ないと言われる世界的トップアイドル。
そんな人物が何処とも知れぬ建物に現れ、自らをヒーローと言い、自身の頭を撫でる。
なんだか目の前の怪物達よりよっぽど現実味がない出来事のように冴月は感じた。
「この子も私が守る」
言ってセラフに殺到する怪物達の前に立つ、この歌があればこの子を守り通せると冴月は確信していた、この歌声は決して止めさせない。
「!……、みんな、げんき、……うん、いいこと」
自分を守るようにたつ彼女を見て、少し驚くが、すぐに頬笑みを浮かべて呟く
「なら、もっと、つよく」
──────歌が響く、先までの柔らかいものとは違う、力強く、支えるような
「『─この果てしない銀河の中恋をした、溢れ出す思いぐらぐら─』」
身体能力強化
防御力強化
攻撃力強化
溢れあがる力に溺れる前に─穿て!
「 っ うっひぇ〜っ …どえれぇ数居やがるなぁっ 」
[っ ざざっ] ___二、三人ぶっ飛ばすと
…"限界"感じて二人の前に駆け戻る …敵は多く
しかし、…よく分からない 後押しされるような
奇妙な感覚に落ち着き始めた高揚が再び上がる…
___って… 「 …あれ? あんた… 」
きた、…それは大分前ということを知らず
…そして 初対面であるはずの… その女性に
何かしらの覚えがあることに困惑を覚え…
「 …どっかで会ったっけ…? 」
「…んふ、じこしょうかい、あと」
その反応に、ここが戦場であるということを忘れてしまうようにくすくすと笑って告げる
「ふたり、つよい、おもってたいじょう、──うん、よし」
そう、一人でなにかを納得したように頷き、すっと2人に向かって指を向ける
「ふたりとも、ひーろー、すかうと」
怪物化全員「シネェェェェェ!!!!」
一斉に子供を狙う。
その歌に反応し、潰しにいく
目はほとんど子供にしか見えていない
トカゲ男はペーパーナイフを振るい
巨大犬女は牙を向け
機械は両手を電撃の磁石に変え
人形は抱きつぶすように広げ
骸骨は針の筆を振りかざしす
「『──』、─あまい」
ぐわりと、両手をあげたかと思えば、胸の前でクロスさせるように腕を動かす、そうすれば──
「とっくに、わなははってある」
ビィンッッという音を響かせ、その空間に無数のワイヤーが檻のように張り巡らされてゆく─!
負霊「な、なんだ!?あいつらを囲いやがって!」
負霊2「どうしようどうしよう!あいつらが攻撃出来ないじゃないか!」
負霊3「でも、俺達がエネルギーを送り続ければあいつらは人間に戻らない...どうすれば...」
とコソコソ作戦会議をしている
大量の負霊達
怪物化の者達は捕らわれても遠距離攻撃で壊そうとする
トカゲ男「此処から出しやがれぇぇぇぇぇ!!!」
巨大犬女「ガルゥゥゥゥゥ!!出せぇぇぇぇぇ!!!!」
人形「出せ出せ出せ出せ出せ出せ出せ出せ出せ出せ出せ出せ出せ出せ出せ出せ出せ出せ」
威嚇を放ち続けている
「……がんばれば、でられる、わたし、せんとうむきじゃ、ない」
ギリギリと張り巡らされたワイヤーを繋ぐ元、指に絡まっているそれを握りしめ耐えながらつぶやく
「けど、」
微笑みをひとつ、そして告げる
「わたし、ひとりで、きたとおもってる?」
──セラフの声が終わる寸前、呼び掛けに応じるように、何処かから銃声。
単調な音。
······飛来した弾丸が、ペーパーナイフを持つ怪物の頭を寸分違わず撃ち抜く────!
建物の中だというのに、全く予兆を感じさせない攻撃。
そんな狙撃の腕を持つヒーローが、何処かに降臨する。
負霊「こんなに人間共が多いのは聞いてないぞ!?おい!怪物共!!どうにかならないのか?!」
負霊2「あ、そうだ!機械よ!熱を出せ!燃やせ!!」
機械「...了解、ファイヤーモード発動」
機械の熱が徐々に上がっていく...
他の者達はただ抗うだけ
ただ微かに光的な何かが胸の中心部に光ったような気がした。
負霊「ヤバいぞ!エネルギーが残り僅かだ...!」
負霊2「今すぐ本部に連絡取れ!元の人間に戻したら駄目だ!!」
負霊2「了解!!」
負霊達は慌ただしくなり、通信を取る負霊
エネルギーを交代しながら送る負霊でやっているようだ...
そんな中怪物化の者達は何やら感情の方では弱ってきてるようだ。
巨大犬女「どうしてこうなるのよぉぉ...他の皆んなは上手いと賞賛されて私だけ...何でなのよぉぉ...
ガルゥゥゥゥゥ!!!!」
トカゲ男「うぅ...結婚したのに何故なんだよぉ...お前は何故他の男へ向かうんだぁぁ...ウガァァァァァァ!!!!」
人形「何で皆んな構ってくれないのぉぉ...お母さん...苦しいよぉぉ...」
(銃……!? でも一体何処から? ……考えるのは後、今はあの子のところに!)
何者かの狙撃を受け倒れる怪物、その隙にセラフの元へ。
「ヒーローとか、よくわからないけど」
冴月はセラフによって張り巡らされたワイヤーを掴み力の限り手繰り寄せる、金属の体にワイヤーが食い込むことはない、好きなだけ足掻けば良い。
「小さい子に一人で無理はさせられない……!」
ヴィラン達を逃さない、この子もジョーも傷つけさせないと決意を込める。
機械「....チャージ完了、発動します」
機械の温度がドンドン増していき、ワイヤーに伝っていく
それと機械から目が光る
機械「30%...40%...あと80%でワイヤーが溶ける可能性あり」
....ふん、静かになったと思って帰って来たがこの有り様か
上からタッと静かに降りる
それに気づいた負霊の一人が青ざめた顔で土下座をする。
負霊「も、申し訳御座いませんんんんんん!!!!直ちに始末しますゆえ、少々お時間をお許し「誰がお前如きを待つんだ、役に立たないわねぇ...」あがぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
と左手で負霊の顎を殴る
彼女の鶸色(ひわいろ)の眼には鷲のように冷徹でしかなかった。
そして怪物化の者達にも目線を変えて
「さっさとそいつらを○せ!!此奴のようになりたいのかぁい...?」
巨大犬女「は、はぃぃぃ...キャウゥゥ...」
トカゲ男「りょ、了解致しましたぁぁ....」
青ざめた怪物達は何とかして抗いワイヤーを外そうとしている
(__…色々考えるのは後らしい、__…再びヤバい気配
幾らなんでも、…捌ききれるかは怪しげな…っ)
___[ギラッ]
っっ_____
( 融解の始まる寸前 __ワイヤーを蹴り駆け
…__鋭く睨んだ "機怪人"へと踵落としを仕掛ける…! )
「邪魔… すんっ
[ドルルゥッ!] __なぁーーっっ!!」
____突っ込んで行くのだ!
巨大犬女「ガルゥゥゥゥゥ....よし、覚悟しなさい!!!!」
トカゲ男「さっさと○してやらぁぁぁぁ!!!!」
二人の怪物だけが脱出し、機械はドンドン暑くなる
巨大犬女は音符を出し、遠距離から
トカゲ男はペーパーナイフ二本でヒーローを攻撃する
機械「50%.....60%...」
「ふん、あの野郎共...何時まで粘るつもりかしらね」
指揮をやっている女は少しイラついた
「っ、…さすが、ぴお、いいしごとする」
ギリギリとワイヤーが軋んでゆく音に眉をひそめながらも、彼の援護にあらためて尊敬の感情を溢れさせる
「………きつい、」
でも、さすがに、いくら名も知らぬ彼女が手伝ってくれているとはいえ、ワイヤーが意味を無くすのは時間の問題、というより、2体ほどは抜け出し、こちらに駆け出している
「っ!おそい!むくろにい!」
「───」
ひゅ、と、そう彼女が声を貼った瞬間、ひとつの影が、少女の前に降り立つ
「………………」
現れたそれは、言葉を発することはなく、背中に携えた刀を抜き、攻撃してくる怪物に向かい、一閃を抜く─!