西暦20XX年、青波市。
日本近海に浮かぶ人工島に建設された巨大水上都市。
安寧と繁栄を謳歌するネオン煌めく洋上の不夜城に『黒き神仙(チェルノボーグ)』の魔の手が迫る。
けれど、この街には不屈のヒーロー達が居た。
ならば、やるべき事は唯一つ。
さぁ、英雄譚の開幕だ。
巨大犬女「キャィィィ!!!!」
トカゲ男「ウガァァァァァァ!!!!」
二人は深いエネルギー漏れが発生した。
足はよろめき、倒れる
傷口からドンドンエネルギーが溢れ漏れていき
普通の一般人の女性とサラリーマンの男性に戻った。
彼らは気絶しているようだ。
そして彼らの背中から怨念の強い負霊が出てきて錯乱してるせいか動かないようだ
負霊「何ですとぉぉぉぉぉ!!!!お前達!早く人間の身体に戻りなさい!!!!」
怨念負霊「あがぁぁ....?」 怨念負霊2「うぐぁぁぁ....?」
一陣の風の如き剣閃が冴月達に迫る怪物二人を斬り伏せる。
「あなたもヒーローなの? この人達、元に戻ったの?」
冴月は目を丸くしながら、怪物二人を瞬く間に斬り倒した剣士と人間の姿に戻って倒れた怪物を交互に見て問いかけ。
「…………」
両の手に握った刀を、何かを払うようにもう一度振り、問いをなげかけてくる彼女を見る
「…………」
が、何も発することは無く、男はなにやら大きく拡がった袖口に手を入れたかと思えば、そこからタブレット端末を取り出し、何かを凄いスピードで打ち込み始めた
「むくろにい、しゃべらない」
と彼女の横から補足が入ったのと同時に何かを書き終え、画面をそちらに見せる
『即座に後ろに下がれ、下がった後、その場で待機、周囲、ある程度の殲滅が終了次第、鐡冴月、および、炎神ジョーの二名を保護し、1度撤退する』
負霊「な、何てこったぁ...そこ三人!!さっさと○してやらぁぁぁぁ!!!!」
三人「ウガァァァァァァ!!!!」
機械「...ワイヤーシャットアウト、これよりファイアーモード攻撃開始します」
骸骨と人形は何とか抜け出し、機械は熱で溶かして
抜け出した。
指揮官の女は剣を抜き、三人の怪物達の前に立った
「...お前達、これ以上ヘマしたら○すわよ」
「ぐらぁぁぁ...」 「うゆぁぁぁ...」 「カラカラ...」
「ふん....さて、他の部隊はもう片付けて撤退してるからアタシ達も早く終わらせないとね。
あんた達は先に出て○りな」
「ウガァァァァァァ!!!!」
中心にいる女性の指示に従い、三人は疾走する。
人形はジャンプして上から機械は後ろから多くの銃火きで攻撃し、骸骨は小さくなって大量の分身に変わり下から襲いかかる!
指揮官の女は剣を持ったまま歩いていた
「……質問は後にする、それとまだ下がるつもりはない」
表情は変えないまま、意にそぐわないといった口振りで無口な男に言って、焼き切れ意味を失ったワイヤーから手を離す。
冴月は機械の前に飛び出し、無数の銃口の前に身を晒し。
「……………」
言うことを聞かず飛び出してゆく彼女をみて、ひとつ小さくため息をはく、そして─
ダンッッッ
そう、大きな踏み込み音をならし、銃口へと身を向ける彼女の前に滑り込み─再び一閃!
一線を奮った後は、彼は彼女の方へと振り返る
「………………」
『指示に従え、戦場において考えもなく突撃して意味を持つのは特攻のみだ』
そう書かれたタブレットの画面を見せた後、画面をスクロールする
『逃げることは負けではなく、戦略のひとつである、守るということに重きを置きすぎている今のお前では、守りたいものも守れまいよ』
機械「ウギギ...ウギギギギギ....」
機械は故障し、動けなくなった
そして負のエネルギーが漏れて霧で溢れる。
そこには気絶した少年がいた、倒れている背中から怨念負霊が目が回って出てきた
怨念負霊「うがぁ....?」
人形「皆んな皆んな潰れちゃえー!」
上からジャンプして落ちていく
背中から綿が出てきて、ヒーロー達を拘束しようと捕らえていこうとする
「そうね……あなたの言い分はもっともだけど。私だって何も考えてない訳じゃない」
冴月に向けられたタブレット端末の画面に書かれた説教めいた文章に、納得と不服が半々に混じった口調で言い。左手を自らの胸に当て、さらに一言。
「それに私の身体、嫌になるほど頑丈だから」
人形「シネぇぇぇぇぇぇ!!!!」
狐の縫いぐるみで拘束し、潰そうとしてきた!
「...あ、あの小娘を回収しなきゃいけなかったかしら...?
まぁ死体でも回収しとくか」
と指揮官の女性は近づき、小さな少女の前に立つ
「……」
その様子を見て、はぁ、とひとつため息をこぼし再び何を書き込む
───『あくまでお前たちの保護が目的だ、怪我はしないように』
それだけ見せると、敵に向け、刀を構えなおす
「───────」
ふ、と息を吐き、人形たちに刀を振るう、数の多さが難点だなと考えながら、1人のかけがあの子に近づくのが見えた
「────!」
骸はあの子の方をむく、敵の狙い、分かりきっていた話だがやはり殲滅は早くしなければ
「『────』」
少女は歌いながらも、敵の指揮官から目を離すことは無い
「うぐっ...!?貴様...!」
人形が次々と壊れ
骸骨もお
同じように砕け散る
片方の耳だけでも防ぎ疾走して歌う女の子剣を振るう
「あのお方の為にも...貴様だけは絶対に黙らす!」
とても怒りに満ち溢れた顔で彼女の前で言った
「············」
おそらく、誰にも気付かれないような場所。
そこに男はいる。······その狙撃銃の照準は、既にヴィラン側の指揮官らしき女性の持つ剣に定められている────相手が走っていても、寸分違わず。
そして一切の躊躇なく、撃った。
······正確無比な一発の弾丸が、彼我の距離を一瞬で埋めていく。
カキンッ!!!!
「何!?アタシの剣が...!」
少しの手の痺れと驚きでしかなかった
歌のせいで動きずらく、左手で剣を重力の力で取り戻そうとしている
彼女はとても怒りのオーラが強い
負のエネルギーが他の怪物化とは違い、まるで鎖に閉められた爆発のエネルギーのようだった
「絶対に....○してやる!!!!あんた達!早くあいつらを○せ!○せ!!!!!」
弾け飛んだ剣をみて口角を上げて笑い、強く歌う!
『─銀河を舞う!』
───アビリティ起動『神の純潔』
『天使の囁き、確かな記憶を辿って─、これからきっと生まれてく、真実への扉──』
アビリティ展開─重力操作─
重力でことを起こそうと言うのならば、それに対応する重力を!
ひらひらと蝶が舞う。怒れる少女の周りをゆったりとその怒りを落ち着かせるようにやがてその蝶はぴたりととまりほろほろと崩れていく。
「あぁ、またドンパチやってるんねぇ…ほんま血の気の多いやつばっかりで困ってしまいますわぁ」
「骸はんにセラフはん、そしてピオはんと…新人二人……こんだけいるならうちはいらないんとちゃいます?」
はぁとため息をつきながら薙刀を片手に舞うように相手の視線を奪うように、でも決して彼女の歌の邪魔にはならないように残りの人形たちを倒しつつふっと笑みを浮かべる。
「とりあえず…自己紹介は大事ですなぁ」
「天瀬珠緒凛と咲きます、命果つまで…ふふ、最後までよろしゅう
「分かってる、早く終わらせて帰ろう」
自身に向けられたタブレットの文字に、喋ればいいのにと内心思いつつ、恐れも怯えも感じさせない淡々とした口調で言い冴月は左足を高く上げる。
戦況はこちらの優勢、ならばこれ以上戦いを長引かせる理由はない。
「――潰れろ」
その左足は物干し竿のように細く長く伸長し、殺到する人形達を薙ぎ倒さんと振り下ろされ。
人形「うわぁぁぁぁ!痛いよぉぉぉ!痛いよぉぉぉ!」
「黙らりな!!もういい...全員のエネルギーをアタシに寄越せ!!!!」
怪物化した化け物から濃い紫色のエネルギーの煙がドンドン彼女に吸収されている。
そして彼女の背中にあるタトゥーが光だし、ピーコックブルーの獅子と鷲が出てきた!
「そういやぁ...あんた達に自己紹介なしだったねぇ...礼儀としてアタシなりにしよう。
アタシはアンダーシチートのオドヘヤ・ディファーだ。そして今...あんた達全員○す!!!!
アビリティー起動....『アラム・ナフセ(痛みの精神』!!!!」
剣が彼女のところへ戻り攻撃力が3倍になり
ノックバック効果や空中縛りの効果も発動可能。
「さぁ...お前らのフィナーレがアタシだと喜んで○ね!」
疾走するがそれは見えない速さへと変わった、まるで瞬間移動をしているかのように
また獅子と鷲もヒーローを狙う、エネルギーのせいか頑丈かつ凶暴だ。
そしてオドヘヤは少女の首をまた狙う
「あんたの歌声は綺麗だが....アタシ達にとってはただの忌々しいだけよ」
そう言って剣を振りかざした
「あら…ざーんねん」
「それ、うちの蝶で作った偽物のセラフはんなんよ…うふふ、かわいいやろ」
オドヘヤと名乗った少女が剣を振りかざした「セラフ」だと思ってた彼女はほろほろと崩れていく。こんな人数過剰戦力…やと思ってたけどもう一人いるみたいやねぇ…。そんなことをぼんやりと思いながら彼女はふっと笑みを浮かべる。ひらひらと舞う蝶たちの仲で微笑む彼女はここにいるすべての視線を奪う。
「最後までうちの舞いにも最後までつきおうてもらいまひょか」
「セラフはん、骸はん…そして新人の…名前はあとやね、さっさと終わらせましょ」
「クソっ!....まだだ...あの方の為にも...!
先にお前から○してやる!!!!」
天瀬珠緒凛と言う女性に対して怒りと憎しみを合わせながら
走り出し、上から回転しながら彼女の頭部を斬ろうとする
「ほんま、よく吠えますなぁ、耐え性のない犬はきらわれ…っ」
そういってはんっと皮肉めいた笑みを浮かべながらそっとふらつく体を持ちなおす…が後ろからくる彼女に気付くのがおくれ目を見開き頭を回すが、回避するには遅く蝶をつくるにも、そしてその毒が彼女に回るものもあともう少し時間がかかる。セラフから目をそらさせるっていう目的は果たしたもうどうにでもなれ、そんな怪我をする覚悟でぎゅっと目をつむる。
「たまお」
歌をとぎらせ、名前を呼ぶ
「…すぐむちゃする」
むー、と軽く顔を顰めさせながら、アビリティによって彼女を狙った悪意から浮遊によって遠ざける
「むくろにぃ」
「──!」
再び彼の名を呼べば、先まで他を殲滅仕掛けに行っていた男が、天瀬を狙った女に刀を振り下ろす─!
「貴様らぁ...!何故そこまで抵抗するぅ!!我らの支配に居れば済むものを....
どこからそんな抗う物があるのやら...人間は我らの餌食になれば良いだけのことぉ!!!!」
カキンッ!!!!
と少し剣にビビが入る、彼女自身体力は大丈夫だが彼女の捕らえた肉体は
限界が近い、彼女は女性が言ったむくろにぃと言う人物に直ぐに剣を振るう
そして彼女自身少し腕が震えていた
不知火 骸のタブレットにメールが届く、送信者はファーレンハイト・灯莉。
件名:陽動お疲れ
『灯莉及び神影、集合地点に到着、このまま皆の帰還を待つ』
『陽動のおかげでこちらは敵に遭遇することなくこの拠点を探索できた、有益な情報は見つからなかったが思わぬ収穫もあった』
メールに添付された画像には横長のアタッシュケースに納められた銃と剣の合わさったような武器と一本のアビリティブレードが写っている。
「────」
了解、と、戦闘中故に言葉少なく返事を送信した後、刀を交えていた彼女の勢いをそのままわざと受け流し、後退し、近くにいた少女に違う画面を見せる
『任務達成、撤退する』
「...うん、りょうかい、むくろにぃ」
─アビリティ全起動─
「これよりてったい!ほごたいしょう、えんがみじょー!くろがねさつき!にめいをほごののち!かくじしゅうごうちてんへ!」
そう声を張り、指を鳴らせば、周囲にいた仲間たちのからだに彼女のアビリティが発動する─!
「ま、待ちやがれ!!!!全員○してやるぅ!!!!」
と走ろうとするが震えてるせいか動けないようだ
…はー …っはぁ… っ
「 …まだ来んのかッ! 」
__初めっからしていた事の種類は少ない
来る奴、数居る奴らを片っ端から倒すだけ
…単純だが 体力に限界が無いわけではない
体は… 妙に、軽く感じても骨に疲れが来ている
[ゴキッ …]
___
( しかしながら心にまで疲れは来にくい
首の骨を鳴らしながら敵に構えを取る… )
__明らかな無茶に他ならない、…しかし彼の頭は
一度戦闘に浸かり過ぎれば単純にしか働かない
「 上等… 殴り倒すってんならまだまだ…!」
「わ、すごい、浮かんだ……!」
ふわりと不意に浮き上がる体、まるで月面にいるかのような感覚に冴月は目を見開き、その紫の瞳を輝かせ。
「ジョー? あの人達帰るって、その人は放っておいていいみたい」
周りを全く見ていないのか未だに戦闘を続けようとしている炎神ジョーに呆れ気味に言うと同時、冴月の体はセラフの方へ引き寄せられ。
「はぁ...はぁ...クソっ...燃料切れか....“あのお方”に報告しなければ....
うぐぅ...」
力を使い過ぎたせいか動きにくい
負霊達を呼び出し、最後に....
「撤退するぞ、アンタら.....はぁ...おりゃぁ!!!!」
天井の壁を破壊し、撤退する。
せめて最後は下敷きになるよう大きく斬った
「!─こちらもてったい!」
保護対象2名が無事であることを確認したところで、相手側の最後の置き土産とも言うべきか、天井が切り崩されるのをみて、問答無用でアビリティを発動し、瓦礫を無理やり停止させつつ保護対象をそとに送り出す、
「っ…!」
如何せん数が多いため、地震が動くのは最後になるだろうが、身内が全員逃げ切るまで、意地でも─!と、踏ん張る
はやく、集合地点へ─!
「······さすがに遠いな。まあ我らが歌姫様なら生きて帰ってくるだろ」
一瞬セラフを助けようか迷う仕草を見せるものの、断念する。
さて、と呟いて狙撃手も銃の構えを解き、体を起こす。
かなり距離があるため天井の崩落も援護も何もない。
ゆるりと回り道をして、だが迅速に集合地点への行動を開始する。
周囲に敵はいない――すぐに集合地点に到着するだろう。
「 … __(なんッか体が軽…過ぎねぇ…か?)」
(突如として薄れる戦いの気配 …自然と頭に
意識が回り、疲れに反して異様な軽さを感じて…)
[ ふわっ ] は?
( 浮遊する __今にようやく気付いて凝視する )
「 ……う、…浮いて… んのか…__!?」
____なんだコレ−ッ 冴月ィーっ!
「気付くの遅いよ……」
一言だけ呟いてジョーを一瞥し冴月はセラフの異能に身を委ね、ふわふわ浮かんだまま空中で停止した瓦礫を掻き分けながら皆のもとに向かう。冴月は空中を滑るように進みセラフの隣、安全圏に降り立った。
振り返れば空中で叫ぶジョーの姿、冴月は思わず吹き出しそうになるのを堪えて、ジョーの様子を見守って。
「あら、んふ…おおきになぁ」
姿が見えない相方に頬を膨らませつつも、戦場から一歩退いていた彼女の手の甲ににひらひらと止まった1匹赤い蝶。少し擽ったそうにしながらその蝶がもたらした情報に目を細めつつふっと微笑んで。敵はまだいるみたいやけど…、ここ向こうの方の陣地やし…そんなことを思いながら、ほろほろと蝶をが崩れるのを見守り、手を叩きこの場に残ってる人に聞こえるような声で告げる。
「味方の撤退を確認…やって。うちらも潰されへんうちに引き上げるで」
___どたばたが10秒続いた後
「 な、何とか… い、…行けるか?
ちょ 冴月ぃーっ どうやりゃいい!」
( 未知が過ぎる状態に、事前の情報がない炎神は
平泳ぎでゆっくりと冴月の方へ進んでいく …
歩けるように進める、とは考えた方が分からなくて
けど 空を泳ぐ感触は程々に心地がよかった )
「私もよくわからないけど、とにかく掴まってジョー」
冷静な声色で告げて、こんな状況でもいつも通りなのはある意味才能なのかも知れないと思いつつ、冴月は空中を泳ぐジョーに向かって文字通り“手”を伸ばす。
この異能に良い思い出は無いけれど、何かと便利な力であることは事実だった。
「っはぁ·····つかれた」
自他共に安全域にまで行ったのを確認して息を吐く、置き土産がデカすぎるのだと心の中で文句を言いつつ、ふわふわと浮かせている彼らをゆっくりと下ろす
「······よっ。まずはお疲れ様だ、歌姫様。······全員怪我はないな?」
ちょうどその時、回り道をしていたスコーピオンも安全域にたどり着く。ひとまず全員五体満足なことを確認すると一瞬破顔するが、即座に周囲の警戒に移る。
油断も隙もない。
顔を布で隠した青年は、大人しく灯莉の横で蝶を手のひらに載せ、現場の状況を把握していた。不意に聞こえた声と背中にかかる体重にため息を着く。
「疲れた〜、神影はんおぶって?」
「自分の力量間違えたお前が悪いだろ」
「扱いが雑!」
相方の姿を見かけて体を預けながら、いつものように痴話喧嘩が始まる。珠緒をおぶりながら全員の顔みてほっとむねをおろす。
「セラフもピオも、新人二人もお疲れ様さん」
「なるほど、そんな事が。それでそのヴィランは……」
集合地点、灯莉は皆の無事を確認し報告に耳を傾ける。
にこやかに微笑みながら、楽しそうに皆の話を聞くその姿は大人の余裕を感じさせた。
「さて、そこのお二人さん、ちょっと良いかな?」
一通り話終えた灯莉は冴月とジョーに向き直り先程とは一転した真剣な眼差しで二人を見つめ。
「ここに来るまでに色々と聞かされたと思うから私からは一つだけ、……私達の仲間になってくれる?」
告げたのは勧誘の言葉。
「ジョー……?」
灯莉の言葉を受けて冴月はジョーの反応を伺う。
ぼり… (視線を注がれ、…頭を掻きつつ 横目で応える)
「 …あぁ、聴いてる… 冴次も乗り気… だろ?
聞かされた限り悪いモンじゃねぇみてぇだし 」
[ぺこり](頭を下げ__声は少し低くして)
「 ひとつ よろしくお願ぇします。… 」
( …激動と変化の1日、今日 だけでいったいどれ程
知るべき事、変わるべき事が増えただろうか …
__戦いから離れれば 考えの回らない彼に
全てを知り置き、整理する柔軟さはない )
「 …[こそっ](冴月ぃ…挨拶… あれで良い…か?)」
__あまつさえ 言葉の正しさを隣の冴月へ求め…
「……[ぼそっ](年上なんだからこういう時くらいはしっかりしてよ……)」
あの勇ましさは何処へ消えたのか、なんとも頼りない相棒に落胆の表情を向けつつ、灯莉への言葉をゆっくりと紡いでいく。
「ヒーローとかまだ良くわからないけど……ジョーを危ないところに行かせるのは不安だし、その、私の力が役に立つなら、えっと。私もヒーローやってみます」
「と、この達は言っているけどみんなはどう?」
二人の意思表明を受けて灯莉は皆の方を見やる。
「ふぅ……」
全員無事であることを確認し、アビリティを解除して人追記をこぼす、声をかけてくれた仲間たちにゆるりと手を振り、保護対象の様子と仲間の一声に、我先に声を上げる
「しつもんむよう、ふたりとも、わたしのこうはい」
そう、二人の間に挟まり込むように身体を押し込み、2人の片腕に己の腕を絡めて告げる
「…………」
その様子にひとつため息を吐いて、男もタブレット2文字を打ち込む
『こちらも異論はない、伸びしろとやる気がある新人なら、断る理由もないだろう』
突然腕を絡められ二の腕に触れる温もりにビクリと肩を震わせ僅かに困惑の顔、しかしすぐに平静さを取り戻し。
「……よろしくお願いします、“先輩”」
この状況を受け入れ、傍らの自分よりずいぶんと小柄な少女にそう告げて。
「うちの仕事が減るならええんちゃいますの?文句はあらしまへん
」
「お前なぁ…そのサボり癖どうにか…」
相変わらず珠緒をおぶったままセラフや新人たちをみて片方は笑顔で片方は諦め顔で承諾する。このわがままな相方の言うことは絶対なのだ。ため息をつきながらせめて二人がまともな人でありますようにとキリキリと痛む胃を心配しながら視線を向ける。とはいっても布で隠れていてその表情を見ることはできないが、声音は歓迎してるように弾んでいた。
「神影はん?」
「…あー、はいはい、いーんじゃねぇんですか?ようこそ、お二人さん」
「んふふ」
周りの反応や、なにより、後輩本人からの「先輩」という言葉に、楽しそうにくふくふと笑う
「ふたりとも、いいこ、せいちょうがたのしみ」
そういってするひと、絡めた腕を後ろに引きながら抜き、己の腕を後ろに隠しながら、声を出す
「ごぞんじ、せらふ・ぱらいばとるまりん、─よろしく、こうはい」
あまり豊かではない顔に花のような笑みを浮かべ、告げた
「······じゃ、お姫様もしたことだし、俺も自己紹介するか。······スコーピオン、と呼んでくれ、お二人さん」
僅かに浮かべる笑い。当然ながら迷彩のフードは外して、狙撃銃を自分の後ろに回し、手を腰に当てる。
······そしてもう一つ、まるで雪のように手紙が舞い落ちてくる。次の瞬間、そこには少女が現れて、
「······私は······石鎚 篝です。よろしくお願いしますね」
とだけ、言った。
「さ、みんな帰るよ」
頃合いを見計らい灯莉が皆に呼び掛ける。
各々返事をして近くに停めてあった二台のバンに分かれて乗り込んでいく。
「冴月ちゃんとジョー君はこっちのバンに乗って」
灯莉に言われるがまま、新入り二人もバンに乗り込んだ、セラフも一緒だった。
「あかり、こうはいができたから、かんげいぱーてぃーしないと」
セラフが嬉しそうに口を開く。
「今からですか?」
灯莉がどこか困ったような口調で言う。
「もちろん、こんや」
「パーティーは明日にしません? 今から準備するのはちょっと面倒というか」
「じゃあ、あしたでいい」
「ということで新入りさん、明日はパーティーなので家まで迎えに行きますから、家の場所教えてくださいね」
言って運転席の灯莉がにこやかに微笑んでこちらを振り返る、どうやらパーティーに出席するのは決定事項のようだ。
『Prologue END』
villain side
本部の城に戻り、謁見の間へ向かったオドヘヤ
「只今戻りました...我ら世界のBoss
『べテリゲーイゼ』様」
高い階段の上から座って黙って見下していた者...
この異変の首謀者、べテリゲーイゼだ
彼はその冷たい瞳からこう言った。
「お前如きがそんなに負傷するとはな....
一体何処の奴なんだ?」
「青波市の奴らでございます.....申し訳ございません
次は必ず奴らをこr...」
「いや、お前は仕留められなかったそんな無能な奴は
いらない」
オドヘヤが言い切る前に大量の負霊達をオドヘヤの中に
入らせ、意識のない化け物に変えさせる
「え、待ってくだs...ま、まだ!!あぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
変わり果てた猛獣になり、怪物(哺乳類)に分けられ
ラボ管理に転送された。
「...中将をまた一人昇格させてやろう、もう少しだ。
もう少しで....目的が果たせる」
べテリゲーイゼは少し笑みを浮かべていた
それは自分のユートピア以外考えられないのだろう
『Pretender in Chinatown』
青波中華街の大通りを行き交う人々の数は夜であっても昼間とそう変わらない、賑やか、喧騒、活気、そういった言葉がこの場所には相応しい。
それでも、ここ数日はこの近辺で連続して起きた事件の影響か客足は控え目になっているという。
「あぁ、例の物は届いた、……まったく君たちのボスにはいつも驚かされるよ、まさかこんなにも早く調達出来るなんてね」
青年は煌々と明かりに照らされた大通りを足早に歩きながら電話越しにある人物と会話していた、雑踏に紛れて移動し続けている以上会話の内容を盗み聞かれることはない。
「いや、今夜は行動を起こさなくてもいいだろう、これ以上はかえって怪しまれる」
「心配は無用さ、餌は充分に撒いた、必ず光の波動像は釣れる」
「彼女が中華街に現れ次第作戦開始、その辺りは手筈通りだ、それからライル・グッドフェローという男には手を出すな、奴は強い、君たちでは勝ち目がない程にね」
「それじゃ、健闘を祈る」
最後にそれだけ告げて青年は電話を切った。
スマホをズボンのポケットに仕舞うと雑踏から抜け出し、青年の姿は暗い路地に消えた。