ついに、14まで来たよ!
〜ルール〜
・入る時は必ず敬語で、了解が出てから入ること
・荒らし、喧嘩、仲間外れはやめて下さい
(荒らしは無視で)
〜入れる条件〜
KZを愛する常識のある人!!!!!
『辛恋は知っている』*オリキャラ目線
*…*…*…*…*…*
「浜田中学校卒業式」
校門の前飾られる大きな看板に書かれるその文字。
その文字を見ても、ここを去る実感が湧かなかった。
……
中高一貫校の浜田は、大半の人がそのまま進学する。
しかし、他の高校へしんがくする人だっているの。
「もう!! 美織のバカーっ!!
なんで、別の高校に行くのさ!! 」
目にいっぱいの涙を溜めて、べしべし私を叩く 友達の紗奈。
可愛い顔が台無しだぞ。と思いながら、紗奈の頭を撫でた。
「仕方ないじゃない。親の転勤なんだから。
ほらほら、鼻水拭いて」
「うゔ……なんで、美織は最後まで……」
紗奈は下を向いていたが、突然バッと顔を上げた。
「ねぇ、このまま 連絡が取れなくなるってことはないよね!?
ずーっと、友達だよね!? 」
不安そうに見上げる紗奈を見ていると、なんだか こっちまで泣けてくる。
いつもは強がってるくせに……
「当たり前じゃない!! 紗奈ってほんとバカ」
「バカとはなんだ!! せっかく、紗奈様が 気を使ったというのに」
腫れた目を鋭くして、私を睨んだ。
そして、ふっと表情を和らげる。
「……ありがとう、美織。
やっぱ、あんたが 好き!! 」
「ふふ、こっちこそありがとう。大好き」
「っ……なんか、照れるわ。
こういうの、私たちのキャラに合ってないわ。
それより、美織。
愛しの人に告んないのかい? 」
ニヤッと笑う紗奈の言葉に、顔に熱が集まった。
「ほらほら、あそこに"ツバサ"いるよ」
「わかってるってば……!! 」
照れ隠しに、バシッと紗奈の肩を叩いた。
成績優秀。
運動神経抜群。
容姿端麗。
天使のような笑みを浮かべる彼は、学校のアイドルだ。
転校してきた彼の美貌にやられた女子の1人。
朝、視界に入れば その日1日頑張れる。
友達とじゃれ合う姿を見ると、ドキドキと胸が高鳴る。
そして、卒業という節目に 告白することを決めたの。
振られたっていい。
言わないよりも、絶対いいの。
……
「お! ツバサが男子と離れたよ。
行ってきな、私の友よ」
ドンと、背中を押され 一歩前に踏み出した。
「もうっ!! 押さないでよ!」
キリッと後ろにいる紗奈を睨んだ。
「……じゃあ、行ってくる。
振られたら、慰めてよね」
「もち! 行ってらっしゃーい」
いよいよ、今から告白です。
うぅ、緊張するよぉ……。
スー、ハー。スー、ハー。
深呼吸を繰り返し、ドクドクと煩い心臓を抑える。
下足口に、チラリ、彼の姿が見えた。
当たって砕けろ!
「あのっ……!」
勇気を振り絞り、声を出そうとする。
美門くんに、近づこうとした。
そしたら。
「翼?」
え。思わず息を呑む。
彼の名前を呼んだのは、一人の女の子。
確か、美門くんと同じクラスの……立、花?
名札を読み、その子の噂を思い出す。
確か……いじめられてる子だよね。
リーダーの佐田さんたちに、色々言われて。
友達もいなくて独りで、……ボッチ、の。
その子が、……こんな笑顔する?
美門くんを、……名前で呼んでる?
「アーヤ」
美門くんに、……こんな風に呼ばれてる?
美門くんが、……こんな目で見つめてる?
……嘘でしょ。
「一緒に帰ろうか」
「えっ、でも……」
「何言ってんの。
俺たち、
付き合ってるんでしょ?」
その途端。
ボッと真っ赤になって俯く立花さん。
クスッと笑いながら立花さんに近づく美門くん。
「ね、いつまで隠してるわけ?
俺、そろそろ限界だよ。
他の奴らに牽制しときたいんだけど。
……俺の大事なアーヤを奪わないように、って。
ーーー好きだよ、アーヤ」
甘く響いたその声に、心臓が跳ね上がる。
「わ、私も……す、き」
か細い声で、真っ赤な顔で囁く立花さん。
その華奢な体を、彼がそっと、包み込んだ。
……嗚呼。
告白、できないじゃん……。
こんなラブラブシーン、見せつけられたらさ。
美門くんが彼女を溺愛してるって、知っちゃったらさ。
見てよ、あの愛しそうな目。
見てよ、あの優しい仕草。
聞いてよ、あの甘い言葉。
……見せないでよ、その甘そうなキス……。
やめてよ、抱きしめないでよ……。
……付き合ってるなんて、知りたくなかった。
……誰かを愛してるだなんて、嫌だった。
……少しでもいい、私を見て欲しかった。
どうして、立花さんなのーーー。
どうして、私じゃないのーーー。
美門くん。
もう、
サヨナラなんだね。
ギュッ、と唇を引き結び、
拳をグッ、と握りしめた。
……零れた涙なんて、知らない。
悲しくなんて、ないもん……っ!
幸せな二人に背を向けて、駆け出した。
(完了)