この世には、触れてはいけない禁忌が3つある。
1つは、「神を冒涜すること」
もう1つは、「己を束縛し、汚すこと」
そして、もう1つは・・・・・・
登場人物
・馬場 晃:A組のクラスメイト。16歳の少女。
Akira Baba
・先生:A組担当で、国語の男教師。
Teacher
・石田 創:A組のクラスメイト。不登校児。
So Ishida
・岡 慎哉:A組のクラスメイト。
Shin'ya Oka
・本間 ひかり:A組のクラスメイト。
Hikari Honma
ーー
3:霧雨 ◆Wd0o:2013/04/07(日) 17:43 ID:TKQ とある高校の1年A組。
このクラスは、他のクラスから見て至って普通のクラスであった。
「はいはい、お前ら全員席につけ〜」
今日も、このクラスは健在だ。
「おい岡〜、早く席に戻れー!」
「あ〜、ちょっとロッカーに忘れ物を・・・」
「後にしろー!」
今日も、岡はお調子者だ。
そして・・・
「出席、取るぞ〜。相田、有馬、石田あ・・・は、今日も欠席かっと・・・。」
今日も、石田は学校に来ていなかった。
先生は、何食わぬ顔で点呼を続ける。
「先生・・・」
この馬場は、読書好きのクラスメイト。本のジャンルは、誰も知らない。
なぜなら、いつも本にはカバーを掛けているからだ。
そして、彼女は友達を作ろうとしなかった。
「先生・・・!先生ってば!!」
馬場、思わず大声を張り上げる。
「ああ煩いぞ、馬場。一回呼べば分かる。今、出席取ってるんだ。分かるだろ?」
馬場、声を張り上げたことを後悔したように俯く。
「話があるなら、終わってからにしろ」
「・・・。はい」
先生、点呼に戻る。
「どこまでいったかな・・・。原口、本間、由利、横須賀っと。
じゃあ・・・今日も欠席は石田だけだな。」
先生は、一度も石田のことを『不登校』とは言わなかった。
「それじゃあ馬場、なんだ?話って」
「・・・やっぱり、いいです」
「なんだよ、ハッキリしない奴だな。用事あるんだろ?え?」
馬場、答えない。
「・・・まあいい。じゃあ、今日は教科書37ページだったな。えーっと、岡。最初から読んでみろ」
「すいません、教科書、家に忘れてきちゃって・・・い、いや違うっすよ?予習やろうと思ったんすよ。そしたら・・・」
岡、あたかも運が悪そうに弁解を始める。しかし、先生は時間の無駄だと知っていたから、それを遮る。
「まったく、次は忘れんなよ?」
「もちのろんっす!」
「じゃあ・・・本間!」
「は、はい・・・・?」
本間、突然の指名に驚き、動揺する。
『代わりに読まされるのかな・・・。上手に言えなかったらどうしよう・・・。きっと笑われる・・・』
本間は、心の中の動揺を上手くコントロールできない癖があった。
『そうしたらきっと、先生達は私を指導室に・・・どうしよう、どうしよう』
等。
「本間、悪いが岡に教科書見せてやってくれ。済まんな」
そう。今まで、岡は何度も教科書を忘れてきた。
その度に、隣人の本間が岡に教科書を見せるように頼まれていたのだと言うことを、今思い出した。
『何を杞憂していたのだろう、私は。でも、最近岡君教科書忘れすぎじゃ・・・?』
それは、「岡が本間に好意を寄せている」という、ただそれだけの話だ。しかし、本間はその事には気づかない。
「じゃあ、今日は先生がよむ。よーく、聞いてろよ?」
星とたんぽぽ
金子みすず
青いお空のそこふかく、
海の小石のそのように、
夜がくるまでしずんでる、
昼のお星はめにみえぬ。
見えぬけれどもあるんだよ、
見えぬものでもあるんだよ。
ちってすがれたたんぽぽの、
かわらのすきにだァまって、
春のくるまでかくれてる、
つよいその根はめにみえぬ。
見えぬけれどもあるんだよ、
見えぬものでもあるんだよ。
生徒たちは、『星とたんぽぽ』の音読を冷めた目で見守る。
先生の授業を、先生本人以上に真剣に受けている者は、
本間を除くと、1年の中旬までしか学校に来なかった石田だけだった。
先生は、生徒達の真剣さの欠如に気付いていたが、親達のクレームを浴びせられると思うと、妙に生徒たちを刺激することなど出来なかった。
「はい、今の詩を聞いた感想、誰かに発表してもらうぞ」
「先生、俺!」
岡は、いち早く反応した。本間にいい所を見せたい一心で。
「そうだな、岡。挽回のチャンスだ。」
だが・・・岡は、こういうシチュエーションは本当は苦手だった。どうせなら、深いコトを発言したいのに、頭は真っ白。
『・・・考えろ、俺。気合だ!本間ちゃんに感動してもらうんだっ!!』
そして・・・
「ほ、星とたんぽぽのチョイスが!っ金子みすずらしいと思いました!」
・・・・・・くすくす・・・・・・うふふ・・・・・・。
クラスからは、笑い声が聞こえる。しかし、岡だけはマジだった。
「・・・」
本間は、下を向いて震えていた。あまりにシュールな回答に、ほとんどの人が抱腹しそうな勢いだ。本間も例外ではない。
先生は、苦笑していた。
「あのなあ・・・岡。もっと、こう、あんだろ?別の言い方がよ。一応授業なんだから」
「え・・・あ、さーせん」
『俺、どっかミスった・・・?』岡は、立候補したことには後悔もせず、どこを反省すべきかだけを必死に悩んでいた。
「じゃあ、他には・・・」
「はい」
ここで、唯一無表情を貫き通していた馬場が、静かに手を挙げた・・・。
前編〜終〜
・・・きりがいいので、挨拶をしよう。
皆さん、こんばんは。喧嘩板・議論板を中心にくだらない会話を繰り広げている霧雨です。
今回、趣味と独断と許可の入り混じりにより、小説を書かせていただきます。
作品は、「A〜N」の十四部構成になっておりますが、手書き文を手直したりと、時間がかかるので、
ゆっくりした更新になると思います。
では、末永くよろしくお願いします。
つきましては、このような感じにしていきたいと思います。
Non Title -A- 「禁忌」(1年A組事件の勃発)
Non Title -B- 「馬場 晃の過去」(母と娘のエピソード)
Non Title -C- 「暗黒の歴史」(先生に至るまでの過程)
Non Title -D- 「本間 ひかりの過去」(中学時代・そして、真相を知る)
Non Title -E- 「クリスマスの夜」(石田の名前の真実と、高校時代)
Non Title -Final Mission- 「完結編(仮)・上」「完結編(仮)・下」
Non Title -Goal- 「決別」(3年A組<クラス替えは無い。>の卒業式)
Non Title -Happy Future- 「日常と、回想と。」(10年後の彼ら・完結編の裏側)
Non Title -If Stories- 「後悔と、前進と。」(もしも、あの時・・・)
Non Title -J- 「川原 ミズホの未来」(一位の裏側と、その後の人生)
Non Title -K- 「牢獄の闇」(馬場 晃の義父、出所のエピソード)
Non Title -Lost Memories- 「虚ろなる瞳」(馬場 晃、母死後のエピソード)
Non Title -M- 「A組の再開」(30年後、A組の同窓会)
-Non Title- 「禁忌全録」(「A〜M」全てのエピソードを時代に沿って収録)
・・・続きは、次回・・・(いつになるかは、まだ不明)
お楽しみに。
感動しました…(^^)
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