[壁]*゚ー゚)ノ 初めまして、つむぎです
《籠の中の渡り鳥》を書きたいと思います
まあ、スレを立てて書きませんという人はいないでしょうがね…
とある少女とお師匠様の旅物語です
(もちろんフィクションです!)
一応、登場人物は下記の私のブログで
イメージをしやすいようにアップしますが、見なければいけないわけでもなく、
あくまで参考です(危険なサイトでないことは保障します。アメブロです)
http://ameblo.jp/tsumugi-okkg/
4月から受験生なので更新は…………
な感じですが、応援とかよろしくお願いします
序章・1話
渡り鳥――。
それを聞いて連想させるのは、食料、環境、繁殖などに応じ、定期的に移動する鳥だ。
けれど、この言葉にはもう一つの意味がある。
――放浪し、定住地を持たぬ人々。――
俗では放浪者や流れ者、渡り者というのだろう。
中には《ホームレス》と呼ぶ者も、いるかもしれないが。
けれどそれは違う。
彼らは翼を持っている。
籠の外に放たれたとき、大きく翔(かけ)るための翼を。
彼らは生まれながらの、気高き渡り鳥。
いつもの街並み。
足早な人の影。追い抜き追い抜かれ、不規則に歩いていく。
その中に異様な影が二つあった。
誰もが一目見ると振り返る。二目見れば戸惑い、三目見れば顔を伏せた。
汚い、変わってる、《ホームレス》、恐い。
そんな声が、どこからかか細く聞こえてくる。
果たして本人は気付いているのか、気付いていないのか。
ぼんやりと少女はそれを遠目から高みの見物をしていた。
特に用事もなく、ただ家に帰りたくなかったので丁度通りがかった見世物をみていた。
もともと想像力が豊かな所為か、もしかしたら彼らは異次元から来たのではないか。
どこかの剣士で戦の最中に…なんて空想を膨らませる。
――そのとき彼女は、その考えが実は良い線をいったもので、
彼らにもっと空想めいたことを聞かされるとは思っても見なかった。
ましてや、彼らと強いつながりを持つなど思ってもみないことだった。
「おい、お前。ちょいといいか?」
少女が適当に携帯に指を打ち付け、画面に囚われていると頭上から声がした。
ナンパならもう少し上手く出来ないものであろうかと視線を上げると、
「・・・・・・っ!?」
声にならぬ悲鳴を上げた。
その訳というのも、先程の見世物の主役が目の前にいたからだ。
何色と呼ぶのが相応しいのだろうか。
色素の薄い髪。金髪と呼ぶにはあまりにくすんでいて、黄土色と呼ぶにはあまりに光沢があった。
それに加え、こめかみから頬にかけた目の下辺りには緑で鳥のような刺青まである。
極めつけは瞳(め)だ。
何もかもを飲み込んでしまいそうな漆黒。
けれど、どこか何もかもを見透かしてしまうような清澄さがあった。
「聞いとるんだかなぁ。」
「・・・何?」
変わった方言だと思いながら少女は返した。
もしかしたら大荷物も抱えているし、どこか田舎のほうから上京してきているのかもしれない。
「実はこの辺りで宿を探していてな。どこか知らんか」
「・・・宿?」
夕方、予約もなしに。
とは思ったものの、帰り道に売れてないホテルがあったのを思い出す。
「遠くても良いんだったら」
すると彼らは構わないと答え、少女はその者らを連れ歩き出す。
――――そんな些細なことが、彼らの出逢いだった。
なんか私が前書いてた小説と名前似てて来ちゃいました(笑)
あ、だから消せとか、そんなクレームつけに来た訳じゃないですからね!?
内容もすごい面白くて、まだ1話しか無いのが残念です。
更新頑張ってください!
▼燐祢さん(>>3)
はじめまして、燐祢さん。
私も初め見たとき、「あれ、渡り鳥じゃないっ!?」と燐祢さんのスレに行って驚いてました(^_^;)
面白いと言っていただけて嬉しいです
ブログで一度アップしてみてから貼り付けたので、
文字数が多い、改行がちょっと…、みたいなところがあったので不安でしたが自信が出ました
更新頑張ります(`・ω・´)ゝ
燐祢さんも頑張ってくださいね!お互い、頑張りましょうね
序章・2話
渡り鳥――。
彼らは定住地を持たず、旅をする。
どこかへ向かい、どこかへ帰る《旅人》とはまた違う。
羽を休める場所を転々とし、ただただ放浪し続ける。
目的なく、何か遠くを捉えて。
その瞳の奥の地を目指し、羽を広げ続ける。
そして・・・
また一つ、天駆ける影が増えた――。
「いらっしゃ・・・あれ、柊(ひいらぎ)ちゃん。今日はお連れ様がいるのかい?」
カランコロンと音を立てて開いた扉。
少女は――柊は、後ろに二人の連れをつれていた。
連れ、というのも、先程出会った、異様な格好をした二人のことだ。
店主は見慣れたお客である柊にそう問うと、短く「ああ」と返された。
「ほぉ、変わったお二人だねえ。今日泊まっていくのかい?」
「ああ、是非そうさせていただきたい。今日だけでなく、数日泊まりたいんだが・・・」
店主の親父に返すのは、先程柊にも声を掛けた青年だ。
微笑みながら青年は店主と会話を続ける。
どうやら・・・まあ見た目からしてそうなのだが、この青年は気さくで色々と先導しているのだろう。
その後ろに佇む青年、いや少年はどこか近寄り難い雰囲気を纏っていた。
「それでお客さん、お名前は?」
「・・・阿僧祇(あそぎ)だ」
一瞬眉を寄せ何かを考えるような表情をした青年だったが、すぐまた微笑みながらそう名乗った。
店主はそれを用紙に書き込みながらさらに何泊か等を訊いていく。
「それじゃあお二人さん。2階の201号室を使いな。勘定は発つ時でいいから。」
「おお。おっさん、ありがとな」
そう言うと鍵を受け取り、二階へと続く階段へと向かう二人。
それをぼんやりと柊が見ていると、阿僧祇が急に振り返り口を開く。
「ああ、そうだった。柊、案内ありがとうな」
そのまま上がっていく奇妙な二人を、柊は表情一つ変えぬまま服の裾まで見えなくなるのを見つめていた。
「ところで柊ちゃん、今日も泊まって行くのかい?」
柊は返事をせずに、手元に携帯を出すとどこかに電話をし始める。
発信音は長く続かず、すぐに相手が出た。
「もしもし母さん?今日も友達のところに泊まる」
そんな遠回しな返事に店主は微笑みながら、
「それじゃあ、202号室を使っていいよ」
と鍵を取り出す。
「お金は出世払いでいいよ」と、柊に少し哀れむような悲しげな視線を送りながら付け加えて。
序章・3話
日は落ち、そろそろ夕食時となってきた。
残念ながら食事つき、とまではいかない宿なため、柊は徐(おもむろ)に財布を手に部屋を出る。
すると、息ぴったりに阿僧祇とその連れも部屋から出てきた。
バタンッと大きな音を立てて閉じた扉。
互いに顔を見合わせると、阿僧祇が先に口を開いた。
「隣に泊まっとったのか。」
「・・・はい」
そこから展開は速く、安い店を教えるという理由で同じ店に入った。
3名だと阿僧祇が告げたので同じテーブルへと通される。
柊は適当な和食を、阿僧祇と少年はオススメと書かれていたものをチョイスした。
そして、注文した商品が運ばれてくるまでにと、
柊がお手拭で手を拭いて水を口に含んだ。そのとき阿僧祇が唐突に話し出す。
「ああ、そうだ。まだちゃんと名乗っとらんかったな。俺はだな、那由他(なゆた)だ。
呼び捨てで構わん。さんだとか、面倒だからな」
「私はひい・・・・・・待て。さっきお前、阿僧祇と名乗ってなかったか?」
名前に興味はなく、軽く流そうとしていたが引っかかったので訊ねる。
すると苦笑しながら「聞いとったのか」と返し、続けた。
「まあ、あれだ。阿僧祇というのは偽名でな。本名は那由他なんだ」
詫びる様子もなく、阿僧祇改め那由他は笑いながらそう言った。
数秒黙る・・・というよりは固まっていた柊だったが、すぐに自己紹介を再開させた。
「私は柊・・・居ヶ内(おりかない)柊だ」
「ヒイラギ?なら・・・、ラギ。よろしくな、ラギ」
いきなり愛称をつけられたことに驚きつつ、差し出された手を握り交わす。
そして今度は、那由他の隣の少年。那由他に言われて、少し嫌そうな顔をしたがようやく口を開いた。
「トオル。」
声変わりもしてない高い声。
短く紡いだ言葉――それが彼の名前だった。
「愛想が悪くて悪いな。」
なんて那由他が笑った。
トオルという少年はとても整った顔立ちをしていた。
格好がいい、というよりも綺麗という言葉の似合う女顔。
ラギほどまでではないが少しつり上がった瞳。透き通るような白い肌。
綺麗な黒髪は、癖っ毛なのか耳の辺りから跳ねている。後ろの方の髪の一部は三つ編に結われていた。
きっと、那由他を真似たのだろう。
そこから会話はあまりなかった。
年齢を聞いているうちに、料理の方がきた所為だ。
彼らが交わした会話はあまりに軽く、傍(はた)から見れば険悪なムードに見えていたかもしれないが、
ラギが内心、彼らにどこか良いものを感じていたことは、きっと本人でさえ、気付いていないのかもしれない。
どうでもいいことなのですが、
名前とブログを変えました
改めまして、ひなといいます!
そして新しいブログです→http://ameblo.jp/okkg-0106
今回もアメブロで、安心仕様です。
ですが、クリックすると音楽が流れる仕掛けがありますのでボリュームにご注意ください
序章・4話
あれから数日が経った。
あの那由他と名乗る青年とラギは毎日のように顔を合わせていた。
もともと不登校気味だったラギは、那由他達の観光に毎日付き合い、より休むようになった。
ラギの家庭事情を知る学校側も、宿の店主も口を出すことは出来なかったのも一つの原因だろう。
「おい、那由他。お前、いつまでここにいるんだ?」
遊園地に観光に来ていた一行(いっこう)。
日もゆっくりと傾きだした頃、彼らはベンチに座りアイスを片手に話していた。
まあ、話すといっても二言三言交わす程度だったが。
「そうだな。次出れるのは7日、8日と言っとったしな。まあ、それぐらいだ。」
溶け出したアイスをペロリと舐めながら、彼はどこか遠くを見つめ答える。
質問をした本人はその返答にぼんやりと小さなことを必要に考える。
時折彼は変なことを言う、ラギはそう心の片隅で考えていた。
出られる、外、などの単語を那由他はよく使う。
最初に聞いたときから思っていたが、何でか聞こうとは思わなかった。
――いや、聞いてはいけない気がした。
それを話すときはどこかウキウキしたような、けれどどこか寂しげな表情をするからだ。
彼の話の邪魔は出来ない、というように思うようにさせるのだ。
「・・・・・・そうか。」
そう短くラギは返すと、まただんまりが始まる。
静かな彼らの耳に届くのは小さく聞こえたジェットコースターからの悲鳴。
近くを通り過ぎる人々の会話。メリーゴーランドの音楽。迷子の案内。自分の呼吸。
皆が一人ぼっちで物思いにふける。
その場で那由他は、ふっと空を見上げた。
そして心なしか微笑む。
青い空。白い雲。
緑の葉に、太い幹。
二羽の鳥が、今まさに、ゆっくりと羽ばたこうとしていた。
巣に残された雛鳥は、小さくピイと鳴いて小さな翼を、一生懸命に振るった。
こんにちは。rumiaと申します。
パッと見た時、描写が美しかったので読ませていただきましたが、
(ついでにブログも見させていただきましたが……)
本当に多才な方ですね……。
特に絵が描けることは羨ましいです。
絵が描けるとキャラの表情や特徴、服装なんかがイメージしやすくなりますからね……。
(私はほぼ、ぽややーんで書いてます)
この小説もその例に漏れず、本当に描写が美しいです。
ただ、差し出がましいようですが、少し説明が足りないかな……とも思いました。
状況が変わった時、私の駄文みたいに逐一報告するのは愚問ですが、
「その時状況がこう変わったんだよ(説明)」「その様子(描写)」みたいに、
読者を描写する場面まで連れて行ってあげると、もっといい文になるんじゃないかと個人的に思いました。
長文すいません。では。
▼rumia様(>>9)
初めまして、rumiaさん。
描写が美しいと言っていただけ本当に嬉しいです。
思わず勉強そっちのけで返信してます!
ブログ見ていただいてありがとうございます<(_ _*)>
ごめんなさい、全然なかったですよね(汗)
受験生ってことで勉強時間が押し寄せてて…。amebaの読み込みに時間を食ってしまうので。
おもけにアドバイスまで・・・
ありがとうございます!! (*- -)(*_ _)
バリバリの素人で、こんなんでいいの? 煤i゜Д゜;≡;゜Д゜)となっていたので助かります。
小説の形式とかガン無視で突っ走っていたので助かりました。
長文どんとこいです!
こちらも、返信も小説も長文なので全然気にしないでください。
これからもゆるっとのんびりとですが宜しくお願いします
打ち込みミスが・・・
おもけ、じゃなくて‘おまけ'です!
すみません
ごめんなさい。
しばらく更新停止しますのでお伝えしておきます。
某漫画に影響され、これを越えるものを描ける気がしないという小さいことが原因なのですが、
課題とか英検、なんか色々あって収集がつかないもので・・・。
サイトのほうもしばらく休止・・・?
案外、その某漫画に関して叫んだりもしますが。
本当に私事で申し訳ないです。
すみません。
2014.05.25.
申し訳ありません。
amebaでの設定でアメンバーのみの公開としました。
画像を見たい方は個人的に申し出て頂ければ
指定時間のみ
他ブログのパスを載せさせていただきます。
こちらの事情で申し訳ありません。
amebaをやっている方であればいつでもアメンバー申請を
待っています。
序章・5話
あの日から何かが大きく変わるということはなかった。
毎日起きて、一緒に朝を取り、約束があればその後も行動を共にする。
進展も後退もないように思われた関係だったが、丁度あの日から4日目に事は起こった。
「のう、ラギ。」
当たり前に定着した呼び名に、柊は疑問も持たずなんだと返す。
少々粗い返しだったが、那由他は気にもせず話を進めた。
「ラギは、家に帰らんでいいのか?」
禁句、に思われた言葉に、ラギは答えに詰まる。
久しぶりに一緒に食べる夕食の席。
不躾な気もしたが、カチャリとナイフとフォークを鳴らして置き、那由他を見る。
無表情なその顔はほんの少し、睨んでいるようにも見られた。
「お前はそこまで教え合える程親しくないだろう。」
ラギはそう淡々というと、顔を背け一瞬躊躇うかのような表情をした。
そして覚悟を決めたのか、勢いに任せたのか、那由他を見据える。
「なら私も聞くがお前はどうしてここにいる。働かなくていいのか?」
ぶっきらぼうな言い方には気にした様子もなく、那由他はその言葉に少し笑う。
小さな子供が照れを隠すようなそんな仕草で。しまったなあ、と顔に書いてあるようだった。
「そうだな。確かに、今は働いてないな」
やはり無職か。またフォークを掴み、下を見ることで少し上がった口角を隠した。
ラギは那由他を小馬鹿にし、離婚し子供を預かったはいいが仕事がないのだろうと見当を付けた。
けれど、
「ただ、俺は渡り鳥だからな。この止まり木を過ぎたら、また木の実を採りに行くな」
そんな那由他の返答にラギは彼の顔を見上げた。
また御馴染みのよくを分からない返答だ。
「・・・・・・なあ、那由他。時々するその意味分からない言葉の意味は何なんだ?」
それこそ勢いに任せて。
ラギは今までの最大の謎を尋ねてみた。
すると彼はまた、あの表情を見せた。参ったなあという、あの無邪気な表情だ。
そして彼は言う。
「ラギ。この世界は、お前が思っているほど以上に大きい。何倍もな」
そして彼は微笑む。
「ラギ。籠(じょうしき)なんて物は壊して、自分の旅路(みち)を行けばいい」
そして彼は力強く言った。
――「その時は、覚悟を決めろ。その旅路(みち)に他人(ひと)は巻き込めない。全てを捨てる事になる」
雛鳥は、怯えていた。
もう二度とここに帰れぬことを。
そして待っていた。
次の自分の止まり木を。
先行く二羽は、ただそれを見て、手も貸さずに。
雛が空を羽ばたくか。それとも永住に身をゆだねるか。
小さな雛の鳴き声に、ただ、二羽は力強く羽根を振るう。
題名に惹かれ読んでみたら・・
描写が綺麗ですね!
とても羨ましいくらいです!
才能を分けて欲しい!笑
とても読みやすいです(^^)
続待ってます!( ̄▽ ̄)
▼にっきー様(>>15)
ありがとうございます。
綺麗だなんて、そんな…………!!
最近テスト前になったりとサボり気味で、続きを諦めかけていましたが、頑張ってみたいと思います!
やっぱりゆっくりになるとは思いますが、待っていただけると本当に嬉しいです
疾那、という名前を過去に使っており、そちらのスレにもコメントを頂いたのですが、
こちらでの返答とさせていただきます
誠に申し訳ありません<(_ _)>
あのスレは閉鎖という形で、終了を迎えさせていただきます。
構成自体も忘れてしまっているので、いつかまた、気が向いたらのリメイクは検討しています。
よければ、是非そちらの方も読んでいただけたら幸いです
この度は、2つのスレへのコメント、ありがとうございます。
これからも応援していただけたら嬉しいです(_ _*)ペコリ
序章・6話
翌日のこと、全ての時計がゆっくりと動き出した。
朝から柊と那由他、トオルは口をきくことなく過ごしていた。
いや、視線がぶつかることもなかったかもしれないといえるほどに、互いに干渉せず過ごしていた。
宿屋のロビーで幾許(いくばく)そうしていただろうか。
重たくも軽過ぎもしない心地よいくらいの静寂は、けたたましいドアの開閉音によっていとも簡単に終わりを迎えた。
コツコツの速いテンポで刻まれる足音はすぐにロビーに近づいてきた。
「柊っ――!!」
甲高い怒鳴り声。
それは数日家に帰らなかった娘への心配という愛情とはまったくの別物だった。
一瞬にして心地の悪い空間となったそこで、入ってきた40代半ばほどの女性と柊が対峙する。
その瞬間とはまったく違う時間を過ごしているように、那由他は煙管(きせる)を吹かした。
ユラユラと煙は天井へと上っていく。
「・・・何?」
落ち着いているが、どこか震えた声が静かに響いた。
「何じゃないでしょう!?塾を勝手に休んだりして・・・!」
ああ、そのことか。
外泊も学校の無断欠席も許すのに、そのことを怒鳴られ柊は内心自嘲めいた笑いを浮かべた。
「ごめんなさい、母さん。」
感情なんてないような、抑揚のない声。
何も映していないような瞳で、目の前の人を見た。
「――――っ!」
それが気に食わなかったのか、母親は高く手を上げた。
柊は母の顔から目を逸らさず、くっと歯を軽く食いしばった。
――が、聞こえるはずの高い音も、鋭い痛みも、襲ってくることはなかった。
「ラギ。」
聞こえたのは、低く温かみのある声。
映ったのは光沢のあるうすい髪色。
「言っただろう?この世界はもっともっと大きいんだ。耳をふさいで、目を瞑らないで、感じてみろ」
ゆっくりと、体にしみこんでくる言葉の一つ一つ。
見えてきた那由他の手と、止められた母の手。
「動物の声、木々の囁き、川のせせらぎ、花の匂い、空の高さ、草の色。」
相変わらず煙を上げる煙管。
こちらに視線を向けるトオルの瞳。
「ここが世界の全てじゃない。」
差し出された、彼のごつごつした大きな手のひら。
「覚悟があれば、すべてはこの手だ」
どこかで雛の声が聞こえた気がした。
その声は、私に『行け』と囁いているような気がした。
――――籠の中じゃ、景色は見えない。
羽を振るった。
巣から自ら飛び降りていった。
体についた巣の枝と葉が、羽を振るうたび落ちていく。
羽毛は気がつけば、もう翼になっていたようで、残っていたのは名残惜しさだけだったのだ。
それももうゆっくりと落ちていく。
もう雛鳥ではない季節だ。
――――渡り鳥は、また、翼を広げる。
コメント返しありがとうございます。
いやいや
描写が本当に繊細で綺麗ですよ!
見習いたいです。本当。
もちろんこれからも読ませて貰います!
楽しみにしてますね。
それとよかったらでいいんですけど、私も
小説書いてて見てくれませんか?
本当に駄作なのでアドバイスして貰いたいです泣
▼にっきー様(>>18)
小説是非読ませていただきたいです!
が、お恥ずかしながらどこで書いていらっしゃるのかが分からす……
すみません。
もし宜しければ教えてください
手間をとらせてしまってすみません……(>_<)
>>19
分からず、でした。
すみません。打ち間違えました。
すみません!
http://ha10.net/novel/1408782130.html
こちらです!!
よろしくお願いします(^^)
本当にありがとうございます。
トリップの変更と、サイト移転のお知らせです。
ナノという携帯HP作成サイト様に移転しました。
慣れておらず、リンクがつながってない箇所がありましたら、連絡ください
http://nanos.jp/hinanin/
序章・7話
柊が産まれたのは、冬の冷たい雨の日だった。
予定日より少し遅れた出産だったが母子共に異常無し、元気な女の子だった。
しかし、彼女が幸せになることとはこれはまったく関係ないこと。
所謂、英才教育というものを彼女は受けることになった。
父と母は柊が僅か9ヶ月で離婚、母に引き取られて育てられることになるが、小学校に上がる前に英語能力検定では準2級を取得。
小学校に上がる頃には、小学生での学習を終了するほどの学力で、テストと名の付くものには1点も落とすことは許されなかった。
時には母の怒りが暴力として表れることもあった。今思えば、彼女は病んでいたのだ。
私立の小学校に進学した後もそれが終わることは無く、むしろ年を重ねる内に拍車がかかっていった。
小学4年生で、この宿と巡りあってから、少しずつだが、柊は家に帰らず宿に戻ることも増えていった。
5年生になる頃には、塾に入れられ、高等部の授業を学ぶようになった。
居場所がない、と気がついたのはその頃からだ。
母は仕事に溺れ、家庭というものは既に存在しなかった。
あるのは、貸してもらっている宿の一室と、無駄な勉強とシンと響く静寂だけだった。
見飽きたつまらない世界は、いつしか色褪せ、ときめきも驚きも全てが消え去り、何も残らなかった。
狭くて、
息苦しい、何も見えない篭の中。
あったのはきっと、止まり木と餌箱と水皿。
愛も何もない篭は、
ただの金属でしかなかったのだ。
だけど、
見えてなかった篭の出口は、あまりに簡単なところにあって、思わず目を瞑った。
見えた自由は、少し重たい気がしたから。
飛び立ち方も、何も分からなかったが、解放はあまりにあっさりとしていて躊躇ってしまう。
もし、
ここで、ここから出なかったら。
どんな景色に目の前は染まっていったのだろうか。
ここで、今、少し手を伸ばしたら。
どんな景色に目の前は染まっていったのだろうか。
「行け」
そう聞こえた気がした。
案外それが聞き間違えで、いけないという言葉だったのかもしれない。
もっと頭が良かったとしても、きっと、私は分からない。
結局それは、私の信じた『幻聴』なのだから。
「・・・那由他っ」
掴んだその手は、固い皮で覆われていて私の手を強く握り返す。
大丈夫だ、もう飛んでいける。
強くふるった翼。その鳥の先には、それよりも大きな翼の二羽の鳥が悠々と空を駆け抜けていった。
籠という字に変換の誤りがありました。
正しくは『籠』です。申し訳ありません。
序章・8話
翌日、私は一枚の手紙を書いて、早朝に那由他たちと宿を出た。
店主にここを発つことを伝え、今まで泊まっていた資金には到底及ばない少しの金を出した。
店主は少し寂しげに、だが嬉しそうにそれを断ると、
「それじゃあ、後は頼んだよ」
と那由他の肩を叩いて、あっさりと、優しく送り出してくれた。
「・・・なあ、那由他。ここからどこへ行くんだ?」
始発の列車に乗り込んですぐ、柊は彼に尋ねた。
彼は日本地図に目を落としながら、空港だと短く答えた。
柊もそこからは更に聞くことなく三人の間には空港に着くまで暫く、静寂が取り巻いていた。
空港に辿り着いてからも、那由他と受付の人が少し話してから、柊たちは普段入らないようなところから、プライベートジェットに乗り飛びたった。
「そろそろ、どこに行くか教えてほしいんだけど」
「ああ、悪いな。だが・・・まだ話すわけにはいかないんだ」
そう言うと那由他はおやすみ、と言って眠ってしまう。
流石に僅かな怒りを感じながら柊は窓の外の景色を横目に目的地への到着を待っていた。
「・・・ぎ、ラギ!」
那由他の声に柊は半目を開けた。
気がついていたら眠っていたようで、寒さを感じて体を起こした。
「ここ・・・は?」
ベッドの上で寝ていたようで、窓の外には知らない景色が見えている。
目の前には那由他だけがおり、他には誰の姿もなかった。
「ホッカイドウというところだ。お前の呼び出しが掛かっているから、最上階へ行ってこい」
言われるがままにエレベーターに乗り込み最上階を目指した。
・・・・・・そして、そこで全てを知った。
「どうだった?」
部屋にはもう既に二人の姿があり、那由他が片手に酒を持ちつつ出迎えた。
「明日には、発てるって・・・」
そうか、と短く返ってきたものには、少しの安心感があった。
彼らは変わらない。裏切らない。
そういう思いを柊は抱きながら、もう寝ると近くのベッドに倒れこんだ。
「おやすみ」
入っていた籠は、偽物だった。
籠ではあっても、信じていたものではなかったのだ。
飛びたったからこそ見えた全体像に、もう愛着はわかない。
きっと、彼女も
『渡り鳥』
冒頭部分ですが、<私>ではなく<柊>です
27:ひな◆KU hoge:2014/12/27(土) 17:04 ID:Y1U 一応はここで序章は完結ってことになります。
最後に色々とあって無理やり詰め込んだ形になりましたが、
これで来年には1章に入ります。
ここまで読んでくださりありがとうございます。
来年も小説共々宜しくお願いします
今までの小説はミスの変換や、
書き忘れたことなど手を加えて淡雪(http://nanos.jp/hinanin/)にて今年中に上げます
こんばんは。
今回書き込みさせていだいたのは、大変私情なのですが、「籠の中の渡り鳥」を序章完結、という形で終わらせていただくことを報告するためです。
このあとの一章では、彼女が"ニホン"を出て、真実を知るとともに自由に彼らと旅をする予定でした。
その中で、仲間同士の過去に触れたり、世界の暗い部分を目にし、彼女自身が成長するというはずでした。
しかし、あまり書きたいことが書けなかったり、だらだらと書き続けていることもあったりと、この先書くことができないと感じました。
コメントをいただいたり、私もキャラクターに振り回されつつも書いていて楽しかったです。
また、機会があれば続きを書くことがあるかもしれません。
そのときはそっと応援していただけると嬉しいです。
このような終わりにはなってしまいましたが、今までお世話になった方々、本当にすみません。
また違う名でこっそり小説を書いていたら、ちょっと貴方!、と軽く声を掛けていただけると励みになります。
色々ご迷惑おかけしましたが、ここまで読んでいただき、ありがとうございました。
2015.03.14 ひな
ごめんなさい!
トリップですが、忘れてしまったため、過去のものを使っています。
すみません
こんばんは。お久しぶりです(*'▽')
あれから1年半が経ち、久々にここに来て自分の作品を読み返しました。
あの時の方が今より文才あった気が…なんて思いながらも読み返して
最近嫌なこと続きだったのを那由他に励まされてしまいました。
これを書いた時励まされていた人が1人でもいいなあと考えていて、すごく続きを書きたくなってしまいました。
あの頃と同じ文体で書くことは難しいですし、きっとあの頃よりずっと読みにくい文になるとは思いますが、完結できるように頑張ります。
柊たちと世界を巡った気分になって、少しでも皆さんの励ましになる物語が書けるように頑張ります。
長文になってしまいましたが、これの続きは下サイトではんぺんという新たな名で暫く静かに書こうと思います。
上手く文に出来るか分かりませんが応援していただけると嬉しいです。
また、この小説と同時期に書いていた「light of sky(http://ha10.net/test/read.cgi/novel/1405138641/l50)」も同じように書いていきたいと思います。
よろしくお願いしますm(_ _)m
淡雪 -あわゆき-
http://nanos.jp/hanpenpen/