プロローグ
もうすぐアラフォー、around 40なんて呼ばれるようになる私だが、未だに色濃く残っている記憶がある。
――母が亡くなった日のことだ。
当時まだ中学1年生。
ついさっき小学校を卒業したような私にとって、その事実は衝撃的だった。
昔は――いや、今でもお昼ご飯に大量のおにぎりをもぐもぐしているような楽天家の私だが、その時ばかりは……号泣したのを覚えている。
般若心経か、それとも他の宗派だったのか……そこら辺はよく覚えていないけど、とにかく難しいお経が響く葬式会場、
――には全く近づかず、トイレの隅で泣きながらおばあちゃんが作ってくれたおにぎりをもぐもぐしていた。
……あれ? 結局もぐもぐしてたね、今思い出してみると。
――ま、それは置いといて。
そんな訳で母を亡くし、生まれる前に父を亡くしていた私は父方の祖母の家にお世話になることになった。
中学校もその時に転校して、ただでさえ周囲から浮いていた私は本格的に人から避けられるようになった。
……でも、寂しくはなかった。
だって、何の因果か私には多くの『モノ』が語りかけてくれたから。
これは、私に語りかけてくれたモノ達――白(Tukumo)の物語。
人ならぬ者――モノが語る、『モノ語り』
あわわ、一気に4つもコメントが……。
放置しててすいません! そしてコメントありがとうございます!!
>>40
はじめまして神奈さん。読んでいただいて嬉しいです!
天才だなんてそんな……文法すらまだまだ未熟です。
でも、そう言って下さるととても励みになります!!
ヒマだったら読んで下さい♪ では、
>>41
こ、こんにちは〜ミケさん(震え声)
えっと、その……(^_^;)
妖日和が上がらなくなったので、どこにいるのかと……(~ω~;)))
( ゚д゚)ハッ! そうだ! 妖日和まだ続くんですよね!?
ミケさんの小説が上がらないと、何か私落ち着かなくて!
早く書けとかそういう意味じゃなくて、
続くのか心配なのでちょっと教えてくれませんか……?
(追記:上がってるのが目に入っただけで、詳しくは見てませんです……ハイ
なんか息が荒かった気がしますが、忘れることにしますです、ハイ……)
>>42
>>43
にっきーさん。コメントありがとうございます!
覚えてますよ〜前作から引き続き、ご愛読ありがとうございます!!
これからも、ひまだったら読んでくれると嬉しいです……が、
放置してた私のせいでしょうが、わざわざ二回もコメントしなくて大丈夫ですよ〜。
パソコンが狂ったと書いてありましたが、文面が微妙に違いますし、
パソコンはこんなに綺麗にバグらないのですw
あ、もちろん全く迷惑ではないですし、むしろ嬉しいぐらいなのですが、
私はコメントをくれた人はこうしてみんな目を通すので、
にっきーさんだけ無視するなんてことは絶対に無いです。
(この小説を放棄しない限りw)
勘違いだったらごめんなさい。では、
大丈夫です。
妖日和はまだ続きますし、失踪はしてません。
ただ、別のことに手がついちゃってwなので、続きは書く予定です。
すみません!
2回も同じようなこと書き込んだら迷惑かと思って!
もちろんです!
これからも見に来ますよ!
よかったら私のも見てください!( ̄▽ ̄)
応援してます!
>>45
そうですか〜。これからも見させていただきます。m(_ _)m
>>46
応援ありがとうございます!
更新遅いかも知れませんが気長に待ってくれれば幸いです。
では、とりあえず続きを書きます。
「よし! んじゃ隠れていいんじゃな?」
それを聞いた怪王は閑話休題とばかりに声を上げる。
「ジジ塚うるさい……おばあちゃんにバレる」
なんとなく雰囲気をぶち壊された気がした千里はそれを睨みながらも、どこか安心した様子で微笑んだ。
しかし未だに事態は好転していないと焦るハナは、すぐに怪王に鋭い言葉をかける。
「カイ、そっちはどう?」
すると、その言葉を待っていたと怪王はほくそ笑んだ。
「ちょうど『釣れた』ところじゃ……先に行け」
「分かった……。じゃぁ千里ちゃん、お願い」
「ん、こっち」
怪王を残してハナと千里は台所を抜け、千里の部屋に続く廊下へと身を隠す。
それを確認した怪王は、もうすでに階段を上り終えようとしていた千里のおばあちゃんに向けて――
――ではなく、あらぬ方向に向かって呟いた。
『ヒキコメ……!』
――瞬間、一階玄関から荒々しいベルの音が家中に鳴り響く。
誰かが玄関を、それも乱暴に開いたことによってドアに取り付けられたベルが振り切れたのだ。
「あらあら……お客が来ちまったねぇ。……千里ちゃん。大変だったら呼ぶんだよ〜?」
その音に敏感に反応したこの店の店主は、また階段を降り始める。
「はぁ……」
そんな店主の背中に向けて、怪王はやれやれと溜息を吐いた。
塵塚怪王。それは付喪神の――『モノ』達の王であり、王であり続ける存在である。
ゆえに彼はモノと意思疎通し、命令を下すことができる。
例えば千里の家、この店の前を歩いていた男性――の着ているシャツを男性ごと引きずって、
店のドアを開きながらこの店の中に男性を『ヒキコム』ことだって彼には朝飯前だろう。
そういうわけで怪我をした男性の治療で慌ただしくなった一階を尻目に、
塵塚怪王は千里とハナの後を追い、廊下の闇へと消えていった。
「やれやれ、とりあえず一段落じゃな」
下での騒動から数秒後。
「ワシ、仕事した」と言いたげな顔で、2人が待つ部屋へと歩く怪王。
誰も聞いていないというのにそんなセリフと安堵のため息を吐きながら、それほどキッチンから遠くない美咲の部屋のドアノブに手を掛ける。
――そう、ここまでは何も間違ってはいない。
少し自慢げな態度がしゃくに障るが、それでも嫌悪されるほどではないし、ピンチ(?)を切り抜けられたのも怪王のおかげなのは紛うことなき事実だ。
……が、ここで怪王はもう少し意識するべきだった。
「こっちは終わったぞ〜。そっちも無事か?」
自分が手を掛けているドアの先が、中3女子の部屋という名の魔窟であるということを……。
「……は?」
「ん〜?」
そこには、怪王が千里の部屋だと思って開けたその場所には。
半裸の少女と思いっきり顔を引きつらせる相棒の姿があった。
どうもミケです
最近遅くてすみません……
葉っぱ天国であっちこっちいって小説書いてませんね。
でも単編のはちょっと進みました。
フリートーク、交流とかあっちこっちにいって色んな人と話してましたw
日記で夢日記も書くようになりましたw
でも本当に疾走はしてません!これからも書くつもりです。そして猫又さんの小説白語りも読ませてもらいます。
もし急にいなくなったり葉っぱ天国のどこにもいなかったらそれはきっと異次元にいったと思って下さいwでは次きたらまた読みますね猫又さんの小説楽しみにしています。ではまた。
コメントありがとうございます、ミケさん。
ちょっとミケさんのコメントを見て思い出したことがあるので、語らせていただきます。
ミケさん前に、妖日和には自分の世界観があるって言ってましたよね。
私の書いている作品にも世界観があって、大体それに添って作品を書いてるんです。
でもちょうど1年前ですかね……。
小説書いてる友達に作品を見せたら、ぐうの音も出ないほど徹底的に批判されまして。
それから文字を打つことが苦痛になって、何で書いてるのか分からなくなって、
発狂しかけてた時期がありました。
で、巡り巡って辿り着いたのがこのサイトです。
『このティッシュ以下略』の時、初投稿って書いてましたけど、
このサイト自体は前々から来てたんですよね。
で、約一年。全く何も書かずにフリートークや交流板で話したり。
発狂しそうになったら人生相談板行ってましたw
で、そんな私の話は置いといて。何が言いたいかといいますと。単純に待ってますってことですw
書けない時って本当に書けないもんですから、
1週間後でも1ヶ月後でも1年後でもミケさんが書きたいときに書いて、
その時私がまだこのサイトに居たら、絶対にコメントします。……と、それだけです。
長々とすいませんな、では、
↑正しくは「すいませんね、では」ですw
……なんで急に上から目線になったしw
なんかゴメンナサイ。そして続き書きます(唐突)
そう、怪王は知らなくて当然ではあるのだが、千里はおやつを食べた後は隣の風呂場で学校指定の制服を脱ぎ、そのままほぼ半裸で部屋まで行って部屋着を着る習性があるのだ。
(珍生物・千里大百科より)
そういうわけで制服のままじゃおばあちゃんに怪しまれるとナチュラルに服を脱ぎ始めた千里をハナが必死に止めようとした瞬間に怪王が現れた、ということなのだ。
「……あ……お、おぅ」
色んな意味で予想外な光景に、思わず開け放たれたドアから離れる怪王。
たしかに彼が一方的に悪いなんてことは無い。
警戒していなかった怪王も、数秒でケリが付くとは思わずに油断していた2人も悪いといえば悪い。
しかし、部屋に入る前にノックぐらいはするべきだった……!
その点において、やっぱり今回のことは界王が悪いと判断せざるを得ないわけだ。
それに悲しいかな、その顔は完全にどこからどう見ても学生を見て喜ぶ犯罪者のそれである。
こんなジジイ(見た目は高校生)を見て、通報しない人がいるだろうか。いや、いない!(むしろ家に連れ込んでこってり叱って……ゲフンゲフン)
と、取り乱してしまったが、そういうわけで問答無用の有罪判決を喰らってしまった界王は、苦笑いを浮かべながら一目散に駆け出した。
「そ、外に出とった方がええかのぉ〜あは……はぁあああああああああああああああ!!」
――が、予定調和。
無言のうちにその4文字で表せる一連のやりとりをハナと終えた怪王は、やはり逃げる前に顔面を頭蓋骨が割れるレベルで掴まれてしまった。
「今の千里ちゃんを凝視しておいて、一体どこに行くのぉ? 怪王さまぁ〜♪」
普段は絶対に言わないぶりっ子セリフをドスの効いた声で叫ぶハナ。
だが、もはやハナに顔面を掴まれ首吊り状態になっている怪王はそれに怯えることさえ出来ず、静かに気絶していた。
「はぁ、全く……お互い運が無いわね」
それを確認するとハナはさっきまでの威圧的な態度から一転、どこか自愛に満ちた表情を浮かべると、半裸になっている千里に向き直った。
「ごめんなさいね千里ちゃん。こいつホント馬鹿だから許してあげて……」
千里は部屋着に袖を通しながらそれに答える。
「ん? ……私、気にしないよ?」
「気にしなさい……。女子として」
千里は全く恥じらっていなかったが、それでもハナは一般常識的にアウトだと判断したのか、握っている怪王の頭に向かってつぶやいた。
『1分21秒前までの記憶』
すると気絶している怪王の口から、なにやらピンク色に発光する液体が溢れ出したかと思うと。
まるでここが無重力下であるかのように球状となって、ハナの左手に収まった。
「……ふーん」
単にそれだけを見ればピンクの水晶球と見間違えるほど綺麗なそれをハナは色々な角度から眺め、それに飽きるとそのピンクの球体を高々と掲げ言い放った。
『是(これ)、浮世に望むモノ無し』
――瞬間、ピンクの液体は四方八方に飛び散り、蒸発するかのように消える。
それと同時に怪王の体がビクンと跳ね、その反動で怪王の頭がハナの右手から転げ落ちた。
もし人間なら頭蓋骨が陥没(かんぼつ)しているんじゃないかと思うほど鈍い音を立てて落ちたそれを、しかしハナは平気で眼中から消し去り、
再びハナはすまし顔で千里へと向き直った。
「さぁて、これでさっきのことは全部『水に流された』。……これで気兼ねなくあなたに本当の目的を話すことができるわね……白凪千里」
ほどよくキャラが立てられていて面白いな〜
文章も言葉選びが背伸び感ないし適切で違和感なく読めるので尊敬します
comさん。コメントありがとうございます!
接続詞等々、まだまだ至らぬ部分があって、
読みにくかったり、展開が遅かったりしますが、
暇な時にまた読んでいただけると嬉しいです!
猫又さん……過去にそんなことが………
どうも、ミケです。
猫又さん過去にいろいろあったんですね、それでああいう良い小説が書けるわけだ。
今回も楽しく読まさせてもらいました。
久しぶりに来ました!
猫又さんは本当に文才がありますね!
尊敬します!
この物語ってまだ続きあるんですよね?
楽しみにしてます!
私の方も更新したので見に来てくれると嬉しいです!
ミケさん、にっきーさん。コメントありがとうございます!
>>57 ま、未だに怖いですけどね……批判されるのw
忙しい中読んでくれてありがとうございます!
>>58 お久しぶりですにっきーさん。
続きはありますよ〜。
……短篇集的なのでほぼ無限にw
でもストーリーは最後まで完全に組み立て終わってます。
(前作の時点でもう見通しはついてたので)
だから、一見ギャグテイストなこの3人の会話も……。
書いてて血の気が引きますね、うん。
それはそうと更新したんですか? 見に行きます!
……感想屋やってる癖で、ぶった斬ってしまったらスミマセンw
ではまた。
追記:続き書きますが、前回の文を大幅に修正しています。ご了承下さいm(_ _)m
『是(これ)、浮世に望むモノ無し』
――瞬間、ピンクの液体は四方八方に飛び散り、蒸発するかのように消えた。
それと同時に怪王の体がビクンと跳ね、その反動で怪王の頭がハナの右手から転げ落ちる。
もし人間なら頭蓋骨が陥没しているんじゃないかと思うほど鈍い音を立てて落ちたそれをハナは平気で眼中から消し去りつつ、
「……これで、さっきの記憶は全部消えたわね」と満足そうに頷くと、すまし顔で千里へと向き直った。
「さて、そろそろ真面目な話をしましょうか……」
後ろに白目で倒れている怪王が居ることを除けば、極めて真面目な様子でそう切り出したハナは、それと同時にパチンと指を鳴らす。
するとまるで千里の部屋全体に魔法がかかったかのように、怪王が閉め忘れた部屋のドアが怪王を部屋の中に蹴り入れながら突然閉まり、部屋に散乱していた辞典は順番通りに本棚へ戻り、カーテンが外の景色を隠すと同時に部屋の明かりが点いた。
が、千里はそんな怪奇現象にも全く動じず「真面目な話?」とハナの言葉に応じる。
その反応が妖怪の端くれとして面白くなかったのか、ちょっと不機嫌そうにハナは続けた。
「そうよ、真面目な話。どうして私達が『付喪神の代表として』あなたを尋ねたのか。その理由を正直に話すわ……」
「……同居(どうきょ)じゃないの?」
「それは本屋にあった少年向け漫画を見て『ほら! ワシもイケメンじゃし? ハーレムできゃっきゃうふふしてもおかしくないじゃろ? な?』って言ってた馬鹿の戯言よ。……水に流して」
「分かった」
ハナに握り潰され、ドアに蹴飛ばされた付喪神の王(笑)を見据えながら黙って頷く千里。
ハナは緩んだ空気を咳払いで元に戻すと、すぐに仕切り直す。
「そういう訳で私達があなたを頼ったのは、そんな煩悩の為なんかしゃなくて、私達の種族――付喪神を救ってほしいからなのよ」
「救う?」
いきなり規模のでかい話が飛び出したので、そんなことができるのだろうか? と眉をひそめる千里。
しかし「あ〜違う、違う」とすぐにハナが言い直した。
「私達はたしかに妖怪。人を超えた怪力や能力を持つ存在ではあるけれど、なにも私達と戦ってくれってことじゃないの……」
「? ……よく分かんない。ハナさんの言うこと……難しい」
頭の上に?マークを浮かべながら、こくんと小動物のように首を傾げる千里。
「え、あ……あぁ、ごめんなさい。混乱させちゃったみたいね! もっと分かりやすく言うから聞いてね? うん」
おそらく和人が見たら一撃必殺となるであろうその困った顔をもろに直視してしまったハナは、さっきまでの傲慢な態度はドコへやら、
まるで幼児に泣かれた近所のおばさんか何かのようにゆっくりとやさしく千里に語りかけ始めた。
よかったです!
猫又さんの小説本当に大好きなので終わってほしくありませんw
ありがとうございます。
新キャラが登場するのでWけっこーグタグタですが
感想屋やってるんですか?!
お久しぶりです!
今日はちょっと用事があって来ました!
私、色々猫又さんと話して見たいので
フリートークで話しませんか?
http://ha10.net/test/read.cgi/frt/1408091915/
よかったら来てください
続けます。 ※注意 途中映像が乱れますが、ご了承下さい。
「さっき話した通り、私達は付喪神。書物によっては99年使われ続けて化け物になったことから、九十九神(つくもがみ)とも呼ばれているわ」
ハナの話に千里が頷く。
「知ってる。三味線みたいなのが歩いてるやつ……」
「そうね、やっぱり百鬼夜行図――妖怪たちが夜の街を爆走してるあの絵巻に登場する、三味線や琵琶・傘や下駄なんかの付喪神が有名よね」
「あと、トランペット……」「トランペット!?」
予想斜め上の蛇足に驚愕するハナ。
しかし千里本人にボケたつもりは無いらしく、また不思議そうに首を傾げた。
「何か、おかしい……?」「何かって……いや」
あまりの天然さに軽く目眩を覚えながらも、ハナは続ける。
「昔の楽器ならともかく、トランペットはそこまで有名じゃ――」
「けど、うちの近所。たまにトランペット走ってる……」
「それはどう考えても暴走族よ、警察に通報しなさい」
そういうことなら話は別だ、とばかりに冷静にそう突っ込むハナ。
が、その突っ込みを待っていたかのように、千里はさらに鋭い突っ込みをハナにぶっ刺した。
「でも付喪神も、暴走族と大して変わらない、よね……」
「な……ッ」
『ハナは自分をちゃんと見てくれている』
千里はハナの言動を見てそう確信していたが、どうやらハナ自身はあまり分かっていなかったようで、
頭の中がお花畑だと思っていた中学生に痛いところを突かれたショックで絶句する。
それと同時に小汚い大人のプライドを守ろうと、ハナの頭は必死に言い訳を製造し始めた。
「え、え〜違うわよ……。ほら、あれ……誰だって1年に1・2回ぐらいはパーっと酒飲んで、ドバーっとみんなで暴走したいじゃない!?」
結果、余裕がないからかもはや逆効果にしかならず、パニックに陥ったハナはもうどうにでもなれとばかりに全く関係のない話を始めた。
「お、お酒はいいわよ〜? 焼酎・ワイン・清酒にマッコリ、この頃のだとミードってお酒が美味しくてね? なんでもハチミツから作るらしいのだけど、これまた口当たりが――」
【テロップ】この掲示板に相応しくない会話が始まってしまいましたので、ただいま画像のみで早送りしております。
しばらくハナの熱演(音声無し)をお楽しみ下さい。
〜お酒は20歳になってから。未成年はダメ、絶対〜
「…………」
数分後。そこには光の消えた目でハナをじっと見つめる千里と、ほぼ土下座状態でうつむくハナの姿があった。
「――ごめんなさい。なんかテンションが異常値に達してました。……あと正直に言うと付喪神は宴会と飲み会と暴走が好きです。私は特に好きです。はい」
「……ん。正直でよろしい」
一体、妖怪とはなんだったのか。
そう言わざるをえないほどあっさりと千里に完敗したハナはしかし、それでも最低限のプライドは守ろうと咳払いを繰り返すことで、無理やりながらも話を元に戻した。
どうもミケです
塵塚怪王ww良いキャラしてますねwwこういうキャラは嫌いじゃないww
お酒は20になってから……私、来年で20ですが、20になったとたんに飲めるんですかね?変な質問すみませんでしたw
ミケさん。コメントありがとうございます!!
怪王……次回書きますが結構すごい人なのに、なんか存在自体がボケなんですよね……w
あ、お酒に関しては両親が詳しいんですが、基本誕生日だそうです。
……まぁ大学に入った時点で、酒もタバコも緩くなるって先輩が言ってましたがねぇ……(ニヤリ)
ちなみにハナは容姿設定的に未成年ですが、かなりの酒好きですw
それと気が付いてますかね? ハナは前作のどっかの誰かさんによく似てることを……。
その真相はまたいつか……。というかだいたい察しは付きますよねw
それではまた、ではでは〜。
続けます。
「つまり私が言いたかったのは付喪神達も人間と同様に、ストレス社会に突入しちゃったってことなの」
「……? でも暴走してるんじゃないの?」
千里の素朴な疑問に、ハナは顔を曇らせる。
「それが……年々、開催回数が減ってきてるのよ。百鬼夜行」
そのあと、ため息と一緒に続きを吐いた。
「夜になると大人も子供も怖がって外に出ない江戸時代とかならいくらでも暴走できたのだけれど。……今は街灯もきちんと整備されてて、暴走しようにもできない場所が多くなってきてるのよねぇ……」
「やっぱり、そういうのって見つかっちゃいけないんだ……」
やっとハナの言わんとすることを理解した千里は「ホントに走ってるのが妖怪じゃなかったら暴走族と変わらないな」と確信しながら、ゆっくりとうなずく。
しかし、ハナは千里の言葉に首を振った。
「いえ、私達はどうでもいいのだけれど……私達に遭遇した人間が呪い殺されるのよ」
「え……?」
前言撤回、やっぱり暴走族より厄介だこの人達。
やっぱり走っているのが妖怪か人間か、その差は大きかったのだと痛感しながら、千里は気付かれないようにハナから距離を取る。
すると、それに気がついたハナが「あら……何か勘違いをしているようね」と千里を呼び止めた。
「別に私達が呪い殺してるわけじゃないのよ? むしろ私達が人間を救ってすらいるんだから」
「?」
またしても飛び出した厄介な言い回しに、頭上に?マークを浮かべる千里。
どうやらその困った顔が妖怪として嬉しいのか、ハナは微笑みながら話を続けた。
「雛人形(ひなにんぎょう)の始まりって知ってる? いえ、知らなくてもいいわ……説明する」
これ以上困らせても酷(こく)かと、千里の答えを待たずにハナは説明を開始する。
「雛人形っていうのはね。元々人間についた悪いもの――厄(やく)や病魔を付けて川に流すために生まれた人形なの。
流し雛とも言うんだけどね、人間に限らず生き物は生きているだけで悪いモノが溜まって行くから定期的に流して健康に生きましょうって行事から今のひな祭りが始まったわけ」
そう説明しながらハナは、女子の部屋にしては殺風景な千里の部屋の中を行ったり来たりする。
完全に先生気取りだ……。
千里は目の前の黒髪にワンピースの女性を見てそんな感想を抱きながらも言ったらマズイと判断し、黙って話を聞いた。
ハナは続けて言う。
「私達がやっている百鬼夜行も同じ……。この世に留まっている厄や病魔、人間にとっても妖怪にとっても悪影響を及ぼす『モノ』をストレスと一緒に全部流しましょうってお祭りなの」
「だから走ってる時の私達は、厄を背負い込んだ『不運のカタマリ』になる。……そんな存在を直視したら人間ぐらい即死して当たり前なのよ」
「それ……やってもやらなくても、毎年大変なんじゃ――」
百鬼夜行の大体の仕組みとその恐ろしさに気が付いた千里は、青ざめながらハナにそう追求する。
するとハナはクスっとそれを笑い飛ばし、答えた。
「あぁ、それなら大丈夫。そのために私達がいるんだから」
誇らしげにそう語ったのち、ハナは部屋の入口付近で気ぜ――寝ている怪王に温かい眼差しを向ける。
「あいつね? あんな間抜けな顔してるけど王って肩書は本物よ……。あいつは常に付喪神達と連絡を取って、どこに厄が集中しているのかを完全に把握できる」
まるで、そう。寝ている恋人の自慢話をするかのように、自分が握りつぶした相棒のことを語るハナ。
千里はそのシュールさに戸惑いながらも、漠然とこの二人がただの相棒・仕事仲間ではない気がしていた。
それこそ恋人か、腐れ縁か……それとも――。
と、そこまで考えた所でまた話の続きが始まり、千里はとりあえずハナの話に耳を貸すことにした。
「だから、どこかにバケモノ化した付喪神がいても遠く離れた場所で厄が渦巻いていても、すぐ私が流しに行ける……」
「『流す?』」
少し前からちょこちょこ耳にしていた言葉に違和感を覚えた千里は、食い気味にそう質問する。
ハナもその質問は予想の範囲内だったようで、「そうよ」と冷静に答えを返した。
「私はちょっと特殊な付喪神でね? そういうこの世にいちゃいけないモノを『あっち側』に流して処理することができるのよ……」
「あっちって、あの世?」
また曖昧な表現が出てきたと言いたげに、再び千里はハナに意味を尋ねる。
すると今度はさっきとは違い、ハナは何故か投げやりな口調で答えた。
「……あんな場所があの世なら、私は絶対死にたくないわね」
これ以上は追求するな。さもなくば……。
まるでそう威嚇するように、ハナは言葉を吐き捨て、「話を戻すわね」と冷たくも悲しげな言葉でその話を終わらせた。
「つまり私達の活躍で日本の平和は密かに守られているのだけれど、それでも付喪神達のストレスはどうしても軽減されないの……」
気づかれたくはなかったのか、それともせめての優しさか、ハナはまた元の明るい口調で続きを話し始めた。
千里も深入りしすぎたと素直に反省し、その雰囲気に乗っかる。
「……モノって、人間みたいに動けないもんね」
その反応が有り難かったのか、ハナは少し表情を緩めながら続けた。
「そうなの……ダンボ―ルなんかに入れられて孤独なまま一生を終える子もいるから、付喪神はどうしても鬱になりやすいのよね……」
実際にそういう付喪神を見て来たからだろうか、ハナはまるで黙祷をしているかのように目を閉じた。
「それに、この頃は付喪神の数も減って来てるから話し相手がいなくて発狂しそうな子が沢山いるのよ……」
そしてその目を開くと同時に千里の方へと向き直り、力強くも消えそうなほど小さな声で言葉を発した。
「だから、千里ちゃん。その話し相手をあなたに頼もうと思っているの……」
「私……?」
おそらくそれが本題。回りくどい言葉を積み重ねながらもやっと吐いた彼女の本心だったのだろう。
ハナは今までの威圧的な雰囲気から一転。まるで道端に捨てられた子犬のような瞳でじっと千里を見つめると、早口で言葉を継ぎ足した。
「そう、悩みを抱えたモノ達を訪ねて、悩みを聞いてあげるだけでいいの」
「ぇ? でも……」
が、それでも千里は首を振る。
その反応に焦りを覚えたのだろうか? ハナはさらに早口で捲し立てた。
「あ、そっか……! 付喪神の話なんてどう聞いたらいいか分からないんでしょ? たしかに私達みたいな高位の付喪神と違って一般的な付喪神の声は人間には聞こえないから――」
だからそれで迷ってるんでしょ?
そう続けようとしたところで、唐突に千里が呟いた。
「ううん……違う」
そうじゃない。私はそんなことで悩んでなんかいない。
そう言葉と動作で伝える千里。
ワケが分からず絶句するハナ。
しかし千里はハナにとってさらに衝撃的な一言を発した。
「私、聞こえる。……モノの声」
「……は?」
もはや「は?」としか言えないほどの虚脱感の中、ハナは千里を凝視する。
が、千里はなおも繰り返した。
「だから……私、ぬいぐるみとか時計とかの声、聞こえる」
「ちょ……ちょっと待って」
どうやらハナ自身、こんなケースは始めてだったのか、急に重たくなった頭を右手で支えながら詳しい事情を追求する。
「……き、聞こえるの? もともと? モノの声が?」
だが、そんなことなど知らない千里は「ん〜?」と首をかしげながら、さらにとんでもない一言をハナの頭に投下した。
「ハナさん妖怪だから知らないの? 時計とか電柱とかって喋るんだよ?」
「…………」
ハナはゆっくりと千里から視線をズラすと、笑顔のまま額(ひたい)をタンスに打ち付けた。
そして4・5回打ち付けたところで、ようやくここが夢でなく現実だと知り、精神的にも物理的にも痛む額を必死に押さえて呟く。
「……不本意ながら、私達を見ても驚かない理由が分かったわ」
「どういたしまして」「褒めてない」
会って数時間しか経っていないというのに漫才レベルに達したやりとりを終え、それはそれとハナはさらに千里の異常性について愚痴をこぼした。
「たしかに周囲には変な目で見られているのは知っていたけど……そこまで人間離れしてることを考えると、真っ当だと言わざるをえないわね……」
「え? でも近所のおばちゃん達に話しても『そうかい。千里ちゃんは、やさしいねぇ……』って言われるだけだよ?」
「そうじゃない人間もいるでしょうに……。とにかく、モノと話すときは人のいない場所でね?」「は〜ぃ」
そんなわけで、読者にどっちが常識人でしょうと問えば間違いなくハナを指すことがよく分かったところで、二人は話を戻す。
「で、何が心配だったの?」
「ぇっとね……私、学校もあるし。そんなに遠くには行けないかな、って……」
珍しく困ったような顔でそう語る千里。
それに対してハナが食い気味に答える。
「あぁ、それは心配ないわ……。もうカイが募集かけてるハズだから、悩みを抱えた付喪神達の方からこの街に集まって来るハズよ」
まるで『当たり前でしょ?』とでも言いたげに、とんでもないことを言うハナ。
笑顔で語る彼女の邪気を感じ取ったのか、千里は苦笑いを浮かべながらハナに尋ねた。
「もしかして……もう私が『モノ』達の話し相手になることを前提に……計画進んでる?」
「さぁて、どうかしらぁ♪」
ここに来て陽気な態度ではぐらかすハナ。
とはいっても、もうハナの言わんとすることを理解した千里は、ゆっくりと目を閉じ、呟いた。
「妖怪の相手、か……ちょっと怖いけど――」
急に訪ねてきた二人組。
どこからどう見ても不自然で、怪しい二人組。
でも、不思議と悪い人じゃない気がした。
「でも、面白そうだね……」
まさか自分より変な人(?)がいるとは思わなかったけど、
それでもこの二人組に対して抱いた嫌悪感より、
やっぱり親近感の方が強かった。
「私もあんまり話す人いないから……その子達の気持ち、何となく分かる……だから」
いきなりずかずかと部屋に上がり込んで、
ワケの分からないことをペラペラ喋って、
急に来た怪しいセールスマンよりも信用ならない二人だけど。
それでもなんでだろう、どこか始めて会った気がしなかった。
この先どんなことが待っているのか、そんなこと分からないけど……それでも。
「……私でよければ、協力していいよ……?」
「そっか……」
様々な思いを込めて放たれた千里の決断にハナは感慨深く頷き、しばらくしてから、そっと「ありがとう」と呟いた。
感謝される意味がよく分からなかったものの、心の底から安堵ともに吐かれたその言葉を聞いて千里もまた微笑み返す。
「ん……とりあえず承諾してくれてよかったわ……うん」
その生ぬるいやり取りがむず痒かったのだろうか。
ハナは早々に千里から目を逸らすと、何故か部屋の入り口で気絶している塵塚怪王を蹴り始めた。
「カ、カイ起きなさーい。じゃないと次から粗大ごみって呼ぶわヨー」
照れているからか、優しい(?)口調で怪王に語りかけるハナ。
しかしそれでも暴言であることには変わりないわけで、
「でぅぁれぇぐぁ粗大ごみじゃぁあああ!!」
「あ、起きた」
記憶を抜かれたうえに頭蓋骨……というか頭の中身まで握り潰されたはずの塵塚怪王は、その発言に激怒しながら何事もなかったかのようにこの世に戻ってきました。
――が、
「ん? ……ありゃ? ワシ何でこんな綺麗な部屋に居るんじゃ?」
どうやら記憶がごっそり抜けた弊害はあるようで、
怪王は全く何が何やら分からんと言いたげな顔でそもそもの元凶であるハナを見た。
だがハナは何食わぬ顔で「ちょっとカイ。寝ぼけてるんじゃないの?」と笑い。
「千里ちゃんに私達のこと頼みにきたんでしょ?」と、さも怪王が勝手に寝てしまったかのような言い回しで、これまでの経緯を説明した。
すると記憶がないからか怪王はあっさりとそれを鵜呑みにし、
「すまん、すまんワシとしたことが、夢の中で『じじいだ』『クソじじいだ』と誰かから罵られとったもんで、つい我を忘れて叫んでしまったわ! はっ、はっ、はっ!」
という発言に何とも言えない笑顔を浮かべる千里とハナをよそに、ふたたび付喪神の王としてのプライドを取り戻し、
「よく覚えとらんからもう一度名乗っておこうかの……」
と、必要以上に胸を張りながら改めて千里に向けて自己紹介をした。
「ワシは塵塚怪王(ちりづかかいおう)。あまり知られておらんが付喪神には名の知れた王じゃ。好きなモノは酒と女と平和かのぉ。座右の銘は『清く正しく百鬼夜行』。まぁ色々と腑に落ちんが、協力感謝するぞ小娘っ!」
「…………へぇ」
多少記憶を失おうと、中身は変わらない。
そんな悲しい知識を無言のままそっと心にしまった千里は、未だに笑い続けている粗大ごみから、呆れ顔のハナへと視線を移した。
それに気付いたハナは、無言のうちにアイコンタクトを取り、怪王の笑い声を遮って自己紹介を始める。
「次は私ね……。私の名前はハナ。最近生まれた――」
「――ちょっと待ったっ!」
と、ハナが話し始めて2・3秒も経たないうちにいきなり怪王が割り込んできた。
「はぁ……何よ、いきなり。ついに頭の中の空き缶がサビちゃったの?」
また何か始まった……やっぱりあと1・2分気絶させておくべきだったかしら。
そんな内心をためらわずに顔に出しながら、ハナが気だるそうに応答する。
だがそれでもなお、怪王は自信にあふれた目と意地悪そうな笑みをこらえるている口をハナに見せつけながら、
今までの下っ端的な態度から一転して、ハナを小馬鹿にしたような口調で話し始めた。
怪王!!!
久しぶりに見に来たよ!
見てて思ったのはやっぱり、内容が深いなーと。
こんなのが書けるのは凄いと思う!
少なくともうちには無理!
ただ、内容が深いからこそ
ちょっと分かりにくいところがあったりするから・・
いや、ただたんにうちが馬鹿なだけかも!
これからも頑張って(^^)!
にっきー、コメントありがとう。
う〜ん、やっぱり分かりにくいか(^_^;)
今思うとギャグ回だからって騒がせすぎてカオスになった感はあるよね……w
ま、それは追々考えるとして、とにかく応援感謝デス(`・ω・´)ゞ
まだまだカオスですが、続けます。
「おいおいハナよ……フルネームを言わんか、フルネームを……」
「……っ!」
その言葉を理解した瞬間、もう一度気絶させてやろうと拳を握り締めていたハナの表情が凍り付く。
「は……はぁ? べ、別にフルネームじゃなくても通じるでしょ? フルネームなんて日常的に使わないだろうし……ハナで十分じゃない!」
生まれた隙を必死に取り繕おうとするハナ。
しかしその目は泳ぎ、口から出てくる言葉も今までとは違い説得力に欠けるものばかり。
それをあらかじめ知っていたのであろう怪王は、好機とばかりにとどめを放った。
「ほほぉ? たしかにパートナとはいえ、言えぬことが2・3個あっても仕方ないが、自分の名前さえ教えぬとは……信用しろと言う方が無理というものではないか? ん? どうなんじゃハナよ?」
「うぅ……」
防戦一方。ついに突き崩されてしまったハナは、深呼吸を繰り返しながら徐々に徐々に赤くなり。
それが限界に達したその瞬間、沸騰する頭から一気に言葉を吐いた。
「わ、私は紙代花(かみよ・はな)。最近生まれたポケットティッシュの付喪神よ。
……しゅ、好きなモノはやっぱり酒と暴走かしらね。座右の銘は『因果応報』。
えと、あとその……名前は気にしなくていいわよ、名前は……。ね? 千里ちゃん」
「……?」
しかしそれは口調以外どこから聞いてもまともな自己紹介で、千里には一体何が恥ずかしいのか理解できなかった。
ハナさんの名字が紙代(かみよ)だということは分かったが、それ以外のことは自分に話してくれていたし、
酒と暴走というのはたしかに恥ずかしいかもしれないが、さっき平気で口にしていたことを今さら恥ずかしがるとは思えない。
そんなことを頭の中でグルグルと回しながら、わけが分からす首を傾げる千里。
するとそれを察した怪王が千里にこう耳うちをした。
「分からんか? なら並び替えてみろ」
「並び変える?」「ちょ、ま……」
おそらく余計な告げ口だったのだろう、それを聞いたハナはますます顔を赤くしながら話をごまかそうと千里に駆け寄ろうとするも、
笑いながら怪王がそれを押し止めた。
かくして千里は考え込む。 一体ハナさんが何を恐れて、恥ずかしがっているのかと、
そしてその思考は一つの答えに行き着いた。
紙代花 → かみよはな → はな かみよ → 花 紙よ
……鼻紙よ。
「はっ、はなっ……はにゃがっ、ぷふふふふふ……鼻紙……っ」
そして行き着いた瞬間、普段無表情かつ自由奔放で有名な千里はめずらしく爆笑した。
怪王もその反応が嬉しかったらしく「な? 傑作じゃろ?」と言いながらにやにやと笑う。
唯一ハナだけは今にも破裂そうなほどに真っ赤な顔を手で覆いながら、
「だから、だからフルネームは言いたくなかったのよ……ッ」
と、その場に崩れ落ちた。
そんなハナをどうにか元気づけようと、千里は必死に笑いを堪えながら話しかける。
「大丈夫、鼻さん……けほ……大丈夫だからっ」
「何が大丈夫なの? ねぇ、何が大丈夫なの千里ちゃん!」
しかしどうやら千里は一度ツボに入ったらなかなか元に戻らないタイプらしく、かえってハナを恥かしがらせてしまった。
それから、ツボに入って戦闘不能になってしまった千里をよそに、
「まったくあの小娘にも言ってやれば、友達になれたぐらいの面白さじゃなぁ……!」
「そんなことあの状態の美咲ちゃんに言ったら、友達どころか1mほど引かれるわっ!」
等々、ハナと怪王が言い争いをすること10分後、やっと落ち着いたのかハナが涙目になりながら会話を続行した。
「……そういうわけで私はティッシュに、カイは……まぁ適当なモノに化けてこの家にお世話になるわ」
「これからよろしくな、小娘」
ハナの締めに便乗して、怪王も千里に挨拶を済ませる。
しかしその態度が気に入らなかったのか、話しかけられた当人は頬を膨らませた。
「小娘じゃ、ない!」
「ふん、お前など小娘で十分じゃ……」
どうやら怪王と千里は馬が合わないらしく、千里の強気な発言を受けて怪王は上から目線で鼻を鳴らす。
「こぉら、二人ともそんなことで喧嘩しない」
そんな不穏な空気を察知してか、ハナが二人をなだめるといった、まるで家族のようなやりとりをしていると、
唐突に千里の部屋のドアを誰かがドンドンと叩いた。
「っ!」「やばっ!」
――瞬間、ハナは小さなホケットティッシュに、塵塚怪王はナゼか立派な黒皮表紙の小さな手帳に化ける。
それを確認してから千里は「は〜い」と扉の向こうにいるおそらく祖母であろう人物に話しかけた。
「千里ちゃん。ごめんけど、ばあさん腰が痛くてねぇ。お風呂だけでも掃除してもらえんだろか……?」
「あ、うん。すぐ行く」
案の定、祖母の声が返って来たので、千里は扉を開けようとして、
「……あ、このままにしてたらマズイかな……?」
二人が祖母を怖がっていたことを思い出し、素早くティッシュと手帳をポケットに入れると、そのまま外に出た。
扉の向こうに居たおばあちゃんに「ごめんね、すぐやるから」とだけ言ってすれ違い、そのまま廊下を歩いて行く。
――嵐のように訪れて、嵐のように住み着いてしまった二人との生活に少しの戸惑いと、興味と、そしてありったけの好奇心を抱きながら、千里はお風呂場にまでスキップし始めた。
第一話――END・・・?
❏あとがき……? のようなモノ。
第一話は少し遊びすぎたので、展開を整理するためにここまでのあらすじを書きたいと思います。
白凪千里(しらなぎちさと)は自由奔放で少し変わっている中学3年生。
先生にも生徒にも障害児扱いされている彼女ですが、
それでも親友の和人(かずと)とに励まされ、楽しい毎日を送っていました。
そんなある日、家に帰った千里は付喪神の元締めだと言う塵塚怪王と、その相棒のハナに出会います。
突然現れた二人に千里は戸惑いますが、そこからナゼかコントまがいの会話に発展。
変わり者同士、意気投合を果たし。
結果的に「付喪神の愚痴を聞いてくれないか」と迫る二人を信じて、
千里は付喪神(九十九神)達の愚痴を聞くことになったのでした。 おわり。
……八行で終わった。本編とは一体なんだったんでしょうね……(泣)
ま、それはいいとして。実は、まだ1話は終わってません。
この先の一話エピローグも含めて、読んでくれる優しい読者様がいましたら。
つたない文ですが、ゆっくり見ていって下さい。では、
え?!
終わりなの?!
もし違ったらごめん!
まだ続いてほしーなという気持ちw
新しい小説の方も頑張って!!
あ。
続きあるって書いてあった(^^)
是非とも!読みます!
楽しみにしてるよー!
コメントありがと、にっきー!
そうだよ〜、まだまだ続くよw
……そしてここからが本番だったりする。(予定w)
❏エピローグ 開け放たれた扉
「……行っちまったか」
千里が去った後、空っぽになった部屋を眺めながら、その祖母である白凪チヨはそう呟いた。
「とうとう、あの子は行っちまったんだねぇ」
開け放たれた窓からの風を受けながらゆっくりと千里の部屋に入って行く彼女は今年でもう80歳近く、
足腰が弱っているハズなのだが、その足取りには妙な貫禄があった。
「……そう。これでついに事態が動いちまったというわけだ」
誰もいない部屋で淡々と言葉を発するチヨ婆さん。
しかし……彼女はボケているわけではないし、かと言って独り言を言っているわけでもない。
「お前たち……聞こえてるなら返事ぐらいしたらどうなんだい?」
彼女は的確にこの部屋にいる『何モノか』に向けて、会話をし続けていたのだ。
その証拠に、彼女の厳しい言葉を聞いたモノ達が、カタカタと相槌(あいずち)を打つ。
それでも彼女――白凪チヨは「……ふん」と不機嫌そうに一瞥すると、またしても厳しい口調で会話を続けた。
「あの二人、怪王とバカ女にはバレていないだろうね……?」
――鉛筆が「――カラン」と答える。
「……そうかい。そりゃお前たちは選ばれたモノ達だからね。あんな平和ボケに気配を気取られるハズはないさ……」
――本が嬉しそうに「ガタガタガタ……ッ」と揺れた。
「のんきに喜んでるんじゃないよ……まったく。ちっとは気を引き締めな!」
――本は「……カタッ」と揺れたっきり動かなくなった。
「で、バカ女達の様子はどうなんだい?」
――「……コロコロ――カタン」。鉛筆がゆっくりと机から転がり落ちた。
「……そうかい。よくもまぁうちの孫とのんきに漫才できたもんだねぇ、あの二人は……。
下手すりゃアタシに殺されてお陀仏だってんのに」
――殺すという発言に、モノ達の動きが一斉に止まる。
それでも彼女にしか分からない何かで話しているのか、会話が途切れることはなかった。
「――ん? 私が気付かなかったかって? そりゃ気付いていたさ。千里が帰ってくるその前からね」
――何かを言いたげに「……ぼふん」と枕がベッドの上で跳ねる。
それを受けて彼女は満足そうに微笑んだ。
「そう、今はアタシ達が手を出す時じゃないのさ。こっちから手を出したら今までアタシが積み上げてきた計画が台無しになるからねぇ……」
と、ここで本や鉛筆などのモノ達との会話を続けていた彼女は、ゆっくりと顔を上げ、
何かを押し殺したような、低い低いシワ枯れた声を部屋中に響き渡らせた。
それは、もはや彼女しか口にしなくなった言葉。
それは白凪家の人間しか知り得ない言葉。
そんな言葉を朗々と語る彼女を、モノ達はただ何も言わず見ていた。
「百から一引きゃ、白【九十九】(つくも)の定め。
白【九十九】と凪ぎりて(和りて)福と成せ」
言葉を吐き終わった彼女は「はぁ」と浅いため息をついた後、再びモノ達に向けて言葉を吐いた。
「その言葉通り『白凪』の者は代々、付喪神(つくもがみ)を管理してきた……その意味。分かってるだろうね?」
彼女の言葉に、千里の部屋に『監視用』として配置された付喪神達は「カンッ!」と、まるで軍隊のような正確さで一斉に物音を立てる。
その光景を見た白凪チヨは満足そうにほくそ笑み、最後の確認だと言わんばかりに、シワ枯れた声を張り上げた。
「さぁ、お前たち。計画を進めようじゃないか……」
第一話――白(Tukumo)と凪ぎりて福を成す
〜END〜
@本編とは無関係な独り言のコーナー
このまま第2話に進むのもアレなので、ここらでちょいと独り言。
いや、まぁなんか適当に書いてきたワケですが、自分でも言い回しがキツすぎるな〜とか、
なんか堅っ苦しいなーと、書いた後に思ってますw
行間も最初は文法事項だろ? と思ってたのですが、
「( ゚д゚)ハッ! そうか! 私、パソコンから書き込んでるから分からないけど、スマホで見てたら見にくいのかっ!」
と、バカなことにこのごろ気付き、色々配慮してみてます。(全然変わってませんがw)
ま、多分こんなとこまで見てる人はいないとは思いますが、
もし見てくれてる人いましたら「こうしないと見にくい」とか、
「こういう言い回ししてみたら?」等々のアドバイス、よろしくお願いします。
(あ、もちろん「見にくい」の一言だけを何度も書くような輩がいたら、即アク禁出しますがw)
と、まぁなんか最後までグダグダでしたが、
どうせ尺稼ぎなので気にせず次から第二話を始めたいと思います。では、
第二話〜笑う彼女に、服来たる〜
❏プロローグ
今、こうして思い出を書き記していて思うのは、
短い私の人生の中で、あなた達二人と出会えたことは奇跡だったってこと。
あなた達が来てから、私の生活は実り多いものになったし、
思い出すだけで笑えるような思い出もたくさんできた。
たとえ……それが全て真っ赤なウソだったとしても。
私の頭から消え去らないうちに書き記そう、
あの、幻のような青春を――
白凪 千里
❐着る者、着られるモノ
「ねぇ、今、ヒマ?」
「ぇ……?」
7月上旬。
テスト返却も終わり、束の間の安心感が充満している神屋(こうや)東中学校3年2組の教室で、
放課後、千里は和人に言われた通り机をコンコンと叩きながら、隣の安田紗希(やすだ さき)さんに話しかけていた。
「ねぇ、ヒマなの……?」
「ぇ? その……」
しかしやはり口下手というか言葉足らずな千里の意図を汲み取れないのか、彼女は前と同じように泣きそうな顔で周りに助けを求めた。
――だが、誰も目を合わせようとしない。
千里と、あんな障害児と隣になった時点で、どんな酷い目に遭おうと私達には関係ないと言わんばかりに、
誰もが二人を『ここには居ない存在』として扱っていたのだ。
「そんな……」
見捨てられたことを知り、彼女は――安田サキは、口を手で押さえながら静かに泣き始めた。
そんなことをしたら、ますます自分が見捨てられると分かっているのに、それでも耐えられないほど怖くて……悲しくて、
サキは、口から漏れ出す嗚咽を必死に手ですくいながら、千里の目の前で泣き続ける。
誰にも助けられず、かわいそうな障害児の生贄(いけにえ)になり続ける。
クラスの誰もがそう確信し、厄介なことになる前に教室を出ようと荷物をまとめ始めたその時だった、
千里が、泣いているサキに向けて、ゆっくりと、優しく言葉を紡いだのだ。
「私、安田さんと話したい……。話して、大丈夫……?」
久しぶり!
更新されてたから見に来たよ!
猫又!!プロローグ書くの上手だね!!
すごいプロローグから惹かれたわ!
これからも応援してるよー!
おぉ……まだ見てくれてたんだ、にっきー……。
この頃、別の所で書き始めたからこっちのことすっかり忘れてた。
うーん、もしかしたらかなり更新が不定期になるかもしれないけどまだまだ書くつもり……。
だから更新したら、また読みに来てくれてると嬉しいな……。
勝手にごめんね。
どこで書いてるの?
よかったら雑談板で教えて★
これからも応援してるよ!
放置しててスミマセン。続けます。
「え……?」
その言葉にサキは目を見開いた。
今までどう思っていたかは定かではないが、おそらく千里がこんな風に自分に接してきたのは始めてのことなのだろう。
「えぇっと……その」
どうしたらいいのか分からず戸惑うサキ。
しかし今までとは違い、その顔に絶望はなかった。
まるで好きな人に告白でもされたかのような、温かい表情で千里と周囲を交互に見たあと、
何度も何度も言いよどみながら千里へ返事を返した。
「うん……いいよ。私、部活も入ってないし。お話……しよ」
「んっ……」
その返答に満足したのか、千里はうつむきがちに微笑む。
そうしてこの事件は一件落着する、かと思われたその時。
「ちょっと……障害児が教室うろついてもらったら困るんですけど?」
サキを千里と引っ付けていたグループの1人だろうか。
いきなり二人の間に割り込むと、千里を睨みつけた。
普段なら千里の方から、歌でも歌いながら教室を出て行くところだろう。だが、今回は違った。
「……私、安田さんとお話……してる」
逆にその女子を睨みつけ、言葉足らずながらも、
いや、言葉足らずがゆえに強烈な敵対心をむき出しにした。
「……は?」
「…………」
まさに一触即発。教室内は異様な緊張感に包まれた。
帰宅しようとしていた他のクラスメイトはドアを空ける音すら警戒して誰も帰ろうとせず、座っている生徒はわざとらしく窓から空を見上げる。
もはや、誰もこの静寂を破ることはできない。
誰もがそう確信した瞬間、
突如ドアが開き……奴が襲来した。
「お〜い、ドコにおるんじゃ小娘ぇ。居たら返事せんかー。
いい加減にせんと校舎ごと破壊するぞー」
最近コメントしてなくてごめんね(´・_・`)
ここからはいってどうなるか楽しみ!頑張って!
そんな……謝らなくていいよ、ミケさんっ!
勝手に放置してただけなんだから!!
でも、応援ありがと……(*^_^*)
千里を含めたクラスメイトよりは大人びてはいるものの、まだまだ高校1年生程度の容姿。
しかしながら着てるものは和服、しかもジジイ口調。
誰が見てもこの学校の生徒でない、むしろ不審者以外の何物でもないと断言できるその青年は何のためらいもなく教室に侵入後、
しばらく教室中を眺め、黄色い目で千里を捕捉した瞬間に微笑んだ。
「なんだ小娘。ここにおったのか! 教員に聞いても答えんから時間がっ……が、がガガガがが……や、止めごほ……。く、首は勘弁」
そしてにっこり笑ったその顔のまま、普段では考えられないほどに加速した千里に首を絞められた。
「……ゴメン安田さん。……今日帰る、ね」
不審者の首を閉めたまま、精一杯の作り笑いを浮かべながらサキに別れを告げる千里。
「……ふぇ? ぁ、ぅ……ん」
その異様な光景に完全に思考停止に追いやられる、安田・女子グループを含めたクラスメイト達。
「ごめんね。……また明日」
そんな何も知らないピュアな子供たちを置いて、1つ嫌な意味で成長してしまった千里は、昨日とは違い苦笑いで教室を出るのだった。
猫又ー!
久しぶりに見に来たよ!
最近あんまり来てないから心配になったわw
続きまってるね!( ̄▽ ̄)
ありがと、にっきー……。
でもね……ホント勝手なんだけど、
しばらくここで書くのは止めようと思うんだ。
どうもこの頃この板の過疎化がひどいのと、
なにより私自身また書けなくなってきてね……。
情けない話だけど、一旦書くのは止めようと思うんだ。
あ、もちろんたまには来るだろうし、他の人の小説に感想書いたりはするけど……。
多分、続きは書けそうにないな……。
んじゃ…ホント勝手なんだけど、また続き書けたら来ます。ごめんなさい。
わかった・・・
たまにはフリートークに来てね・・
ほかの小説板で書くの?
これから・・・・
大丈夫だよ!
猫又も色々あると思うからさ
久しぶりに来たけどやっぱりもうここでは書かないかんじ??
イキナリすれ上げてごめんね