素敵な青空を君に

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1:柳葉◆l.:2015/03/07(土) 22:10 ID:kE.

____今、私がこの青く澄んだ空を見ている頃
君はどんな顔をして「今日」を送っているのだろうか。

そして今日のような雲一つもない秋のあの日。
風がぬるくて、青々とした木の陰がとても涼しかったあの日。
広い校庭を一瞬で走り抜ける君を見て恋をした。

✄--------------- キ リ ト リ ---------------✄

何回も何回も書いてるのに続かない柳葉です。
十回目ですねきっと←
「今回こそ頑張って続ける」
亀より遅い更新ですが温かい目で見守ってもらえると幸いです。

2:柳葉◆l.:2015/03/07(土) 22:26 ID:kE.


小さい頃から私はよく名前の由来を母から教えられていた。
何度も何度も、優しい笑顔で私を膝に乗せて語る。
まだ幼いのに自分の名前の由来を一字一句覚えられた位に。

「お母さんが明乃って付けたのはね、
明るく育ってくれますようにっていうお願いなの。
だから明ちゃんは沢山、笑って頂戴ね」

そう言ったあといつも母は私を優しく抱きしめた。
とっても安心出来て、居心地が良くて、時折窓から吹き込む
ぬるい風が好きだった。

そんな大好きな母は今では空の向こうにいて、
教えの通り私は笑って中学校生活を送っている。
友達だって出来たし、部活の先輩とも特に問題はない。

「お母さん、行ってきます」

そう仏壇に手を合わせ声を出す。
これは亡くなってから毎日やっている日課で
むしろ忘れる日なんてなかった。

玄関へ行き、学校指定の革靴を履いた
まだ七時半だったので余裕がある。
そしてまだ家にいる妹と父にまた言う。
「行ってきます」
返事が来るか来ないかのうちにドアを閉めた。

3:柳葉◆l.:2015/03/08(日) 09:36 ID:kE.

私の家の方面から学校へ行くには
あぜ道を歩いて少し先のバスに乗らなければ行けない。
大体三十分位はかかっていつも学校に行く。

「明乃、おはよう」
「おはよう、実」

後ろから明るい聞きなれた声に反応し、
振り返り返事をする。彼女は私に並んで歩き出した。
「今日の時間割って何」
そんな他愛もない話を続け、あぜ道を歩いていた。
バス停に辿り着くと、実は時刻表を確かめていた。
時刻をなぞっている彼女の指が急に止まった。
「まだ十二分あるよ」
溜息をつきながら私達は誰もいないベンチに腰をかけた。

時々携帯を開き、時刻を確認した。
それでもまだまだ余裕があって私はぼんやりとしていた。
あぜ道の向こうに田畑があり、日光を反射していた。
「今日、天気いいよね。それに暖かいし」
同じ事を思っていたのか、実は体を伸ばしながら言う。
「……そうだね」
小さい声で返事し、その後は何も話さなかった。

目的地行きのバスが来ると私達は立ち上がる。
カードをリーダーにかざし、隣同士席に座った。
一分もしない内にバスのドアが閉まる。
「……もう、春なんだね」
実は窓を眺めながら、少し落ち着いた声で呟いた。

「もう、春だよ」

私は、少しの後悔を込めて彼女に答えた。

4:柳葉◆l.:2015/03/08(日) 21:10 ID:kE.

廊下の窓から入り込む日差し温かくて、桜の花弁が空を舞う。
「__お腹痛いんで保健室行ってきます」
そんな自分の一言で静かな廊下を歩くことになった

階段を下り、職員室前の廊下を通る。
「あら、どうしたの」
「調子が悪くて」
気にかけて私に声をかける先生も居る。
別に体調とか悪いわけではなく、自分でもよく分かっていない。
ふらっとどっかにいって適当に時間潰して帰ってくる。
授業放棄とでも言った方がいいのだろうか。
答えが求められないまま、保健室を通り過ぎ中庭についた。

学校で一番大きい桜の木の下にあるベンチに仰向けになり
ぼんやり空を眺める。
流れる雲を目で追ったり、桜の落ちていく花弁を数えたりもした。
眠りそうになると人の顔が視界に入った。

「こんな所で一年生見つけちゃった」

爽やかに笑うけれどどこか幼い少年の笑顔。
彼は私に起き上がる様、手を差し伸べ促す。
私は彼の骨ばった手を掴んで起き上がった。

「何?君も授業放棄ってやつ」
「まあそうですね。体が疼くんですよ。
体を動かしたいわけでもないんですがね」

頷きながら、彼はぼんやりと空を眺めていた。
「俺は三年三組の日川。日川って呼んで」
そう言うと目を見て彼は笑った。
「二年四組生瀬です……」
そうかと言い彼はまた笑った。

鐘が鳴ると急いで校舎の窓から見えない死角に入り、
校舎内にそれぞれ戻った。
少し胸にざわつきを感じたがきっと何もないと思いたい。

「お母さん。やっぱり学校、楽しいや」

私はそう、周りに聞こえないように吐き捨てた。

5:柳葉◆l.:2015/03/13(金) 17:56 ID:kE.

昼休みは、図書室の窓際の席に座り
好きな本のシリーズや、何となく目に付いた本を読み耽っていた。
授業とか、現実とかそういうものから逃げられる唯一の時間だった。

「__また読むの?それ」

貸し借りの受付のクラスメイトにそう言われつつ本を差し出すと
相手はタイトルをなぞりながら名簿に書き込んでいた。
私は手続きのあいだに返事を返す。

「うん。その本お気に入りの本だから」
「へえ。私も今度読んでみようかな。あ、本の期日守ってね」
ああと返事すると本を渡され、席に座る。
図書室はあまり人が来ないので、本当に静かだった。

カーテンから吹く風と、本にのめり込んだせいか
時間があっという間に過ぎる。
予鈴が鳴ったので席を立ち、本を片手に教室へ向かった。

6:柳葉◆l.:2015/03/15(日) 00:13 ID:kE.

五月になり少しずつ夕方の冷えも薄まっていく。
私が帰り道に通るあぜ道で聞こえるのは烏の鳴き声と
少し先に見える同じ中学の生徒の声ぐらいだった。
茜色に染まる空には灰色がかった雲が浮かぶ。

ここは随分田舎なものだからバスが一時間に三本あればいい方だ。
帰る時間によってバスに乗れるか乗れないかが変わる。
今日は乗り遅れたのでいつも曲がる道をまっすぐ歩いていった。
「夕立……」
上からぽつりと水滴が降ってくる。
「____瀬ちゃん。生瀬ちゃん。
風邪ひくって」
後ろから聞き覚えのある声が聞こえる。
余程走ったのか息を切らしている。
空を見上げると茜色の空が一瞬で切り替わった様に曇っていた。
「でも日川先輩、傘一本じゃないですか。
受験生なんですから風邪ひいて勉強遅れたらいけませんよ」
「それもそうだけど、俺は生瀬ちゃんのほうが心配。
細いんだからさ。傘使って」
そういうと、彼は鞄を頭に乗せはにかみ、去っていった。

「先輩、いつ返せばいいんですか」

呼びかけると、雨のせいで掠れて聞こえない。
私は傘をささずに彼の後に続いて走る。
視界が悪くどんどん雨が強くなる。
「先輩__先輩!」
ずっと声を上げているのに届かなくて、それでも私は叫び走った。
少し先に視界が悪いけれども赤い信号が見えた。
その距離まで数メートルでそこには彼の後ろ姿があった。

「先輩! 待って下さい」
「ずぶ濡れじゃん、傘さしなよ」
「そうじゃなくてですね、あの、
一緒に入りませんか」
そういうと彼は驚いたような顔をして、頷いた。

7:柳葉◆l.:2015/03/15(日) 12:33 ID:kE.

あの時なんで走って先輩を追っかけたのかは分からない。
いつ返せばいいって叫んだのも追っかけるための口実かもしれない。
傘に水が跳ね返る音が耳を突き抜ける。

「生瀬ちゃん。別に良いんだよ俺は濡れたって」

どこか遠くを彼は見つめてそう呟いた。
「……良くないですよ」
そう答えると、彼は優しい子だね君はといい
傘を持つ私の頭を撫でた。
優しくない。そう吐くと彼は私が持ってた傘を奪って地面に置いた。

「このまま、濡れて帰っても案外良いかもしれませんね」

私がそういうと、そうだねと彼はいい私を抱き締めた。
彼の体はずっと冷えていて腕を回すのが怖かった。
彼はごめんねといいまた強く抱き締めた。

「明乃っていうんです。私。
明日の明っていう文字なんです」

「じゃあどうしていつもそんな悲しそうな目をするの」
抱き締めたままそう掠れた声で語りかけた。

「__何で、ですかね」

雨は止んで、向こう側には虹ができていた。

8:柳葉◆l.:2015/03/16(月) 19:43 ID:kE.

私は、抱き締められたままぽつりと呟いた。
「綺麗ですよ。虹」
彼はその景色に背を向けたまま、分かってるよと答えた。
「先輩、冷たいな」
「どうして?」
そういうと彼は体をそっと離し私の目を見た。
「体がとても冷たいの。心も冷えていそうなくらい」
私は彼の冷ややかな手を両手で包み込むように握る。
誰もいない、私達しかいないあぜ道は静か過ぎて窮屈だった。
そして彼は好きだよ、と耳元で囁く。
「冗談は良くないですよ。勘違いしますから」
「そうだね。でもしたっていいよ」
彼は笑って、私の手を退けた。

水溜りに反射する虹がとても綺麗で、私らは並んで歩き出した。
「ねえ」
「何ですか」
そう答えると、いいやなんでもないと言い彼は黙った。
「……トモダチ以上コイビト未満って奴なんですかね。これって」
黙って数分経って私がそう問うと彼は
「意外とコイってこういう曖昧なものなのかもよ?
自分がその芽生えるものに気付かないだけで」
彼は淡々と答えて、欠伸をした。

柔らかな風が私と彼の髪を揺らす。
春と夏が混じったあの独特の匂いがした。
青々とした山が夕日に照らされ橙色に染まっていく。
淡い青と灰色が混じったような雲が印象的な空だった。
「こんな綺麗な空を、もう見れないのか」
「もっと、この空より綺麗な空を探せばいいんですよ」
二人で空を見上げる頃には、自然と手を繋いでいた。

9:猫又◆Pw:2015/03/16(月) 23:56 ID:c66

 お初にお目にかかります。猫又と申します。
とても文章が綺麗ですね。
詩的な表現も多く、見ていて心地良いです。

 ただちょと文章が淡白すぎる印象を受けました。
主人公の動きや感じたものが羅列されているだけで、
その時、主人公の心がどう動いたのか。
触れ合っている人間、環境に対してどんな感情を抱いているのか。
――という部分が欠けているように思えます。

 心情描写は読者がキャラに感情移入する入口でもあり、
ストーリで暗示されている作者の意図を読者に伝える部分でもあります。
 個人的な意見ですが、せっかくここまで丁寧な描写をなさっているのなら、
そういった心の描写も織り交ぜた方が良いのではないかと感じました。
 身勝手言ってすみません。それでは、

10:柳葉◆l.:2015/03/17(火) 01:19 ID:kE.

>>9なるほど。
ご指摘ありがとうございます。
情景ばっかに目がいって確かに心などが
こもってない棒読みな文章になっているな
と今更ですが自分でも感じました。

久しぶりに小説を書いたんですが
やはり慣れませんね。
これから猫又様のアドバイスを元にまた、頑張っていきたいと思います。

お読みいただきありがとうございます。

11:柳葉◆l.:2015/03/17(火) 19:41 ID:kE.

蝉が鳴き始める夏の日。
春の生温い風から炎の様に熱い風に切り替わる頃だった。
あの雨の日から一月、二月経っていつのまにか
一緒に帰っていることが当然の様に感じてきていた。
最近空を見ると彼を思い出してしまい、今まで以上にぼんやりしてきた。
「__ール。プール! 何ぼんやりしてんの」
教室のドアの前で少し拗ねたかのような口調で女は声を出す。
「あ、ごめん実。今行く」
実に見慣れた声と姿で、気が強い所は昔から変わっていないようだ。

机の横にかけてある、水泳授業用のバッグを肩にかけ
小走りで彼女の元へ私は向かった。
彼女は、遅いと言いつつも笑って私に聞いてきた。
「どうしたの。いつも以上にぼんやりしてるじゃん」
「……うーん。別に何もないかも」
かもってと呆れつつ、実はまた聞く。

「__恋でもしてるの? この間
三年の先輩と並んで帰るところ見たし」

恋、と考えるとなんだか顔が火照ってくるようなそんな気がした。
振り切って、違うからと答えていると下駄箱についた。
実は上履きと靴下を脱ぎ、下駄箱から靴を引っ張り出していた。
彼女の白く細い脚は今にも折れそうで、同性なのにどこか艶かしい。
「暑いなー今日も。あれ、クロール測定だっけ」
「本当に暑いよね。そうだよ」
彼女は裸足のまま靴を履いて歩き出す。
私もそれに続いて、裸足のまま靴を履いて歩いた。
下駄箱を出ると、ジリジリとした日差しが肌に当たる。
「あと十分だよー急いで女子ー」
プールに着く頃には、体育担当の掛け声が響きわたっていた。

暑く、下に着ている水着が汗で肌に張り付いている。
「着替えよ早く。ほら行くよ走って走って」
実は走って、プールサイドの女子更衣室に駆け込んでいった。
「待ってよー」
私はそう言い、熱い地面を踏みながら彼女のいる女子更衣室に向かった。

12:柳葉◆l.:2015/03/17(火) 20:13 ID:kE.

更衣室の中は湿っぽくて、気持ちが悪かった。
「あと五分ー」
外から聞こえる声に、更衣室内は焦りの声が響く。
残っている殆どの女子生徒は水着を中に着てない人達なので
私はブラウスを脱ぎ、スカートを脱いで
タオルとゴーグルと帽子を持って女子の群れを通り抜ける。
中に残っている生徒はそんな私を見て早いと口々に漏らす。
「お先にー」
私はそうなるべく明るい声でそのぼやきに返し、
プールでの集合場所まで歩いて行った。
透き通る淡い水色のプールは、日によって煌めいている。
「おー、早いね」
先に場所についていた実にそう言われ、まあねと私は答えた。

チャイムが鳴り、生徒が号令をかけ授業が始まった。
「シャワーして準備運動ー女子の一組からね」
先生の支持に従い、一組、二組とシャワーを浴びにいっていた。
「あ、三組だって。行こう明乃」
実は短いその髪を掻き分けてシャワーへ向かった。
床の石の熱さとは反対に上から降り注ぐ水は冷たく丁度良かった。
彼女は、水の温度に驚きながら髪や体を洗っていく。
「はい、次ー」
その言葉が聞こえるとすぐ、プールサイドに上がる。

風が水のせいか一層冷ややかに感じた。
「寒いねー今度は」
私がそう言うと実は、慣れるしかないよねと苦笑を浮かべていた。

全員が入り終わる頃には、体の冷えも感じなくなった。
「一組からクロール二十五メートル測定するから並んでねー」
先生が言い終わると、嫌々生徒皆移動していく。
「やっぱり今日だったねー」
「水泳大会までいい結果残せるといいなー」
実はそう言うと体を伸ばし、準備をしていた。

あと二ペアで自分の番がくる。
そう思うと心臓が速く鼓動し脚が震える。
そして自分の出番になって台二に立つ。覚悟を決めた。
「よーい、始め!」
そんな掛け声と笛の音と共に皆が勢い良く水に滑り込む。
「明乃頑張ってー」
どこからか微かだけどそんな声も聞こえた。

目の前に広がる水、そして手で掻く度に弾ける泡。
自分の前に誰も居ない水色の世界は心地良くて、
抜かされまいと必死でゴールに向かって脚を動かす。
壁に手が付いた途端に水面から顔を出すと
「生瀬明乃、二十三秒」
そんな先生の声が聞こえる。水を纏った体でプールサイドに
這い出て、座り、ゴーグルを外し他の生徒の泳ぎを眺める。
笛が吹いては水に入る勢いがいい音が響き、水面には
水を手で掻いた跡で歪んでいた。
最後の生徒が終わると、先生が話を始める。
「今日ので再来週の水泳大会のクロール
選手決めるからねー」
そう言い終わると、ではシャワー浴びて解散と付け加え授業が終わった。

13:柳葉◆l.:2015/03/19(木) 21:27 ID:kE.

髪から水が滴って地に落ちる。
「濡れ過ぎ。もっと乾かせよ」
そう言われて頭をタオル越しに撫でられた。

六時間目のプールのおかげでなかなか乾かなくて
私がいるクラスは濡れたまま下校することになった。
この間まで桜の花弁で埋まっていたベンチに座ると
「風邪ひくよ」
と言われ、ジュースを私に手渡した。
「日川先輩、別に要らないんですが」
「俺の気分」
そう答えると、光で透き通っている清涼飲料水を彼は飲みこむ。

「あ、それよく見たら美味しそうかも」

一口飲むと彼は、私の手からすっとジュースを取り口を付けた。
「関節キス……じゃないですか」
この状況に頭がぐらぐらと揺らめき、顔が火照る感覚がする。

「____直接でも良いけど」

彼はそう言って顔を寄せる。思わず流されそうだった。
唇が触れるか触れないか位の距離になる。
彼は私の頬に冷えた手を当てて、笑う。
「ごめんね。でも、悪戯したくなるんだ」
「冗談がキツいですよ」
私はそういいそっぽを向く。
その一瞬にどこか期待したような自分がいて悔しかった。
視界が歪んでいくのを感じ、頭に被ったタオルで顔を隠す。
「泣かないでよ」
彼はそう言って頭を先程より長く、優しく撫でていた。
すっかり髪は乾いたはずなのに地面に雫が落ちた。
何だか虚しくてしょうがなかった。

「そういう嘘吐く所が嫌いです」
「嘘じゃないよ」
彼はいつも以上に透き通った声を出す。
「また嘘をついた」
私がそう呟くと彼は肩に凭れかかった。
愛されてるようで愛されていない、そんな気がして
心に黒雲が掛かったような曖昧な気持ちだった。
夕日によって向日葵の花が昼間の明るい黄色から淡い橙色に変わる。

「ほら、泣いてる」

彼は私の頬を滑る何かを親指で拭っていた。

14:匿名:2015/03/19(木) 23:32 ID:CS2

とても読みやすく面白いです^_^頑張って下さい!

15:柳葉◆l.:2015/03/20(金) 07:34 ID:kE.

>>14様 お読み頂き有難うございます。
実は恋愛系前からつづかなく、描写が苦手でして……。
今回は先輩と後輩、の恋愛なんで
最後まで読んで頂けると幸いです。
これからも私柳葉と、素敵な青空を君にを宜しくお願いします。

16:柳葉◆l.:2015/03/20(金) 20:19 ID:kE.

春も終わってもうすぐ終わる夏と秋の中間のような曖昧な
時期になり、体育祭準備で忙しくなる。
突き刺すような暑さと重いものを持っているせいか汗が垂れる。
「暑いねー今日……」
そんな気だるそうな声があちこち聞こえる。
「それ重そうじゃん。俺、手伝うよ」
装飾品が入った重い箱が軽々と持っていかれる。

彼は赤い鉢巻に、白い体操着と汗がよく映える様な容姿だった。
「何、明乃ちゃん。俺に惚れた?」
そんな訳ないじゃないですか、と汗を拭いながら私は言う。
彼はいつでも彼女は空いてるよと言い、笑う。
そんな笑顔に毎回高鳴る胸の音が頭に木霊して、どこかぼーっとする。
「日川ー! 遅いんだよお前」
遠くからそんな声も聞こえる。
「悪いーちょっと色々あってー」
ふざけているのに、私のせいにしない彼が何か嫌だった。
もっと自分を大事にしたらどうですかと私が言うと
彼は、大事にしすぎてるよとまた笑った。

キーンと響くメガホンの声が私を正気に戻す。
「__リレー予行を始めます」
面倒ーと言うと彼は荷物持ったまま小走りで朝礼台に向かう。
「ダンボール、朝礼台の下なんで」
私がそう伝えると、任せろという声が聞こえた。
私は、高鳴る胸の音を忘れ、彼の背中を追うように場所へ向かった。


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