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長らくスランプに陥っていたので不安で…
思い付いたネタを試し書きに٩( 'ω' )و
※ 綺麗な物語ではありません
※ グロかったりエグかったり
《…事の始まり…》
「――浪士組に参加しないか?」
この言葉が、事の始まりだった。
――時は少し遡る。
文久三年に入って一ヶ月が立とうとしている頃、『少年』は姉に用事を言い付けられ、とある店まで足を運んでいた。
その途中、目の前を武士風情の男達が横切ったことにより、お互いの鞘が触れ合った。
俗に言う『鞘当て』だ。
武士の魂がぶつかったことが原因でいちゃもんをつけられ、口論に転じた末、相手が刀を抜いた。
覚悟を持っていない少年だが、煽られた結果抜くことになった。そして、相手を殺した。
残る一人はその斬り方の残虐さに、すっかり怯えてしまって逃亡した。
自分がしたことに気付いた少年もその場から逃げ出して、人気のない路地裏に辿り着いた。
そこで吐き気と自己嫌悪に襲われているところ、美形ではないがどこか品のある男性に話しかけられた。先程のことを見ていたらしい。
心を落ち着かせてくれた男性は、「君が良ければだけど」と前置きをして咳払いした。
――そして、放たれた言葉が、全ての始まりとなった。
浪士組、それは将軍警護のために作られた組織であり、武芸に秀でた者であれば罪人でも構わない、年齢や身分も問わないという。
将来に不安を抱き、居場所が欲しいと考えていた少年は興味を抱き、良い返事をした。
そして、お互い名乗り合う。
「志賀 景太郎」……それが少年の名前。
「清河 八郎」……それが、男性の名前。
聞いたことのある名前だな、と思うだけで、記憶の片隅から思い出そうとすることはなかった。
沸々と思い出される自身への嫌悪感に耐えながら用事を済ませた景太郎は、自宅へと急いだ。
あの現場には行かなかったが、奉行所の者と思われる男達が居て、バレるのではないかと不安になった。
――大丈夫だ、浪士組に入れば問題ない。
景太郎は逃げるために浪士組を利用した。
家に到着して式台に腰掛け、桶に汲まれた水で足を洗っていると背後から足音がした。景太郎が自ら「ただいま」と挨拶すれば、「おかえり」と姉が言う。
姉は袴の汚れと妙な匂いに気付くと、つぶらな瞳を見開かせた。
「ケイ、人を斬ったのですか?」
こんな時まで、愛称は止めない。
景太郎はこくりと頷くだけ、言い訳はしなかった。
促されるまま袴を脱いで行水し、匂袋を忍ばせた着流しを纏うと、その時のことを話すことにした。
そして、清河という男に、浪士組への勧誘を受けたことも話した。
「逃げと捉えても構いませぬ。
しかし、これは良い機会。
居場所を作るにはちょうど良い」
姉は、文句は言わなかった。
そして間もなく二月になった。
景太郎は荷物をまとめると、家を後にした。
「姉上、私の『あの荷物』は燃やしてほしい」
そう、言い残して。
向かうは小石川の伝通院。
今日は志願する浪士が集まる日だ。
人数は思っていたよりも多く、浪人風情の者が目立っている。
その中に見覚えのある人物を見付けた。
「藤堂さん……?」
景太郎が通う剣術道場にちらほら顔を覗かせていた、二十歳くらいだがまだあどけなさの残る顔立ちをしている、藤堂 平助だった。
彼は景太郎の呟きを拾うと、こちらに視線を向けてきた。
初めまして、なちりんと申します。突然コメントしてすいません。
私も、幕末の京を舞台にした話を書いていますが、なんと言うかその場面が浮かんでくるような小説ですね。
続き、楽しみにしています。