君は君だよ。

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1:モコ:2015/08/02(日) 19:59 ID:ZRo

さわやかな風が教室を吹き抜ける。
私の名前は齋藤美依。現在高校3年生です。
「ねぇ、ミー」
真面目に黒板の字を書き写している私に、隣の席のエミカが話しかけてきた。
「なんかさー、面白いことしたくない?」
「面白いこと?」
私が聞き返すと、エミカはにっと口角を上げて頷く。
「うん……実はさ……」
エミカが私の耳に口を近づけたとき。
「宇佐見。この問題解いてみろ」
先生がいきなりエミカに問題を当ててきた。
数学が苦手なエミカはうーんとうなる。
「……分かりません」
エミカの言葉に教室中からクスクスとした笑い声が漏れる。
「お前なー。見た目ばかり派手にしてるからダメなんだぞ。ほら、相川を見習いなさい。彼女は前回の全国模試で14位だったんだからな」
先生がそういうと、すげーという声が聞こえてきた。
確かに相川さんは頭がいい。
テストでは毎回学年トップだし、英検、漢検、数検。
共に3級以上を持っている。
それに比べてエミカは、ギャル系の女の子で、ネイルアートも派手だし、髪も茶色に染めている。
でも、エミカは自分のダメなところはちゃんとわかっているし、悪口や陰口は絶対に言わない。
そんないい子を、バカにする権利は誰にもないと思う。
私がそんなことを思っていると、先生は私に視線を写し
「よし、齋藤。お前が前に出て解いてみろ」
と今度は私に問題を当ててきた。
「は、はい」
私は慌てて席を立った。
黒板の前に立ち、白チョークで数式を書いていく。
書き終わると、カンとチョークをおいて席に戻った。
「はい、えっと……正解だ。難しいのによく解けたな」
「ありがとうございます……」
私が小声でお礼を言うと、エミカがちょん、と肘で私をつついてきた。
「すごいじゃん、ミー。流石だね」
「ありがと……」
その時、授業終了のチャイムが鳴った。
「はい、今日の授業はここまで」
先生が教室から出て行った途端に、エミカはカバンをつかんで私の腕を引っ張った。
「ちょっと、エミカ!?」


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