朝、私が通学路を歩いていると、後ろから明るい声が聞こえてきた。
「すみれ〜!置いてかないでよ!」
振り返ると、そこには私とそっくりの容姿をした女の子が。
彼女はさくら。私の双子の妹。
「もう!何で先行っちゃうの?いくら朝練があるからってすみれは早すぎ!」
「何でよ。いいでしょ別に!いくら私達が双子で、そっくりだからって、いつでもどこでも一緒にいるわけじゃないんだよ」
朝から言い争いを始める私達を、ちらちら見るすれ違う人たち。
でも、見ている理由は喧嘩をしているからじゃないと思う。
同じ人が二人いるように見えるんだよね。
私とさくらは本当にそっくりの見た目の姉妹。
同じ高校に通っていて、同じ習い事をして、同じバスケ部に入って。
習い事は、ダンスとピアノと英会話。
全く同じところで切った腰辺りまであるロングヘア。
制服の着こなし方も一緒。
でも、性格はさくらの方が明るい。
私はちょっと無口で、人見知りだ。
でも、さくらは明るくておしゃべり上手だし。
私は、そんなさくらが少し羨ましい。