神様、こんな僕でも英雄になれますか?

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1:ゆう◆/U:2015/09/16(水) 00:24 ID:5Dk

はじめまして。ゆうと申します
ファンタジーものを書こうと思っています
ぜひ読んでくれると嬉しいです

2:ゆう◆/U:2015/09/16(水) 00:58 ID:5Dk

序章 <神話>

遥か昔、この世界には『神』と『悪魔』と呼ばれる者達がいました

神たちは悪行の限りを尽くす悪魔達を大いなる力で封印し、世界から悪を祓い、その世界を治めました

神たちが支配する世界は、幾つもの種族が手を取り合って暮らしている平和な世界でした

しかし、ある時神たちは考え方の違いから巨大な戦争を始めました

世界は火の海となりました

戦争が終わる頃には世界は、ほぼ無に近い状態になっていました

戦争で夫を失い、悲しみに暮れた一人の女は、悪魔の封印を解いてしまい、世界に七人の『大罪の悪魔』を呼び出しました

生き残った九十九人の神たちは蘇った悪魔と戦い、死闘の末、悪魔を再び封印しました

その後、神達はこの世界を破滅へ押しやった罪を背負い、地上のある種族に自らの力を託してこの世界を去りました

神の後に世界の統治を任されたのは、人間と呼ばれる種族でした

神達が残した力により、人間はより良い世界の創造を果たしました

こうしていま私達が生きる世界が作られたのでした

聖典第一章 二節より

3:ゆう◆/U:2015/09/17(木) 01:17 ID:5Dk

第一章 一節 <精霊の樹>



 
森の中にいると、まるで、自分が大いなる世界の渦の中に溶け混んでいるかのような、錯覚に陥る。
僕は、透き通った空気を吸い込み、吐きだした。

今日はどうしてここにいるんだっけ・・・?
もうじき、日が暮れる。そろそろ帰らないとな・・・と、思ったが、僕はそこから動くことができなかった。

僕にはもう帰りを待つ家族はいない。
父さんも、母さんも、妹のルリアも、死んでしまった。
精霊の樹のおじいちゃんによると、精霊の力を持ってしても死者を甦らせることはできないそうだ。
これからどうしていこうか? 
もう僕の味方になってくれる人はいない。

「ねぇ、おじいちゃん」
僕は、『精霊の樹』の精霊であるユグドに語りかけた。
「何じゃ? トーヤ」
「僕は・・・これからどうやって生きて行けば良いのでしょうか。身内は僕を残して皆死んだ。僕一人でこれからどうして行けば・・・?」
ユグドは暫く黙っていたが、やがてこう言った。
「トーヤ、お前は自分が何のために生まれたのか、分かるかね?」
僕は、その問いに答えかねた。
「どういう意味ですか・・・?」
「トーヤ・・・お前ならその答えを見つけ出せるじゃろう。・・・・・・ワシはもう眠い。そろそろ休ませて貰うぞ」
僕は慌ててユグドの名を呼んだ。
彼は一度眠ると次にいつ起きてくれるかわからない。下手をすると一週間、いや、それ以上目を覚まさないこともざらだった。

僕が何のために生まれたのか?
それは、もしかしたら僕の血筋に答えがあるのかもしれない。
母は、ある力を持つことで疎まれ、この国へ逃れてきたと、生前に僕たちに言って聞かせていた。
今は亡き母の、明るい笑顔の底に隠された陰を思いだしながら、僕は帰路を急いだ。

4:ゆう◆/U:2015/09/18(金) 03:51 ID:5Dk

 家に戻り、いつものように食事の支度をする。蓄えておいた肉がそろそろ切れるなと思いながら、僕は手早く料理を済ませた。母さんが死に、料理を殆どしたことが無かった僕も、一人になって二ヶ月も経った今は簡単な料理なら大体のものは作れるようになっていた。
 僕はこんがりと焼いた肉を口に運びながら、さっきユグドに言われたことを考えていた。

 僕の生まれてきた意味。
 それはなんだ? この村で畑を耕し、野菜を作って暮らすことか?
 以前の僕なら、それでもいいと思っただろう。だが、家族を失った今は、そんな暮らしに虚しさを覚えるだけだった。

 食事を終え、溜め息を吐き、僕はベッドに横になった。ベッドは古く、僕が横になるとギシギシと軋んだ。
 ベッドの下に落ちていた、これまた古くて分厚い本を僕は引きずり出し、それを開いた。
 父さんが生前よく読んでいたその本は、ミトガルド地方に伝わる神話を記した本だ。
 父さんは幼い頃からその神話を僕と妹のルリアに語り聞かせ、神に祈りを捧げていた。しかし父さんが信じるその神話、『アスガルド神話』の後にこの地方に入ってきた宗教『ユダグル教』が人々の信仰の対象となった現在、その存在が消滅しつつあり、ミトガルド神話を信じている者は「異端」とされ、迫害されるようになっていった。
 
 父さんが語ってくれた神話の英雄。剣を持ち、邪悪を討つ正義の存在。
 僕はその英雄に、憧れの感情を抱いていた。
 「僕もこんな風に、いろんな人を救える人になりたい!」
 そう言った時、父さんはなんと答えただろうか。
 英雄の剣。本の挿し絵に描かれたそれを見て、僕の記憶が蘇ってきた。
 「おおっ、そうか。それなら、強くならなくちゃな」
 その日から父さんは、僕に剣術の稽古を付けてくれた。
 父さんはそんなに剣が上手くないし、剣の代わりに小さなナイフだったけれど、父さんが教えてくれた技は僕の体にしっかりと染み付いている。
 でも今の僕には・・・・・・人に剣を振るう勇気すらない。いじめられ、泣いてユグドの元へすがりつく日々。
 こんな僕でも、強くなる・・・そのためにはどうしたら良いのか。
 僕は父さんが語ってくれた神話の、英雄の力のことを思い出し、『聖典』のページをめくった。
 第二章の一節目に、こう記されている。
 「英雄がその剣を抜いたとき、剣には『神』の力が宿った」
 神が地上に残したと言われる力。それを手に入れた者は、巨万の富も、永遠の命も、世界でさえ自分の思うがまま。まさに、神の力だ。
 「その力を手に入れれば、僕だって・・・・・・!」
 僕は手を握る力をぐっと込めた。
 
 少し風に当たりたくなり、僕は外に出ようとドアを開けた。
 すると何か黒っぽい物体が家の前に落ちているのに気付いた。
 なんだろう、これ・・・・・・?
 恐る恐る、それを指でつっついてみた。
 「うんっ・・・・・・」
 「ひいぃぃぃっっ!!」
 その物体がうめき声を上げ、僕は悲鳴を上げて飛び上がった。
 落ち着け落ち着け・・・・・・。こんなんでひびってちゃだめだ。
 僕は英雄になるんだ。
 その物体に近付き、よーくそれを見てみると・・・・・・。
 


 「お、女の子?」
 
 


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