天体観測。

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1:酸素◆O2:2015/10/03(土) 00:08 ID:kE.



――――星空を見つめている横顔に惹かれた。
笑うときに視線を下げる癖も、そのときに見える
長い睫毛、通った鼻筋にも惹かれた。

何より、星を語る時の星が映っているような輝く瞳に私は惹かれていた。
「星って良いだろう?」
最後にいつもそう付け加えて目を細めて笑った。

星になんか興味はないけど、貴方が語るなら好きになれる。
「そうですね」
そんな本心を隠しながら今日もその言葉に私は頷く。

✄--------------- キ リ ト リ ---------------✄

どうも酸素こと飽き性です、恐らくすぐ放棄すると思うけど
続けていけたらいいなーレベルで立ててしまいました。
甘ったるい青春を書きたい!!
天体ってなんか憧れませんか??

文化部だからこそある青春があるはずきっと。

気軽にコメください。
恐らく1ヵ月くらいは毎日更新する予定です。

2:酸素◆O2:2015/10/03(土) 17:07 ID:kE.


春はどこか憂鬱だ。

私は高校の部活動掲示板の前でそう思いながら
部活動勧誘のチラシを眺めていた。

外に設置されているからか春風でチラシがめくれていて、
中には風で飛んだ部活動のチラシも地面にあった。

部活動が多すぎるのか、もしくは掲示板が小さいのか、
それとも用紙が大き過ぎるのか分からないくらいに
部活動掲示板は部活動勧誘のチラシで埋まっていた。

ぼんやりと眺めていると一つの部活動のチラシが目に止まった。
特に目立つという訳でもなく、他の部活と違う点は
剥がれかけているぐらいだ。

ただ紙に大きく丁寧に書いてあるその文字に目を引いた。
「『天文学部。新入部員大歓迎』
……いかにも人がいなさそう」
そう吐き捨て、私は校舎へ踵を返そうとした。
星になんて全く興味もないし湧く気もない。
すると後ろからやけに暗い声が聞こえた。

「……だってそれ、僕しかいないしね。部員」

ゆっくり私が振り向くと、後ろにいた彼は指を掲示板に向ける。
「これは、どうも……」
私がそういうと彼はどうも、とだけ返し
剥がれかけのチラシを貼り直していた。

鬱陶しそうな長い前髪に黒縁の眼鏡、
色白の肌に長い睫毛と高い鼻。
きっと彼は“勿体ない人”だ。
そう思うだけで私は口にせず、掲示板をあとにした。

3:酸素◆O2:2015/10/05(月) 13:26 ID:kE.


華の女子高生、だなんて世間は言うが
稀に私のような例外もいる。そこには華なんて何処にもない。
その華がないという理由だけで嫌がらせもされる。

「高柳さんってさー暗くない? 」

教室のドア一枚挟んで聞こえた女子の陰口大会。
話題に出されていたのは丁度私だったようだ。
ドアにかけたその右手を引っ込め、背を向けてしゃがみ
私は耳を澄ませた。
「分かる、男にモテようとクールぶってるとか?」
「それはないない。あんなのにモテ期とか無理でしょ」
甲高く品のない笑い声が聞こえる。

残り少ない昼休みも潰れるな、なんて思って
陰口大会が幕を閉じるのを待っていると“勿体ない人”が目の前にいた。
彼は私に目線を合わせてしゃがみこんでそっと私に聞く。

「何、虐められてるの? 」

透き通っていて優しい声色だったが核心をついた質問だった。
「分からないです」
私がそう答えると、彼はつまらなそうにへえと呟く。
「確かに君は暗いし、可愛げもないね」
「……さっきから何なんですか」
ピクリとも表情も声のトーンも変えずに私が問うと
「部員の勧誘ってことにしておく」
といい強引に私にチラシを持たせると彼は立ち上がり、
足早に私の元を去った。
くしゃくしゃになったチラシを広げると掲示板の時とは
少し違ったチラシだった。
字もずっと丁寧で一文だけこう付け加えられていた。

「『貴方の居場所を作ります』……ね」

鐘が昼休みが終わることを告げている。
ドアの向こうに聞こえる声は既に静まっていた。

4:酸素/更新遅れました◆O2:2015/10/13(火) 02:13 ID:kE.

まだ学校が始まったばかりだからかその後は
掃除と今後の説明をしてその日は帰宅だった。
ホームルームの時間に担任は部活動の話に入る。

「――部活動についてだが、一年は強制入部だ。
土日挟んでもう月曜には仮入部始まるから
今から考えておけよー」

そういうと先生が帰宅と言い残し日誌を持って教室を出た。
生徒は適当に二人から三人ほどの組を作って帰っていく。
何となく一人ぼっちの教室で貰ったチラシを広げてみた。

「『四階第一理科室でやってます』……」

何となくふらりと私は荷物を持って廊下を歩いた。
上級生が大掃除を頑張ったのか床と壁は年季が入ってる
割には綺麗で、特に床は上靴だと滑りやすかった。

慣れない校舎を彷徨いながら四階へと上がり、第一理科室を見つけた。
古い木製の看板と白い塗装がされている引き戸はボロボロで
ドアの磨りガラスの部分には内側から黒いカーテンの
ようなもので覆われて戸を開けるまで全く何があるか
検討もつかない。
一応礼儀として軽く二回ドアを叩いた。

「……失礼します」

小さな声でそう言いながらドアを開けてその間から
顔を出し中を覗いた。
真っ暗で、このドアから射し込む光しか光がない。
私はドアを閉め、手探りで前へ進んだ。
人体模型、机や椅子、望遠鏡のような大きな物は
何となく分かるようになってきた。

慣れてきたと同時に突然がさっと自分以外の何かが動く音がする。
側にあった机の下に潜りこみ息を潜めた。


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