初めまして、東野宮楓と申します。
《time to be with you》というサイトと連携して、小説を載せて行こうと思っています。
あなたと一緒に在る時間・・・。
あなたにとって、誰と一緒にいる時間が大切ですか?
恋人・友人・家族など、色々ですよね。
誰か1人に決める事なんて出来ないと思います。
でも、その特別な誰かと一緒に過ごす時間はあなたにとって幸せですよね?
★東野宮 楓 高3 17歳★
依与吏と連志とは小さい頃からの幼馴染み。
親は夫婦共々小さい頃に他界しており、妹と二人暮らし。
妹とは仲が良く、親が残したケーキ店を2人で営んでいる。
☆友川 依与吏 高3 18歳☆
楓と連志とは小さい頃からの幼馴染み。
親は健在しており、友川グループの御曹司。
兄弟は居ない。父親からは楓達との関係は切ってグループを継げと迫っている。
・桐谷 連志 大1 19歳
依与吏と楓の幼馴染み。実は楓に思いを寄せている。
楓の良き理解者で、よく店を手伝いに行っている。連志は楓にとって兄みたいな存在。将来は保育士に成るのが夢。
・東野宮 陽子 高1 16歳
楓の妹。
優しくて綺麗で、でも誰よりも姉思い。
・鬼龍院 聖雅 高1 16歳
陽子の彼氏。
陽子のことが大好き。
「ねぇ、楓ちゃん。大きくなったら僕と結婚してくれる?」
「良いよ!約束ね、依与ちゃん」
「うん、約束」
小さい頃の約束である《大きくなったら結婚しよう》。
今となっては、その約束事態依与吏にとっては小さい頃の約束、としか思っていないだろう。
私は本当に大きくなったら依与吏と結婚出来るんだって思ってた。
小さい頃のことって印象に残る事ばっかりで忘れようって思っても忘れられない。しかも約束だって言うのならそれこそだ。いくら努力しても忘れられないものは忘れなれない。
「はぁー」
大きなため息をついた。自分の不甲斐なさに嫌気が差したのだ。確かに今思えば冗談だって分かるけど、小学校になる前の私には冗談か本気かなんて分からない。
「わかんないよ・・・」
「何が?」
私の独り言だったはずなのに、いつから隣にいたのか分からない依与吏が問いかけてきたのだ。
それに応えようと口を開くも、その《分からない》理由を説明出来ない。いっそのこと本当の事を聞けば楽になるのかもしれないけど、そんなことが出来ればこんな状況にはなっていない。
開いた口を閉じて、視線を下に向けた。
目前に広がるのは道路と自分の靴だけ。
こんなあからさまな態度を取ったら余計に依与吏に怪しまれるって分かってるのに、あからさまな態度を取ってしまう。
好きな人が隣に居て道を歩くのは嬉しいことなのだろうけど、今の自分にはそれさえ嬉しいのか嬉しくないのか判断が出来なくなってしまった。
小さい頃の結婚しようって言う約束で悩んでいるって知ったら、依与吏はどう思うのだろう。
まだそんなこと覚えてたんだ、何て言うのかな。
それとも・・・。
「・・・で、かえで、楓!」
私を呼ぶ依与吏の声に、私は顔を上げた。そこには困ったような顔をした依与吏の顔が在る。
「ごめん、考え事してて」
心配させないように作り笑いを浮かべ、依与吏の顔を見る。
「そっか。まぁ、困ったことあったら俺に言えよ?」
私の肩をポンって叩き笑いかけてくれる依与吏。
昔から気の使い方だけはいいんだけど、依与吏は恋愛系の事には本当に鈍い。
私は依与吏の言葉にうなずきながら思った。
家に帰ると、いつもは置いていない筈靴が置いてあり、お客さんが来てるのかな、と判断した私は靴を脱いでリビングに続く廊下を歩いた。
リビングには私の予想通り、お客さんが来ていた。そのお客さんは、私のもう一人の幼なじみで兄のような存在である連志くんだった。
「連志くーん」
私は名前を呼びながら連志の元へ駆け寄り、抱きついた。
「楓、久しぶりだな。少し背ぇ伸びたのか?」
抱きついて来た私にビクともしない連志くんは、この春専門大学に入ったばかりの1年生。高校の時から早稲田と慶応も目じゃないと言われていた位の天才少年で格好いい私の幼馴染み。夢は保父さんになることで、保育士の免許を取れる専門学校に入ったって言ってた。
連志くんに会えたのは3ヶ月ぶりで、久しぶりに会えたのが何より嬉しい。
「うん、あれから3cm伸びたんだよ。連志くんだって背、伸びたでしょ?」
私は少し見上げるようにしながら連志くんの顔を見る。前は174cmだって言っていたけど、3ヶ月合わないうちに多分十センチ以上伸びてる。
「よく気付いたな。実はあれから十センチ伸びたんだよ。今は184.5cm。・・・それにしても楓は、変わったな。少し前まではお兄ちゃん、お兄ちゃんって後ろを付いて回ってたのに。・・・女らしくなった」
お兄ちゃんは昔を懐かしむように、私を見つめながら褒めてくる。お兄ちゃんは褒める時まっすぐ相手の目を見て笑いながら言ってくれるから、本当に褒められているって気持ちになる。