____ ようこそ。
東京地獄ランドへ____。
ここは不幸な子供達が集まる遊園地です。
どうか、死なないように頑張ってください。
「アイコ、君の願いがもう少しで叶うよ」
暗い家の中、その男は美しい女性の写真が飾られている仏壇の前で手を合わせていた。
日本は今、とても平和だ。
あの遊園地ができあがってからというもの、人口は極端に減少したが、今生きている人々はみな幸せを実感している。
いや、今生きている「子供」というべきだろう。
家族に恵まれ、愛される。
愛されていない子供など、もはや日本には存在しなかった。
それも、あの遊園地のおかげだろう。
「東京地獄ランド」。
それは、家庭環境に不満を持つ少年少女らだけが入場することのできる遊園地。
遊園地に入った幸せの実感できない子供らは、忽然と姿を消す。
そして、その親たちも何者かによって無残に殺されるのだ。
すると残るのは幸せな家族達。
これそこ、日本が作り出した「天国のような地獄」なのだ。
今の日本には警察もカウンセラーも孤児院も存在しない。
悪さをする人も、心に傷を負っているものも、身寄りのない子供も一人もいないのだ。
……いや、いる。
幸せでない子供がまだ九人ほどいた。