《ドナウ川の伝説》
その昔、若い騎士ルドルフが恋人ベルタとドナウ川河畔を散策していると、岸辺に咲く美しいこの花を見つけます。
ルドルフはベルタのためにその花を摘もうと岸を降りましたが、誤って川の流れに飲まれてしまいます。
彼は最後の力を尽くして花を岸に投げ、ベルタに
「私を忘れないで」
という言葉を残して死んでしまう。残されたベルタは、亡き人の思い出に生涯この花を身につけ、その花は「勿忘草」と呼ばれるようになったと。
※死ネタです
※感想待ってます
唐突だが、俺の職業は殺し屋だ。
人を殺すだけの簡単なお仕事、といえば簡単だが、
長年こんな職業をしていると、殺された奴の“思い”がわかる。
今日の仕事は比較的楽な仕事だった、しかし、思いはいつもよりも、重く感じた。
泥濘に嵌る様な不快な思いを感じながら、俺は行く宛もなく、路地裏を歩いた
家には帰りたくない、洗濯物すらできない俺の部屋は、まさに混沌だった。
すると、道の脇に、手足だけが伸びている、年頃の少女を見つけた
捨てられたのだろう、この国は捨て子が多いことで有名だ。
長い間見つめていたらしく、少女は聞いた
「……お兄さん、何?」
「いや、お前、捨てられたのか?」
「そう、捨てられたの」
見た目よりもずっとか細い声を出し、少女は告げる。
勿忘草色の目をした少女に、俺は聞く、
「……家事はできるか?」
「できる、裁縫も少々」
「行く宛はあるのか?」
「……ない」
「決定だ、住み込みの家政婦として俺に雇われろ、小娘、給料は弾んでやる」
「…いいの?」
「ああ、俺の部屋の汚さにビビるなよ?」
ここで一人うずくまっていても、将来の道は娼婦になるだけだろう、
だったら、拾ってやる方がまだマシだ。
俺は家に向かって歩き出す、後ろについてくる少女は、何故か微笑んでいる様に見えた。
路地裏を歩き、家に向かって歩いている途中、少女は様々なことを尋ねてくる
「お兄さんって殺し屋だよね?」
「俺は殺し屋だ、あとお兄さんと言われる程には俺は若くない」
「……おじいちゃん」
「何故そうなる……?、まあ、おじさんだな」
小生意気な少女と共に歩くおじさん、どうみても娼婦館に売り飛ばす直前にしか見えないだろう、そんなことを考えながら歩いていると、少女が不思議そうな顔で聞いてきた
「おじさんの名前って、何なの?」
「シヴァ=サレラ、だ、お前の名前は何だ?」
「シア、簡単な名前だと思わない?」
自嘲気味に話す少女の背中が、とても小さいことに気がつき、少しだけ胸が苦しくなった。
暫く歩き、俺が住んでいるマンションのエントランスに辿り着いた。
「へぇ、結構綺麗な所住んでるんだ、シヴァさん」
「中まで綺麗だとは限らないぞ?」
いきなり名前で呼んできたことに少し戸惑ったが、そこまで違和感は感じなかった、部屋の前に立ち、ドアを開けた瞬間、少女はこう呟いた、
「何この部屋…汚い……!」
「部屋が汚いから引っ越しもできなくてなぁ…」
「それ、致命的な弱点じゃない?」
とりあえず少女を部屋に入れ、明日は大掃除だな、と一人考えた。
主って蓮田住み?
5:ライ麦@しょぼんR◆xg:2016/04/19(火) 16:18 ID:DzA >>4
どこだよ蓮田