スレタイの通り、恋愛小説を上げていくスレです。
王道から非王道まで。様々な小説を投稿していってほしいな、と思います。
では、スターット!
「あのさ、自分が言ってること分かってるの?信じられないんだけど。」
「…だけど最近はあそこの下が暴れてるの。」
「そうかもしれないけど…全国一だよ?」
こんな会話が繰り返される STAR RAIN 通称 星雨 の幹部室。
私は目の前の親友と睨み合っている。
確かに彼女の言い分も分かる。
私は『全国で一番強いチームを潰す。』何て言い出したから。
だけど、そこの下が違反行為を続けるんだからしょうがない。
私達の領域は、私達が守らなくちゃいけないから。
「…抗争にこそ参加してないものの、私達には彼奴らを超える実力がある。」
序列、所謂強さを決める抗争には参加しないこの星雨。
普通に自由な感じがみんなの強さを育てているらしく、今まで悪事を働くチームや喧嘩を売ったチーム、仲間を傷付けたチームなんかは潰してきた。
……だから、次だっていけると思う。
「まぁ、向こうの領域に私達の領域は近いし、情報は入ってるはずよ?」
「実力はある。」
「もう、何でもかんでも力で解決しない!だけど…すこしくらいならいいか。」
…よし、第一関門突破。
よく喧嘩なんかはするけど、最終的には折れてくる我が親友・魅夕兎。
魅夕兎は みゅうと って読む。
兎のような銀に近い白髪(はくはつ)、目は綺麗な赤。
「…ありがと、やっぱりみゆ大好き。」
「私も、くろの事好きだよ、」
…黒猫、それが私の名前。
私は元々地毛が黒で、目も赤だった。
世間で騒がれる『妖獣使いの1人』である。
妖獣使いって言うのは、獣などの妖の妖気を授かった人の事。
特殊な力を使えたり、相棒にその妖獣をそばに置いておけるから気に入っている。
『何その目、気持ち悪い!』
とか言われたことはあったけど、妖獣使いだってばれたことはまだない。
…因みに、みゆも妖獣使い。名前から分かるかもしれないけど、白兎の使い。
そして、星雨の幹部はみんなの妖獣使い。準幹部もだけど。
妖獣使いにも階級があるらしく、私の黒猫と妖狐、白虎は最高階級。
その一つ下にあるのが白兎を含めた幹部の妖獣使い。
更に下が準幹部となる。
「それじゃ、私は用事があるから行ってくるね!」
急ぎの用事らしいみゆは白兎を連れて急ぎ足で幹部室から出て行った。
…さて、さっきの話。
私達妖獣使いは同じ魂を転生させて生きている。
そして何度も何度も此処、浅葱街に集まる。
だから星雨の幹部、準幹部とは昔からの仲間でいる。
あと、私の妖獣が三匹の理由…単純だけど。
ただこの三匹は仲が良かったから、ってだけ。
だけどそれぞれの妖力、妖気が強すぎて適合者を探すのが大変だったらしい。
「ねぇ、くう。」
「…何、にゃぁ?」
「…呼んでみただけ。」
ーーー続きます。
「何よ、それ。」
少しキツイ言い方だけど、くうは私の足にすりついてくる。
くすぐったくも感じるけど気持ちよくも感じる。
「ねむ…今日はもう寝よっか。みんなも帰ってくるの遅いだろうし。」
身体が大きいので幹部部屋に入れない白虎は私の部屋にいる。
多分、妖狐も白虎と一緒にそこにいるんだと思う。
「…やっぱり、親がいないのは悲しい?」
「そんなことないよ?ずっと前からそうなんだし、仲間がいるから。」
…そう、私達妖獣使いには親がいない。
親が子を産んだ時、妖獣使いと知ってその子を殺してしまったことがあるから。
それ以来、掟としてそれぞれの契約妖獣が世話をすることになっている。
…世話といっても、ペットに近いけど。
「…ありがと。じゃあ早く戻りましょ。」
「そうだね。」
私が微笑むのをみたくうは、ドアに向かって歩き出した。
「…ん、」
なにか頭と腰に違和感を感じて目が覚めた。
外はもうすでに明るくなってるし、朝なのか。
…じゃなくて、違和感はなんだろう。
悪いことじゃないといいな…なんて思いながら取り敢えず頭に手を置く。
「…?」
…そこには、もふもふしたものがあった。
何か毛がついていて、もふもふ気持ちいい2つの物体。
慌てて腰にも目をやると、そこには猫の尻尾のようなものがパジャマのズボンから飛び出ている。
「く、くう!何、これ?」
やっぱりそれももふもふしていて、取れそうにない。
私の心は焦るばかりで、思わず相棒の名を呼んでしまう。
「…にゃぁ、くろおはよう…って、その耳!」
今起きたらしいくうは、私の耳を見て驚く。
焦るのは分かるけど、くうでも驚くこの現象って、何…?
「ど、どうしたにゃ?」
「…知らないけど、起きたらこうなってて、」
ど、どうしよう、学校とか…
隠せる、かな?
「こんなケース始めてにゃよね?」
「今までは無かったと思う…一応理事長先生に話しておく。」
「えぇ、晴明はあんまり好きじゃないにゃぁ」
「しょうがないでしょ?」
私達の学園の理事長先生は「安倍晴明」という。
…そう、有名な陰陽師。
彼は色々とやって永遠に理事長先生は続けている…らしい。
これからも続けるのか、と言われても分からない。
陰陽師と妖獣使いは深い関わりにあって、晴明は学園の校則なんかを変えたりしてくれる。
「…授業中に帽子被っていいか、聞いておく。」
「それが一番にゃ。」
部屋にある時計を見たら時間はもう7時。
今から朝食を準備して、9時ごろこの倉庫を出るのが私達星雨幹部の朝。
全員朝が弱く、マイペースだったりするから自由気ままな生活を望んでいる。
「…よし、ご飯食べに行こう?」
「…ん、白虎達起こしてくるにゃ」
「ありがと、先に行ってる。」
くうが白虎達の寝る部屋まで行ったのを見て、私もこの部屋を出た。
「「「くろ?!」」」
私が幹部室に入った時の仲間の一声が、これ。
そりゃあ猫化してるし驚くかもだけどさ?
…なんで、「おはよう!」がないなのかな。
「猫化した。耳は収縮可能みたいだけど、収縮するとなんか疲れる。」
「…まず説明を。」
私がドアから離れてソファに座ると、白虎達も入って来る。
基本、妖獣達はもちもちしたものが好き…なんだそうで。
私と一緒にたぴおかが入ったジュースを飲む。
私ももちもち系、たぴおかとか白玉とか、好きだからね。
「…じゃあ朝起きたらその姿だった、ってことかぁ。」
「うん、尻尾は一応頑張って隠せると思う。」
私はたぴおかを口に含みながら尻尾を触る。
触ってる側は気持ち良いんだけど、触られる側は少しくすぐったい。
因みに、私の話を短くまとめたのは犬弥(いぬや)。
狛犬の妖獣使いの男の子。
可愛い感じのわんこ系男子…狛犬だけに?
「ん〜猫耳に尻尾、可愛いと思うんだけどなぁ。」
で、この子は麒麟の妖獣使い、麒麟射(きりあ)。
マイペースすぎる女の子で、間延びした口調がチャームポイント。
見た目だけじゃなく脳内もほんわかしてる感じ。
「…俺はどっちでもいい。」
で、此奴は竜騎(りゅうき)。
クール系なイケメンで、典型的なツンデレ。
因みに、星雨のみんなは美男美女。
「…じゃあやっぱり隠そうかなぁ…ってもうこんな時間?!ヤバイ、今日生徒会だった!」
あーあ、遅刻決定だなぁ。
晴明の所にも行かなきゃいけないのに…あ、晴明を口実にサボろっかな。
そうと決まれば早く行かないと!
「ほらくうもしろも早くして!ようはもう終わってるよ?!」
「えーもう行くにゃ?」
「…わーったよ。」
「ふん、俺様はやっぱり一番だな。」
なんかイラつくこの相棒達。
前2人はのそのそと動くし、最後に関してはもうただのナルシでしかない。
「ごめんみんな、行ってきます!」
部屋にもどって制服に着替えて…走って五分かな?
うん、私は運動神経良い方だし、大丈夫!
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