最近いじめ小説多いっすね、そんななか胸くそをお届けしますよ
DELETE?ネタが思い浮かばぬのですわ。掛け持ちするのは糞、はっきりわかんだね。
わたしはいつもぬるすぎるお湯につかっている。
目立つわけでも目立たないわけでもなく、普通の存在。
いじめの標的になんかなれやしない。
できればなりたかったけど、限りなく普通の私がなれるはずがなかった。
わたしはいつかこのぬるま湯から抜け出して、あっつあつのお風呂に入りたいと思っている。
いまいるぬるま湯はわたしにとっては、ぬるすぎる。湯冷めしそう。
だからわたしははやく普通から抜け出したいのだ。
そんなわたしのぬるま湯日記
いつもの如く朝が来た。今日も学校があるがいきたくない。
いじめられてるわけではない、普通の毎日が退屈だからいきたくないのだ。
そんなわたしのことをくずというのだろうか。周りからは距離をおかれている。
しかし学校を親が休ませてくれるわけもなく、私は学校へと向かった。
学校は常に退屈だ。いじめはあるけれど、私には関係していないから興味がない。
みんなわたしのことを冷たいというが、わたしにとってはまだまだぬるい。
私が冷たいというのなら、わたしと同じで見て見ぬふりしてるみんなはどうなるんだろうか。
そう尋ねたら叩かれた。解せぬ。
いじめられてるのは背の低い男子、古守くん。
彼はなにしても怒らないし泣き出したりもしない。ただ辛そうに笑うだけ。
そんな彼に、嫌味まじりに「おはよう」と挨拶をしてみた。
そしたら周りの女子達がひそひそ話し出す。ああ、この感じ。
誰かに意識されている。それだけで私は幸せだと思うのだ。
それがぬるま湯にいる私の幸福。
別に理解してほしくはないし、理解しようとしてほしくもない。
「お、おはようっ尾井さん」
古守くんの返事が帰ってきたけれど無視した。
だって私には関係ないもの、仲良くもないし話したことなんてちっともなかったし。
申し遅れたが私の名前は『尾井花子』。花子さんだぞ、あの花子さん。なんつって
名前からして普通だ。もっとこう、珍しい名前がよかったな。きらりちゃんとか、びあんかちゃんとか。
そしたら毎日退屈しないんだろうなあ。
わたしはそんなことを考えながら、国語の授業を聞き流していた。
国語は日本人なら80点以上は余裕だと死んだお祖母ちゃんが言っていた。
実際わたしの国語の最低点数は70、まあまだましだろう。
そんな時、わたしの消ゴムがすごい軌道を描きながらすっ飛んでいくではないか。
私はしまったと思った。授業中席をたつことはできないし、さらに言えば国語の教師、糸川先生はとても厳しいのだ。
落とし物を取りに行こうとすれば怒られてしまう。授業に集中しろ。と
でも実質私は授業を聞き流しているので、あまり関係ないのではと悟り
残りの時間を、瞑想に使うことにした。
ちなみに私は怒られた。解せぬ。
退屈な授業が終わり、私は消ゴムを拾うためにうろうろする。
物をおとしたら大抵なくすからあまり物は落としたくなかったので、はあとため息をついた。
そんな時、古守くんが私の肩を叩いてきた。
「あーいたいいたいいたーい…骨折れたー」
正直古守くんをいじるのは楽しい。わたわたとあせるようすがとても滑稽。
言っちゃだめだけど、わたしも古守くんをいじめたいと思っている。
嫌いっていったらどんな顔するんだろう、嘘の告白したらどんなこと思うんだろう。
そう考えるとほんの少しだけ興奮した。
変態じゃないはず、はず。
てかなんのようなんだろうなと思い、古守くんの目を見つめる。
「こ、これ…」と言って差し出してきたのは私のマイ消しゴム。おお、嬉しい。
「ありがとね、日出田くん」
私はまるで女神のような神々しい笑顔を放つ。ナルシストではない。
古守くんは私の笑顔にやられたのか、じゃあね。と言い席へ戻っていった。
私は消しゴムをじっと見つめると、ネームペンで顔をかいた。
これを古守くんに見立てて、いじる方法を考えよう。
そう思っていたが、先生に授業中に手間ぜをするなと消しゴムを奪われてしまった。さすがに解せる。
四限目のチャイムの音がなり、昼休みへと突入する。
運動、勉強、ピーピーうるさいおしゃべり、皆それぞれの時間を過ごしている。
ようにみえるだけだ。実質は皆この3つのうちどれかを選んで過ごしているのだ、
人それぞれなんかじゃない。これはただの団体活動だ。
私は本当に退屈だったので、古守くんの席近くにいく。暇だからいじってやろう。
とんとんと肩を叩き、ほっぺにぷすっと指を指す。くだらないいじりかた。
そうはわかっていても、好奇心を抑えることができない。
私はとんとんと肩を叩くと、指を構える。
ぷすっと私の指が古守くんの頬に刺さった。古守くんは目を丸くしてる。ふふ、かわいい。
「日出田くん、やっほ」
「は、花子さん…?や、やっほ…?」
花子さんだなんて失礼な。まあ本名だけどさ。
こうして長い昼休みを、古守くんと過ごすのは楽しい。
無理して笑ってる顔が、とってもだいすき。
古守くんと話すようになって二週間がすぎた。
相変わらず古守くんは嫌がらせを受けているが、私に降りかかっては来ないので楽だ。
「ねぇ、尾井さん?私言いたいことがありますの」
この人はクラスの…穂谷さんか。中学生にしてファッション雑誌のモデルをやってるって噂をよく聞く。
それに家はリッチでセレブだとかいう話を聞いたことがある。
そんなお嬢様が私みたいな平凡な庶民になんの用があるというのだろうか。
「古守さんに…近付かないでくれませんか?」
「あら意外、古守くんてモテるんだ」
そうじゃなくて…と口ごもる穂谷さん。ああ面倒くさい、はやく済ましてくれないかなあ?
すると、穂谷さんの横から金魚のふんの如く築竹さんが出てくる。
ああウザい。こういうチーム組む奴って男でも女でもウザいんだよね。
「ここちゃんはあんたのこと気にかけてくれてるんだぞ!?あんなくそ引きニートとつるんでてもいいことないんだって!」
「縫ちゃん、それ以上いう必要はありませんの。ゴミ虫の友達もゴミ、それだけですの」
いちいちウザい女。なに?自分がかわいいからって調子に乗ってるの?脳味噌わいてんじゃねえのかこいつ。
まあ日出田くんがゴミ虫の引きニートってのはわかるけど。私までゴミ?ふざけるのも大概にしろ。
日出田くんのことは悪くいってもいいけど、わたしのことだけは悪くいうな。
わたしおかしい?おかしくないよね。おかしいのは世界。この世界の方がおかしいの。
「日出田くん」
日出田くんに顔を近づける。日出田くんは照れているのか、えっえっと慌てている。
そんな日出田くんのことが好き、かわいそうな日出田くんがかわいくてかわいくて大好きなの。
ああ日出田くん、あなたはどんな味がするのかな。食べちゃいたいくらいかわいいわたしの日出田くん。
お願いだから希望を見つけないでね。わたしは絶望に染まった君の顔が大好物だから。
希望を見つけたりなんかしたら壊したくなっちゃう。
この気持ちはきっと愛なんだろうな。わたしはにっと笑うと、日出田くんの頭を軽く撫でた。
「尾井さんったらまたあいつに…」
昨日、あのあとからクラスの女子がわたしの陰口をいうようになった。傍観者のくせに、なに自分達は正しいみたいな面してんの。私は傍観者が大嫌い。
見えないフリ聞こえないフリ知らないフリ。それで死んだら騒ぎ立てる。見てたんじゃん、聞いてたんじゃん、知ってたんじゃん。ずっと知らんぷりして笑ってたじゃん。なのに自分達は悪くないの?いじめって見てる方も同罪だよ?
だから私は救いの手を差し伸べてあげるの。そしたら日出田くんはわたしがいないとダメになる。どんどんどんどんダメにして、日出田くんを独り占めしたいの。それが友情ってものでしょう?
「尾井さん趣味わるーい」
人の趣味なんてどうでもいいじゃない。それに誰もが誰も同じ趣味だったらわたしなら気持ち悪くて吐いてる。
「日出田くん、いこっ」
半ば強引に日出田くんの手を引く。わたしより小さくてかわいらしい手。細く小さな愛らしい指。すべてがすべて愛おしい。
この気持ちは愛。わたしの愛が、いつか日出田くんに伝わりますように。
日出田くんに絶望と言う名の祝福がおとずれますように。