二人のドッペルゲンガー

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1:ナンシー:2016/09/16(金) 22:42

私は切嶋葵(きりしまあおい)。家族、
両親はー         いない。数年前、事故で死んだ。
家族はただ一人、姉の切嶋朱(きりしまあかね)だけ。そんな私は、今日、奇妙なものに出会ったー

ー私と同じ顔、同じ服…何から何まで同じの人間(?)。私はもちろん双子などいない。これはヤバいやつだと思い私はある人物を探し回った。
「いた!」
私が探していたのは、容姿端麗、成績優秀、スポーツ万能ー…とにかくなんでもできるスーパー美少女、河元志織(かわもとしおり)。
「…何?」
超絶クールで冷静。
志織にあのことを話すと、少し考えてから、
「…それはドッペルゲンガーかもしれない」
と言った。
「ドンペリケンカー?ドンペリ飲みながら喧嘩するの?」
「ド・ッ・ペ・ル・ゲ・ン・ガ・ー。簡単に言うと、自分の偽物かな。見たら三秒後に死ぬとか三日後に死ぬとか…まぁそのへんは諸説あるけど、決していいものじゃない。」
「は…はぁ!?じゃ、じゃあ私、近いうちに死ぬの!?」
と、勝手に焦っている私を見て、志織がニヤリと不適な笑みを見せた。
「…実は、私もさっき見たんだ。自分のドッペルゲンガーを」
「…………へ?」
自分でもびっくりするくらい間抜けな声が出た。
「…まぁ、今からあんたの家に行けるか?できればあんたの家で話を進めたいんだけど…。」
「あっ…うん!」
嬉しい。志織のような天才で美人な人が自分の家に来てくれるなんてー。
…とそこまで考えてあることを思い出してしまった。家には今、姉がいる。私はサーッと青くなった。
〜続く〜

2:ナンシー 続き:2016/09/16(金) 23:19

姉が家にいるということはー…
そんなことを考えながら、志織に姉のあることを告げた。
「…あ、あぁ わかった。心得ておくよ。」
そして、緊張しながら家のドアを開ける。自分の家のドアを開けるのに緊張するなんて、なかなかない経験だろうなぁ。心の中でそんな下らない事を考えていた。ガチャ。
「葵ちゃ〜〜〜ん!お帰り〜!も〜、お姉ちゃん、寂しかったんだから〜うえ〜ん」
ウザい。客人が来ていることにすら気づかないなんて。ウザイ、ウザイ、ウザすぎる。我が姉ながら今回ばかりは本気で引いた。まぁ、毎日引いているのだが。
「…朱さん、聞いた通り、葵のこと溺愛してるんだな。」
「はは…。うん…。」
「あら?葵ちゃん、後ろの美人さんはだぁれ?」
「あ、葵ちゃんのお友達、河元志織です。朱さんのお話は葵ちゃんから聞いています。」
「あ、あぁ〜!志織ちゃんっていうの?いらっしゃ〜い!さ、上がって上がって〜!」
もう嫌だ。確かに家族が姉しかいないから、いなくなったらなったで泣くんだろうから、さすがに「消えろ」とまでは言わない。だからせめて私のことをそこまで溺愛するのはやめてくれ。恥ずかしい。

「はぁ…、ごめん志織、お姉ちゃん、あんなので…」
「あ、ああ、気に・・・するな。」
口ではそんなこと言ってるし、志織は感情を表に出さないためわからない。だが、確実に引いている。私の目から自然と涙が溢れてくる。
「あ、葵!泣くな、な?そ、そうだドッペルゲンガーの話だったな!」
それを聞いてやっと我に帰った。そうだ。そもそも志織が私の家に来たのはその話をするためだった。そしてしばらく話し合い、まとめた。
「…えー話をまとめると、私たちは今日、同じくらいの時刻に自分のドッペルゲンガーを見た。でいいんだな?」「うん。」
「まぁ、今日はとりあえず帰るよ。明日はこのドッペルゲンガーをどうするか、だ。それじゃ。」
キィ…バタン。…明日?志織、明日も来てくれるのか?私はまた束の間の喜びを満喫してから思い立った。まず、あのバカ姉をこらしめよう。
「…?葵ちゃん?なんで笑顔で拳を握りしめてるの?」
ドッ。なんとも表現しにくい音が部屋を満たした。鈍いと言うか鋭いと言うか。そんな音だ。
「ギィヤァァアアアアァァアァァ!!ごめん、ごめんてば葵ちゃイィヤァァァァァァァアァァァァァァ!!」
翌日、姉の顔にはいくつかの痣ができていたが、自業自得だ。
〜続く〜

3:ナンシー 続き:2016/09/16(金) 23:20

続きは明日書くかも知れません。

4:ナンシー 続き:2016/09/17(土) 11:07

「…あ」
今、私は志織と下校途中。志織を自分の家に連れて行く途中。…なのだが、私達は今、見てはいけないものを見てしまった感覚に襲われている。
「でさ〜、あそこのクレープがすっごく美味しくてさ〜あははっ」
「私、甘いものはあまり好きじゃないんだけど…」
そう仲良さげに話しているのは葵と志織。…私達は今、ここにいるのに。
「…………ドッペルゲンガー…」
「…だな。」
そう言うと志織はもともと紅い目をさらにまっ紅に染め、…時間を止めた。
〜続く〜

5:ナンシー 続き:2016/09/17(土) 12:30

〜志織の回想〜
始まりは、いつだったんだろう。そもそもの始まりは、
「この、妖怪風情が!」
バシッ。
「…ッ…!」
私は河元志織。容姿は人間。白い髪に紅い目。異世界からやって来た、…俗に言う、妖怪。私の普通の人間とは、圧倒的に違うところ。それは…
時間を止められる能力のこと。
何も操れるわけじゃない。速めたり、遅くしたり、戻したりなんてことはできない。人間の世界で人間に受け入れられるはずがない。ーそう、頭では分かっている。でも、でもだからって、そこまで嫌う必要はないはずだ。
私だって、普通に産まれたかった。
異世界でも、能力を持っている者はかなり少なかった。産まれてくる子供の五千人に一人くらいの割合で、能力を持った子供が産まれてくる。珍しいとはいえ、嫌われたりなどしなかった。普通に遊んで普通に暮らせる、普通の子供時代を暮らしていた。なのに…
「お父さん…お母さん…?」
私が外で遊んで帰ってきたら、このざまだ。両親が死んでいる?目の前には鼻息を荒げ、返り血をあびた真っ赤なナイフを持ち、返り血を浴びた真っ赤な服を身に付けた、知らない男が立っていた。私が居ると気付いた瞬間に、男は私を刺してくるかと思いきや、
大きな両手を私の首に向かって伸ばしてきた。
「ぐっ…。」
苦しい。息ができない。でも、死にたくない。こんなことで、こんなところで死んでたまるか。
「助…け…。」
あぁ、落ちる、死ぬ。でも、私はー…「死にたくない…!」
こんなところで死んでたまるか。その時私は、産まれて初めて、能力を使った。能力を持っていることは知っていた。でも、使わなかった。いや、使えなかった。自分という生き物が革命を起こすのは、こんなちっぽけなきっかけだったんだ。もっと壮大なのをイメージしていた。時は今止まっている。ここが、始まりだった。私が能力をコントロールできるようになったのは。時間が止まっているせいか、苦しくない。呼吸ができる。
「…よっ…と。」
急いで台所へ行き、ナイフを取ってくる。そして、
「時は…動き出す。」
「…なっ…!?」
男は驚いた。そりゃそうだ。目に見えないスピードで、目の前のものが消えたんだから。
グサッ。
「……………ッ!!」
ナイフで心臓の辺りを一突き。
男は倒れた。死んだんだろうか。いいや、確かめるまでもない。男は死んだのだ。ピンポイントで心臓を刺したのだから。
「はぁ…はぁ………」
初めて能力を使ったついでに、初めて人を殺してしまった。人を殺したのだ。捕まってしまうのも時間の問題かもしれない。じゃあ、もういい。
「もう、ここでは暮らしていけない…。」
人間の世界へでも飛び出そう。さよなら、みんな。

あぁ、やっと見つけた。こんな私の能力を受け止めてくれる人間。
それがー…
切嶋葵だった。
〜志織の回想 完〜
〜続く〜

6:ナンシー 続き:2016/09/17(土) 15:44

志織が時を止めているとき、「時を止めている」ということが認識できる人間に出会ったのは、志織本人いわく、私が初めてだという。私だけが、止まった時の中で動いたり、喋ったりすることができるのだという。
「間違いない。この二人は、私達のドッペルゲンガーだ。」
「やっぱり…。」
しばらくの沈黙が流れた。なんとなく気まずい空気。
「とにかく、私の家に行こうか。」
「じゃあ、時を戻…」
「駄目っ!あのバカ姉が居るから。」
私の必死の訴えが効いたのか、なんだかすごく申し訳なさそうな顔で、
「あ、あぁ…」
と言った。
そういえば志織は、こっちの世界(人間世界)に来て私と出会ってからというもの、なぜか新しい能力が開花したとのこと。それはー
ボンッ。
「やっぱり、志織のこの能力は便利だね!あっという間に家に着いちゃったよ!」
それは、時間を止めているときのみ、指定の場所に瞬間移動(テレポート)できる能力。
とりあえず家の中に入る。
「昨日、本で調べたんだ。」
「ドッペルゲンガーのこと?」
真面目な志織らしい。
「それで分かったことが二つあって、一つ、ドッペルゲンガーは、世界のどこかにある大鏡の裏側の世界に存在するということ。二つ、ドッペルゲンガーを消す方法…。」
「分かったの!?」
私がそう叫ぶと、志織は例の不適な笑みを見せてこう言った。
「あぁ。それは二つある。一つ、その大鏡を壊すこと。まぁこれはその鏡を見つけない限り不可能だからできない。となると、私達に残された選択肢は一つしかない。それは………」
志織がもったいぶる。
「……………志織、私で遊んでるでしょ。」
それを聞き、志織が一瞬ギクリという表情をした。ポーカーフェイスの志織がいかにも図星な表情をするということは、それほど私は遊びやすい玩具(おもちゃ)なのか。ちくしょう。
「二つ目は…ある聖剣を手に入れて、ドッペルゲンガーを斬りつけること。その時、ドッペルゲンガーを一体でも斬りつければ、全てのドッペルゲンガーは消え去る。」
「…てことは、大鏡の裏側の世界全てのドッペルゲンガーを消すことができる…?……!でも、その聖剣がどこにあるのかなんてわかんないじゃん。」「…………」
「志織?」
「それが……その聖剣はエクスカリバーっていうんだけど…」
「エクスカリバーって…アーサー王伝説の…あの?」
「あぁ。で、その場所が……………」「…?」
「ここ、静岡県なんだ。」
「………は………はぁーーーー!?」〜続く〜

7:ナンシー:2016/09/17(土) 15:47

5話でこの話の舞台が静岡県だったことが分かったね!やったね!この小説、いつ終わるんだろう…
まだ全然オチを考えていないスレ主であった。

8:ナンシー 続き:2016/09/17(土) 16:23

「えっどっそっちょっ…!?!?」
「落ち着け。」
「はっ!はい…」
志織を見ると、顔にうるさいと書いてあった。顔には出ていないが、きっと、いや、絶対に怒っている。
「…………!あ、あーーー!!!!」急に大声を出したため、志織がびっくりした。
「私、すごい今更なこと、気付いちゃった!!」
「…?」
「何で私達、自分のドッペルゲンガー見ても死なないの!?」
「…あ」
そうなのだ。ずっとドッペルゲンガーをどうするかばかりを考えていた。だから、この事は頭の片隅にも置いていなかったのだ。
「そういえば…。って、それも本に書いてあったぞ。かなり特殊な生き物なんだな。ドッペルゲンガーって。」
「な、なんて書いてあったの?」
「『何かしらの能力を持っている者、または、その能力が効かない者のみ、見ても死なない。』って」
「へ、へー…。」
思わず苦笑いをこぼしてしまった。
〜続く〜

9:ナンシー 続き:2016/09/17(土) 18:24

今、私、志織、バカ姉とショッピングを終えたところ。
「あ〜、楽しかった〜♪葵ちゃんとお揃いのス〜トラ〜ップ〜♪」
「ウザ。」
「聞こえてるぞー。葵ー。………………!!」
「志織?………!!!」
私達の目の前に現れたのはー…紛れもなく、このバカ姉のドッペルゲンガー。
「…!朱さん!見るな!」
「お姉ちゃん!」
二人同時に叫んだ時にはもう遅かった。バカ姉はー…
倒れていた。慌てて確かめるも、息はない。心臓の鼓動も聞こえない。目に光もない。
「………!」
絶望した。たった一人の家族が目の前で死んだのだ。いくら頼りなくて、ウザくて、バカ姉でも、家族は家族だったのに…。様々な感情が複雑に絡み合い、やがてそれは大粒の涙となって存在を主張し始めた。
「うわぁぁぁぁあああぁぁあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあぁぁぁ!!!!」
このままでは声が枯れる。でも、声が、涙が、溢れて止まらない。他のことを考えることを許さない。志織は黙ってうつむいていた。志織は今何を考えているのだろうか。
「…行こう。」
…は?今、志織はなんと言った?「行こう」?他人事だと思って。家族が目の前で死んだ。そして、その亡骸(なきがら)を置いたまま行こうと言うのか?私は初めて志織を鋭い眼光でにらみつけた。
「ふざけないでよ!家族の亡骸置いて行こうって言うの!?志織には分かんないんだよ!家族が目の前で死んだってことが!!」
「………!分かるよ!!!私だってここに来る前に、兄弟も居ないのに、家に帰ってきたらお父さんもお母さんも死んでた!いや、殺されてた!犯人も自分で殺した!人を殺したからこの世界に逃げてきたんだよ!他人事!?そっちこそふざけんなよ!!私の過去も、何も知らないくせに!!!」
「…!」
ここまで言われてしまってはもう返す言葉が見つからない。志織にそんな過去があったなんて…。事故死と殺害じゃ次元が違う。
「………もういい。私、今日は帰るから。」
「し、志織!!」

二日後。
「志織…」
「…何?」
「あ………こ、この間は……ごめん。私、志織のこと、何も知らなくて…。」
「あぁ、もういいよ。そのことは。私もちょっと言い過ぎた。」
良かった。仲直りできた。でもー…
き、気まずすぎる。何か話題…。話題…。
「ドッペルゲンガーの件だけど…」
「…?」
「見つけちゃったんだ。………エクスカリバーを…。」
〜続く〜

10:ナンシー◆YQ 番外編:2016/09/17(土) 20:44

〜番外編〜
『切嶋朱〜あの時のお話・ありがとう。そして、さよなら〜(短編)』
「はぁ…。」
今日も葵にウザがられた。葵の前では葵ちゃんって、ちゃん付けしてるけど、所詮妹だ。こうして一人になれば、私は切嶋葵の姉、切嶋朱。それにしても、葵が友達を連れてくるなんて。
志織ちゃん…。色白で美人だったな。どんな話をしてるんだろう。盗み聞きしてやるか。
「……で、ドッペルゲンガーがどう………」
ドッペルゲンガー?志織ちゃんはよく知らないからともかく、葵ってオカルト好きだったっけ?

「あ…し、志織ちゃん、帰るの?また来てね〜。」
「あ、はい。お邪魔しました。」
………ちょっと無愛想?いや、人付き合いが苦手なのかな?いや、…クールって言葉が一番似合うかな。
…ん?葵…何か怒ってるな。今回はよほどウザかったかな?仕方ない。また葵に殴られてあげるか。

…?あれは…………あ。あぁ、そういうことか。これで全ての辻褄が合う。
あの時、志織ちゃんが言ってたドッペルゲンガー…。あれが私のドッペルゲンガーってやつか。あーあ。見ちゃった。
あれ?葵と志織ちゃんが何か言ってるな。でも、もう私の耳には入らないよ。薄れゆく意識の中、私はある言葉を頭の中で呪文のように唱えた。
「葵、今までありがとう。そして、さよなら。」

11:ナンシー◆YQ 最終回:2016/09/17(土) 22:32

「これが、エクスカリバーだよ。」
「………。」
私は息を飲んだ。これは本当に剣なのか?それは、光輝く、神々しく、美しい剣だった。
「なぁ葵、私、剣術できないんだけど。」
「…あ。私、小学生の頃、剣道習ってたから、剣術は少し…。」
「そ。じゃ、それ持って行くよ。あいつらを見つけて斬るんだ。」
「…え?これ持ってくの?恥ずかしい………。」
「大丈夫。その剣は、私と葵にしか見えない。」
「そう。それならいいけど…。」
持ってみると、意外に軽い。聖剣を作る人もこんなとこで手を抜くんだな。
作るなら最後まで誠心誠意こめて作れよ。おっと、口が悪くなった。失敬失敬。
街を歩いて約十分。
「あれー。いないのかなー。」
「いや…。そこにいる。」
「…………?……………あ」
居た。
「っし。」
「葵っ!待てっ!!」
「ッ………!」
「様子を見るんだ。」
時間が止まった。
「………よし。」
「…っおぅ…。」
急に時間を動かすなよ。びっくりする。
ダッ。
「!?うわぁ!!志織ぃ!私の偽者がぁっ!!」
「偽者は………お前だっ!!
はぁぁぁぁぁぁあああぁあぁぁっ!!!!!」



この世界には、ドッペルゲンガーというものがいる。だがそれは、一種の都市伝説に過ぎない。その存在を確認したのはー…。

これは、とある二人の少女のドッペルゲンガーのお話。

12:ナンシー◆YQ:2016/09/17(土) 22:33

感想よろしくお願いします。
(見てる人いないと思うけど)

13:愛里:2016/09/17(土) 23:51

小説書くの上手いね!言葉選びが……

他のジャンルも待ってますっ!

14:ナンシー◆YQ:2016/09/18(日) 10:00

はい!ではお言葉に甘えて新しい小説書かせて頂きまーす!

15:初:2016/09/20(火) 12:18

面白かったです!すごいドキドキしました!

16:ナンシー◆YQ:2016/09/20(火) 13:24

あり〜がとう〜
さよう〜なら〜

17:藍紗◆zE:2016/09/20(火) 17:12

小説読んだよ!
志織ちゃんも葵ちゃんも家族を亡くすなんて気の毒…更新頑張って!

18:匿名:2016/09/23(金) 19:58

全てだ。スレ主が、んなこと言わねーだろ?


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