始まりは、些細なことだった、と思う。
私にとっては生き甲斐で、そして少ししかない「取り柄」とかいうもののひとつで。
あの時は頼まれたからちょっとやってみようかな、ぐらいの気持ちだった。
しかしそのせいで、16年生きてきた中でおそらく初めて浴びたくもない脚光を浴びることとなってしまったから。
人生はモテ期というものが三回来るらしいが、どうせ三時間に一回のペースでモテ期が来るイケメンと人生で二回くらいは来たフツメンと一度も来なかったブサイクの平均数値だと侮っていた。
私の場合モテ期到来というには値しないと思うが、それでも1日に話す人間の数が日に日に増えていって疲弊しているのは事実。超メンディー。
そういや、モテ期なら一回だけ来たことあるか。そう、生まれた時だ。親戚巡りに行けば私を抱っこする人が目を覚ます度変わっていたあのときよりは…いや、もっとタチが悪いか?ま、出産時のことなんか覚えてなどいないが。
兎に角、私はひたすら後悔しているのだ。そう、あの時のこと……
「なんで、高野さんの髪いじりなんてやっちゃったかなぁ!!」
学年1の地味子と呼ばれていた彼女をジョブチェンさせた以来、今日も今日とて私の席の前に行列を作る女生徒の大群を見て思った。