以前に他の掲示板で書いていたもののリメイクです。よろしくお願いします。
2:匿名 コスモス:2016/12/19(月) 17:33 主な登場人物
高山淳(たかやま じゅん)
吉田美雪(よしだみゆき)
一浦翔(いちうら しょう)
斎藤豊(さいとう ゆたか)
安元竜二(やすもと りゅうじ)
「美雪、お嫁さんにしてあげる!」
僕が言った言葉だ。15歳にもなった今考えてみると、我ながら異常に恥ずかしい。
保育園児というものは単純で、ただ“好き”というだけでこんな大胆な発言が出来てしまうものなのか、と過去を振り返る今日このごろ。
僕の高校受験はもうとっくに終わった。国立青空高校に無事入学出来たのだ。
青空高校は国内最難関の高校。入学が決定したときは先生方に「流石だ」と言われた。
僕は勉強が得意で、テストで学年一位を取った経験しかない。全国模試もずっと一位だ。所謂、優等生。
ただ僕は、学生としては一番の落ちこぼれだ。友達が作れない。
みんなが話す言葉というものはどうにもめまぐるしくて、気付いたらついて行けなくなっていた。
流行とか、モテ方とかに興味のあるお年頃のクラスメート達。僕は彼等について行けない。2つとも、興味がない。
というよりは小学校4年生のあの時から僕の中の時計は止まったままで動いていない、と言った方が正しいのかな。僕は彼女が……。美雪が忘れられない。忘れようとすればする程彼女の姿がより鮮明な形で蘇ってきてしまう。人間の脳は不便だ。
「淳子! ここ教えろよ!」
「……いいよ。というより俺、男なんだよね」
「馬鹿言え」
昼休みは僕の読書の時間。太宰治の小説を読み進めていく中、クラスの人気者である長野くんが問題集を持って話し掛けてきた。暴言を吐いてはいるが、僕に勉強を教わりに来たらしい。
僕の隣の席に座り、長野くんは数学の問題を勢い良く見せ付けてきた。
「ああ、ここね」
二次関数の応用問題。県立入試で良く問われる所だ。
「ここで式を作らないといけないよ。これは一次関数だから出来るね?」
なるべく丁寧に教えるよう心がけた。
長野くんは僕と違って運動神経抜群、ルックスもいい。女子にモテるタイプの典型だ。
一方で僕は運動神経が崩壊している。人間であることが疑わしい程に。しかも暗くて卑屈。
こんな人間に教わりに来てくれたんだ。いくら暴言を吐かれたって僕には教え抜く義務がある。頼ってくれたのだから。
「え!? これでいいのか?」
「合ってるよ。そこは二年生の範囲だから、長野くんは出来るはず」
僕のあだ名は多数ある。そして、主に使われるのは「淳子」だ。
理由は簡単。女のように見えるから。
僕は髪が長い訳でも無いし、女子にとられるような格好もしていない。女子っぽいのは顔と身長だそうだ。
たったの158cmの身長が祟った。僕より背の高い女子は大勢居る。
それに、吹奏楽部に所属したのも、大きな間違いだった。吹奏楽は女子ばかりで、男子は僕含めて2人だけ。しかも一年生の半ばでもう1人が転校してしまった為に男子は僕だけになってしまった。
それからは大変だった。毎日女装を強要される日々。