突発的に書く
私は、完璧な人間が嫌いだ。
例えば、狙おうと思えば国家狙えるくらいのあのやばい頭脳とか。
例えば、オリンピック出れないのは大会側から自粛求められてるからって噂たつくらいのあの運動能力とか。
例えば、神が本気出しましたってレベルで整ってるあの顔とか。
例えば、「目ェ会ったら即ダチ」っていうくらいのあのコミュ力とか。
_____例えば、そう、私の幼馴染みたいなヤツとか。
「ハルセ……起きろ、ハルセ」
「ん………」
耳に響く心地よい声、布団の上から優しく体を揺すられるこの感覚。
硬い掌が、幼子にするそれのように私の前髪を掻き上げる。眉間のあたりを親指でさすられてゆっくりと瞼を開ければ、目の前にはいつも通りの御尊顔。そのサラサラ髪といいツヤツヤほっぺといい、今日も今日とてムカつくくらい綺麗だ。
しばらく夢現つでその顔に魅入っていると、「おはようねぼすけ」と額を小突かれる。
「おばさん待ってるから早く降りろよ。」
「ん……」
私がベッドからのろのろと降りるのを見送ってから、彼はいつものように私の部屋を辞す。
寝癖ぴょんぴょんにヨレヨレパジャマで寝起き全開の私に対し、彼はすでに制服をピシッと着こなしていて、隙の欠片も見せない。背中からでも漂うイケメンオーラに、思わずあっかんべをしたくなる。
ぱたん、と扉が閉じる音を背に聞いて、毎朝思うことを呟いた。
「やっぱ私、あんたの顔嫌いだわ」
『新入生諸君、入学おめでとう』
彼がそう言って微笑んだ途端、会場のあちらこちらから女生徒の黄色い歓声が聞こえた。
やはり凄まじい人気だ。まあ、“一応”県内有数の進学校という肩書きしかなかった凡庸な我が校の倍率が今年度急上昇したのは、この男のお陰だとも言われているくらいだし。学校中どころか都内レベルで人気なのは誰の目にも見えて明らかだ。
___これまでずっと噛み殺してきたあくびだけど、これならバレない、と私は口に手を当てることもせずに大口を開いた。
『僕がこの学校の門を初めてくぐったのは2年前ーー』
しかし、相変わらず何をさせても完璧だな……
彼の一言一句に大手をあげて一喜一憂していた女生徒たちも、今となっては彼のスピーチに引き込まれてうっとりとした顔をしている。
どこにでもあるようなありきたりな文章ではなく、確かに人の心を打ち、しかし生真面目すぎず時には笑いも誘うようなスピーチ。パーフェクトだ。まさに非の打ち所がないというのが憎たらしい。
さすが完璧生徒会長様だ。今度から名前じゃなくて「会長」と呼んでやろう。
これほどオールマイティーであるのに同性からの嫉妬を全く受けないというのはなかなかすごいと思う。彼の人望の厚さが成せる技か。交友関係は広く深いって正直羨ましい。だからこそ、彼はウザいと思う。僻みってのはわかってるけども。
あ、よそ行きの化粧が厚すぎるって可能性も。まあ、彼に限ってそんなことはないと思うが……
「まあ、私とは違って完璧会長様だからねー……」
彼のスピーチが終わって緞帳が下りた今も、拍手は鳴り止んでいなかった。
「おいハルセ」
「……なに」
「一緒に弁当食べようぜ」
……この男はなにを言っているのだろうか?
目の前に弁当袋を構え悠然と立つその男は、例え幼馴染といえどもこの学園のスターなわけで。背後に連なる取り巻きの方々の好奇の眼差しがとても辛かった。
さて、どうこの場を凌ごうか。取り敢えず、ともに昼を取るという選択肢は早急に脳内から撤去してある。
なら……
「……今日は遠慮しとく。みんなと食べてきたら?」
よし、いいぞ私。うまい具合に断れ……
「つれないこと言うなって。ついでに校舎も案内してやるから。な?」
……た…?
おいおい、そこは軽く身を引くのがモテる男ってやつじゃないのか。
「な?」って、そんな優しい感じできても女の子は揺らがな……あ、取り巻きgirl達めっちゃ揺らいでる!揺らぎすぎてもはや残像!!
…こうなったら、もうゴリ押し作戦で行こう。
「ちょっと購買に寄ろうと思ってたから。大丈夫。本当に大丈夫」
「っていって、購買の場所なんて分かんのか?心配だからついてく」
「ほんとに大丈夫だから。シュ……会長と食べたい人もいっぱいいるでしょ。そういう人たちと食べれば良いじゃないか」
ぐっ、と彼が言葉に詰まった。しかし、私はそれを「勝利」とは思わなかった。その瞬間、彼が怒ったのが気配で分かったから。
「……なに意地張ってんだ。いいから来いよ」
「なに怒ってんの……って、ちょっ……!」
突然、手首を掴まれた。
こいつは私の意見なんぞガン無視で廊下をぐんぐん突き進もうとする。私はそれを阻止するべく必死に足を踏ん張っていた。
畜生、なんなんだこいつ。なんでこんなにしつこいの。
私は別にお前なんぞお呼びでない。
幼・小・中ともにお前のせいで私の平凡ライフはいつまでたってもやってこなかった。だから、今度こそ私は安らぎを手に入れたいのだ。私の学生生活にかける、これが最後の望みなのだ。
てか、そんな強引にきたら女子には低評……あ、取り巻きgirlめっちゃ「いいね」してる!!
「来い」「いや」の押し問答をする私たちのもとに、取り巻き族の中から1人チャラそうな男が出てきた。
と思ったら、早速爆弾を投下していったのである。
「なになに?ケミのカノジョ?」
需要の有無が分からぬ登場人物紹介
〜三咲 春瀬(みさき はるせ)〜
・高校1年生 15歳 女
・どこにでもいる平凡、努力家なので勉強はできる
・よくできすぎた幼馴染がいるので少しばかり卑屈に育ってしまった
・誕生日は11月27日
〜明美 秀(あけみ しゅう)
・高校3年生 17歳 男
・顔良し、頭良し、運動良し、性格良しの完璧くん
・平凡な幼馴染がいる
・誕生日は9月18日
「そうだよ、なんか文句あんの」
「へぇ…」
>>7
たなか様
ちょ、やめてくださいwww
なんかおもしろそうになってますけど
>>7はスレ主ではないですヽ(;▽;)ノ
取り敢えず、見てくださって有難うございます
面白いでふ………。
文才があって羨ましい(;ω;`)
春瀬ちゃん、さぞイライラしながら生活しているでしょう……。よく耐えてますねぇ…。私なら暴言の嵐を降らせますが(笑)