登場人物
主人公 暁 マツリ 女子 14才
性格 穏やか。優しい。聖花祭で『黒の者』を召還してしまい、初恋の幼なじみ、上倉 ユートを黒の者にさらわれてしまう。罪として、ヴァンパイアになってしまった。
花村 リボン
マツリの親友。ユートのコトでヴァンパイアになってしまったマツリを心配している。
性格 穏やか。コミュ障。
親友のコトになると、コミュ障なのに、一生懸命がんばる。
火月 サーヤ
マツリの親友。リボンの親友。
引っ込み思案なマツリとリボンを引っ張る。
性格 少し短気。 明るい。
マツリの陰口を言われると、言った女子(男子)を殴る。
貴方は、ミラータウンという街を知っているでしょうか?
この街には、ヴァンパイアがいると知っているでしょうか?
哀しき罪を背負った、少女、暁マツリがヴァンパイアなのです…。
この街の住人で唯一のヴァンパイア。
けれど、哀しいコトばかりではありません。
さあ、のぞいてみませんか?
プロローグ
ーこんなハズじゃなかったのにー
小さくつぶやいたその言葉は、洞窟に響く。なんで、なんで、アレを召還したんだろう?
岩に寄りかかる。
とがった岩に白い肌をこすりつける。
真っ赤な血が、一筋流れる。
ー自虐的ね…ー
己をあざ笑う
ユートを失うつもりじゃ、なかったのに…。
episode1〈聖花祭〉
ここ、ミラータウンでは一年に一度、聖花祭というものがある。
聖花というのは、ミラーフラワーという、ミラータウンにだけ咲く花である。
聖花祭では、いくつかの掟がある。
掟1 聖花祭中は、聖花を身につけなければいけない。
掟2 聖花祭中は、聖花を摘み取ってはならない。
掟3 聖花祭中は、願いを叶えるもの(天使など)を召還してはならない。
主はこの三つである。
もし破ったら、恐ろしい罰が下されるらしい。というのは、誰もコレを破ったことがないからだ。
そして、マツリは破ってしまった。
一番ノーマルで、生贄がいらない、黒の者を召還してしまった。
満月の夜、そうー聖花祭の日ーに…。
ユートと共に、聖花祭に行く約束をした。
ユートと居られる最後の日だった。
花村リボンは、マツリの家の前で迷っていた。ユートを失った日から、外に出ないのだ。
「マツリ…。お願い、出てきてよ。」
火月サーヤも、マツリの家の前で迷っていた。
リボンに頼まれ、来たのだが。
いくらサーヤといえど、プライバシーを守るコトはしている。二人がまごついていたころ。
マツリは。家の中にある、地下室で閉じこもっていた。
「ユート………。好き、だよ。
またあいたいのに。。」
こぼれ落ちた涙は、誰にも届かなかった。
ヴァンパイアになったことについては、何も感じなかった。時折、血が飲みたくなる。そんなときは、自分の体を傷つけ、血を飲む。
サーヤとリボンは、心配しているけれど。
でも‥…
(リボンも、サーヤも、ユートが好きだったこと、知ってるよ。私だって…)
再び、涙がこみ上げた。
失いたくなかった。
罪がヴァンパイアなんて…。死刑じゃなかった分、良かったのかもしれない。
けれど、ユートを失った辛さは、
永遠に、
永久に、
消えない。
それならば,死刑の方が良かったかもしれない。
リボンとサーヤに心配をかけたくない。
ユートを失って以来,外に出なかったマツリは、やっと外に出た。
陽の光は、妙に暖かかった。
そして、マツリは思いもしなかった、新たなる恋に出逢うことになる。
聖ミラータウン学園。
サーヤとリボンと登校すると。
「マツリ、ヴァンパイアになったんだって。(ひそひそ)」「アイツに襲われたら、やばくね?(ひそひそ)」
案の定、陰口されていた。マツリは、うつむいた。すると、突然リボンが。
「ッ………!なんで、マツリちゃんは、あなた達を襲っていないのに、そんなコトいうの?自分だったら、悲しくならないの?」
リボンが言うとは思わなかったらしく、みんな驚いた。
サーヤも、「あんたたちがいうことじゃないんじゃないの?(バキッ)」
二人に驚きつつ、マツリは、二人が頼もしく思えてきた。