なんとなーく思いついちゃった設定があるので。
更新不定期・駄作ですが、読んでやってください。
この容姿は望んで貰ったものじゃない。
けど、この容姿は嫌いじゃない。
この容姿のおかげで、あたしの人生での選択肢は増えた。
なーんて。かっこつけるのは、あたしには似合わない。
「…いつだって、あたしがやりたい事をやるだけ。」
「人生って、簡単でしょ?」
???side
ちょーっと、気に障っただけ。
それが次第に膨れて…今では大っ嫌い。
この街の支配者なんて、笑わせてくれるよね〜。
七神なんて言われてるけど…君らじゃ、神にだって支配者にだってなれないよ。
「ねーねー和泉、今からちょっと七神のとこ行こ。」
「コンビニ行こみたいな感覚で言わないで…まぁ、いいけど。」
流石、俺らのお父さん。
……それじゃ、ちょっと行ってこよ。
「あー小猫、今日は凛が来るから下に行ってて貰ってもいいか?」
申し訳なさそうな表情を見せず、支配者サンは言う。
うーん…なんかあの人に指示されるの、嫌いなんだよね〜。
あの人、にはね。
「…そ。あ、リオ、もしかしてコンビニ行く?」
支配者サンから目を離すと、通りすがったリオに出くわした。
財布もってるし、多分パシられてるよね。
「そうですけど…あ、なんか欲しいものありますか?」
「ん〜分かんない。荷物も重いだろうし、ついてく。」
「…まじっすか?!いや〜助かります!」
スキップしそうな程テンションが上がったリオについて行く。
…あ、こんにちわ、矢吹小猫です。
自他共に認める天才美少女、とでも思っといてください。
対して遠くないコンビニまであたし達はのんびり歩く。
「そーいや、最近総長も凛さんばっかですよねー。猫さんの事は眼中にないっつーか。」
「ねー。あたしがここに居る意味ってなんだろ。」
「それは…少なくとも、俺は猫さんの事必要としてますよ〜?ほら、ちゃんと証も。」
そう言ってリオは振り向き、首についたチョーカーを見せつけてくる。
真っ黒な革の生地、暗い赤の猫のシルエットが小さくワンポイントになってるチョーカー。
我ながらいい品物をあげたと思う。
「知ってる。でもそれ、恥ずかしくない?」
「俺は猫さんに忠誠を誓った身。こんなの恥ずかしくともなんともないです。」
「ふーん。」
リオが前を向くと、会話は無くなった。
双蛇理央。あたしにとって大切なのはリオだけと言えるくらい大切。
…というより、他の人が大切だと思えないだけかな。
あの日、リオを引き取ってなかったらきっと後悔してる。
…なんて、本人に言ったら調子にのるから言わないけどね。
あたしがナナガミに居る意味…それは、きっと兄さんのせい。
あたし、別に1人でもやっていけるのに。
何が兄さんをあんなに過保護にしたんだろ。
…ま、そんなこと考えてもしょうがないや。
「猫さん、何が欲しいっすか?」
「寒いし、あったかいの飲みたいな〜。あたし、向こうの方行ってるね。」
「了解っす!勝手に外出ないでくださいね?」
「はーい。」
あの人に指示されるのは嫌だけど、リオに指示されるのは嫌いじゃない。
っと、カフェオレは…あ、あった。
今頃支配者さんはきっとあの子の所。
お金持ちで性格が良くて女の子らしい、あの子の所。
辛い、助けて、苦しい。
恋愛感情は無くとも、大切だったから…最初は、当然そう思った。
だけど、支配者さんはあの子を選んだから。
……こんな風に割り切ってる自分が、ちょっと怖いようにも思えてくる。l
「…こんな重いの、もたせちゃってすいません。」
「いいよ、全然。むしろ1人だともっと大変だったでしょ〜。」
「まぁ、そうっーーーーすね。」
重たい袋を両手に持ち、倉庫へと戻る。
呑気に話しながら倉庫に着くと、ドア前に人が3人立っていた。
見たことないし…誰だろ。
リオは支配者さんから信用されてるし、何か知ってるかな?
「リオ、あれ誰か知ってる?」
「いや、作戦も何にも聞かされてないです。だから、奇襲と考えるのが…」
へー…じゃ、まずい状態?
真正面から行くとボコられちゃう系?
アイス溶けちゃうし…ってか、こんな寒い時期にアイスとか食べる人凍えないの?
そんな考えは思いつくけど、平和に倉庫へ入る考えは思い浮かばない。
「って言っても、ドアは1つしかないですし…近づきますか。」
「そうだね。」
普通に歩いて近づくと、1人がこっちに気づいた。
金髪の、美少女みたいな人。
女の子っぽいけど…男の子にも見えなくない……?
「あっれれ〜?ねーねー和泉、なんかいるよ。」
「あ"?総長やっと来たか…って、女連れ?」
多分、支配者さんはあの子を迎えに行ってるんだろうし…
ん〜もしかして、ここに纏められる人はいないんじゃ。
リオがいるし、どうにかなるかも…いや、相手も強そう、分かんないや。
「総長?なら多分お出かけ中だよ〜。そこ、通してもらっていい?アイス持ってるから。」
袋を強調するように少し手を上げ、一歩踏み出す。
リオが横で少し止めようとしてきたけど、気にしない。
「あの、通してもらっていい?みんなに買ってきたの、溶けちゃう」
「あーはいはい。ごめんなさいね。」
軽く睨むと、3人は道を開けてくれた。
入口のすぐ横にあるクーラーボックスにアイスを入れて、とりあえず袋を置く。
あたしが置いた袋の横にリオも袋を置く。
それを確認して3人に向き合う。
「で、何の用ですかー?」
「ちょっと猫さん、相手強そうですよ…?」
「まぁまぁ、まずはお話から。」
あたし、喧嘩は出来なくても頭脳なら負けませんから。
とりあえず、目の前に立っている3人を見上げる。
金髪美少女…よく見たら、金に近い茶髪だ。
近くで見ると、女の子には見えるけど男の子ってわかる。
で、黒髪の男。
背高…多分、あたしより年上。
そして真ん中に立つ、茶髪に赤メッシュを入れているこの人。
うーん、あたしが思うに、この人がリーダー?
けど、リーダー感がないなぁ、不思議。
「何じっと見てるの?」
目が合った赤メッシュに首を傾げられる。
…睨んでこないあたり、この人は多分喧嘩っ早くない。
なら、喧嘩にはならないよね
「いーえ、なんでも。っていうか、貴方達かっこいいね。」
「そう?俺にとっては君も可愛いと思うんだけど。」
「…まぁね。」
「可愛いんだから、いくらでも褒められてるでしょ?」
「そうかも。」
「…君は、七神の姫?」
「多分そう。」
台本があるかのように言葉を紡ぐ。
この人と喋ってると何も考えなくて済む。
……リオと話してる時みたい。
「へー…俺、君のこと欲しくなっちゃった。」
「あたしを?」
「うん、そう。」
赤メッシュはあたしに近づくと、あたしの手を取った。
…何するんだろう。握手とか?
なんてあたしの考えとは全然違くて、赤髪はあたしの手の甲に口を付けた。
「…猫さんっ!」
焦ったリオがこっちに一歩踏み出してくる。
「……大丈夫、今されたのは右手。」
「で、すが…」
心配そうなリオに笑いかける。
…大丈夫、リオは左手。リオの忠誠は上書きされてない。
赤メッシュに視線を戻すと、あたしの目を見てにっこりと笑っていた。
「やっぱり、君は可愛い。そこの忠犬クンも来ていいから、こっちに来なよ。」
「どーいう…」
な、何この人。
「わっ!」
急に抱きかかえられたかと思うと、赤メッシュは倉庫の外へと走っていく。
倉庫の中に残っているリオに目で助けを求めると、慌てて追いかけて来てくれた。
あたしはどこへ連れていかれるんだろう。
このまま攫って欲しい、助けて欲しい、そばにいて欲しい。
リオが叶えられない1つ目のお願い、あなたが叶えてよ。
倉庫がある敷地と普通の街のちょうど境目。
ギリギリ敷地に入らないくらいのところに、大きな黒塗りの車が停めてあった。
これ、3人の…?
ちょ、かなり高級に見えるんですが何これ。
その車の前であたしは降ろされた。
「ほら、早く乗って。」
「うん…」
どうやらリオは後ろの車に押し込められている様子。
その光景にちょっと不安を覚えながら、あたしは車に乗った。
「猫ちゃんさ。」
突然、赤メッシュに声をかけられる。
って、
「猫ちゃんって…」
「違うの?忠犬くんが猫さんって呼んでたから…」
「一応あってる。けど。本名は矢吹小猫。」
「だから猫か…あ、俺は
「猫ちゃんさ。」
突然、赤メッシュに声をかけられる。
って、
「猫ちゃんって…」
「違うの?忠犬くんが猫さんって呼んでたから…」
「一応あってる。けど。本名は矢吹小猫。」
「だから猫か…あ、俺は伊坂春兎。」
「春兎…じゃあ、ハルだね。」
あたしの“ハル”に反応したこの人は、くしゃりと笑った。
笑った顔…可愛い。